203 / 567
第203話 エリシアとオーリエ
しおりを挟む
コンコン、コン。
「は~い」
ガチャ…。
「はじめましてエリシア様、キルシッカと申します」
「あなたがキルシッカさん? これからよろしくお願いしますね」
「それからトリスさん達と同じように私に様付けは必要ありませんからね…」
それにしてもなんて女性らしくて綺麗な方なんでしょう。
髪は先日食べた“きうーい”のように鮮やかな緑色で艶々しているわ。
肌もなんて瑞々しくて若々しいのかしら…。
確かキルシッカさんも覚醒されているそうでしたね。
それにしても…。
「やはり肌の色が気になられますか?」
「ごめんなさいね。あまりにお綺麗なので驚いていたのです」
「トリスさんから聞いていますが、キルシッカさんも覚醒?されているとか…」
「はい、シャルル様のおかげでこんなにも綺麗になれて自分に自信が持てました」
「キルシッカさんはおいくつなんですか?」
「16歳ですよ」
「じゅーろ…く歳ですか…」
「皆さん、私の年齢を聞くと驚かれますね」
「そ、そうでしょうね…」
身長はシエラさんよりちょっと低いぐらいかな…。
スラリと細身なのに胸もあって羨ましい身体つきです。
何より驚かされるのが、16歳なのにとても妖艶で大人の女性らしいところです。
私の4年後もキルシッカさんのようになっているかしら…。
「キルシッカさんは何属性なのですか?」
「私も風属性ですよ。ご存知だと思っていました。それでトリス先輩から指名されたのかと…」
「そうだったのですか。また色々と教えてくださいね」
トリスさんが気を使ってくださったようですね。
「少しお聞きしたいのですが、キルシッカさんはその…、女性器の観察をされているのですか?」
「はい、もちろん。その為にルーシャ様から個室を与えてもらっています」
「ルーシャ様やシエラさん、トリスさんにも色々と教えてもらいましたが、どれくらいの頻度で観察されているのですか?」
「出来るだけ毎日ですね。私は先輩たちに比べて遅れていますから…」
「出来ない時や時間が無い時は胸だけでもシャルル様に触っていただいているように揉みほぐしてから寝ます」
「そうなのですか…」
キルシッカさんは観察を始めてから胸も大きくなってきたと喜んでおられました。
私もシャルルが揉んでいてくれたようにしないと…。
「それにしてもルーシャ様達が女性器の観察についてエリシアさ…んにお話しされたとは驚きました」
「これまでは屋敷の者でも、シャルル様が特に気をかけておられる者や、シャルル様のことを何よりも大切に想っている者にしかお話しされなかったのですよ…」
「それは私も同じですよ。シャルルの側にいる為なら王領には戻れなくてもかまいません」
「そうですか…。エリシアさんもそんなに…」
「旅の間に何があったか知りませんが本当に良かったですね」
「はい、本当に何もかもが幸運としか言いようがなかったわ…」
「では、何かありましたら私におっしゃって下さい。夕食の時間になりましたらお呼びいたします」
「ありがとう」
XX XY
夕食後、ルーシャ様やシャルルとリビングで寛いでいると見慣れない3人の女性がリビングに入ってきました。
「あっ、オーリエ…」
『オーリエさん、元気にされていますか?』
「はい、ルーシャ様…」
ルーシャ様よね…?
