上 下
21 / 24

第二十一話

しおりを挟む
『む、そういえば…。 先代の剣聖を知っているのか?』

唐突に投げかけられたその言葉。
会った事も無いどころか、世代が違い過ぎる気がするのだが?

「いや、俺の産まれる前の事過ぎるので…」

『そうか。 我流で効率を求めれば似るのかもしれんな。 他にも似ている剣術を何度か見た事はある。 だが、あいつの域をモノに出来そうだと思えたのはお前だけかも知れないぞ。 いや、それは違うな。 お前は…あいつを超え、我ら龍をも討てる程の剣士になる』

そこまでの評価なのか…。

『うんうん、既にお兄ちゃんは下位の竜なら無傷とは言わなくても勝てるよ?』

「え? そんなに強くなってるのか?」

『自覚無いの?』

確かに強くなったつもりではあったが…。
そこまでとは…。

『エンシェントドラゴンには遠く及ばないだろうが…。 さぁ、美味いモノを食すぞ!』

「…人間の食事って口に合うんですか」

『あいつですら人化出来るんだから同じエンシェントを冠する者に出来ない訳がないだろう? 多分…』

憶測だった。
あと大量の薬草を採取したからギルドで換金はしておきたい。
解毒関連の薬草も数種類採取出来ているのだがこれも冒険者ギルドなのだろうか?
それとも別の買い取り場所があるのだろうか?

と、油断をしていたら背後にオーク…人型で豚の顔をした魔物が現れていた。
二人はとっくに気付いていたが、俺を試していた様で何も言わない。

オークは大振りの拳を繰り出してくるが、それはあまりにも愚鈍で、もはや止まってすら見えた。
いい機会だから魔法を練習してみようか。

「どうやって使うんだろう」

分からずにフロストドラゴンをイメージして身体中の力を集めてみる。

“パキン”

オークは一瞬で氷漬けになり、竜の剣を使った時と似たような、否、それ以上の現象が起きている。
今回は自分の足元まで凍り付いている。

「寒っ!!!」

『力の制御が甘いが人間が使ったという前例を聞いたことが無い故致し方ないか!』

それはそうだろうが、どうにかして助けて欲しい。
それに制御の方法も教えて欲しい。

“ピキ”

『氷の扱いはへたっぴなんだね! 良かった! お兄ちゃんはそのまま剣だけでも良いんだよ!』

それはなんか嫌だな。

オークの死体も記念に持って帰る事に決まった。
このオークは氷漬けで持って帰る為、傷一つない新品同様の死体だ。

これがまた一つ騒ぎになってしまうのは後の話。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

世界樹は詠う

青河 康士郎
ファンタジー
 神の楽園−惑星ハームス、かつてこの星はそう呼ばれた。 星々の輝く雲なき夜空に、島ほどの長大な神龍が空を渡り、 次いで姿を見せた神鳥はその広大な翼で夜を統べる珠月レイマーを隠す。 灯の灯る客室を吊り下げた飛鯨船が緩やかに尾びれを一打ちする。 巨体はグンと速度を上げ宙に群れなす羽虫を数万平げた。獣王の統べる深い森は、 神話にある生物に溢れ、浮魚の群れが樹林を縫うように泳ぐ。  知的種族の住む世界において、主な動力源の一つに『ワール』がある。 脳内の未知なる領域の深淵に眠る霊門「マノン」は、広大な虚未界「パースル」に 通じる唯一の門である。そこに点在するのは未分化エネルギーの激流が渦を巻くエルゴ領域だ。 マノンを通して導き出された未分化エネルギーは、脳内に構築された回路「ヨルト」を通ることで 「ワール」となり、人々の生活に欠かせないエネルギー源となっていた。  ワールによって駆動する物を総じて“気従器“という。船の推進器として使う者もあれば、 より高度な手足のついた気従器で農作業、土木、建築などにも使われることもある。  そしてその力は当然、軍事に使われる。軍事用気従器は操甲体と呼ばれ、 より運動性能が高く、大きく重い武器を軽々と扱い、防御に優れる。    軍事用気従器である操甲体は、古くより存在し、年代を重ねるにつれて その多様性を増した。各年代、各地域に名工が生まれ、名作と呼ばれる操甲体が生み出されることとなった。  一般の操甲体に比べ、より運動性能の高いものをメルタインと呼び、 陸上の軍事力においては中核をなす強力な装備となっている。 そして、名工、名匠により生み出された更に高い性能を有する操甲体が存在する。  −エメルタイン−装着者を選ぶこの操甲体は各国において軍事力の象徴とされる程の存在となっていた。  戦の絶えぬこの時代、武人にとって重要な要素、それは武具、そして武術だ。    ここに、一人の男の子があった。名をクリスイン・エルガーという。 剣の名流「ニイン流」宗家 クリスイン家の血を受け継ぐこの男子は、幼年よりニイン流を体得し、 成長して後に剣聖と称えられるようになる。が、その若い頃の話はこれまで語られることはなかった。  墜落した飛鯨船から救助された人物。エメルタインという高度な戦闘用甲冑を終始身につけ、 姿を見せること一切なく、また一言も喋らない謎の人物。縁のあった森のフルワ族から、この人物をある場所まで警護してほしいとエルガーは頼まれる。  猿虎にまたがる小さなナーダム族の女性 弓の名手ナーサム、豹人のグルファと共に旅に出ることとなったエルガー。  世界が変わろうと大きく動き出す。そしてそれを阻止すべく動きだす“闇の剣士“。 真ニイン流の開祖となり、剣聖と呼ばれるようになるクリスイン・エルガーの若き頃の物語。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

俺の職業、「剣」闘士じゃなくて「拳」闘士!? ~誤字ってて気付かなかったけど、剣で最弱だった俺が拳では最強だった件~

白野ケイ
ファンタジー
【異世界転生で誤字られるなんてことあるのかよ!? 実は最強じゃねぇか!】 進路に悩む高校2年生の【秋宮魁斗】。親友のイケメン【中野悟】、幼馴染の美少女【真白聖羅】達といつも通りの日常を過ごしていたがある日ひょんなことから異世界に! 剣闘士という職を授けられたが剣がまったく使えず、最弱だと罵られた秋宮だったが、実は誤字で職業を間違えられていただけで最強だった!? 異世界で繰り広げられるドタバタコメディバトル小説!

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

王女殿下の大罪騎士〜大罪人にされたので、第三王女の騎士になる〜

天羽睦月
ファンタジー
国に人生を奪われた少年ノアは、大罪人として戦場で戦う罰を受けた。家族を失ったノア失意を隠すため、大罪人が暮らす国境近くの村に併設された地下牢で暮らしている。贖罪として国に尽くす日々を過ごしていると、村が襲われていると看守から報告受けた。ノアは村を守るために戦場に行くと、遠くで戦っている少女を見つけた。 その少女は第三王女ステラ・オーレリア。ノアの人生を奪い、大罪人に陥れた王族の一人だ。なぜ戦場にいるのかと考えていると、ステラに魔法が迫っていることに気が付いた。 自身を道具として扱っている王族を助けたくはないが、なぜかステラを救うために自然と身体が動いてしまう。 大罪人と第三王女の二人が出会ったことで、数奇な運命が動き出す。 他サイト様にも投稿しております。

ドラゴネット興隆記

椎井瑛弥
ファンタジー
ある世界、ある時代、ある国で、一人の若者が領地を取り上げられ、誰も人が住まない僻地に新しい領地を与えられた。その領地をいかに発展させるか。周囲を巻き込みつつ、周囲に巻き込まれつつ、それなりに領地を大きくしていく。 ざまぁっぽく見えて、意外とほのぼのです。『新米エルフとぶらり旅』と世界観は共通していますが、違う時代、違う場所でのお話です。

処理中です...