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第472話 領主会議ー発表編2
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「「「……」」」
驚愕と困惑…。
予想はしていたけれど、サリー様のお屋敷の歓談室に現れた僕達を見た領主様達の表情はまさにそんな感じでした。
皆が目を見開いて何かを言いたげですが言葉が出ないようで、歓談室は一瞬にして時が止まったように静まり返っています。
「シャルル~、おはよう~」
「シャルル様、おはようございます」
「おはよう、ジェシカ、カリーナ」
そんな中、ジェシカとカリーナが迎い入れてくれたおかげで止まっていた時間が動き出します。
「「「ル…ルーシャ様…、グレイス様…」」」
「また一段と艶めかしくなられて…」
「眩しすぎますよ…(二人とも真っ白じゃないですか…)」
「なんだか左眼が…」
『皆様、お待たせいたしました』
「皆さん既にお集まりのようですね」
「シャ…ルル…なの?」
「大きい…です…」
「ナーナとメラニーは一年振りだね…。“男”になって身長が伸びたし、髪も瞳も黒色に変わったから驚いたでしょ…」
「ナーナとメラニーも予想以上に大きくなっているねぇ」
ナーナはクーシアより細い感じがしますが、服の上からでも胸が大きくなってきているのが分かるほどです。
メラニーも身長は伸びたけれどまだ幼児体型かな…。
僕とは比べられませんが、やはり女性の成長の方が早い気がします。
「シャルル…君? 昨日ジェシカから聞いていましたが本当に“男”に…」
「はい、今年の誕生日の後に“男”になりました。サリー様、シクスエス様、エバーミット様ご無沙汰しております」
「ルーシャ様とグレイス様にも驚きましたが一年でそんなに大きくなるなんて…」
(男性が“男”になって変貌する…?)
これまでに見た事も聞いた事もありません。
メイドの中にも身長の高い者はいますが、今のシャルル君はその者達と変わらないくらい大きくなっているのです。ナーナルンが子供に見えますよ…。(実際子供なのですが…)
「僕も驚きましたよ…、ハハハ…」
『まぁまぁ、サリー様、シクスエス様、みんな揃ったわけですし早速領主会議を始めましょうか』
「そう…ですね。ルーシャ様達にも聞きたいことはいっぱいありますよ」
ルーシャ様、グレイス様、エリシアさん、それにメイドのシエラさん…、それからシャルル君の専属のトリスさんと、昨年エルスタイン領都で見た事はありますが身体は細いのに胸の大きなメイドの方、六人の左眼がシャルル君と同じ黒色に変化しているのがすぐに分かりました。
シエラさんとその胸の大きなメイドの方はエルスタイン領都のメイド服ではないようですが、お腹が少し大きく見えますね…。
XX XY
ナーナやメラニー達もいるので昨年と同じならメイドを一人にして各領三人となるのですが、今回はメイドが二人ずつになり更に僕達のメイドは全員会議室に入っています。
「ルーシャ様、メイドの方全員はさすがに多いのでは…」
『サリー様、すいません。これからの話で必要になりますので、その話が終わるまではご了承ください』
「そう…ですか…。では領主会議を始めたいと思います」
まぁ、気になる事は色々ありますけれど…。
「早速ですが、ルーシャ様やグレイス様、エリシア様など一部の方の左眼がシャルル君と同じ黒色に変化している訳を…」
「そうです、それにまた一段と艶めかしくなられて…。今回は納得のいく説明をしてもらいますよ」
「まぁまぁ、シクスエス様もエバーミット様も落ち着いて…。今回はその為に私も参加しているのですから…。ルーシャ様、お願いします…」
「「グレイス様…」」
『そうですね。初めに先ほどシャルルが話した通り、“男”になったことをご報告させていただきます』
「えぇ…、あぁ…、そ…そうでしたね」
「「「お…おめでとう、シャルル君…」」」
「「シャルル、おめでとう…」」
「皆様、ありがとうございます。これからもよろしくお願い致します」
一度席から立つと会釈をしてから座ります。
議長であるサリー様は壇上に、側には確かべリンダお姉さん。
反対側にはジェシカが座っています。