領主会議に出掛けられる時よりも更に若々しく見えます。
「シャルル、こちらの方々が迎賓館の方で滞在されている方達ですか?」
「うん、そうだよ。オーリエにサンディお姉さんとローザお姉さんだよ」
「初めまして、バルトリア王国、ルージュ領主サマンサの娘、オーリエ・ルージュと申します」
「えっ!? 他国の領主のお嬢様ですか…。どうしてエルスタイン領都に…」
そう言いながらルーシャ様やシャルルの方を見ると、ルーシャ様は苦笑いをされていますが、シャルルは「色々あってね…」と、答えてくれました。
「も、申し遅れました。私はローマン帝国女王グレイスの娘、エリシア・ローマンと申します。今日からこのルーシャ様のお屋敷でお世話になります。よろしくお願い致しますね」
そう挨拶すると、当然ながらオーリエさん達も驚いた顔をしています。
ここでは一人の女性ですが、他国の方にしてみれば一応王女ですからね…。
「ど、どうしてここに王女様がいらっしゃるのですか? それにお世話になるって…」
「はい、私にも色々ありまして、シャルルの側にいることを決心しましたの…」
「決心って…、そ、そんなこと…」
「ル、ルーシャ様、王女様はシャルルのパートナー候補になられたのですか?」
『いいえ、エリシアさんはシャルルのパートナー候補でもないし、シャルルもエリシアさんのパートナー候補ではないわよ』
『私はシャルルが“男”になった後に自分で決めると思っていますから…』
「そ、そうでしたか…、安心しました」
『……』
「まぁ、オーリエもサンディお姉さん達も座ったら…」
シャルルの言葉にオーリエさん達も近くに座り、立って挨拶をしていた私もシャルルの横に座り直します。
「エリシア、オーリエのルージュ領とエルスタイン領は大戦以前に友好関係があったんだって。それを知って3人で旅をして来たんだよ。すごいよねぇ」
シャルルが少し尊敬と憧れの目をしてそう言っています。
「シャルルもぜひルージュ領に来てください。歓迎しますよ」
「うん。僕も“男”になったら海を渡って他の大陸にも行ってみたいかな…」
「ルージュ領では“ばななん”という果実が採れるのですが、これもぜったい“シャルル巻き”に合いますよ」
「うわぁ~、それは楽しみだねぇ」
「シャルル、その時は私も付いて行きますからね!」
シャルルはお菓子を考えるぐらいですから食べ物に興味があって、その為にどこにでも行ってしまいそうで心配です。
「え…、う…「王女様が国を出られるのはさすがに危険じゃないでしょうか」…ん」
「大丈夫ですよ。王女なんて身分は別にもう必要ないですから…」
なんだか私が一緒だと迷惑そうですね。
やはりオーリエさんも領間の友好と言うよりシャルルに会いに来たとか…?
「それよりもエルスタイン領との友好が再び計れそうなら、ルージュ領の後継者として早くお戻りになられた方がよろしいのではないでしょうか」
「え~と、サマンサ様がご心配されているのでは?」
「うぐっ…」
た、確かに…。理由が無くなると、いつまでもルーシャ様の屋敷に滞在させていただくことも出来ません。
「だ、大丈夫です。領間はもとより、次期後継者のシャルルと仲を深めておくことも重要なのです…よ」
「そうですか…」
オーリエさんも苦しい言い訳をしますね。
「お母さん、なんだかエリシアとオーリエとの間にすごい緊張感があるね」
『シャルルは本当に罪作りな男の子ですねぇ』
『あなたは将来、女性を幸せにするために頑張らないといけなくなりますよ』
本当に天使であることを願うばかりです…。
『まぁ、エリシアさんもオーリエさんも当分は一緒なのですからシャルルを困らせないように仲良くしてくださいね』
「「はい…」」
XX XY
シャルルが部屋に戻るというので私も一緒に部屋に戻ります。
「あれ、エリシアもこっちの方なの?」
「はい、シャルルの部屋に近いところみたいです」
「少しシャルルの部屋に寄ってもいいですか?」
「うん、でもトリスお姉ちゃんがいなかったらお茶は出せないよ」
「おかまいなく…」
部屋に入れてもらうと、シャルルのいい匂いがいっぱいでクラッときました。
シャルルからいい匂いがするのは知っていたけど、これだけ濃度が濃いと部屋に入っただけで下腹部がドクドクとしてきます。
(すごいわね…)
視界にあるシャルルのベッドに飛び込んで深呼吸がしたくなってくるわ…。
「エリシアどうしたの?」
「い、いえ、なんでもないですよ」
「エリシアの部屋に比べたらとっても小さくて何もないでしょう?」
「でもとっても使い勝手が良さそうですよ」
そう答えながら長椅子に座らせてもらいます。
見える範囲にはベッドとテーブルと椅子が数脚、部屋の隅には画材道具が置いてあるのも見えます。
入ってきた扉の側には透明の丸い石が飾られていました。
出入口とは別の扉も見えますがまだ部屋があるのでしょうか?
そういえば、トリスさんが言うにはシャルルは絵を描くのが天才的に上手とのことでしたね。
「シャルルは絵を描くのが上手なんですってね」
「まだそんなに描いたことはないんだけどね。お姉ちゃん達は上手だと言ってくれるよ」
(あっ、そうだ、ヌエットお姉ちゃんの肖像画を描いてあげる約束だったよ…)
ガチャ…。
出入口とは違う扉が開き、トリスさんが入って来ました。
「あれ、エリシアさん。早速シャルル様の部屋へいらしたんですか?」
「はい、リビングから戻るついでに…」
「トリスさん、今入ってこられた扉は…?」
「あぁ、あれは私の部屋に繋がる扉なんです」
「私はシャルル様の専属ですからね。部屋には出入りが自由なんですよ」
「トリスお姉ちゃん、すごい事を言うね。ノックもしないで勝手に入ってきているだけじゃない…」
「う、羨ましいですね…」
出入り自由って…、トリスさんは本当にシャルルから信頼されているのね。
「エリシア、トリスお姉ちゃんの冗談を信じちゃダメだよ」
「そ、そうだわ。トリスさんの部屋が隣なら、シャルルの描いた絵を見せていただけませんか?」
「私の宝物をですか~」
「……まぁ、エリシアさんにだったら良いでしょう」
トリスさんの許可をもらい、シャルルと一緒に3人でトリスさんの部屋に入ります。
「そういえば、僕もトリスお姉ちゃんの部屋に入ったことがなかったよ…」
「シャルル様ならいつ入ってきていただいてもいいんですよぉ~」
「エリシアさん、こちらです」
そう言われ、シャルルの部屋から入ってきた扉がある壁を振り返ります。
「え…、こ、これがシャルルの描いた絵なの?」
絵と言われなければ額の中にもう一人のトリスさんがいるようです。
女性の裸の肖像画なんて見たことがなくて一瞬驚きましたが、絵を描かれている時のトリスさんの気持ちが伝わってくるようだわ。
「まるで生きているみたい…」
綺麗な腰付き、胸はとても柔らかそうで触れると鼓動が感じられそうです。
「ちょっと良く言い過ぎだよ」
「何を言っているの…。これはもう国宝級の美術品と同じ…、いいえ、ごめんなさい…。これはシャルルとトリスさんの想いが形になった価値と言う下卑た言葉では表せない物ね」
「エリシアさんもこの絵が分かる人で良かったです」
「シャルル、私もいつか描いて欲しいわ」
「いいよ、エリシアが言ってきた時に描いてあげるよ」
「ありがとう…」
シャルルに対する想いは確かだけれど、私にはまだ早いみたいだわ。
いつか自信をもってお願いできるようになりたいわね。
XX XY
「オーリエ様、まさかこの国の王女様がシャルル様の下に来られるなんて…」
「そうね。確かに驚いたけれど、彼女の言う決心は本当みたいよ」
王女様がいう言葉とは思えませんでしたが目は真剣でした。
「とても落ち着いておられますね」
「仕方が無いでしょ。今は意思を示している彼女の方が優位なのですから…」
出来ることなら私も領を離れてでもシャルルの側にいたいわ。
本当にどうしたらいいのかしら…。
ルージュ領に戻れば、いけ好かないパートナー候補ばかりですし…。
男性が希少と言ってもあれはありません。
シャルルに出会ってしまってこれほど心苦しいなんて…。
「オーリエ様、知らない間にシャルル様が王女様と親しくされているからと言って落ち込んでいないでお風呂に行ってさっぱりしましょうよ」
「そうですよオーリエ様、元々他国でパートナーが見つかる可能性はほとんどないのですから…」
「サンディ、ローザ、人事だと思ってひどいことを言うのね…」
「は~い」
ガチャ…。
「はじめましてエリシア様、キルシッカと申します」
「あなたがキルシッカさん? これからよろしくお願いしますね」
「それからトリスさん達と同じように私に様付けは必要ありませんからね…」
それにしてもなんて女性らしくて綺麗な方なんでしょう。
髪は先日食べた“きうーい”のように鮮やかな緑色で艶々しているわ。
肌もなんて瑞々しくて若々しいのかしら…。
確かキルシッカさんも覚醒されているそうでしたね。
それにしても…。
「やはり肌の色が気になられますか?」
「ごめんなさいね。あまりにお綺麗なので驚いていたのです」
「トリスさんから聞いていますが、キルシッカさんも覚醒?されているとか…」
「はい、シャルル様のおかげでこんなにも綺麗になれて自分に自信が持てました」
「キルシッカさんはおいくつなんですか?」
「16歳ですよ」
「じゅーろ…く歳ですか…」
「皆さん、私の年齢を聞くと驚かれますね」
「そ、そうでしょうね…」
身長はシエラさんよりちょっと低いぐらいかな…。
スラリと細身なのに胸もあって羨ましい身体つきです。
何より驚かされるのが、16歳なのにとても妖艶で大人の女性らしいところです。
