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第303話 【閑話】お湯に流そう
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「ま、まさかあなた達がシャルル様に直接雇われるだなんて…」
かつて私達を襲ってきた盗賊の首領達なのですよ…。
その時に負傷したシエラはもう過去の事だと言っていましたが…。
「アシュリです」
「フラネルです」
「「その節は大変申し訳ありませんでした!」」
この方は確か私が攻撃を指示した時にシャルル様の前に飛び出してこようとされた方ですよね?
ルーシャ様とシエラさんもそうでしたがこんなに若い方でしたでしょうか…。
髪は艶々としていて肌もとても瑞々しいです。
あの時は私達の攻撃をシャルル様が素手で振り払われましたが、この方まで傷つけてしまっていたらまだ収監されていたことでしょう。
「……、メンテールです」
「ルーシャ様の指示でこれからあなた達にメイドの基本を教えていきます」
「あなた達の所作のせいでシャルル様に恥をかかせるわけにはいきませんので基本を徹底的に身体で覚えていただきます」
「分かりましたね!」
「「はいっ!」」
「……」
あの盗賊たちが見た目だけでもこんなに女性らしく変わっているだなんて…。
「部屋はこれから案内する一般メイド用の二人部屋を使ってください」
「仕事内容は毎日違いますが、当分は私が付き添って指導していくことになりますので…」
「それから、メイド服が出来るまでは動きやすい格好でお願いします」
「無ければ昔のメイド服をお貸しします」
「指導は明日からですが、部屋に荷物を置いたらこれから屋敷内を案内します」
「「はい…」」
XX XY
「アシュリ、大きな屋敷だったわね~」
もうすぐこのお屋敷で領主会議があるとの事で、迎賓館には女王様のお供の方が滞在されているとの事でした。
女王様ってどんな方なんでしょう。
「そうね。それでもルーシャ様やシャルル様達の私室がある棟にはまだ入っていないのよ」
あちらはメイドになってすぐの者などは入れないようです。
シャルル様のお部屋ってどんな風なのでしょうか…。
「シャルル様の直接のメイドとなる以上メンテールさんの言うように基本は大切だけど、私達はシャルル様の手足となって外で動き回っている方が性に合っていそうね」
「フラネルの言いたいことも分かるけれど、まずは皆さんにメイドとして認めてもらえるようにならないと…」
コンコン、コン。
「はい…」
ガチャ…。
「アシュリさん、フラネルさん…」
「あっ、確かクリスさんでしたね…」
「どうかされましたか?」
「私の部屋もすぐ近くにあるのです」
「シャルル様からアシュリさん達もシャルル様に直接雇われることになったと伺いましたので…」
「いずれ運送チームになるそうですからよろしくお願いしますね」
実はちょっと嬉しいのです。
今まで護衛の仕事も一人きりだった私にも仲間が出来るのです。
同い年らしいので私達もネンネさん達のようになれると良いのですが…。
「「こ、こちらこそ…」」
「では、親睦を深める為に一緒にお風呂に行きましょうか?」
今までのように無口ではいけません。
ネンネさん達には良く思われませんでしたが積極的に話していかないと…。
「お風呂…ですか?」
「このお屋敷にはシャルル様の考えられたお風呂があって、メイドでも自由に利用できるようになっているんですよ」
「そんなお風呂があるのですか! それは入りに行かないと…」
「行くわよ、フラネル」
「そうね、アシュリ!」
XX XY
「キルシッカ~」
「どうしたのエリオン?」
「聞いたぁ? シャルル様がまたメイドを雇われたそうよ」
「えっ!? クリスさんの事ではなく?」
「そうみたい…、それも二人もよ」
「どんな方達なんでしょうね…」
クリスさんについても驚きましたが、それについてはシャルル様が考えておられる運送を任せられる為だと聞いています。
エマさん達もシャルル様が直接雇われている形ですから…ね。
シャルル様も目的がないのに雇われることはないでしょうから、おそらくクリスさんと同じ目的でしょう。
先日ルージュ領都へ行った時にクリスさんとは顔は合わせていますが、まだお話していませんね。
「そうそうエリオン、個室になってみてどう?」
「うん、やっぱり自分だけの部屋があるって良いよね。しばらくはメイド用の二人部屋に一人だったけれど、女性器の観察も多少声が出ても気にならないし…」
「ついつい観察し過ぎて知らないうちに下半身丸出しで寝ちゃっているけどね」
「うんうん、分かるわ~」
シャルル様に女性器のプックリした豆を触っていただくようになってから、さらに身体が敏感になったと思います。
気持ち良すぎて私もたまにそのまま寝てしまっています。
あ~、また一緒にお風呂に入っていただきたいです…。
「私はオーリエさんのお世話をするようになったからよく話をするのだけれど、どうやったら胸が大きくなるかばかり聞かれるのよ」
「エリオンは胸が大きいからね~」
「私としてはユナさんぐらいの体型が理想的で羨ましいわ。せめてもう少し身長が欲しいよ…」
「……エリオン、仕事が終わったならお風呂にでも行きましょうか?」
「そうだね、今なら空いているかも…。混む時間帯はだいたい分かるけれど人も増えたからねぇ」
「そうね。皆がお風呂を使うようになったものね」
XX XY
「これがシャルル様の考えられたお風呂ですか…」
「なんて素敵なの~」
バルコニーから橋を渡りシャルル様の岩風呂と描かれた所に入ると、ゆっくり驚く間もなくクリスさんに急かされ服を脱いで浴場内に入りました。
クリスさんによると8人が入れるようになっているとのことですが、湯船は大きく外にまで続いています。
「私も先日初めて入った時は驚きましたよ」
「お二人はお会いしたかどうか知りませんが、シャルル様が考えられたのをメンテールさんとヌエットさん、それにキルシッカさんという方で造られたそうですよ」
トリスさんも手伝ったと聞きますが…、まぁ言わなくていいでしょう。
「メ、メンテールさんですか…、会いましたよ。明日から私達の指導をしてくださるそうです」
さすが土属性のカラードの方ですね…。
私達はかかり湯をしてから湯船に浸かります。
「あ、浅いのですね…」
「本当ですねぇ~」
普通に腰を下すと、胸が半分浸かるほどの深さしかありません。
「アシュリさんもフラネルさんもこちらへ」
「このお湯が出ているところにもたれてみてください」
「あぁ~、気持ち良い…」
「お湯が…、流れて…」
クリスさんの言うようにお湯が出ているところの縁にもたれてみると、肩口から胸を撫でるようにお湯が流れ入ってくるのです。
胸の谷間を流れたり、胸の突起部分に当たったお湯が二つに割れて流れていきます。
「こんな気持ち良いお風呂は初めてです…」
「いつまででも入っていられそうですね」
「本当ですよね。私もシャルル様にお仕え出来るようになって幸せです~。アシュリさん達はシャルル様とは2年前からのお知り合いだそうですね?」
「クリスさん、私の事はアシュリで良いわよ。私達はシャルル様に雇われているのだから…」
「そうそう、私の事もフラネルでいいわよ」
「ありがとうございます。では私のこともクリスでお願いします」
「それで…?」
「お知り合いというか、2年前に盗賊としてルーシャ様達を襲ったのよ」
「はい…?」
「だから…私達は元盗賊なのよ」
「アシュリ…とフラネルがですか?」
「とても盗賊のようには見えませんでしたよ」
「ありがとう。女性らしくならないと会わないってシャルル様に言われていたのよ」
「そうだったのですか…」
「アシュリが首領で私が副首領だったのよ」
「ひぇ~っ!」
「別に怖がらせるつもりはないわよ。それでク…クリスはどうやってシャルル様に雇っていただいたの?」
「そ、それは…」
ガラッ…。
「誰が入っているのかなぁ~」
3人分の服が脱衣場にあったよね。
「あ…、エリオンさん…、それにキルシッカさん…」
「「ク…クリスさんですか…」」
「あ、あなたはまさか…」
クリスにキルシッカさんと呼ばれた女性は私と同じ薄褐色の肌の女性でした。
「あなた達は…、あの時の…」
忘れもしません。
湯船の中にはシエラ先輩を傷つけ、シャルル様に攻撃を仕向けた盗賊がいたのです。
自然と身体に力が入りプルプルと震えてきます。
「キ、キルシッカさん、落ち着いてください。このお二人もシャルル様に直接雇われた仲間なのです」
「クリス…さん…」
「この二人が…どうしたのキルシッカ?」
「キルシッカさん、あなたが怒られるのももっともです。私達はあなた達を襲ったのですから…」
「えっ…、なに? なんですって…」
「エリオン、前にバルゼ領都の領主会議に向かった時に私達を襲ったのが彼女達なのよ」
「キルシッカさん、私達はすでにルーシャ様、シエラさん、メンテールさん、トリスさんに謝罪を済ませ理解していただいています」
「もちろんシャルル様にも…」
「キルシッカ、まずはかかり湯をして湯船に浸かりましょう」
「……」
エリオンの言葉に渋々かかり湯をしてからお湯に浸かります。
まさかシャルル様がこの二人を雇われているだなんて…。
「……」
やはりクーシアさんのお店の薄褐色の肌のお客さんと言うのはキルシッカさんのことでしたか…。
「私はアシュリといいます」
「私はフ…フラネルです」
「「あの時は本当に申し訳ありませんでした」」
キルシッカさんは私に対して厳しい表情をされています。
どうやらキルシッカさんはシャルル様へ攻撃を仕向けた私に対して特に怒っておられるようです。
あの時アシュリはすでにシャルル様に吹き飛ばされていましたものね。
「分かっています。シャルル様がお認めなら私に何も言うことはありません」
「しかし、今後シャルル様に迷惑を掛けるようなことがあれば私は許しませんからね」
「大丈夫です。そんなことはありませんから…」
「私もです」
本当にこの屋敷の方のシャルル様への信頼と想いはすごいものがあります。
アシュリと違って、初めは私と同じ薄褐色の肌の女性があんなに信頼している男性に興味があるだけでしたが、私ももっとシャルル様のことを知りたくなってきました。
「まぁまぁ、これでキルシッカも昔のことは水に流して…、いやお湯に流して…かな」
「せっかく“シャルル様の岩風呂”に入っているんだから…」
「そ、そうね。エリオン…」
「……」
ふぅ~、エリオンさんが言葉を挟んでくれて少し場が落ち着きました。
キルシッカさんもシャルル様のことになると、ムーランさんのように雰囲気が変わりますね。
今の内になんとか話題を変えておかないと…。
「フラネルもキルシッカさんも胸の突起部分の周りの色が変わっているところはプックリしているのね~」
「仲間ですよっ!」
「「「「……」」」」
シィーーーン。
「クリス…、あなたもしかして空気が読めないんじゃ…」
「友達がいなかったんじゃない…」
「アシュリ、フラネル、ひどいですよ~」
かつて私達を襲ってきた盗賊の首領達なのですよ…。
その時に負傷したシエラはもう過去の事だと言っていましたが…。
「アシュリです」
「フラネルです」
「「その節は大変申し訳ありませんでした!」」
この方は確か私が攻撃を指示した時にシャルル様の前に飛び出してこようとされた方ですよね?
ルーシャ様とシエラさんもそうでしたがこんなに若い方でしたでしょうか…。
髪は艶々としていて肌もとても瑞々しいです。
あの時は私達の攻撃をシャルル様が素手で振り払われましたが、この方まで傷つけてしまっていたらまだ収監されていたことでしょう。
「……、メンテールです」
「ルーシャ様の指示でこれからあなた達にメイドの基本を教えていきます」
「あなた達の所作のせいでシャルル様に恥をかかせるわけにはいきませんので基本を徹底的に身体で覚えていただきます」
「分かりましたね!」
「「はいっ!」」
「……」
あの盗賊たちが見た目だけでもこんなに女性らしく変わっているだなんて…。
「部屋はこれから案内する一般メイド用の二人部屋を使ってください」
「仕事内容は毎日違いますが、当分は私が付き添って指導していくことになりますので…」
「それから、メイド服が出来るまでは動きやすい格好でお願いします」
「無ければ昔のメイド服をお貸しします」
「指導は明日からですが、部屋に荷物を置いたらこれから屋敷内を案内します」
「「はい…」」
XX XY
「アシュリ、大きな屋敷だったわね~」
もうすぐこのお屋敷で領主会議があるとの事で、迎賓館には女王様のお供の方が滞在されているとの事でした。
女王様ってどんな方なんでしょう。
「そうね。それでもルーシャ様やシャルル様達の私室がある棟にはまだ入っていないのよ」
あちらはメイドになってすぐの者などは入れないようです。
シャルル様のお部屋ってどんな風なのでしょうか…。
「シャルル様の直接のメイドとなる以上メンテールさんの言うように基本は大切だけど、私達はシャルル様の手足となって外で動き回っている方が性に合っていそうね」
「フラネルの言いたいことも分かるけれど、まずは皆さんにメイドとして認めてもらえるようにならないと…」
コンコン、コン。
「はい…」
ガチャ…。
「アシュリさん、フラネルさん…」
「あっ、確かクリスさんでしたね…」
「どうかされましたか?」
「私の部屋もすぐ近くにあるのです」
「シャルル様からアシュリさん達もシャルル様に直接雇われることになったと伺いましたので…」
「いずれ運送チームになるそうですからよろしくお願いしますね」
実はちょっと嬉しいのです。
今まで護衛の仕事も一人きりだった私にも仲間が出来るのです。
同い年らしいので私達もネンネさん達のようになれると良いのですが…。
「「こ、こちらこそ…」」
「では、親睦を深める為に一緒にお風呂に行きましょうか?」
今までのように無口ではいけません。
ネンネさん達には良く思われませんでしたが積極的に話していかないと…。
「お風呂…ですか?」
「このお屋敷にはシャルル様の考えられたお風呂があって、メイドでも自由に利用できるようになっているんですよ」
「そんなお風呂があるのですか! それは入りに行かないと…」
「行くわよ、フラネル」
「そうね、アシュリ!」
XX XY
「キルシッカ~」
「どうしたのエリオン?」
「聞いたぁ? シャルル様がまたメイドを雇われたそうよ」
「えっ!? クリスさんの事ではなく?」
「そうみたい…、それも二人もよ」
「どんな方達なんでしょうね…」
クリスさんについても驚きましたが、それについてはシャルル様が考えておられる運送を任せられる為だと聞いています。
エマさん達もシャルル様が直接雇われている形ですから…ね。
シャルル様も目的がないのに雇われることはないでしょうから、おそらくクリスさんと同じ目的でしょう。
先日ルージュ領都へ行った時にクリスさんとは顔は合わせていますが、まだお話していませんね。
「そうそうエリオン、個室になってみてどう?」
「うん、やっぱり自分だけの部屋があるって良いよね。しばらくはメイド用の二人部屋に一人だったけれど、女性器の観察も多少声が出ても気にならないし…」
「ついつい観察し過ぎて知らないうちに下半身丸出しで寝ちゃっているけどね」
「うんうん、分かるわ~」
シャルル様に女性器のプックリした豆を触っていただくようになってから、さらに身体が敏感になったと思います。
気持ち良すぎて私もたまにそのまま寝てしまっています。
あ~、また一緒にお風呂に入っていただきたいです…。
「私はオーリエさんのお世話をするようになったからよく話をするのだけれど、どうやったら胸が大きくなるかばかり聞かれるのよ」
「エリオンは胸が大きいからね~」
「私としてはユナさんぐらいの体型が理想的で羨ましいわ。せめてもう少し身長が欲しいよ…」
「……エリオン、仕事が終わったならお風呂にでも行きましょうか?」
「そうだね、今なら空いているかも…。混む時間帯はだいたい分かるけれど人も増えたからねぇ」
「そうね。皆がお風呂を使うようになったものね」
XX XY
「これがシャルル様の考えられたお風呂ですか…」
「なんて素敵なの~」
バルコニーから橋を渡りシャルル様の岩風呂と描かれた所に入ると、ゆっくり驚く間もなくクリスさんに急かされ服を脱いで浴場内に入りました。
クリスさんによると8人が入れるようになっているとのことですが、湯船は大きく外にまで続いています。
「私も先日初めて入った時は驚きましたよ」
「お二人はお会いしたかどうか知りませんが、シャルル様が考えられたのをメンテールさんとヌエットさん、それにキルシッカさんという方で造られたそうですよ」
トリスさんも手伝ったと聞きますが…、まぁ言わなくていいでしょう。
「メ、メンテールさんですか…、会いましたよ。明日から私達の指導をしてくださるそうです」
さすが土属性のカラードの方ですね…。
私達はかかり湯をしてから湯船に浸かります。
「あ、浅いのですね…」
「本当ですねぇ~」
普通に腰を下すと、胸が半分浸かるほどの深さしかありません。
「アシュリさんもフラネルさんもこちらへ」
「このお湯が出ているところにもたれてみてください」
「あぁ~、気持ち良い…」
「お湯が…、流れて…」
クリスさんの言うようにお湯が出ているところの縁にもたれてみると、肩口から胸を撫でるようにお湯が流れ入ってくるのです。
胸の谷間を流れたり、胸の突起部分に当たったお湯が二つに割れて流れていきます。
「こんな気持ち良いお風呂は初めてです…」
「いつまででも入っていられそうですね」
「本当ですよね。私もシャルル様にお仕え出来るようになって幸せです~。アシュリさん達はシャルル様とは2年前からのお知り合いだそうですね?」
「クリスさん、私の事はアシュリで良いわよ。私達はシャルル様に雇われているのだから…」
「そうそう、私の事もフラネルでいいわよ」
「ありがとうございます。では私のこともクリスでお願いします」
「それで…?」
「お知り合いというか、2年前に盗賊としてルーシャ様達を襲ったのよ」
「はい…?」
「だから…私達は元盗賊なのよ」
「アシュリ…とフラネルがですか?」
「とても盗賊のようには見えませんでしたよ」
「ありがとう。女性らしくならないと会わないってシャルル様に言われていたのよ」
「そうだったのですか…」
「アシュリが首領で私が副首領だったのよ」
「ひぇ~っ!」
「別に怖がらせるつもりはないわよ。それでク…クリスはどうやってシャルル様に雇っていただいたの?」
「そ、それは…」
ガラッ…。
「誰が入っているのかなぁ~」
3人分の服が脱衣場にあったよね。
「あ…、エリオンさん…、それにキルシッカさん…」
「「ク…クリスさんですか…」」
「あ、あなたはまさか…」
クリスにキルシッカさんと呼ばれた女性は私と同じ薄褐色の肌の女性でした。
「あなた達は…、あの時の…」
忘れもしません。
湯船の中にはシエラ先輩を傷つけ、シャルル様に攻撃を仕向けた盗賊がいたのです。
自然と身体に力が入りプルプルと震えてきます。
「キ、キルシッカさん、落ち着いてください。このお二人もシャルル様に直接雇われた仲間なのです」
「クリス…さん…」
「この二人が…どうしたのキルシッカ?」
「キルシッカさん、あなたが怒られるのももっともです。私達はあなた達を襲ったのですから…」
「えっ…、なに? なんですって…」
「エリオン、前にバルゼ領都の領主会議に向かった時に私達を襲ったのが彼女達なのよ」
「キルシッカさん、私達はすでにルーシャ様、シエラさん、メンテールさん、トリスさんに謝罪を済ませ理解していただいています」
「もちろんシャルル様にも…」
「キルシッカ、まずはかかり湯をして湯船に浸かりましょう」
「……」
エリオンの言葉に渋々かかり湯をしてからお湯に浸かります。
まさかシャルル様がこの二人を雇われているだなんて…。
「……」
やはりクーシアさんのお店の薄褐色の肌のお客さんと言うのはキルシッカさんのことでしたか…。
「私はアシュリといいます」
「私はフ…フラネルです」
「「あの時は本当に申し訳ありませんでした」」
キルシッカさんは私に対して厳しい表情をされています。
どうやらキルシッカさんはシャルル様へ攻撃を仕向けた私に対して特に怒っておられるようです。
あの時アシュリはすでにシャルル様に吹き飛ばされていましたものね。
「分かっています。シャルル様がお認めなら私に何も言うことはありません」
「しかし、今後シャルル様に迷惑を掛けるようなことがあれば私は許しませんからね」
「大丈夫です。そんなことはありませんから…」
「私もです」
本当にこの屋敷の方のシャルル様への信頼と想いはすごいものがあります。
アシュリと違って、初めは私と同じ薄褐色の肌の女性があんなに信頼している男性に興味があるだけでしたが、私ももっとシャルル様のことを知りたくなってきました。
「まぁまぁ、これでキルシッカも昔のことは水に流して…、いやお湯に流して…かな」
「せっかく“シャルル様の岩風呂”に入っているんだから…」
「そ、そうね。エリオン…」
「……」
ふぅ~、エリオンさんが言葉を挟んでくれて少し場が落ち着きました。
キルシッカさんもシャルル様のことになると、ムーランさんのように雰囲気が変わりますね。
今の内になんとか話題を変えておかないと…。
「フラネルもキルシッカさんも胸の突起部分の周りの色が変わっているところはプックリしているのね~」
「仲間ですよっ!」
「「「「……」」」」
シィーーーン。
「クリス…、あなたもしかして空気が読めないんじゃ…」
「友達がいなかったんじゃない…」
「アシュリ、フラネル、ひどいですよ~」
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