サリー様から見て左側にグレイス、エリシア、ルーシャ、僕が座っており、反対側にはシクスエス様、ナーナ、エバーミット様、そしてメラニーが僕の前に座っていて、金髪をキラキラさせてニコニコとこちらを見ています。
そしてグレイスとルーシャ、他の領主様の後ろにはそれぞれホーリー、シエラ、ネルお姉さん、ロイスお姉さんが控えていてその他の皆は部屋の隅に並んで控えています。
本当ならシエラも座らせてあげたいところですが、まだ大丈夫だと言っていました。
「それで…」
話しの続きが待ちきれないのかシクスエス様が先を促されます。
『では、皆様にとても重大なご報告をさせていただきます』
とうとうこの時が来ました。
シャルルが“男”になってからまだ半年も経っていないのにとても長かった気がします。
グレイス様を見ると頷かれており、シエラ達も固唾を呑んで見守っているようです。
当のシャルルは普段通り、目の前のメラニーさんがシャルルを見つめているのでそちらに顔を向けています。
『実は…』
(((実は…何!?)))
『実は、私とこの場にいるエルスタイン領の者達、それからグレイス様、エリシアさん、ホーリーさん、ミレーヌさんはシャルルのパートナーとなりました…』
「「「はぁ…?」」」
「何ですって~っ!? シャ…シャルル、本当なの?」
「うん、本当だよ」
いち早く沈黙を破ったのは意外にもナーナでした。
ナーナの驚きの声を聞いたフィルお姉さんも部屋の隅でメンテールやトリス達に確認をしている声が聞こえます。
領主様達は呆然とし、傍で控えていたメイドのお姉さん達も信じられないというような顔をして僕を見てきます。
「エリシア様だけじゃなくて…? 皆さん全員? え~っと、ユナ様やオーリエ様は…?」
「あぁ…、ユナ達もパートナーだよ。今回は連れて来ていないけれど…」
「ちょ…ちょっと待ってください。エリシアさんは理解できますが、その…どうしてルーシャ様にグレイス様、それに他の皆さんまで…」
「シクスエス様、パートナーは何人いても問題ないはずですが…?」
「いや、グレイス様のおっしゃる通りですが、現実的に…そんなこと…」
『まぁ、シクスエス様がそうおっしゃるのも無理はありませんが、ここには来ていないパートナーやパートナー候補もまだいるのですよ』
「えっ、そうなのですか!?」
「あのユナさんやオーリエさん以外にもですか…? その…ルーシャ様のおっしゃるパートナーとはどういったものなのでしょうか?」
『エバーミット様、別にこれまでと何も変わりませんよ。生涯を共に過ごし子孫を繁栄させる為のパートナーです』
「何をおっしゃっているのかまったく分かりません。皆さんがシャルル君のパートナーになったとおっしゃるのは自由ですが子孫繁栄ですって!?」
「フフ…、ルーシャ様、やはり言葉だけで理解していただくのは難しいようですね」
『そのようですね。では私の後ろに控えているシエラをご覧ください…』
『先ほど私達がシャルルのパートナーになったとご報告しましたが、実はシエラがシャルルの最初のパートナーなのです』
『そして…、お気付きだったかもしれませんがお腹が大きくなっているのはシャルルと“誕生の儀”を済ませているからです』
「何ですって…、お腹が大きいとは思いましたが受胎しているですって?」
「そんな一般の領民が子宮で“誕生の儀”を…」
「シエラさんが最初のパートナー?」
『そして、あちらに控えているメンテールもシエラと変わらない時期にパートナーになり受胎しています』
「「「そんな…ことが…」」」
『さらに私とグレイス様、そしてエリシアさんも…』
ルーシャが席から立ち上がるとグレイスも一緒に立ち上がりました。
エリシアは受精したところですから席に座ったままです。
「どうです? シャルルと“誕生の儀”を済ませ受胎しているのですよ…」
グレイスが服の上からお腹を撫で、その大きさが分かるように示しています。
『エリシアさんは受胎したところですから身体に変化はありませんが、私達のように左眼がシャルルと同じ黒色になっている者は受胎している証なのです』
「まさかグレイス様も本当に“誕生の儀”を…」
「相手がシャルル君だなんて…」
「ここにいるだけで6人もシャルル君と“誕生の儀”をしているのよね…」
受胎するとカラードのように左眼が変化するの…?
