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第59話 領主会議ーカプランド領編16
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私達は別室で夕食をいただくことになっています。
リットさんに案内された部屋にはすでに他領メイドの方達が集まっていました。
リットさんはこのままもう一人の方と一緒に私達の給仕をして下さるそうです。
私の年齢を聞いてから何度もジロジロ見られるのが気になるところです。
「お久しぶりですねシエラさん」
「こんにちは、ネルさん」
「……」
私達の向かいに座っていた方からシエラ先輩が話しかけられています。
シエラ先輩に話しかけてきた方はネルさんと言う方で、お知り合いみたいです。
「今回は始めてみるメイドさんも一緒なのね」
「は…はじめまして、ヌエットと言います」
私も慌てて挨拶をしておきます。
「ヌエット、ネルさんはシクスエス様のところのメイドさんなのよ。たしか私と同じ年齢だったはずです」
そう紹介されたネルさんは少し嫌そうな顔をしていました。
シエラ先輩、年齢を強調されていましたね…。
「それより、ルーシャ様は年々若々しくなられているわね…」
「ええ、今日は特に艶やかですよね」
「今日は特に…? シエラさんの言い方では日によって違うように聞こえるのですが、やっぱり何か美容に良いものを食べているとか…ですか?」
「……」
うっかり余計な事を言ってしまいました。
ネルさんもメルモアのように若々しさの秘訣を知ろうとしているのでしょう。
「特に変わったものは召し上がっておられませんよ。ちょうど体調がすぐれているのではありませんか」と、ごまかしておきます。
「まぁ、いいでしょう」
「それなら、なぜシエラさんもそんなに艶やかで女性らしいのかが問題ですね…」
ネルさんがそう言うと、周りのメイドの方達もこちらの方を注目してきます。
「え~っと、ヌエットさんでしたか、失礼ですがあなたはおいくつですか?」
「えっ!?」
また年齢ですか…、私は「20歳です」と答えました。
ネルさんも周りのメイドの方達も驚いた顔をされています。
リットさんに続いて今日二度目ですね。
「なぜ、そんなに髪が艶やかで、肌も張りがあって潤っているのでしょう」
ネルさんがこちらに身体を乗り出してそう言ってきます。
「ネルさん、ヌエットは私達より年下ですよ。それにヌエットも私も本当に特に何もしていませんから…」
「そんな…こと…」
ネルさんはどうしても納得できないようです。
周りのメイドさん達も聞き耳を立てていたのか、「ハァ~」とため息をついているのが聞こえます。
「シクスエス様はルーシャ様がシャルル様を出産されたせいだと推測されていましたが、それだとシエラさん達まで若々しく女性らしくなったのはおかしい話ですよね…」
「なんだか失礼ね…」
シエラ先輩はそう言われても嫌そうじゃなく、ちょっとした優越感をもって答えておられるようです。
シエラ先輩はリットさんよりも若く艶やかに見えるぐらいですから当然ですね。
「まさか、何か新たな魔法でもみつけたのかしら?」
「シエラさんは確か水属性でしたよね。では、治療か回復系で若々しさを取り戻す魔法を知ったとか…?」
「そうだと嬉しいですが、残念ながらそんな魔法は知りませんよ」
「でも…、もし知っていても言いませんけれどね…。フフフ…」
シエラ先輩は最後に微笑みながらそう付け加えられるのでした。
XX XY
晩餐会も終わり、ようやく帰ることが出来そうです。
でも、いっぱいお肉も食べられたのでとっても満足です。
「シャルル君、また遊びに来てね」
「シャルル、今日は遊んでくれてありがとう。わたし魔法の練習するからね~」
サリー様とジェシカが魔動力車に乗りこんだ僕達にそう声を掛けてくれました。
『では、サリー様、“転移の祠”の件をよろしくお願いします』
