DNAの改修者

kujibiki

文字の大きさ
上 下
463 / 567

第463話 領主会議ーパレス領編1

しおりを挟む
今日はいよいよバルトリア王国のパレス領都で領主会議が行われます。

これまで前例の無かった事ですが、今回は皆がパートナーになったことを発表する為に参加させてもらうことになっています。

更にこの国の女王様と王女様であるシェリーとユナ、ルージュ領領主サマンサと娘のオーリエ、そしてメイドであるグリシャまでが僕の子供を受胎しているという発表にローレン様とマーガレット様はどういった反応をするでしょうか。
しばらくの後に行われるローマン帝国での領主会議の予行になりそうです。



「シャルル、準備は良いですか?」

「うん、良いよ」

昨日はシェリーのお願いで同じ宿に泊まり、サマンサとグリシャと共に一晩を過ごしていました。
裸になると三人ともお腹が少しポッコリしてきていて順調に育っているようです。
ユナとオーリエ以外には王領からルチアとスージー、ルージュ領からはサンディとローザがお供に付いて来ています。

「シャルル、どう? 似合っている?」
「私は?」

「うん、ユナもオーリエも似合っているよ」

ユナは黒色のビスチェドレスで肩を出していて、ドレスの胸元からこぼれそうな胸と綺麗な空色の髪が際立って見えます。
胸の下辺りからふんわりしている形になっているのはお腹が目立たないようにでしょう。
以前はワンピースにコルセットベルトのような物を着けるのが気に入っていたようですが、お腹が大きくなってきて着けられなくなったようです。

オーリエも黒色のタイトニットワンピースです。
最近はエマ達にあげた物と同じTシャツのミニワンピースを着て“穿いてない?”恰好で過ごしているようですが、今日はきっちりと、でも少し露出を多くし艶やかな銀髪を後ろで束ねています。
本当に大人っぽくなったよな…、モナミ様に見せつける気満々のようです。

反対にシェリーとサマンサは白色を基調とした華やかな…なんだか露出度が高めのウェディングドレスのようです。
普段とは違い女王様と領主様らしい気品と威厳のある装いで二人も気合が入っています。

「「さぁシャルル、そろそろ出掛けましょうか」」

シェリーとサマンサがそう言いながら僕の両側から腕を取ってきます。

「そうだね。エンターシャ達も向かっている頃だろうしね」

今日は三人のエスコートもちゃんとしないとね。
お土産の“シャルル巻き”も用意したし、どんな領主会議になるのか楽しみです。



XX XY



「み…皆様、お集まりいただきありがとうございます。では、領主会議を始めたいと…思います…」

だ…誰も私の話を聞いていませんね…。
皆さんシャルル様を中心に談笑されています。
いつの間にかエンターシャ様だけでなくマーガレット様までがシャルル様と親しそうにお話しされているのが気になるところです。

それに驚くことがあり過ぎて何から聞いていけば良いのか…。
先ほど歓談室で挨拶をした時に気付いたのですが、エンターシャ様までがシェリー様達と同じように若返ったように変貌されていますし、シェリー様とユナ様、サマンサ様にオーリエさんの左眼がシャルル様と同じ黒色になっているのです。
もしかしてあれもカラードなの…?

アデルさんも昨年ルージュ領都でお会いした時より雰囲気が変わったと言うか何だか少し大人っぽくなっていました。

ようやくモナミをシャルル様に紹介することが出来ましたが、モナミは挨拶を交わしてから大人しく、今は一人自分の席からその様子を眺めています。
気後れする性格ではありませんが、皆さん既にシャルル様と親しげなのであの輪の中に入り難いのでしょう。



コホン…。
「皆様~、席にお着きください。会議を始めますよ~」

何度目かでようやく皆さんがシャルル様から離れ、それぞれの席に着席しました。

「ま…まず最初に…、皆さん既に親しくされているようですが今回特別に参加していただいておりますシャルル様にご挨拶をしていただきたいと思います」

「えっ、僕が…?」

いきなりで予想外でしたが、皆が僕に注目すると微笑みながら頷いているので起立します。

「では…。ご紹介にあずかりましたシャルルと申します…。ローレン様のおっしゃる通り皆様とは親しくさせていただいておりますが、モナミ様とは今日が初めてとなりますのでどうぞお見知りおきください」