『連れて来ていませんが、まだいっぱい受胎している者はいますよ。先ほど話しに出ましたユナさんやオーリエさんも既に受胎しています』
「す…すいません。頭の中が整理できませんので一旦休憩にしたいと思います」
「そ…それが良いですね…」
「サリー様、お願いします…」
『そうですか…』
まぁ、シャルルのパートナーについて発表は出来たので良しとしましょう。
XX XY
一応僕のパートナーについて話しは終わったので、領主様達が休憩されると同時にジェシカ達とリビングに移動します。
「シャルルのパートナーになったことを正式に発表してもらってスッキリしましたよ」
「エリシア様、羨ましいです…。それにまるでカラードの様です」
まさか昨年発表された三人がそのままパートナーになっているだなんて…。
「フフン…、ナーナルンさん、実は私とカリーナもシャルルのパートナー候補なのよ!」
ジェシカがそう言いながら僕の腕に抱き付いてきます。
「え~っ、ジェシカさん達が~!?」
(そんな…、一体いつの間に…)
「だったら私もパートナーにして!」
「ナーナがそう望むのならそうしてあげたいけれど、まずは“女”にならないとパートナー候補にもしてあげられないし、シクスエス様が了承されないとパートナーには出来ないよ」
ジェシカの事もありますが、遅かれ早かれ領主様達を覚醒させることになると思うのです。
今回の発表は僕自身のけじめでもあり、もうこの流れは止められません。
これからは機会を待つだけではなく、積極的に覚醒を促していくつもりです。
「シャルル~、私も~」
「ハハ…、メラニーも“女”になったらね…」
(えっ、メラニー様も“女”になったらパートナー候補になれる可能性があるの?)
「シャルル様、メンテールさん達はなんとか理解できますが、他領のカリーナさんがパートナー候補になっておられるのはなぜでしょう?」
それを言えば王領のホーリーさんやミレーヌさんもそうですが…。
「え~っと、ラランさんでしたね…。カリーナはおまけですよ。たまたまです」
「ひどいです、ジェシカ様~。私はシャルル様の為なら何だってする女ですよ~!」
(ハハ…、調子の良い所は本当にトリスに似ています)
ああ言われるとついどこまで出来るか試したくなるよね。
「確かにおまけだったけれど、性格も良くて本当に僕の事を想ってくれているみたいだからパートナー候補にしたんだよ」
僕が改めてそう答えるとラランお姉さんが少し驚いたような複雑そうな顔をしていました。
「シャ…、シャルル様、もしかしたら私もシャルル様のパートナーになれる可能性があるのですか?」
「ちょっとフィル…、何を言って…」
「もちろんカリーナと同じで可能性はあるけれど…、でもメンテールやトリス達にも受け入れられないとダメかなぁ~」
今さっき積極的にいくと決めたところですが、皆には仲良くしてもらいたいと思います。
「さすがシャルル様です。シャルル様の専属でお生まれになった時から側にいる私が認めないとダメでしょう!」
「元専属が何を言っているのよ…。ですが、私もシャルル様の為に生きられない方を認めるわけにはいきませんね」
しまった~、この二人に振ったのは間違いだったかな…。
特にメンテールは精神的に厳しいし…。
エリオンとクーシアは黙って頷いています。
「そう…ですか…」
確かにカリーナさんもシャルル様の為なら何でもするとおっしゃっていましたね。
ナーナルン様はまだ“女”ではありませんし、私の方が先にパートナー候補になる可能性があるかも…。
「ちょっと~フィル~、何を考えているのよ~」
「カリーナさんがシャルル様のパートナー候補になれるのなら私も…と思いまして…。私の方が胸も大きくて体型も良さそうですし…」
「フッ…、甘いですね。フィルさん、甘いですよ…。胸が大きいとか小さいとかでシャルル様はパートナーを選ばれませんよ。それにそんな硬そうな身体…、ねぇ、ジェシカ様…?」
「そ…、そうね…」
自分もそうだったのに…、とは言わないでおきます。
でも、胸は大きくないとシャルルの男性器を挟んで洗えないのですけれどね。
まずはメンテールさんやエリオンさん半分でも欲しいわ。
それにしても昨晩の内にトリスさんまで受精しているなんて…。
「わ…私もシャルル様のパートナーになりたい…です…」
「ラランもシャルルのパートナーになりたかったの~?」
メラニーがラランお姉さんの顔を覗き込みながらそう聞いています。
「フィルお姉さんもラランお姉さんもそう言ってくれるのは嬉しいけれどパートナーにするにはシクスエス様やエバーミット様の了承がいるからね」
「「はい…」」
「ジェシカ様、私達も早くサリー様に認めていただけると良いですね」
「そうね」
お母様はいつも他の領主様より行動や決断が遅いので少し心配ですよ…。
「あ~ん、シャルル~、私も早く“女”になりたいよ~!」
「僕に言われても…。ナーナもきっと来年には“女”になっているよ。それまでにもっと成長しないとね」
「もう~、シャルルの意地悪~」
ひとまずここにいる皆もある程度理解してくれたようです。
驚愕と困惑…。
予想はしていたけれど、サリー様のお屋敷の歓談室に現れた僕達を見た領主様達の表情はまさにそんな感じでした。
皆が目を見開いて何かを言いたげですが言葉が出ないようで、歓談室は一瞬にして時が止まったように静まり返っています。
「シャルル~、おはよう~」
「シャルル様、おはようございます」
「おはよう、ジェシカ、カリーナ」
そんな中、ジェシカとカリーナが迎い入れてくれたおかげで止まっていた時間が動き出します。
「「「ル…ルーシャ様…、グレイス様…」」」
「また一段と艶めかしくなられて…」
「眩しすぎますよ…(二人とも真っ白じゃないですか…)」
「なんだか左眼が…」
『皆様、お待たせいたしました』
「皆さん既にお集まりのようですね」
「シャ…ルル…なの?」
「大きい…です…」
「ナーナとメラニーは一年振りだね…。“男”になって身長が伸びたし、髪も瞳も黒色に変わったから驚いたでしょ…」
「ナーナとメラニーも予想以上に大きくなっているねぇ」
ナーナはクーシアより細い感じがしますが、服の上からでも胸が大きくなってきているのが分かるほどです。
メラニーも身長は伸びたけれどまだ幼児体型かな…。
僕とは比べられませんが、やはり女性の成長の方が早い気がします。
「シャルル…君? 昨日ジェシカから聞いていましたが本当に“男”に…」
「はい、今年の誕生日の後に“男”になりました。サリー様、シクスエス様、エバーミット様ご無沙汰しております」
「ルーシャ様とグレイス様にも驚きましたが一年でそんなに大きくなるなんて…」
(男性が“男”になって変貌する…?)
これまでに見た事も聞いた事もありません。
メイドの中にも身長の高い者はいますが、今のシャルル君はその者達と変わらないくらい大きくなっているのです。ナーナルンが子供に見えますよ…。(実際子供なのですが…)
「僕も驚きましたよ…、ハハハ…」
『まぁまぁ、サリー様、シクスエス様、みんな揃ったわけですし早速領主会議を始めましょうか』
「そう…ですね。ルーシャ様達にも聞きたいことはいっぱいありますよ」
ルーシャ様、グレイス様、エリシアさん、それにメイドのシエラさん…、それからシャルル君の専属のトリスさんと、昨年エルスタイン領都で見た事はありますが身体は細いのに胸の大きなメイドの方、六人の左眼がシャルル君と同じ黒色に変化しているのがすぐに分かりました。
シエラさんとその胸の大きなメイドの方はエルスタイン領都のメイド服ではないようですが、お腹が少し大きく見えますね…。
XX XY
ナーナやメラニー達もいるので昨年と同じならメイドを一人にして各領三人となるのですが、今回はメイドが二人ずつになり更に僕達のメイドは全員会議室に入っています。
「ルーシャ様、メイドの方全員はさすがに多いのでは…」
『サリー様、すいません。これからの話で必要になりますので、その話が終わるまではご了承ください』
「そう…ですか…。では領主会議を始めたいと思います」
まぁ、気になる事は色々ありますけれど…。
「早速ですが、ルーシャ様やグレイス様、エリシア様など一部の方の左眼がシャルル君と同じ黒色に変化している訳を…」
「そうです、それにまた一段と艶めかしくなられて…。今回は納得のいく説明をしてもらいますよ」
「まぁまぁ、シクスエス様もエバーミット様も落ち着いて…。今回はその為に私も参加しているのですから…。ルーシャ様、お願いします…」
「「グレイス様…」」
『そうですね。初めに先ほどシャルルが話した通り、“男”になったことをご報告させていただきます』
「えぇ…、あぁ…、そ…そうでしたね」
「「「お…おめでとう、シャルル君…」」」
「「シャルル、おめでとう…」」
「皆様、ありがとうございます。これからもよろしくお願い致します」
一度席から立つと会釈をしてから座ります。
議長であるサリー様は壇上に、側には確かべリンダお姉さん。
反対側にはジェシカが座っています。
サリー様から見て左側にグレイス、エリシア、ルーシャ、僕が座っており、反対側にはシクスエス様、ナーナ、エバーミット様、そしてメラニーが僕の前に座っていて、金髪をキラキラさせてニコニコとこちらを見ています。
そしてグレイスとルーシャ、他の領主様の後ろにはそれぞれホーリー、シエラ、ネルお姉さん、ロイスお姉さんが控えていてその他の皆は部屋の隅に並んで控えています。
本当ならシエラも座らせてあげたいところですが、まだ大丈夫だと言っていました。
「それで…」
話しの続きが待ちきれないのかシクスエス様が先を促されます。
『では、皆様にとても重大なご報告をさせていただきます』
とうとうこの時が来ました。
シャルルが“男”になってからまだ半年も経っていないのにとても長かった気がします。
グレイス様を見ると頷かれており、シエラ達も固唾を呑んで見守っているようです。
当のシャルルは普段通り、目の前のメラニーさんがシャルルを見つめているのでそちらに顔を向けています。
『実は…』
(((実は…何!?)))
『実は、私とこの場にいるエルスタイン領の者達、それからグレイス様、エリシアさん、ホーリーさん、ミレーヌさんはシャルルのパートナーとなりました…』
「「「はぁ…?」」」
「何ですって~っ!? シャ…シャルル、本当なの?」
「うん、本当だよ」
いち早く沈黙を破ったのは意外にもナーナでした。
ナーナの驚きの声を聞いたフィルお姉さんも部屋の隅でメンテールやトリス達に確認をしている声が聞こえます。
領主様達は呆然とし、傍で控えていたメイドのお姉さん達も信じられないというような顔をして僕を見てきます。
「エリシア様だけじゃなくて…? 皆さん全員? え~っと、ユナ様やオーリエ様は…?」
「あぁ…、ユナ達もパートナーだよ。今回は連れて来ていないけれど…」
「ちょ…ちょっと待ってください。エリシアさんは理解できますが、その…どうしてルーシャ様にグレイス様、それに他の皆さんまで…」
「シクスエス様、パートナーは何人いても問題ないはずですが…?」
「いや、グレイス様のおっしゃる通りですが、現実的に…そんなこと…」
『まぁ、シクスエス様がそうおっしゃるのも無理はありませんが、ここには来ていないパートナーやパートナー候補もまだいるのですよ』
「えっ、そうなのですか!?」
「あのユナさんやオーリエさん以外にもですか…? その…ルーシャ様のおっしゃるパートナーとはどういったものなのでしょうか?」
『エバーミット様、別にこれまでと何も変わりませんよ。生涯を共に過ごし子孫を繁栄させる為のパートナーです』
「何をおっしゃっているのかまったく分かりません。皆さんがシャルル君のパートナーになったとおっしゃるのは自由ですが子孫繁栄ですって!?」
「フフ…、ルーシャ様、やはり言葉だけで理解していただくのは難しいようですね」
『そのようですね。では私の後ろに控えているシエラをご覧ください…』
『先ほど私達がシャルルのパートナーになったとご報告しましたが、実はシエラがシャルルの最初のパートナーなのです』
『そして…、お気付きだったかもしれませんがお腹が大きくなっているのはシャルルと“誕生の儀”を済ませているからです』
「何ですって…、お腹が大きいとは思いましたが受胎しているですって?」
「そんな一般の領民が子宮で“誕生の儀”を…」
「シエラさんが最初のパートナー?」
『そして、あちらに控えているメンテールもシエラと変わらない時期にパートナーになり受胎しています』
「「「そんな…ことが…」」」
『さらに私とグレイス様、そしてエリシアさんも…』
ルーシャが席から立ち上がるとグレイスも一緒に立ち上がりました。
エリシアは受精したところですから席に座ったままです。
「どうです? シャルルと“誕生の儀”を済ませ受胎しているのですよ…」
グレイスが服の上からお腹を撫で、その大きさが分かるように示しています。
『エリシアさんは受胎したところですから身体に変化はありませんが、私達のように左眼がシャルルと同じ黒色になっている者は受胎している証なのです』
「まさかグレイス様も本当に“誕生の儀”を…」
「相手がシャルル君だなんて…」
「ここにいるだけで6人もシャルル君と“誕生の儀”をしているのよね…」
受胎するとカラードのように左眼が変化するの…?
『連れて来ていませんが、まだいっぱい受胎している者はいますよ。先ほど話しに出ましたユナさんやオーリエさんも既に受胎しています』
「す…すいません。頭の中が整理できませんので一旦休憩にしたいと思います」
「そ…それが良いですね…」
「サリー様、お願いします…」
『そうですか…』
まぁ、シャルルのパートナーについて発表は出来たので良しとしましょう。
XX XY
一応僕のパートナーについて話しは終わったので、領主様達が休憩されると同時にジェシカ達とリビングに移動します。
「シャルルのパートナーになったことを正式に発表してもらってスッキリしましたよ」
「エリシア様、羨ましいです…。それにまるでカラードの様です」
まさか昨年発表された三人がそのままパートナーになっているだなんて…。
「フフン…、ナーナルンさん、実は私とカリーナもシャルルのパートナー候補なのよ!」
ジェシカがそう言いながら僕の腕に抱き付いてきます。
「え~っ、ジェシカさん達が~!?」
(そんな…、一体いつの間に…)
「だったら私もパートナーにして!」
「ナーナがそう望むのならそうしてあげたいけれど、まずは“女”にならないとパートナー候補にもしてあげられないし、シクスエス様が了承されないとパートナーには出来ないよ」
ジェシカの事もありますが、遅かれ早かれ領主様達を覚醒させることになると思うのです。
今回の発表は僕自身のけじめでもあり、もうこの流れは止められません。
これからは機会を待つだけではなく、積極的に覚醒を促していくつもりです。
「シャルル~、私も~」
「ハハ…、メラニーも“女”になったらね…」
(えっ、メラニー様も“女”になったらパートナー候補になれる可能性があるの?)
「シャルル様、メンテールさん達はなんとか理解できますが、他領のカリーナさんがパートナー候補になっておられるのはなぜでしょう?」
それを言えば王領のホーリーさんやミレーヌさんもそうですが…。
「え~っと、ラランさんでしたね…。カリーナはおまけですよ。たまたまです」
「ひどいです、ジェシカ様~。私はシャルル様の為なら何だってする女ですよ~!」
(ハハ…、調子の良い所は本当にトリスに似ています)
ああ言われるとついどこまで出来るか試したくなるよね。
「確かにおまけだったけれど、性格も良くて本当に僕の事を想ってくれているみたいだからパートナー候補にしたんだよ」
僕が改めてそう答えるとラランお姉さんが少し驚いたような複雑そうな顔をしていました。
「シャ…、シャルル様、もしかしたら私もシャルル様のパートナーになれる可能性があるのですか?」
「ちょっとフィル…、何を言って…」
「もちろんカリーナと同じで可能性はあるけれど…、でもメンテールやトリス達にも受け入れられないとダメかなぁ~」
今さっき積極的にいくと決めたところですが、皆には仲良くしてもらいたいと思います。
「さすがシャルル様です。シャルル様の専属でお生まれになった時から側にいる私が認めないとダメでしょう!」
「元専属が何を言っているのよ…。ですが、私もシャルル様の為に生きられない方を認めるわけにはいきませんね」
しまった~、この二人に振ったのは間違いだったかな…。
特にメンテールは精神的に厳しいし…。
エリオンとクーシアは黙って頷いています。
「そう…ですか…」
確かにカリーナさんもシャルル様の為なら何でもするとおっしゃっていましたね。
ナーナルン様はまだ“女”ではありませんし、私の方が先にパートナー候補になる可能性があるかも…。
「ちょっと~フィル~、何を考えているのよ~」
「カリーナさんがシャルル様のパートナー候補になれるのなら私も…と思いまして…。私の方が胸も大きくて体型も良さそうですし…」
「フッ…、甘いですね。フィルさん、甘いですよ…。胸が大きいとか小さいとかでシャルル様はパートナーを選ばれませんよ。それにそんな硬そうな身体…、ねぇ、ジェシカ様…?」
「そ…、そうね…」
自分もそうだったのに…、とは言わないでおきます。
でも、胸は大きくないとシャルルの男性器を挟んで洗えないのですけれどね。
まずはメンテールさんやエリオンさん半分でも欲しいわ。
それにしても昨晩の内にトリスさんまで受精しているなんて…。
「わ…私もシャルル様のパートナーになりたい…です…」
「ラランもシャルルのパートナーになりたかったの~?」
メラニーがラランお姉さんの顔を覗き込みながらそう聞いています。
「フィルお姉さんもラランお姉さんもそう言ってくれるのは嬉しいけれどパートナーにするにはシクスエス様やエバーミット様の了承がいるからね」
「「はい…」」
「ジェシカ様、私達も早くサリー様に認めていただけると良いですね」
「そうね」
お母様はいつも他の領主様より行動や決断が遅いので少し心配ですよ…。
「あ~ん、シャルル~、私も早く“女”になりたいよ~!」
「僕に言われても…。ナーナもきっと来年には“女”になっているよ。それまでにもっと成長しないとね」
「もう~、シャルルの意地悪~」
ひとまずここにいる皆もある程度理解してくれたようです。
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鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
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