23 / 24
第二十三話
しおりを挟む
「氷漬けのオークの死体なんて見た事ある訳がないので買い取り自体は出来るのですが…」
帰りに寄っているのは冒険者ギルドなのだが、通りがかった小さな町? の様な場所のギルドなので対応に困っているようである。
氷を自力で解かせられなかったのも鍛錬不足を感じてしまった。
いや、目が見える様になったのも、力を得たのも最近だから致し方ないのかもしれないが。
『お兄ちゃん氷が溶けなかったの、そんなにショックだったの? 顔にまるっきり書いてあるけど…』
「買い取りはお願いします。 それと、氷はどうにかならないか頑張ってみます」
こっちには剣があるんだ。 負けてられない。
『剣で切ったらオークの死体がバラバラになっちゃうよ!』
「あ、あの! ギルド内で剣を抜くのは!!!」
「兄ちゃんやめときな!」
「おい! ボウズ!」
知った事か。 もう我慢するのはやめたんだよ!
剣に力は入れない。
力いっぱい切ればオークごと斬ってしまう。
刀身から反社した光と、氷の反射による光…一見すればきらびやかとも見れるか。
そんな事はどうでもいいけれど。
「シッ!」
その一言がギルド内に響いた。
俺の声が響き渡るって言うことは、それだけで静寂に包まれていることが容易に想像できる。
『あちゃあ…。 これはやりすぎだよ』
そんな事はないはずだ。
ちゃんとオークの死体はそのままの形を残して氷だけが切り刻まれているのだから。
「なにか不備があるだろうか?」
唖然を通り越し、自らの世界へと旅立ったギルドの人々。
買い取りをして貰いたいのだが。
すると、一人のなかなか背格好の良い冒険者が声を掛けて来た。
「もしかして、風の噂で聞いたことのある盲目の剣聖…ってのはアンタだったのか? どうやら視界は良好そうだが」
「事情は色々あるんだよ」
「なるほどな…。 一流の人間にはどこか秘密の一つや二つあるもんだ。 俺はファイツだ。 とりあえず、ここは俺が話を付けておくから一旦この辺の雑貨屋とか飯屋でも回ってくると良い。 多分あれだけの質のオークだから…経験上、まずギルドからの支払いが今日中にってのは無理だろうな。 すまんが、宿も見繕っておいた方が良いかもしれん」
「色々助言助かる。 冒険者の中にも良い奴がいるもんだな」
「ただのお節介なだけさ! 歳をとると皆子供には優しくなるんだ! これが父性ってやつかもな!」
「ははっ…」
ドラゴン達も苦笑いしているのを感じるので、会話を聞いているのだろう。
感じの良いおっちゃんという印象だ。
さて、一度雑貨屋でポーションの値段を見たり色々してみよう。
魔法の本とかもあるかもしれないし。
『魔法、諦めてなかったんだね』
『精進すれば身に付くだろうがセンスはのう』
やかましい。
帰りに寄っているのは冒険者ギルドなのだが、通りがかった小さな町? の様な場所のギルドなので対応に困っているようである。
氷を自力で解かせられなかったのも鍛錬不足を感じてしまった。
いや、目が見える様になったのも、力を得たのも最近だから致し方ないのかもしれないが。
『お兄ちゃん氷が溶けなかったの、そんなにショックだったの? 顔にまるっきり書いてあるけど…』
「買い取りはお願いします。 それと、氷はどうにかならないか頑張ってみます」
こっちには剣があるんだ。 負けてられない。
『剣で切ったらオークの死体がバラバラになっちゃうよ!』
「あ、あの! ギルド内で剣を抜くのは!!!」
「兄ちゃんやめときな!」
「おい! ボウズ!」
知った事か。 もう我慢するのはやめたんだよ!
剣に力は入れない。
力いっぱい切ればオークごと斬ってしまう。
刀身から反社した光と、氷の反射による光…一見すればきらびやかとも見れるか。
そんな事はどうでもいいけれど。
「シッ!」
その一言がギルド内に響いた。
俺の声が響き渡るって言うことは、それだけで静寂に包まれていることが容易に想像できる。
『あちゃあ…。 これはやりすぎだよ』
そんな事はないはずだ。
ちゃんとオークの死体はそのままの形を残して氷だけが切り刻まれているのだから。
「なにか不備があるだろうか?」
唖然を通り越し、自らの世界へと旅立ったギルドの人々。
買い取りをして貰いたいのだが。
すると、一人のなかなか背格好の良い冒険者が声を掛けて来た。
「もしかして、風の噂で聞いたことのある盲目の剣聖…ってのはアンタだったのか? どうやら視界は良好そうだが」
「事情は色々あるんだよ」
「なるほどな…。 一流の人間にはどこか秘密の一つや二つあるもんだ。 俺はファイツだ。 とりあえず、ここは俺が話を付けておくから一旦この辺の雑貨屋とか飯屋でも回ってくると良い。 多分あれだけの質のオークだから…経験上、まずギルドからの支払いが今日中にってのは無理だろうな。 すまんが、宿も見繕っておいた方が良いかもしれん」
「色々助言助かる。 冒険者の中にも良い奴がいるもんだな」
「ただのお節介なだけさ! 歳をとると皆子供には優しくなるんだ! これが父性ってやつかもな!」
「ははっ…」
ドラゴン達も苦笑いしているのを感じるので、会話を聞いているのだろう。
感じの良いおっちゃんという印象だ。
さて、一度雑貨屋でポーションの値段を見たり色々してみよう。
魔法の本とかもあるかもしれないし。
『魔法、諦めてなかったんだね』
『精進すれば身に付くだろうがセンスはのう』
やかましい。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
世界樹は詠う
青河 康士郎
ファンタジー
神の楽園−惑星ハームス、かつてこの星はそう呼ばれた。
星々の輝く雲なき夜空に、島ほどの長大な神龍が空を渡り、
次いで姿を見せた神鳥はその広大な翼で夜を統べる珠月レイマーを隠す。
灯の灯る客室を吊り下げた飛鯨船が緩やかに尾びれを一打ちする。
巨体はグンと速度を上げ宙に群れなす羽虫を数万平げた。獣王の統べる深い森は、
神話にある生物に溢れ、浮魚の群れが樹林を縫うように泳ぐ。
知的種族の住む世界において、主な動力源の一つに『ワール』がある。
脳内の未知なる領域の深淵に眠る霊門「マノン」は、広大な虚未界「パースル」に
通じる唯一の門である。そこに点在するのは未分化エネルギーの激流が渦を巻くエルゴ領域だ。
マノンを通して導き出された未分化エネルギーは、脳内に構築された回路「ヨルト」を通ることで
「ワール」となり、人々の生活に欠かせないエネルギー源となっていた。
ワールによって駆動する物を総じて“気従器“という。船の推進器として使う者もあれば、
より高度な手足のついた気従器で農作業、土木、建築などにも使われることもある。
そしてその力は当然、軍事に使われる。軍事用気従器は操甲体と呼ばれ、
より運動性能が高く、大きく重い武器を軽々と扱い、防御に優れる。
軍事用気従器である操甲体は、古くより存在し、年代を重ねるにつれて
その多様性を増した。各年代、各地域に名工が生まれ、名作と呼ばれる操甲体が生み出されることとなった。
一般の操甲体に比べ、より運動性能の高いものをメルタインと呼び、
陸上の軍事力においては中核をなす強力な装備となっている。
そして、名工、名匠により生み出された更に高い性能を有する操甲体が存在する。
−エメルタイン−装着者を選ぶこの操甲体は各国において軍事力の象徴とされる程の存在となっていた。
戦の絶えぬこの時代、武人にとって重要な要素、それは武具、そして武術だ。
ここに、一人の男の子があった。名をクリスイン・エルガーという。
剣の名流「ニイン流」宗家 クリスイン家の血を受け継ぐこの男子は、幼年よりニイン流を体得し、
成長して後に剣聖と称えられるようになる。が、その若い頃の話はこれまで語られることはなかった。
墜落した飛鯨船から救助された人物。エメルタインという高度な戦闘用甲冑を終始身につけ、
姿を見せること一切なく、また一言も喋らない謎の人物。縁のあった森のフルワ族から、この人物をある場所まで警護してほしいとエルガーは頼まれる。
猿虎にまたがる小さなナーダム族の女性 弓の名手ナーサム、豹人のグルファと共に旅に出ることとなったエルガー。
世界が変わろうと大きく動き出す。そしてそれを阻止すべく動きだす“闇の剣士“。
真ニイン流の開祖となり、剣聖と呼ばれるようになるクリスイン・エルガーの若き頃の物語。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。
永礼 経
ファンタジー
特性「本の虫」を選んで転生し、3度目の人生を歩むことになったキール・ヴァイス。
17歳を迎えた彼は王立大学へ進学。
その書庫「王立大学書庫」で、一冊の不思議な本と出会う。
その本こそ、『真魔術式総覧』。
かつて、大魔導士ロバート・エルダー・ボウンが記した書であった。
伝説の大魔導士の手による書物を手にしたキールは、現在では失われたボウン独自の魔術式を身に付けていくとともに、
自身の生前の記憶や前々世の自分との邂逅を果たしながら、仲間たちと共に、様々な試練を乗り越えてゆく。
彼の周囲に続々と集まってくる様々な人々との関わり合いを経て、ただの素人魔術師は伝説の大魔導士への道を歩む。
魔法戦あり、恋愛要素?ありの冒険譚です。
【本作品はカクヨムさまで掲載しているものの転載です】
俺の職業、「剣」闘士じゃなくて「拳」闘士!? ~誤字ってて気付かなかったけど、剣で最弱だった俺が拳では最強だった件~
白野ケイ
ファンタジー
【異世界転生で誤字られるなんてことあるのかよ!? 実は最強じゃねぇか!】
進路に悩む高校2年生の【秋宮魁斗】。親友のイケメン【中野悟】、幼馴染の美少女【真白聖羅】達といつも通りの日常を過ごしていたがある日ひょんなことから異世界に!
剣闘士という職を授けられたが剣がまったく使えず、最弱だと罵られた秋宮だったが、実は誤字で職業を間違えられていただけで最強だった!?
異世界で繰り広げられるドタバタコメディバトル小説!
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
鑑定能力で恩を返す
KBT
ファンタジー
どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。
彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。
そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。
この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。
帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。
そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。
そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。
ドラゴネット興隆記
椎井瑛弥
ファンタジー
ある世界、ある時代、ある国で、一人の若者が領地を取り上げられ、誰も人が住まない僻地に新しい領地を与えられた。その領地をいかに発展させるか。周囲を巻き込みつつ、周囲に巻き込まれつつ、それなりに領地を大きくしていく。
ざまぁっぽく見えて、意外とほのぼのです。『新米エルフとぶらり旅』と世界観は共通していますが、違う時代、違う場所でのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる