DNAの改修者

kujibiki

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第493話 【閑話】パートナー報告の後

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「お母様、ようやく都市長様達への報告も終わりましたね」

先に公表されていた王都ではこの前代未聞の出来事に当初は騒然としていましたが、今では連日お祭り騒ぎになっています。

私とお母様が一人の男性とパートナーになっただけではなく、その男性の名前が最近聞きなれた“シャルル”というのもあるでしょう。
シャルルを一目見たいと言う声も高まっているそうです。

「そうねユナ、でもまだ都市長達は完全に納得していないでしょうね」

渋々それぞれの都市に帰りましたが、最後まで若返った方法や私とユナが“誕生の儀”を済ませている事に対して追及をしてきました。
必死な都市長達を見ていたら、シャルルのパートナーになれた幸運を改めて実感します。

パレス領都では「望めば叶えられるという訳ではない」と偉そうに言ってしまいましたが、シャルルに覚醒してもらう前の私も同じでしたね…。

「フフ…、お母様の二度目の“誕生の儀”が一番驚かれましたね。特にアルテ様から…」

「まぁ、アルテは都市長達の中で唯一“誕生の儀”をしていますからね…」
「でも二度目ぐらいで驚いてもらっては困りますよ。私は三度目も考えていますから…」

「さ…三度目ですか!?」

「ユナは聞いていないのですか? 以前シャルルが三人目も十分可能だと言ってくれたのですよ」

「それは凄いですね…。そういえばキルシッカさんは二人同時ですからね」

その調子で三人目、四人目とか…あり得るのかしら…。
「とりあえず二人目を受精すると右眼もシャルルと同じ黒色になるようなので目指しますけれどね」

「フフ…、まずはこの子です。楽しみねぇ」

まだユナほどお腹は大きくなっていませんが、愛おしいシャルルとの子供が日々成長していくのを実感します。

「それにしても、アルテ様のご子息は11歳だと言っていましたがとても小さかったですね」

今回アルテ様はご子息を連れてこられていたのですが、昨年のシャルルより一回り小さくて、ひ弱そうでした。

「ユナ、シャルルと比べてはダメですよ。あなたはパートナー候補を作りませんでしたから分からないかもしれませんが、一般男性の11歳はあれくらいなのですよ」

フフ…、もし都市長達にシャルルを紹介できたとしても12歳とは信じてもらえなかったことでしょう。

「そういえばお母様、シャルルの名前の公表は王都だけで良かったのですか?」

「元々各都市で公表する慣習はありませんからね。王都だけで十分です。それに“シャルル”という名前は王領及びバルトリア王国では小さな村や町を除いて既に有名ですからね。放っておいても徐々に知れ渡っていくでしょう」

おそらくサマンサ様達もそうされている事でしょう…。

「そうですね…。今ではメロ魔道具製作所にも人だかりが出来ているとか…」

王都に戻って来てから久しぶりに幼馴染のメロに会いに行きましたが公表前で良かったです。

メロには自分でシャルルのパートナーになった事を伝えたけれど、それより私を見て呆然とし、顔見知りのクララと他の従業員の皆さんも固まっていました。

私もお母様ほどではありませんが若々しく艶やかに変貌し、それにお腹も大きくなっていますからそのせいでしょう。
お腹を見て体調を心配されましたが、シャルルと“誕生の儀”をした事を伝えると気を失いそうになっていたぐらいです。

「まぁ、少しぐらい注目されても良いじゃない…。ドナは喜んでいると思うわよ」

これから魔道具製作所の規模も大きくしていかないといけませんからね…。

「……」
その時にメロのお母様であるドナさんにもお会いしました。
お母様から聞いてはいましたが、覚醒する前の姿が思い出せないほど変貌されていたのです。
ドナさんもメロと同じように私のお腹を見て体調を心配されていましたね。

ドナさんが“シャルルの奇跡”を体験されるきっかけは何だったのかしら…?
どちらかというとメロの方が先に“シャルルの奇跡”を体験しそうなのに…、それについてはお母様もおっしゃられていません。

まぁ、ドナさんが覚醒していることを考えると、シャルルはメロ達の事も考えてくれているのでしょう。
フフ…、メロの胸ならシャルルの男性器も余裕で挟めるわね…。



XX XY



「ようやく各都市長との領内会議も終わったわね。それにしても、最後のリリスの顔と言ったら…」

「都市長様達の中でリリス様だけがシャルル様をご存知ですからね。それにまさかアデル様だけではなく、エンターシャ様やメイドであるマリン先輩や私までパートナーだとは思われていなかったのでしょう」

「リリス様のお供のミントさんも私を見て驚いていましたよ」

フフ…、私より年下のはずですが、私の方がはるかに若々しいですからね。

「それは驚くでしょう。覚醒前のマリンは無愛想で容姿もちょっと暗い雰囲気でしたからね~」

「ひどいですよ、エンターシャ様…」

「フフ…、それだけ変わったって事ですよ」
「それにシャルルの周りでは当たり前でも、メイドが男性とパートナーになる事はほとんどありませんからね…」

「そうでした…」

「お母様、どうして都市長様達を一人ずつ呼んだのですか?」

「だって、四人もいると色々と細かいことまで追求されるじゃない…。領主会議ではシェリー様が代表して説明してくださったのであれくらいで済んだのですよ。今回は私達が若返ったように変貌してから初めて会いますからね」

一人一人に同じ説明をするのは面倒でしたが、思惑通り深く追求される前に会議を終わらせることが出来ました。
シェリー様達のように受胎していると大変だったでしょうね…。

「なるほど…(お母様らしいわ…)」

「これでようやく落ち着いてシャルル様に会いに行けますよ~」

「マリン先輩、抜け駆けはダメですよ!」

「二人とも残念だけどシャルルはエルスタイン領都にいないみたいよ。今はルージュ領都に行っているんですって」

エルスタイン領都に戻った時にクーシアさんからそう教えてもらいました。
なんだか顔を真っ赤にして私が戻ってきたことに驚いていましたね。

「そうなの、アデル!?」

ルーシャ様の領内会議も終わっているようね…。
「じゃあ、シャルル島へ気分転換に行きましょうか。それからルーシャ様のお屋敷に行ってみようかしら…」

「そうですね、お母様。私もこちらの用が済めばエルスタイン領都へ帰ろうと思っていましたので…」

シャルルがいつ戻って来るかは分かりませんが、私の居るところはシャルルの傍なのです。それにクーシアさんのお手伝いもしないといけませんからね。

「じゃあマリン、ヨルン、屋敷の者達に留守中の指示をしておいてね」

「「かしこまりました」」



XX XY



「リリス様、エンターシャ様達のパートナーになったと言うシャルル様は少し前にバージンに来られた方ですよね…?」

男性のセマが応対したのでお話は出来ませんでしたがお顔は拝見しています。
あれからリリス様はシャルル様の事ばかり話されているのです。
“シャルル抱き”というのをしてもらったとか、とっても良い匂いがするとか…。

「そうよ、ミント…」

きっとあの時すでにシャルル様はヨルンさんとパートナー同士だったのでしょう。
そう考えればヨルンさんがシャルル様にくっ付いておられたのも理解できます。
でもエンターシャ様やアデル様までシャルル様と…。

いや、この場合アデル様のパートナーがシャルル様でその上でエンターシャ様が…?
でもメイドであるヨルンさんやマリンさんも…、あぁ~もう~、何が何だか…。

それにシャルル様は“誕生の儀”を済ませているとおっしゃっていましたが、エンターシャ様は“誕生の儀”について何も話されていませんでした。

皆さんがパートナーになったと言っても優先的に“誕生の儀”をされるのはアデル様のはず…。
体型の変化も見られなかったので“誕生の儀”をされたところだったのかしら…?
それにしても、まだ“女”になられたばかりのアデル様も艶やかに女性らしくなっておられるのには驚きました。

「…リス様…、リリス様…」

「へっ? ど…どうしたの、ミント…」

「いえ、マリンさん達がパートナーになられていて驚きまして…。男性が複数人の女性とパートナーになる事があるのですね」

マリンさん変貌が一番驚きました。
艶やかな髪に瑞々しい肌、あの変わったメイド服のせいか女性らしく見え、笑顔を初めて見た気がします。

「……複数…ねぇ…」

もしアデル様が“誕生の儀”をされていなかったら…。
他にもパートナーがいるの…?