モナミ様とは先ほど初めて挨拶を済ませたところですが、皆を見回した後、改めてモナミ様の方を見ながら軽く会釈をします。
どんな女性かと思っていたのですが今のところ特に悪い印象も無く、見た目はメルモアを一回り小さくしたようなグラマーな体型で美人と言えるでしょう。
そのモナミ様はローレン様の隣に座っていて、僕の方をジッと見ながら話を聞いてくれています。

「また、これまで皆様には“シャルルの風”や“シャルルの渦”など魔道具の生産、販売に関しましてお力添えをいただきありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願い致します」

挨拶が済むと一礼し静かに座ります。
僕は一応招待されている立場ですので今回議長を務めるローレン様から一番離れた向かい側に座っており、僕からローレン様を見て右側奥からシェリー、ユナ、サマンサ、オーリエが座っていて、左側にマーガレット様、エリカ、エンターシャ、アデルが座っています。

今はローレン様の横にタバサお姉さんが控えているだけですが、先ほどまでいた歓談室ではテラお姉さんとナンシーお姉さんが僕に会えてなぜか感激していました。

いきなり話し掛けられて驚きましたが、このお屋敷にもなかなか楽しそうなメイドのお姉さん達がいるようです。
ナンシーお姉さんは雰囲気がトリスにちょっと似ているかな…。

そして会議室の端にはルチア、スージー、グリシャ、サンディ、ローザ、マリン、ヨルン、マーガレット様の所のデイジーお姉さんとエリカの専属の…ビオラお姉さんだっけ…が控えています。

「シャルル様、ありがとうございます。では、領主会議に入りたいと思いますが先に皆様から何かご報告はありますでしょうか?」

ローレン様が左側に座っているシェリー達の方を見ながらおっしゃっています。
パートナーの発表は予定されていたみたいなのでシェリーに振られたのでしょう。

「では、早速ですが私の方から…、私が代表としてご報告させていただきます」
「この度、私、サマンサ様、エンターシャ様、それぞれの娘であるユナ、オーリエさん、アデルさん、そしてこの部屋にいる私達三領のメイド達は全てシャルル様のパートナーにしていただいております…」

「「……、な…何ですって~っ!?」」

「は…い…?」
「うそ…」
「……」

「あれ? その…、どうして…。えっ、そんな…ユナ様とオーリエさんがパートナー候補で…どちらがパートナーになられるか…、そんな話だったのでは…?」

「わ…私もそのように思っていました…」

シェリーの発表が予想と違ったのかローレン様とマーガレット様が動揺しているのが分かります。
モナミ様は驚いた顔をしてオーリエを見ていて、エリカは口を開けて僕の方を見ています。タバサお姉さんは…固まっているのかな?

「ユナ様とオーリエさんだけでなくシェリー様、サマンサ様にエンターシャ様、それに他の皆さんまで…? そんな…13人ものパートナーが…」

「シャルル様、本当なのですか!?」

「本当ですよ…。まだ他にもパートナーはいっぱいいるのですが…」

ローレン様とマーガレット様が僕の返事を聞いて愕然としています。

「シャ…シャルル、だったら私もパートナーにして欲しいの…」

「……エリカ、その話はまた後でね…」

頭の回転の早いエリカはすぐに気を取り直し、そう懇願してきました。
こうやって発表してしまった以上、僕と縁があって好意を持ってくれている女性なら出来るだけ幸せにしてあげたいとは思っています。
もちろんエリカもマーガレット様が許可されるのでしたら断る理由はありません。

「……報告はそれだけではありません。パートナーの内、私、ユナ、サマンサ様、オーリエさん、そしてあちらのメイドのグリシャさんはシャルルの子供を既に受胎しているのです。ユナ…」

シェリーがそう言うと、ユナが立ち上がりドレスのお腹部分を撫でながらお腹の形が分かるようにローレン様達に見せています。

「なっ…、そ…それじゃあ…」
「「「「……」」」」

「私やサマンサ様達はまだユナほど大きくなっていませんが、来年にはシャルルとの子供を出産する予定なのですよ」

「そんな…馬鹿な…、シェリー様達がお二人目を受胎ですって…?」

「マーガレット様、そんなに驚かれなくても…。以前に私達も“誕生の儀”をすると言っていたと思うのですが…」

「…失礼ですが、シェリー様もサマンサ様も30歳を超えておられるのに…」

「フフ…、シャルルの精子ですからね! それにローレン様には私達が30歳以上に見えるのですか?」

「いや…その…皆さんはシャルル様の精子で受精されたというのですよね。そんな…男性から何度も精子を採取出来るなんて…」

確かにお二人とも20代になったばかりのように若々しいですし、私達の方が老けていると誰もが思うでしょう。

(まぁ、普通はそう思うよね…)

ローレン様は信じられないといった顔をして二人と僕を何度も見返しています。

「シャルル様、わ…私もお願いすればシャルル様の精子をいただけますか?」

先日、無理やり受精卵を作られましたが、シャルル様の精子でなら嬉しいのにと思ってしまったのです。

「そ…それは…今ここではお答えできないですね…」

シェリーやサマンサ達の視線を感じたので了承はしないでおきます。
一応先にパートナーになっているシェリー達の顔を立てておかないといけませんし、それについてはこれまでのように任せておいた方が良さそうです。

「そ…そうですか…」

「お…お母様…」

精子によってはお母様も受精卵が出来ると分かったのでそんなことを…。
もちろん私もシャルルの精子で“誕生の儀”をしたいです。

「……、それでシェリー様もサマンサ様も後継者の事は気にしないで良いとおっしゃっていたのですね。まさかご自身までシャルル様の精子で“誕生の儀”をされることだったとは…。ようやく理解できましたよ…」

「そんな話が…」

私はマーガレット様のように後継者の事を聞いていませんでしたが、あの時シェリー様達にとってもシャルル様は大切な男性だと言っておられた気がします。

そのシャルル様の精子で“誕生の儀”とは羨ましいです…。
これまで自分に二人目の可能性なんて考えた事がありませんでしたが、シャルル様と“誕生の儀”が出来るのなら話は別です。
それにどうも話の口調からパートナーになった者は全員“誕生の儀”が出来る可能性がありそうなのです。



(ユナ様、オーリエさん、アデルさんがシャルル様のパートナーに…)

マーガレット様までがシャルル様の精子を望まれ、お母様も納得されています。
それにオーリエさんが既に受胎しているですって…?
いつの間にか身長も大きくなり、体型もあんなに…。
胸の大きさならまだ勝っていますが髪の艶やかさや肌の瑞々しさは完全に負けていますね…。

シャルル様は見れば見るほど素敵な男性です。
以前シェリー様がシャルル様以上の男性はいないとおっしゃっていたのがよく分かりました。
オーリエさんの後塵を拝するようで少し悔しいですが、私もエリカさんのようにお願いしたらパートナーにして下さるでしょうか…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵家の次男に転生しましたが、10歳で当主になってしまいました

竹桜
ファンタジー
 自動運転の試験車両に轢かれて、死んでしまった主人公は異世界のランガン伯爵家の次男に転生した。  転生後の生活は順調そのものだった。  だが、プライドだけ高い兄が愚かな行為をしてしまった。  その結果、主人公の両親は当主の座を追われ、主人公が10歳で当主になってしまった。  これは10歳で当主になってしまった者の物語だ。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】

kujibiki
ファンタジー
異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。 ※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。 『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。

みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ! そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。 「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」 そう言って俺は彼女達と別れた。 しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

あ、出ていって差し上げましょうか?許可してくださるなら喜んで出ていきますわ!

リーゼロッタ
ファンタジー
生まれてすぐ、国からの命令で神殿へ取られ十二年間。 聖女として真面目に働いてきたけれど、ある日婚約者でありこの国の王子は爆弾発言をする。 「お前は本当の聖女ではなかった!笑わないお前など、聖女足り得ない!本来の聖女は、このマルセリナだ。」 裏方の聖女としてそこから三年間働いたけれど、また王子はこう言う。 「この度の大火、それから天変地異は、お前がマルセリナの祈りを邪魔したせいだ!出ていけ!二度と帰ってくるな!」 あ、そうですか?許可が降りましたわ!やった! 、、、ただし責任は取っていただきますわよ? ◆◇◆◇◆◇ 誤字・脱字等のご指摘・感想・お気に入り・しおり等をくださると、作者が喜びます。 100話以内で終わらせる予定ですが、分かりません。あくまで予定です。 更新は、夕方から夜、もしくは朝七時ごろが多いと思います。割と忙しいので。 また、更新は亀ではなくカタツムリレベルのトロさですので、ご承知おきください。 更新停止なども長期の期間に渡ってあることもありますが、お許しください。

処理中です...