DNAの改修者

kujibiki

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第430話 チョコレート完成

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「これがシャルルの言う“ちょこれーと”という食べ物ですか…」

「そうだよオーリエ、言いにくければ“チョコ”でも良いよ」

カカオの種子を発酵させた後、記憶を辿りながらカカオマスの状態にして、ようやくチョコレートと呼べる物にまでなりました。
細かいところはアイとマオのおかげです。
僕が忘れてしまったと思っていても、前世で僕が見たり聞いたりしたことは二人がキッチリと覚えているのです。

「ロッキとフランもだいたい分かったかな?」

厨房にはロッキとフラン、それに島で作業してくれたシェリーとスージー以外の皆が集まっています。
食べ物を作るのにロッキとフランは欠かせません。

「すごいですね。あの種子からこんな食べ物が出来るだなんて…」

「魔法で出来るとはいえ手間が掛かるけれどね…。でもその手間を掛けた分食べてみるとロッキ達もきっと驚くから…」

『それでこの“ちょこ”はどうやって食べるのですか? 今は液状になっていますけれど…』

「そうだね…、チョコは何にでも合うし、型に入れて再度固めるだけでも良いのだけれど…、やっぱり簡単に試せるのはこれかな」

そう言いながら【収納】から“ばななん”を取り出します。

『“ばななん”ですか…。フフ…、利用価値の高い果実ですね』

「ハハ…、本当だね。フラン、“ばななん”を剥いたら串のような物で刺して冷やしてくれるかな」

「は…はい…、任せてください」

僕の言葉を聞いていたオーリエ達も“ばななん”を剥き手伝っていきます。

「シャルル様、用意できました…」

「うん、じゃあ皆、冷えた“ばななん”を一本ずつ持ったら、この液状のチョコをこうやって全体に掛けていくんだよ」

僕がお手本を見せながら説明します。

「あぁ…、“ちょこ”が固まってきてつるつるの“ばななん”になってきました…」

「チョコは冷えると溶かす前のように固まるんだよ」

皆が順番にチョコを掛けていき固まっていくのが面白いのかワーワー、キャーキャー言って楽しんでいます。
僕もその間に一口サイズのチョコを作っておきます。

「みんな出来た? さぁ食べてみようよ」

ペロッ…、パクッ…、パクリ…。

「むふぅ~っ」
「うわぁ~、あま~い」
「なにこれ~」
『美味しいわ~!』

「あっ、本当に美味しい! ちゃんとチョコレートだよ」

この世界では初めて食べたのに味が思い出されていく感じです。
チョコバナナ、懐かしいなぁ~。

「食べ慣れた“ばななん”がまた違った味に…、シャルル、本当にすごいです!」

「オーリエが“カカオ”の実を見つけてくれたからだよ」
「チョコは色んなお菓子に使えるんだよ。でも、見てもらったようにチョコを作るのは手間が掛かるけれどね」

「シャ…ルル…、私が“ちょこ”を作る作業をします!」

「えっ、オーリエが…? それは嬉しいけれど…」

「私もシャルルのお役に立ちたいのです」

「シャ…ルル、わ…私も一緒に作業します」

「「エリシア(さん)…」」

「オーリエさん、風属性の私が実を切り落として割っていかないと大変よ」

「そ、それはそうですが…」

シャルルの為になれる私だけの役目が欲しかったのですが仕方がありませんね。

「それなら二人に任せるよ。皆も手が空いていたら手伝ってあげてね」

「「「「はい!」」」」



「他には…、“柔らかクリーム”をチョコレート味にすることも出来るし、それに作ろうと思えば“チョコレートシャルル”も出来るかな…」

「シャルル様、ぜひ私に教えてください!」

「もちろんフランにはこれから色々作ってもらうよ。とにかくチョコレートがあるとお菓子の種類が増えるからね」

オーリエがチョコレートを作りたいと言うのならいずれエルスタイン領都でもお店を出して商品化しても良いかもしれません。

とりあえず次は“柔らかクリーム”の材料にチョコレートを混ぜ、チョコ味を作ってみます。
“シャルルの渦”があるので混ぜるのも簡単です。

「これが“ちょこ味の柔からクリーム”ですか…」

あっ、キルシッカが自分の肌色に似た食べ物に反応しています。

「キ…キルシッカ、チョコが混ざると綺麗な色でしょ? まるでキルシッカの肌みたいだよ…」

そう言いながら一掬いした“柔らかクリーム”を食べて見せます。

「う~ん、美味しい~!」

「シャ…、シャルル様~。なんだか嬉しいです。私の肌も舐めて下さい…」

「ハハ…、また今度ね…」

冗談と思えない事を言いながらキルシッカも美味しそうに食べていました。
なんだかチェスカとセックスをした時から更に積極的になったような気がします。

皆が一通り食べ終わると最後は型抜きのチョコレートです。
一口サイズにして多めに作ったのでここにいない皆にも食べてもらえそうです。

「シャルル、それは…不思議な形ですね」
「うん、チョコは固めるとそのまま食べられるから他の皆の分にね…」
「この形は“ハート”と言って、心臓や真心のシンボル…、好きとか愛おしいと思う気持ちを想像して形にしたモノかな…」

「愛おしいと思う気持ちですか!?」

「例えば…」
「はい、ユナ…。いつもありがとう。大好きだよ…」

僕は一つチョコを手に取り、そう言いながらユナに手渡します。

「シャ…ルル…、そんな…、嬉しい…」

ユナは受け取った手をプルプルと震わせています。

『なっ…』
「えっ…!?(×全員)」

「「シャルル、わ…私も…欲しい…」」
『私もです!』
「「「「「シャルル様、もちろん私も…」」」」」
「カ…カリーナまで…、私もお願いします!」

「皆…、こ…これは本来女性が男性に愛おしいと思う気持ちを伝える時にするんだよ」
皆に詰め寄られ、嫌な予感がしたのでつい前世の慣習を伝えてしまいました。

「じゃあシャルル、私の想いを…」

「あ…ありがとう、エリシア。でもこれは皆に食べてもらう為に作ったから…。それに全員から貰っても食べきれないよ…」

「うぅ~、ユナさんだけずるいです…」

思った以上に皆が残念そうにするので結局その場にいる皆にはユナと同じように一言添えながらあげることになるのでした。



XX XY



初回に収穫したカカオの実で作ったチョコレートがなくなるまでの数日間は色々なお菓子を作りチョコレート漬けでした。
僕はフラン達に教える時にも食べ、完成品も皆と一緒に食べていたのでしばらくはもう食べたくありません。

調子に乗ってチョコレートパフェを教えてしまったのがまずかったです。
これは皆にも食べ過ぎないように言っておかないと…。
でもそのおかげでフルーツパフェも作ってみることが出来たので良かったです。
今度はパフェのお店を出してみても良いかもしれません。



屋敷にいたこの数日の間にメルモア、エリシア、オーリエ、エリオンとセックスをしてあげました。
順番があるわけじゃないけれど一巡したと思います。

皆の成長ぶりは目を見張るものがありましたが、ほぼ毎日誰かとセックスをしているので残念ながら振り返ってはいられません。

特にと言えばとうとうメルモアが受精を果しました。いえ、受精させました。

ルーシャ達も以前から言っているように身体は本当に立派で、グラマーで見た目以上に柔らかい身体は触れているとプニポヨっとしてとても気持ちが良く、性格的にもまさに男好きする女性なのですが、ちょっと精神が年齢に比べて幼く、同期のシエラやメンテールが先に受精して自分だけが遅れてしまっている事に耐えられなかったようなので望みを叶えてあげたのです。

まぁ、年齢的にも早く受精させてあげた方が良かったと思います。
この世界では20代後半の女性がパートナーを見つけ、“誕生の儀”をするのは奇跡的なことらしいのですから…。

昨晩のエリオンは“またかぁ~”という表情で悔しがっていましたが、それを知ったキルシッカがホッとしたような顔をしていたのは黙っておきましょう。
エリシアとオーリエも受精は望んでいますが、慌てなくても機会が合えば受精すると分かっているので今はセックスを楽しんでいるようです。

オーリエはカカオの実の発見のご褒美に次回はセックスをしたい時にしてあげるということになりました。
そういえばキルシッカもそう言っていましたのでやはり女性にもしたい時はあるのでしょう。

アデルも頑張ってクーシアを手伝ってくれているので二人でお風呂に入って丁寧に身体を洗ってあげました。
以前に比べると身体もかなり敏感になってきているようです。

アデルといえばエンターシャやヨルン、マリンとはシャルル島へ泳ぎに行って以来会っていませんのでそろそろ慰安旅行の相談を兼ねて行ってみようかな。
もう少し頻繁に会ってあげないとヨルンが寂しがるかもしれません。
次にチョコレートが出来たらお土産に持って行ってあげないとね!
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