「サリー様、お土産のお肉をありがとうございます」
「ジェシカも魔法を見せてくれてありがとう。また会えると良いね~」
魔動力車が動き出し、手を振りながらお礼の言葉を返します。
初めて歳の近い友達が出来て嬉しかったです。
「ルーシャ様、なんだか今日は疲れましたね…」
『そうね。シエラもご苦労様です』
僕たちはメルモアお姉ちゃんとトリスお姉ちゃんの待つ宿に戻るのでした。
XX XY
「ルーシャ様達も帰ってしまわれましたね…」
「……」
「どうかしたの、ジェシカ? シャルル君とは楽しく遊べましたか?」
「……、シャルルはとってもすごいのよ」
「見た目は私と同じ子供なのに、しっかりとした考えを持っていて…。私ってなんて子供なんだろうって思いました」
「そう…」
シャルル君と比べると無理もないわね…。
「今日ね、リットとシャルルの傍にいたヌエットさんが土魔法でミルク用の動物を作ったの」
「ヌエットさんはカラードじゃないしリットの作った物より小さかったけれど、今にも動き出しそうなほど精巧に作ったのよ」
「そんなことがあったの…」
「カラードには憧れていたけれど、魔法については自分の努力次第なんだと気付いたわ」
「私も火属性の者からゆっくりコツコツと学んでいきたいと思ったの…」
「ジェシカ…」
「それにシャルルはメイドさんをメイドとは思っていないと言っていたのよ」
「……」
「魔法が使えないからこそ、皆さん達との信頼関係を大切にしているんだって」
「魔法が使える私には考えもしなかったの…」
「私もシャルルに認めてもらえるようになりたいわ」
「それにあなたが気付くことが出来たのならきっと大丈夫ですよ」
ジェシカが今日一日で大きく変わりました。
シャルル君がジェシカを、ジェシカがシャルル君に興味を持ってもらえればなと軽く考えていた私がなんだか恥ずかしいです。
違う意味でジェシカはシャルル君に興味、いえ、憧れを抱いてしまったようです。
おそらく次にシャルル君に会える頃にはジェシカも“女”になり、もしかしたらシャルル君も“男”になっていることでしょう。
本当に楽しみになってきましたね。
リットさんに案内された部屋にはすでに他領メイドの方達が集まっていました。
リットさんはこのままもう一人の方と一緒に私達の給仕をして下さるそうです。
私の年齢を聞いてから何度もジロジロ見られるのが気になるところです。
「お久しぶりですねシエラさん」
「こんにちは、ネルさん」
「……」
私達の向かいに座っていた方からシエラ先輩が話しかけられています。
シエラ先輩に話しかけてきた方はネルさんと言う方で、お知り合いみたいです。
「今回は始めてみるメイドさんも一緒なのね」
「は…はじめまして、ヌエットと言います」
私も慌てて挨拶をしておきます。
「ヌエット、ネルさんはシクスエス様のところのメイドさんなのよ。たしか私と同じ年齢だったはずです」
そう紹介されたネルさんは少し嫌そうな顔をしていました。
シエラ先輩、年齢を強調されていましたね…。
「それより、ルーシャ様は年々若々しくなられているわね…」
「ええ、今日は特に艶やかですよね」
「今日は特に…? シエラさんの言い方では日によって違うように聞こえるのですが、やっぱり何か美容に良いものを食べているとか…ですか?」
「……」
うっかり余計な事を言ってしまいました。
ネルさんもメルモアのように若々しさの秘訣を知ろうとしているのでしょう。
「特に変わったものは召し上がっておられませんよ。ちょうど体調がすぐれているのではありませんか」と、ごまかしておきます。
「まぁ、いいでしょう」
「それなら、なぜシエラさんもそんなに艶やかで女性らしいのかが問題ですね…」
ネルさんがそう言うと、周りのメイドの方達もこちらの方を注目してきます。
「え~っと、ヌエットさんでしたか、失礼ですがあなたはおいくつですか?」
「えっ!?」
また年齢ですか…、私は「20歳です」と答えました。
ネルさんも周りのメイドの方達も驚いた顔をされています。
