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第4話 さらば、地球よ
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「まっ…まさか、異世界転生なのか!?」
『そうなりますね』
「それが残念なお知らせの方なのか?」
これはちょっと驚きだ。
ここにきて異世界転生って中高生時代の夢見る定番じゃないか。
もしかして、勇者として転生され、楽しい学園生活を過ごしながらチートを駆使して魔王を倒すとか? 一瞬想像してしまう。
『残念ではありませんか? もう二度と地球の生き物にはなれないのですよ』
「いや、地球に転生するにしても“リメイク”されてしまうわけだしな、今のところ何とも言えないよ。嬉しいかもしれないお知らせに賭けるしかないかな」
『ここで重大発表~!』
『嬉しいかもしれないお知らせは残念ながら私がお伝えできるものではありません』
『これから上司の元へ行っていただき、素敵な転生をご自身の力で勝ち取っていただくことになります。500年~1000年のリメイク期間はありませんのですぐに転生出来ますが、どこの何に転生するかは分かりません』
『それでも異世界転生しますか? YES OR NO?』
く…口調がムカつく…。
そうか、勇者としてどこかの世界に転生するわけじゃないのか。
そんなライトノベル的な展開はやはり夢なのか…。
しかし、この世界で転生するには“リメイク”期間もあるし、次は虫からスタートがほぼ確定している。
これから会わなければならない上司とやらに精一杯お願いしてせめて人からスタート出来ないものだろうか。
などと考えていると補足説明が入った。
『また、この提案は魂の格が最高位に達した方にしか許されないと記されています』
『私の想像ですが、高めた魂の格をどこかの世界で新たに活かせということではないでしょうか』
『まぁ、私もこんな機会が初めてなのでドキドキ・ワクワクして送り込んでみたいというのもあります。ましてや今日は娘の誕生日ですから面白い話でもしてやりたいというのが一番ですけどね』
「何がドキドキ・ワクワクだ…」
魂の格について褒めてくれているのだと思えば、娘への土産話が優先だとぉ~。
でも、とりあえず冷静に決めなきゃいけないのは確かだ。
こんな機会が本当に稀だというのなら、機会を得ただけでも儲けものなのだろう。
意外に最高位達成者へのボーナス・ステージかもしれないな。
これまでにこの魂を使った前世のみんなには悪いが、最後の使用者である俺が一存で決めてしまうのを許してほしい。
「よし、転生するぞ!」
『あなたならそうおっしゃると思っていました』
なぜだろう、なぜかこのおっさんがニマッと笑ったような気がした。(口は無いけれど…)
『ちょうどそろそろ霊的エネルギーも切れる所です。有無を言わさず“リメイク”されてしまう前にご決断いただきありがとうございます』
「なんだって」
やはり霊的エネルギーには限りはあったのか、無駄に話が長かった気がするしな。
危ないところだった。
『私はこの世界の担当者ですから、これから向かうところへは付いては行けませんのでこれでお別れとなります』
『上司は馬鹿ですが良い者ではあります。うまく立ち回ればきっとあなたの望む新たなスタートが切れることでしょう』
「上司が馬鹿って…」
まだまだ疲れそうだな。
『ところで一つお願いなのですが、あなたの部屋の押入れにしまってある〇ゴ、娘の誕生日祝いにいただけませんか?』
「えっ、いいけど…、なんでレ〇なんだ。俺の子供の頃の物だぞ。お前の娘はもう300歳なんだろ?」
時間が無さそうなのにそんな話をしていて大丈夫なのか。
『誤解があるようですね。300歳といってもあなた達人類に換算するとだいたい5歳くらいでしょうか。特にかわいい頃でモワモワなんですよ』
あいかわらずモワモワという表現が分かりづらいが、成人するにはかなりの年数が必要なんだろう。
「ちなみにお前は何歳なんだ?」
『1600歳とちょっとというところです』
「ハァ~?」
しまった、聞いてみても若いのかどうかも分からないじゃないか。
「そうだ、〇ゴをやる代わりにいくつか頼まれてくれないだろうか。特に俺の…俺の私物を抹消して欲しい」
やはり俺とて男性だ。
何があるかは覚えてはいないが部屋をあされば恥ずかしい物が一つや二つ出てくる可能性もあるだろう。
家族や友人との思い出の品や、恥ずかしくない写真以外は見つかってはいけない。PCなどのデータはとにかく消去だ。
「それから、できれば俺の死体はちゃんとベッドに寝かせて欲しい」
階段から落ちて首の骨を折って死んでいるなんて間抜けで恥ずかしい。
家族には迷惑をかけるがせめて綺麗に死にたいものだ。
ベッドに寝ていて首の骨を折って死んでいるという奇怪な事件に、警察の方がたくさん来ることになってしまうのは心苦しいが仕方が無い。
本当は自殺でも他殺でもない間抜けな事故なのに…。
『いいでしょう。あなたの死という結果がなくなることはありませんが、出来る限りあなたの家族や友人にショックが無いように配慮いたしましょう。もちろん私物の処理もご希望通りに』
突然死ぬという状況で後悔がないとはいえないが、この黒い靄のおっさんのおかげで少しは踏ん切りがついたかもしれないな。
それにしても短い人生だった。
「さて行くか、では転生よろしく!」
『フフ…、ではあなたを“誕生の間”へお送りします』
『あなたの魂がどこかで活かされることを祈っていますよ』
その時“パシュ”という音と共に魂が俺という肉体から切り離されたような感じがした。
『そうなりますね』
「それが残念なお知らせの方なのか?」
これはちょっと驚きだ。
ここにきて異世界転生って中高生時代の夢見る定番じゃないか。
もしかして、勇者として転生され、楽しい学園生活を過ごしながらチートを駆使して魔王を倒すとか? 一瞬想像してしまう。
『残念ではありませんか? もう二度と地球の生き物にはなれないのですよ』
「いや、地球に転生するにしても“リメイク”されてしまうわけだしな、今のところ何とも言えないよ。嬉しいかもしれないお知らせに賭けるしかないかな」
『ここで重大発表~!』
『嬉しいかもしれないお知らせは残念ながら私がお伝えできるものではありません』
『これから上司の元へ行っていただき、素敵な転生をご自身の力で勝ち取っていただくことになります。500年~1000年のリメイク期間はありませんのですぐに転生出来ますが、どこの何に転生するかは分かりません』
『それでも異世界転生しますか? YES OR NO?』
く…口調がムカつく…。
そうか、勇者としてどこかの世界に転生するわけじゃないのか。
そんなライトノベル的な展開はやはり夢なのか…。
しかし、この世界で転生するには“リメイク”期間もあるし、次は虫からスタートがほぼ確定している。
これから会わなければならない上司とやらに精一杯お願いしてせめて人からスタート出来ないものだろうか。
などと考えていると補足説明が入った。
『また、この提案は魂の格が最高位に達した方にしか許されないと記されています』
『私の想像ですが、高めた魂の格をどこかの世界で新たに活かせということではないでしょうか』
『まぁ、私もこんな機会が初めてなのでドキドキ・ワクワクして送り込んでみたいというのもあります。ましてや今日は娘の誕生日ですから面白い話でもしてやりたいというのが一番ですけどね』
「何がドキドキ・ワクワクだ…」
魂の格について褒めてくれているのだと思えば、娘への土産話が優先だとぉ~。
でも、とりあえず冷静に決めなきゃいけないのは確かだ。
こんな機会が本当に稀だというのなら、機会を得ただけでも儲けものなのだろう。
意外に最高位達成者へのボーナス・ステージかもしれないな。
これまでにこの魂を使った前世のみんなには悪いが、最後の使用者である俺が一存で決めてしまうのを許してほしい。
「よし、転生するぞ!」
『あなたならそうおっしゃると思っていました』
なぜだろう、なぜかこのおっさんがニマッと笑ったような気がした。(口は無いけれど…)
『ちょうどそろそろ霊的エネルギーも切れる所です。有無を言わさず“リメイク”されてしまう前にご決断いただきありがとうございます』
「なんだって」
やはり霊的エネルギーには限りはあったのか、無駄に話が長かった気がするしな。
危ないところだった。
『私はこの世界の担当者ですから、これから向かうところへは付いては行けませんのでこれでお別れとなります』
『上司は馬鹿ですが良い者ではあります。うまく立ち回ればきっとあなたの望む新たなスタートが切れることでしょう』
「上司が馬鹿って…」
まだまだ疲れそうだな。
『ところで一つお願いなのですが、あなたの部屋の押入れにしまってある〇ゴ、娘の誕生日祝いにいただけませんか?』
「えっ、いいけど…、なんでレ〇なんだ。俺の子供の頃の物だぞ。お前の娘はもう300歳なんだろ?」
時間が無さそうなのにそんな話をしていて大丈夫なのか。
『誤解があるようですね。300歳といってもあなた達人類に換算するとだいたい5歳くらいでしょうか。特にかわいい頃でモワモワなんですよ』
あいかわらずモワモワという表現が分かりづらいが、成人するにはかなりの年数が必要なんだろう。
「ちなみにお前は何歳なんだ?」
『1600歳とちょっとというところです』
「ハァ~?」
しまった、聞いてみても若いのかどうかも分からないじゃないか。
「そうだ、〇ゴをやる代わりにいくつか頼まれてくれないだろうか。特に俺の…俺の私物を抹消して欲しい」
やはり俺とて男性だ。
何があるかは覚えてはいないが部屋をあされば恥ずかしい物が一つや二つ出てくる可能性もあるだろう。
家族や友人との思い出の品や、恥ずかしくない写真以外は見つかってはいけない。PCなどのデータはとにかく消去だ。
「それから、できれば俺の死体はちゃんとベッドに寝かせて欲しい」
階段から落ちて首の骨を折って死んでいるなんて間抜けで恥ずかしい。
家族には迷惑をかけるがせめて綺麗に死にたいものだ。
ベッドに寝ていて首の骨を折って死んでいるという奇怪な事件に、警察の方がたくさん来ることになってしまうのは心苦しいが仕方が無い。
本当は自殺でも他殺でもない間抜けな事故なのに…。
『いいでしょう。あなたの死という結果がなくなることはありませんが、出来る限りあなたの家族や友人にショックが無いように配慮いたしましょう。もちろん私物の処理もご希望通りに』
突然死ぬという状況で後悔がないとはいえないが、この黒い靄のおっさんのおかげで少しは踏ん切りがついたかもしれないな。
それにしても短い人生だった。
「さて行くか、では転生よろしく!」
『フフ…、ではあなたを“誕生の間”へお送りします』
『あなたの魂がどこかで活かされることを祈っていますよ』
その時“パシュ”という音と共に魂が俺という肉体から切り離されたような感じがした。
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