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第318話 マイヤの休暇1
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あれから僕達はシェリー様の王城で2泊、再びサマンサ様のお屋敷で1泊してからようやくエルスタイン領都の屋敷に帰ってきました。
王城ではシェリー様とユナ、それぞれの部屋で一緒にお風呂に入り、サマンサ様のお屋敷ではオーリエが僕の部屋で一緒にお風呂に入っています。
エリシアが拗ねているので今日は屋敷で一緒にお風呂に入ることになっています。
「ではシャルル様、また年始に…」
グレイス様もそう言って、ルチアお姉さんとスージーお姉さんを引き連れて王都に帰られました。
今回、グレイス様に予想よりも早くサマンサ様とシェリー様を紹介出来ましたので、お二人にも年が明けてからエルスタイン領都に来ていただくことになったようです。
『サマンサ様のお屋敷のシャルルの部屋は大きかったわね~』
グレイス様もご覧になられて、早くシャルルの部屋を改装した方が良いとおっしゃっていました。
「ルーシャ様、部屋の大きさよりも浴槽のある浴場にするのと、ベッドを大きくすることが先決かもしれませんね」
お風呂に入った後一緒に寝ることが出来ないとあそこを舐めてもらえませんから…。
『そうねぇ、シエラの言うとおりかもしれませんね…』
でもシャルルは今のままで良いって言っているようだし…、シャルルが“男”になるまではもう少しこのままでしょうね…。
XX XY
「エバーミット様、迎えに来てくださってありがとうございます」
いよいよ今日、シャルル様の住んでおられるエルスタイン領都に行くことが出来ます。
お菓子が美味しいとかシャルル様の考えられたお風呂が凄いだとかロクサーヌから土産話を聞いていて羨ましかったのです。
それがようやく…。
「こんなに荷物があるのですか?」
「えっ!? “シャルルの風”とシャルル様にお渡しする発明料ですよ」
「私の荷物はこれ一つです」
「……」
「一年分の発明料になりますから…」
「“シャルルの風”については何回かに分けた方が良いかもしれませんね」
「そ、そのようですね」
これから益々生産量が増えるのですから来年には発明料だけで魔動力車の荷台がいっぱいになってしまいそうです。
「さぁマイヤさん、荷物を積み込んだらエルスタイン領都へ向けて出発しましょう」
「は、はい! トイカ、後はよろしくね」
「分かりました。ゆっくりしてきてください」
XX XY
コンコン、コン。
『はい…』
ガチャ…。
「ルーシャ様、エバーミット様がお越しになられたようです」
「応接室にお通ししています」
『えっ!? エバーミット様が…?』
「はい、マイヤさんが“シャルルの風”の発明料を持ってこられているそうで、エバーミット様が送って下さったそうなのです」
『なるほど、さすがエバーミット様ね…』
『では、シャルルにも伝えて応接室へ来てもらってください』
それにしてもまさかマイヤさんがこちらに来るとはね…。
「かしこまりました」
コンコン、コン。
ガチャ…。
『エバーミット様、お待たせして申し訳ありません』
「こちらこそ急に訪問してしまって…」
『とんでもない…。発明料を運ぶのに気を使ってくださったのですね』
『マイヤさんもお久しぶりです。ロクサーヌさんを通じて随時報告を伺っていますが、頑張って下さっているそうですね』
「そんな…ルーシャ様…、シャルル様の為に出来ることをやっているだけです」
『シャルルもマイヤさんには会いたがっていましたから来てくださってちょうど良かったですよ』
「シャルル様が私に…?」
コンコン、コン。
ガチャ…。
「ルーシャ様、シャルル様をお連れしました」
「エバーミット様、マイヤお姉さんこんにちは~」
「こんにちは、シャルル君」
「シャルル様、お久しぶりです」
あぁ、ようやくお会いできました。
この一年の間に更に大きくて、格好良くて、たくましい男性になられています。
『シャルル、マイヤさんが“シャルルの風”の発明料を持ってきてくださったのよ』
「そうなんだ、わざわざありがとう」
「とんでもないです。“シャルルの風”の生産を私達に任せていただいて感謝しています」