そういえばバージンに来られた時、ヨルンさんはシャルル様のことをエンターシャ様だけじゃなく、シェリー様やサマンサ様が大切に思われている方だと紹介されていました。

(まさか…、シェリー様やサマンサ様まで…?)

もしシャルル様が更に複数の女性とパートナーになられていたとしても女王様と他の領主様となんて有り得ないわよ…ね…。

それに失礼ですがシェリー様達はエンターシャ様よりも年上なのです。
シャルル様の発明品の事で懇意にされているのでしょう。
やはりエンターシャ様達4人がパートナーで、常識的に考えてアデル様が“誕生の儀”をされているのでしょう…。

(あぁ、シャルル様…)

あんなに優しくて格好良くて、たくましい男性のパートナーになれるのなら私も“誕生の儀”にはこだわりません。
ジャトワン領都におられなかったようですが、もう一度会ってゆっくりお話ししてみたいです。
ハァ~、やっぱり髪が伸びてからじゃないと会えないのかな…。



XX XY



「ローレン様、次はいつシャルル様にお会い出来るでしょうか?」

「……」
タバサ、いきなりね…。

「やはりこちらから伺うべきでは…?」

「どこにいらっしゃるのか…。それに理由もありません。せめて新年になればご挨拶という理由で伺えるのでしょうけれど…」

「……、確かに私達はまだパートナー候補ですものね。あんなにパートナーの方がいらっしゃれば私達の事は後回しですよね…」

ウグッ…。
「だから今は一日でも早く感度を上げてシャルル様のしてくださることが全身で繋がる様にならないといけないのです」

「そ…そうですね。理由がなくても自信を持って会いに行けるようにならないといけませんよね」

「そ…そうよ、タバサ…。ところで女性器の観察はどうかしら?」

「順調…だと思います。あれから毎晩していますからね…。ローレン様こそどうですか?」

「わ…私はずいぶん感覚が繋がってきたと思うわよ」

愛液の出てくる感覚や“しお”を噴き出しそうな感覚も分かってきたように感じます。

「私も一度や二度イッても気を失わないようになりましたよ」

でも、最後はいつの間にか気を失ってしまっているんですけれどね…。

((……))

「ハァ~、やっぱりまだまだね…」

こんな状態でシャルル様の下へ推し掛ければシェリー様達に怒られてしまいますよ。

「ですね…」

もっと女性器の観察をする時間を増やさないと…。



XX XY



「モナミ様~、また“シャルル巻き”を食べに行かれないのですか~?」

「ナンシー、せっかく禁断症状が抑えられたのにまた食べたいの?」

「あの軽い口当たりの生地としっとりと滑らかなクリームに“ばななん”や“あかべりー”は絶品ですからね~」

「う~っ、そんな事を言われたら食べたくなるじゃない…」

お母様達もあれ以来食べていないはずですが、特に禁断症状で苦しんでいるようにも見えません。
それより領主会議以降、お母様とタバサは何かに夢中になっているのですよね…。
自室にいる時間が長くなったような…。

私はことあるごとにシャルルのパートナー候補になった事を自慢される日々です。
くっ、羨ましい…。

「もしかしたらローレン様とタバサ先輩は近々食べに行かれるかもしれませんよ」

「えっ、どうして? テラ…」

「夜にタバサ先輩の部屋から時々『いく~』っと声が聞こえるのだそうです」

「やっぱりタバサ先輩も“シャルル巻き”を食べに行きたいのですよ~」

「……」
馬鹿ね、ナンシー。
タバサが“シャルル巻き”を食べたいからといってそんな事を言うわけが…。

ハッ…。
「シャルルに会いに行くのかもしれないわよ!?」

((あっ!!))

「私達はシャルルに会わない限りパートナー候補になれる可能性はないのよ。テラもナンシーもタバサみたいになりたいでしょ。私もオーリエさんに追いつきたいのよ」

このままジッとしていたらエリカさんにも先を越されちゃうわ。
シャルルはマーガレット様にもお母様と同じようにパートナー候補にする約束をしていたのです。

「では、タバサ先輩がルージュ領都へ行かれる予定を立てられたらすぐにお願いしましょう。その時はモナミ様もローレン様にお願いしてくださいね」

「わ…分かったわ…」

その後、いつまで経ってもルージュ領都へ行く様子もなく新年を迎えることになるとはこの時は知る由もなかったのです。
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