リットさんに続いて今日二度目ですね。
「なぜ、そんなに髪が艶やかで、肌も張りがあって潤っているのでしょう」
ネルさんがこちらに身体を乗り出してそう言ってきます。
「ネルさん、ヌエットは私達より年下ですよ。それにヌエットも私も本当に特に何もしていませんから…」
「そんな…こと…」
ネルさんはどうしても納得できないようです。
周りのメイドさん達も聞き耳を立てていたのか、「ハァ~」とため息をついているのが聞こえます。
「シクスエス様はルーシャ様がシャルル様を出産されたせいだと推測されていましたが、それだとシエラさん達まで若々しく女性らしくなったのはおかしい話ですよね…」
「なんだか失礼ね…」
シエラ先輩はそう言われても嫌そうじゃなく、ちょっとした優越感をもって答えておられるようです。
シエラ先輩はリットさんよりも若く艶やかに見えるぐらいですから当然ですね。
「まさか、何か新たな魔法でもみつけたのかしら?」
「シエラさんは確か水属性でしたよね。では、治療か回復系で若々しさを取り戻す魔法を知ったとか…?」
「そうだと嬉しいですが、残念ながらそんな魔法は知りませんよ」
「でも…、もし知っていても言いませんけれどね…。フフフ…」
シエラ先輩は最後に微笑みながらそう付け加えられるのでした。
XX XY
晩餐会も終わり、ようやく帰ることが出来そうです。
でも、いっぱいお肉も食べられたのでとっても満足です。
「シャルル君、また遊びに来てね」
「シャルル、今日は遊んでくれてありがとう。わたし魔法の練習するからね~」
サリー様とジェシカが魔動力車に乗りこんだ僕達にそう声を掛けてくれました。
『では、サリー様、“転移の祠”の件をよろしくお願いします』
「サリー様、お土産のお肉をありがとうございます」
「ジェシカも魔法を見せてくれてありがとう。また会えると良いね~」
魔動力車が動き出し、手を振りながらお礼の言葉を返します。
初めて歳の近い友達が出来て嬉しかったです。
「ルーシャ様、なんだか今日は疲れましたね…」
『そうね。シエラもご苦労様です』
僕たちはメルモアお姉ちゃんとトリスお姉ちゃんの待つ宿に戻るのでした。
XX XY
「ルーシャ様達も帰ってしまわれましたね…」
「……」
「どうかしたの、ジェシカ? シャルル君とは楽しく遊べましたか?」
「……、シャルルはとってもすごいのよ」
「見た目は私と同じ子供なのに、しっかりとした考えを持っていて…。私ってなんて子供なんだろうって思いました」
「そう…」
シャルル君と比べると無理もないわね…。
「今日ね、リットとシャルルの傍にいたヌエットさんが土魔法でミルク用の動物を作ったの」
「ヌエットさんはカラードじゃないしリットの作った物より小さかったけれど、今にも動き出しそうなほど精巧に作ったのよ」
「そんなことがあったの…」
「カラードには憧れていたけれど、魔法については自分の努力次第なんだと気付いたわ」
「私も火属性の者からゆっくりコツコツと学んでいきたいと思ったの…」
「ジェシカ…」
「それにシャルルはメイドさんをメイドとは思っていないと言っていたのよ」
「……」
「魔法が使えないからこそ、皆さん達との信頼関係を大切にしているんだって」
「魔法が使える私には考えもしなかったの…」
「私もシャルルに認めてもらえるようになりたいわ」
「それにあなたが気付くことが出来たのならきっと大丈夫ですよ」
ジェシカが今日一日で大きく変わりました。
シャルル君がジェシカを、ジェシカがシャルル君に興味を持ってもらえればなと軽く考えていた私がなんだか恥ずかしいです。
違う意味でジェシカはシャルル君に興味、いえ、憧れを抱いてしまったようです。
おそらく次にシャルル君に会える頃にはジェシカも“女”になり、もしかしたらシャルル君も“男”になっていることでしょう。
本当に楽しみになってきましたね。
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