「シャルル君、マイヤさんの魔道具製作所は既にケープノット領都で有数の魔道具製作所になっているのよ」
「まだまだ大きくなると思いますよ」
「すごいね。マイヤお姉さんなら安心して任せられるよ」
「それにちょうどマイヤお姉さんに相談したいことがあったから来てくれて良かったよ」
「しばらくこちらにいてもらえると嬉しいのだけど…」
「はいっ、喜んで! 実は休暇を兼ねていますので…」
「それは良かった。歓迎するよ!」
『良かったわね、シャルル』
『ところでその発明料はどちらに…』
「あっ、ルーシャ様、これが明細です」
「お金は玄関でメイドの方達に受け取ってもらっています」
『なんですって! こ、こんなに…』
「ルーシャ様、一年分で持ち歩けない金額なのですよ…。来年にはこの金額の数倍以上となるでしょう」
『……』
商人が模倣品を作ろうとするのが分かりますね。
これでバルトリア王国で“シャルルの風”が発売されたらもうお金を数えられなくなりそうですよ。
「色々と揃える物があるから良かったよ」と、シャルルはのんきに言っていますけれど…。
『じゃあシエラ、誰かに言ってマイヤさんを迎賓館に案内してもらえるかしら』
「かしこまりました」
「ル…ルーシャ様、せっかく伺わせていただいたので岩風呂に入らせてもらってから帰っても良いでしょうか?」
『……、良いですよ』
『この時間にお風呂に入る者もそういませんからそちらのお供の方もご一緒にどうぞ』
「えっ!?」
「良かったわね、ロイス…」
「それから、お風呂上りに“シャルル巻き”をいただけると嬉しいのですが…」
『この間作り方を差し上げたじゃないですか』
「でもやっぱりこのお屋敷の“シャルル巻き”の方が美味しかったので…」
『ご用意しておきますが、あまり食べ過ぎますといずれ取り返しの付かないほど丸くなってしまわれますよ』
ギクッ…。
「そ、そうですわね、気を付けます…」
XX XY
「ルーシャ様、シャルル様、こちらのリビングに呼んでいただいてありがとうございます」
『部屋は迎賓館の方になりますが、こちらに滞在中は自由にいらしてください』
「食事も僕達と一緒でかまわないからね」
「あ、ありがとうございます」
「シャルル、こちらの方は…?」
「皆にも紹介しておくよ、このマイヤお姉さんがケープノット領都で“シャルルの風”を作ってくれているんだよ」
「「「えぇ~っ!」」」
「初めまして、マイヤと申します」
「マイヤお姉さん、こちらの左からエリシア、オーリエ、ユナって言うんだ」
僕が紹介していくとそれに合わせてエリシア達も会釈をしています。
「えっ!? エリシアさんて…もしかして…」
「そう、この国の王女様だよ」
「ひぃ~~~っ! お、王女様~!?」
なぜ、王女様がここに…。
それにシャルル様は王女様を呼び捨てにされています。
『マイヤさんが驚かれるのも無理はありませんが、この三人はシャルルのパートナー候補なのです』
「シャ、シャルル様のパートナー候補…」
シャルル様ほどの素敵な男性はいませんから、パートナー候補が何人いようと不思議ではありません。
それがたとえ王女様でも…、確かに驚きはしましたが納得はできます。
しかし、それを知った後のこの胸の奥の残念な気持ちは一体何なのでしょう。
自分でもなぜだか分かりませんが気持ちが沈んでいきます。
「大丈夫? マイヤお姉さん…」
「ええ…、は…い…」
『マイヤさん、さらに驚かせるのは気が引けるけれど、オーリエさんとユナさんもバルトリア王国の領主様のお嬢様と王女様なのよ』
「なっ……」
「お母さん、マイヤお姉さんが固まっちゃったよ」
『少し衝撃が強かったかしら…』
ハァ、ハァ、フゥ~。
「あっ…、復活した…」
「バ、バルトリア王国の王女様ですって…?」
ユナさんという方でしたか…、王女様だと言われて改めて見るとそうとしか思えないぐらい気品があってお綺麗な方です。
「実はね、“シャルルの風”をバルトリア王国でも販売することになったんだよ。それでマイヤお姉さんには向こうでの魔道具製作所の設立について相談したかったんだ」
「そんなことが…」
「どうかな…、せっかくの休暇に申し訳ないけれど手伝ってくれるかな?」
「はい…、私に出来る事なら…」
そう答えてしまいましたが、なんだかまだ頭の中が整理できていません。
胸の奥も更にモヤモヤした感じになりました。
シャルル様に頼られるなんて嬉しいことなのに…。
王城ではシェリー様とユナ、それぞれの部屋で一緒にお風呂に入り、サマンサ様のお屋敷ではオーリエが僕の部屋で一緒にお風呂に入っています。
エリシアが拗ねているので今日は屋敷で一緒にお風呂に入ることになっています。
「ではシャルル様、また年始に…」
グレイス様もそう言って、ルチアお姉さんとスージーお姉さんを引き連れて王都に帰られました。
今回、グレイス様に予想よりも早くサマンサ様とシェリー様を紹介出来ましたので、お二人にも年が明けてからエルスタイン領都に来ていただくことになったようです。
『サマンサ様のお屋敷のシャルルの部屋は大きかったわね~』
グレイス様もご覧になられて、早くシャルルの部屋を改装した方が良いとおっしゃっていました。
「ルーシャ様、部屋の大きさよりも浴槽のある浴場にするのと、ベッドを大きくすることが先決かもしれませんね」
お風呂に入った後一緒に寝ることが出来ないとあそこを舐めてもらえませんから…。
『そうねぇ、シエラの言うとおりかもしれませんね…』
でもシャルルは今のままで良いって言っているようだし…、シャルルが“男”になるまではもう少しこのままでしょうね…。
XX XY
「エバーミット様、迎えに来てくださってありがとうございます」
いよいよ今日、シャルル様の住んでおられるエルスタイン領都に行くことが出来ます。
お菓子が美味しいとかシャルル様の考えられたお風呂が凄いだとかロクサーヌから土産話を聞いていて羨ましかったのです。
それがようやく…。
「こんなに荷物があるのですか?」
「えっ!? “シャルルの風”とシャルル様にお渡しする発明料ですよ」
「私の荷物はこれ一つです」
「……」
「一年分の発明料になりますから…」
「“シャルルの風”については何回かに分けた方が良いかもしれませんね」
「そ、そのようですね」
これから益々生産量が増えるのですから来年には発明料だけで魔動力車の荷台がいっぱいになってしまいそうです。
「さぁマイヤさん、荷物を積み込んだらエルスタイン領都へ向けて出発しましょう」
「は、はい! トイカ、後はよろしくね」
「分かりました。ゆっくりしてきてください」
XX XY
コンコン、コン。
『はい…』
ガチャ…。
「ルーシャ様、エバーミット様がお越しになられたようです」
「応接室にお通ししています」
『えっ!? エバーミット様が…?』
「はい、マイヤさんが“シャルルの風”の発明料を持ってこられているそうで、エバーミット様が送って下さったそうなのです」
『なるほど、さすがエバーミット様ね…』
『では、シャルルにも伝えて応接室へ来てもらってください』
それにしてもまさかマイヤさんがこちらに来るとはね…。
「かしこまりました」
コンコン、コン。
ガチャ…。
『エバーミット様、お待たせして申し訳ありません』
「こちらこそ急に訪問してしまって…」
『とんでもない…。発明料を運ぶのに気を使ってくださったのですね』
『マイヤさんもお久しぶりです。ロクサーヌさんを通じて随時報告を伺っていますが、頑張って下さっているそうですね』
「そんな…ルーシャ様…、シャルル様の為に出来ることをやっているだけです」
『シャルルもマイヤさんには会いたがっていましたから来てくださってちょうど良かったですよ』
「シャルル様が私に…?」
コンコン、コン。
ガチャ…。
「ルーシャ様、シャルル様をお連れしました」
「エバーミット様、マイヤお姉さんこんにちは~」
「こんにちは、シャルル君」
「シャルル様、お久しぶりです」
あぁ、ようやくお会いできました。
この一年の間に更に大きくて、格好良くて、たくましい男性になられています。
『シャルル、マイヤさんが“シャルルの風”の発明料を持ってきてくださったのよ』
「そうなんだ、わざわざありがとう」
「とんでもないです。“シャルルの風”の生産を私達に任せていただいて感謝しています」
「シャルル君、マイヤさんの魔道具製作所は既にケープノット領都で有数の魔道具製作所になっているのよ」
「まだまだ大きくなると思いますよ」
「すごいね。マイヤお姉さんなら安心して任せられるよ」
「それにちょうどマイヤお姉さんに相談したいことがあったから来てくれて良かったよ」
「しばらくこちらにいてもらえると嬉しいのだけど…」
「はいっ、喜んで! 実は休暇を兼ねていますので…」
「それは良かった。歓迎するよ!」
『良かったわね、シャルル』
『ところでその発明料はどちらに…』
「あっ、ルーシャ様、これが明細です」
「お金は玄関でメイドの方達に受け取ってもらっています」
『なんですって! こ、こんなに…』
「ルーシャ様、一年分で持ち歩けない金額なのですよ…。来年にはこの金額の数倍以上となるでしょう」
『……』
商人が模倣品を作ろうとするのが分かりますね。
これでバルトリア王国で“シャルルの風”が発売されたらもうお金を数えられなくなりそうですよ。
「色々と揃える物があるから良かったよ」と、シャルルはのんきに言っていますけれど…。
『じゃあシエラ、誰かに言ってマイヤさんを迎賓館に案内してもらえるかしら』
「かしこまりました」
「ル…ルーシャ様、せっかく伺わせていただいたので岩風呂に入らせてもらってから帰っても良いでしょうか?」
『……、良いですよ』
『この時間にお風呂に入る者もそういませんからそちらのお供の方もご一緒にどうぞ』
「えっ!?」
「良かったわね、ロイス…」
「それから、お風呂上りに“シャルル巻き”をいただけると嬉しいのですが…」
『この間作り方を差し上げたじゃないですか』
「でもやっぱりこのお屋敷の“シャルル巻き”の方が美味しかったので…」
『ご用意しておきますが、あまり食べ過ぎますといずれ取り返しの付かないほど丸くなってしまわれますよ』
ギクッ…。
「そ、そうですわね、気を付けます…」
XX XY
「ルーシャ様、シャルル様、こちらのリビングに呼んでいただいてありがとうございます」
『部屋は迎賓館の方になりますが、こちらに滞在中は自由にいらしてください』
「食事も僕達と一緒でかまわないからね」
「あ、ありがとうございます」
「シャルル、こちらの方は…?」
「皆にも紹介しておくよ、このマイヤお姉さんがケープノット領都で“シャルルの風”を作ってくれているんだよ」
「「「えぇ~っ!」」」
「初めまして、マイヤと申します」
「マイヤお姉さん、こちらの左からエリシア、オーリエ、ユナって言うんだ」
僕が紹介していくとそれに合わせてエリシア達も会釈をしています。
「えっ!? エリシアさんて…もしかして…」
「そう、この国の王女様だよ」
「ひぃ~~~っ! お、王女様~!?」
なぜ、王女様がここに…。
それにシャルル様は王女様を呼び捨てにされています。
『マイヤさんが驚かれるのも無理はありませんが、この三人はシャルルのパートナー候補なのです』
「シャ、シャルル様のパートナー候補…」
シャルル様ほどの素敵な男性はいませんから、パートナー候補が何人いようと不思議ではありません。
それがたとえ王女様でも…、確かに驚きはしましたが納得はできます。
しかし、それを知った後のこの胸の奥の残念な気持ちは一体何なのでしょう。
自分でもなぜだか分かりませんが気持ちが沈んでいきます。
「大丈夫? マイヤお姉さん…」
「ええ…、は…い…」
『マイヤさん、さらに驚かせるのは気が引けるけれど、オーリエさんとユナさんもバルトリア王国の領主様のお嬢様と王女様なのよ』
「なっ……」
「お母さん、マイヤお姉さんが固まっちゃったよ」
『少し衝撃が強かったかしら…』
ハァ、ハァ、フゥ~。
「あっ…、復活した…」
「バ、バルトリア王国の王女様ですって…?」
ユナさんという方でしたか…、王女様だと言われて改めて見るとそうとしか思えないぐらい気品があってお綺麗な方です。
「実はね、“シャルルの風”をバルトリア王国でも販売することになったんだよ。それでマイヤお姉さんには向こうでの魔道具製作所の設立について相談したかったんだ」
「そんなことが…」
「どうかな…、せっかくの休暇に申し訳ないけれど手伝ってくれるかな?」
「はい…、私に出来る事なら…」
そう答えてしまいましたが、なんだかまだ頭の中が整理できていません。
胸の奥も更にモヤモヤした感じになりました。
シャルル様に頼られるなんて嬉しいことなのに…。
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