私の4年後もキルシッカさんのようになっているかしら…。
「キルシッカさんは何属性なのですか?」
「私も風属性ですよ。ご存知だと思っていました。それでトリス先輩から指名されたのかと…」
「そうだったのですか。また色々と教えてくださいね」
トリスさんが気を使ってくださったようですね。
「少しお聞きしたいのですが、キルシッカさんはその…、女性器の観察をされているのですか?」
「はい、もちろん。その為にルーシャ様から個室を与えてもらっています」
「ルーシャ様やシエラさん、トリスさんにも色々と教えてもらいましたが、どれくらいの頻度で観察されているのですか?」
「出来るだけ毎日ですね。私は先輩たちに比べて遅れていますから…」
「出来ない時や時間が無い時は胸だけでもシャルル様に触っていただいているように揉みほぐしてから寝ます」
「そうなのですか…」
キルシッカさんは観察を始めてから胸も大きくなってきたと喜んでおられました。
私もシャルルが揉んでいてくれたようにしないと…。
「それにしてもルーシャ様達が女性器の観察についてエリシアさ…んにお話しされたとは驚きました」
「これまでは屋敷の者でも、シャルル様が特に気をかけておられる者や、シャルル様のことを何よりも大切に想っている者にしかお話しされなかったのですよ…」
「それは私も同じですよ。シャルルの側にいる為なら王領には戻れなくてもかまいません」
「そうですか…。エリシアさんもそんなに…」
「旅の間に何があったか知りませんが本当に良かったですね」
「はい、本当に何もかもが幸運としか言いようがなかったわ…」
「では、何かありましたら私におっしゃって下さい。夕食の時間になりましたらお呼びいたします」
「ありがとう」
XX XY
夕食後、ルーシャ様やシャルルとリビングで寛いでいると見慣れない3人の女性がリビングに入ってきました。
「あっ、オーリエ…」
『オーリエさん、元気にされていますか?』
「はい、ルーシャ様…」
ルーシャ様よね…?
領主会議に出掛けられる時よりも更に若々しく見えます。
「シャルル、こちらの方々が迎賓館の方で滞在されている方達ですか?」
「うん、そうだよ。オーリエにサンディお姉さんとローザお姉さんだよ」
「初めまして、バルトリア王国、ルージュ領主サマンサの娘、オーリエ・ルージュと申します」
「えっ!? 他国の領主のお嬢様ですか…。どうしてエルスタイン領都に…」
そう言いながらルーシャ様やシャルルの方を見ると、ルーシャ様は苦笑いをされていますが、シャルルは「色々あってね…」と、答えてくれました。
「も、申し遅れました。私はローマン帝国女王グレイスの娘、エリシア・ローマンと申します。今日からこのルーシャ様のお屋敷でお世話になります。よろしくお願い致しますね」
そう挨拶すると、当然ながらオーリエさん達も驚いた顔をしています。
ここでは一人の女性ですが、他国の方にしてみれば一応王女ですからね…。
「ど、どうしてここに王女様がいらっしゃるのですか? それにお世話になるって…」
「はい、私にも色々ありまして、シャルルの側にいることを決心しましたの…」
「決心って…、そ、そんなこと…」
「ル、ルーシャ様、王女様はシャルルのパートナー候補になられたのですか?」
『いいえ、エリシアさんはシャルルのパートナー候補でもないし、シャルルもエリシアさんのパートナー候補ではないわよ』
『私はシャルルが“男”になった後に自分で決めると思っていますから…』
「そ、そうでしたか…、安心しました」
『……』
「まぁ、オーリエもサンディお姉さん達も座ったら…」
シャルルの言葉にオーリエさん達も近くに座り、立って挨拶をしていた私もシャルルの横に座り直します。
「エリシア、オーリエのルージュ領とエルスタイン領は大戦以前に友好関係があったんだって。それを知って3人で旅をして来たんだよ。すごいよねぇ」
シャルルが少し尊敬と憧れの目をしてそう言っています。
「シャルルもぜひルージュ領に来てください。歓迎しますよ」
「うん。僕も“男”になったら海を渡って他の大陸にも行ってみたいかな…」
「ルージュ領では“ばななん”という果実が採れるのですが、これもぜったい“シャルル巻き”に合いますよ」
「うわぁ~、それは楽しみだねぇ」
「シャルル、その時は私も付いて行きますからね!」
シャルルはお菓子を考えるぐらいですから食べ物に興味があって、その為にどこにでも行ってしまいそうで心配です。
「え…、う…「王女様が国を出られるのはさすがに危険じゃないでしょうか」…ん」
「大丈夫ですよ。王女なんて身分は別にもう必要ないですから…」
なんだか私が一緒だと迷惑そうですね。
やはりオーリエさんも領間の友好と言うよりシャルルに会いに来たとか…?
「それよりもエルスタイン領との友好が再び計れそうなら、ルージュ領の後継者として早くお戻りになられた方がよろしいのではないでしょうか」
「え~と、サマンサ様がご心配されているのでは?」
「うぐっ…」
た、確かに…。理由が無くなると、いつまでもルーシャ様の屋敷に滞在させていただくことも出来ません。
「だ、大丈夫です。領間はもとより、次期後継者のシャルルと仲を深めておくことも重要なのです…よ」
「そうですか…」
オーリエさんも苦しい言い訳をしますね。
「お母さん、なんだかエリシアとオーリエとの間にすごい緊張感があるね」
『シャルルは本当に罪作りな男の子ですねぇ』
『あなたは将来、女性を幸せにするために頑張らないといけなくなりますよ』
本当に天使であることを願うばかりです…。
『まぁ、エリシアさんもオーリエさんも当分は一緒なのですからシャルルを困らせないように仲良くしてくださいね』
「「はい…」」
XX XY
シャルルが部屋に戻るというので私も一緒に部屋に戻ります。
「あれ、エリシアもこっちの方なの?」
「はい、シャルルの部屋に近いところみたいです」
「少しシャルルの部屋に寄ってもいいですか?」
「うん、でもトリスお姉ちゃんがいなかったらお茶は出せないよ」
「おかまいなく…」
部屋に入れてもらうと、シャルルのいい匂いがいっぱいでクラッときました。
シャルルからいい匂いがするのは知っていたけど、これだけ濃度が濃いと部屋に入っただけで下腹部がドクドクとしてきます。
(すごいわね…)
視界にあるシャルルのベッドに飛び込んで深呼吸がしたくなってくるわ…。
「エリシアどうしたの?」
「い、いえ、なんでもないですよ」
「エリシアの部屋に比べたらとっても小さくて何もないでしょう?」
「でもとっても使い勝手が良さそうですよ」
そう答えながら長椅子に座らせてもらいます。
見える範囲にはベッドとテーブルと椅子が数脚、部屋の隅には画材道具が置いてあるのも見えます。
入ってきた扉の側には透明の丸い石が飾られていました。
出入口とは別の扉も見えますがまだ部屋があるのでしょうか?
そういえば、トリスさんが言うにはシャルルは絵を描くのが天才的に上手とのことでしたね。
「シャルルは絵を描くのが上手なんですってね」
「まだそんなに描いたことはないんだけどね。お姉ちゃん達は上手だと言ってくれるよ」
(あっ、そうだ、ヌエットお姉ちゃんの肖像画を描いてあげる約束だったよ…)
ガチャ…。
出入口とは違う扉が開き、トリスさんが入って来ました。
「あれ、エリシアさん。早速シャルル様の部屋へいらしたんですか?」
「はい、リビングから戻るついでに…」
「トリスさん、今入ってこられた扉は…?」
「あぁ、あれは私の部屋に繋がる扉なんです」
「私はシャルル様の専属ですからね。部屋には出入りが自由なんですよ」
「トリスお姉ちゃん、すごい事を言うね。ノックもしないで勝手に入ってきているだけじゃない…」
「う、羨ましいですね…」
出入り自由って…、トリスさんは本当にシャルルから信頼されているのね。
「エリシア、トリスお姉ちゃんの冗談を信じちゃダメだよ」
「そ、そうだわ。トリスさんの部屋が隣なら、シャルルの描いた絵を見せていただけませんか?」
「私の宝物をですか~」
「……まぁ、エリシアさんにだったら良いでしょう」
トリスさんの許可をもらい、シャルルと一緒に3人でトリスさんの部屋に入ります。
「そういえば、僕もトリスお姉ちゃんの部屋に入ったことがなかったよ…」
「シャルル様ならいつ入ってきていただいてもいいんですよぉ~」
「エリシアさん、こちらです」
そう言われ、シャルルの部屋から入ってきた扉がある壁を振り返ります。
「え…、こ、これがシャルルの描いた絵なの?」
絵と言われなければ額の中にもう一人のトリスさんがいるようです。
女性の裸の肖像画なんて見たことがなくて一瞬驚きましたが、絵を描かれている時のトリスさんの気持ちが伝わってくるようだわ。
「まるで生きているみたい…」
綺麗な腰付き、胸はとても柔らかそうで触れると鼓動が感じられそうです。
「ちょっと良く言い過ぎだよ」
「何を言っているの…。これはもう国宝級の美術品と同じ…、いいえ、ごめんなさい…。これはシャルルとトリスさんの想いが形になった価値と言う下卑た言葉では表せない物ね」
「エリシアさんもこの絵が分かる人で良かったです」
「シャルル、私もいつか描いて欲しいわ」
「いいよ、エリシアが言ってきた時に描いてあげるよ」
「ありがとう…」
シャルルに対する想いは確かだけれど、私にはまだ早いみたいだわ。
いつか自信をもってお願いできるようになりたいわね。
XX XY
「オーリエ様、まさかこの国の王女様がシャルル様の下に来られるなんて…」
「そうね。確かに驚いたけれど、彼女の言う決心は本当みたいよ」
王女様がいう言葉とは思えませんでしたが目は真剣でした。
「とても落ち着いておられますね」
「仕方が無いでしょ。今は意思を示している彼女の方が優位なのですから…」
出来ることなら私も領を離れてでもシャルルの側にいたいわ。
本当にどうしたらいいのかしら…。
ルージュ領に戻れば、いけ好かないパートナー候補ばかりですし…。
男性が希少と言ってもあれはありません。
シャルルに出会ってしまってこれほど心苦しいなんて…。
「オーリエ様、知らない間にシャルル様が王女様と親しくされているからと言って落ち込んでいないでお風呂に行ってさっぱりしましょうよ」
「そうですよオーリエ様、元々他国でパートナーが見つかる可能性はほとんどないのですから…」
「サンディ、ローザ、人事だと思ってひどいことを言うのね…」
0
お気に入りに追加
153
あなたにおすすめの小説
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
異世界から元の世界に派遣された僕は他の勇者たちとは別にのんびり暮らします【DNAの改修者ー外伝】
kujibiki
ファンタジー
異世界で第二の人生の大往生を迎えた僕は再びあの場所へ飛ばされていた。
※これは『DNAの改修者』のアフターストーリーとなります。
『DNAの改修者』を読まなくても大丈夫だとは思いますが、気になる方はご覧ください。
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
伯爵家の次男に転生しましたが、10歳で当主になってしまいました
竹桜
ファンタジー
自動運転の試験車両に轢かれて、死んでしまった主人公は異世界のランガン伯爵家の次男に転生した。
転生後の生活は順調そのものだった。
だが、プライドだけ高い兄が愚かな行為をしてしまった。
その結果、主人公の両親は当主の座を追われ、主人公が10歳で当主になってしまった。
これは10歳で当主になってしまった者の物語だ。
今度生まれ変わることがあれば・・・全て忘れて幸せになりたい。・・・なんて思うか!!
れもんぴーる
ファンタジー
冤罪をかけられ、家族にも婚約者にも裏切られたリュカ。
父に送り込まれた刺客に殺されてしまうが、なんと自分を陥れた兄と裏切った婚約者の一人息子として生まれ変わってしまう。5歳になり、前世の記憶を取り戻し自暴自棄になるノエルだったが、一人一人に復讐していくことを決めた。
メイドしてはまだまだなメイドちゃんがそんな悲しみを背負ったノエルの心を支えてくれます。
復讐物を書きたかったのですが、生ぬるかったかもしれません。色々突っ込みどころはありますが、おおらかな気持ちで読んでくださると嬉しいです(*´▽`*)
*なろうにも投稿しています
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる