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第二十話-回想【首無し騎士】
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騎士とは何か…。 最早分からない次元ではあった。
アンデッドである以外はあまり分からない。
仲間であるあの研究馬鹿とサイコ野郎もきっとそうだろう。
いや、他の部下達も…。
「あれ? どうしてこんなところに鎧が?」
不意に聞こえた人間のその声に咄嗟に身体が反応してしまう。
『我が主が場内にて何をしている…。 内容によっては切り捨てる』
そうして何故だか斬り合いになる事となった。
最初は互角。
こちらが一振りすれば、向こうも一振り。
互角と思っていただけで、互角と思わされていたのだ。
一手、また一手と繰り返すうちにどんどんと相手の速さも重さもまして行く。
更には足技まで繰り出されてくるではないか…。
眼前で素っ頓狂な顔を浮かべているこいつは何者なのだろうか? しかし、我にはそのような思考すらない。。
が、曖昧だった記憶が全て流れ込んでくる。
否、戻ってくる。
我の記憶がどんどん戻って来ておる。
主よ、守り切れなかったことを不甲斐なく思う。
一振り一振りに魂が乗っていく。
唯の魔物として朽ち行くだけの我ではないッ!!!
滾る、滾る、滾るッ!!!
唯の【首無し騎士】 では到底たどり着けない域まで達していた自負だけは何故だかあった。
それでも…! それでもッ!!! まだ足りぬ!!!
これが騎士たる者の本懐であるか!!!
己より弱きに仕える気はもうないと思った。 あぁ、思ったとも!!!
重くなる拳に、速くなる蹴り…。
血が沸騰する。
あぁ、良い。 これが生身であればもっと至高の時間であっただろう。
「僕の仲間になって欲しいんだけど…」
唐突に投げかけられたその言葉。
我は失ったはずのその頭部に湿った感触を覚えた。
かつて、王に…我が主に言われたあの言葉そのものではないか。
『我が主の居城に踏み入る不貞な輩よ、ならばその拳で示してくれると良い!』
そこからは殴り合い。
力と力の完全なやり取りである。
「強いね、剣術だけ、格闘だけなら今まで出会った人の中でもかなり上位だね」
『我より強い者がまだ居るか! 滾る! 騎士としてでなく、一人の戦士として!』
「あれ? 余計に焚きつけちゃった…」
そんな言葉を聞いたら外を見たいではないか。
お互いに組み付く形になってしまった。
どんどん押されていく。
この若造は見た目に反して力が恐ろしい程にある。
まるで、鬼神と呼ばれた敵国の軍人と戦っていた時を思い出す。
そして、その時には我の負けは決まっていた。
力でも負け。 拳も我の鎧にめり込んでいる、完敗だ。
『約束通り共に行こう。 して貴殿は魔王かなにかか?』
「いや? 人間だけど…? そんなに変かな? じゃあテイムするね!」
この馬鹿力で、この戦闘力でテイマーだと? 今の時代の人間は狂っているのか?
そうして我は新たなる主様を得たのだ。
アンデッドである以外はあまり分からない。
仲間であるあの研究馬鹿とサイコ野郎もきっとそうだろう。
いや、他の部下達も…。
「あれ? どうしてこんなところに鎧が?」
不意に聞こえた人間のその声に咄嗟に身体が反応してしまう。
『我が主が場内にて何をしている…。 内容によっては切り捨てる』
そうして何故だか斬り合いになる事となった。
最初は互角。
こちらが一振りすれば、向こうも一振り。
互角と思っていただけで、互角と思わされていたのだ。
一手、また一手と繰り返すうちにどんどんと相手の速さも重さもまして行く。
更には足技まで繰り出されてくるではないか…。
眼前で素っ頓狂な顔を浮かべているこいつは何者なのだろうか? しかし、我にはそのような思考すらない。。
が、曖昧だった記憶が全て流れ込んでくる。
否、戻ってくる。
我の記憶がどんどん戻って来ておる。
主よ、守り切れなかったことを不甲斐なく思う。
一振り一振りに魂が乗っていく。
唯の魔物として朽ち行くだけの我ではないッ!!!
滾る、滾る、滾るッ!!!
唯の【首無し騎士】 では到底たどり着けない域まで達していた自負だけは何故だかあった。
それでも…! それでもッ!!! まだ足りぬ!!!
これが騎士たる者の本懐であるか!!!
己より弱きに仕える気はもうないと思った。 あぁ、思ったとも!!!
重くなる拳に、速くなる蹴り…。
血が沸騰する。
あぁ、良い。 これが生身であればもっと至高の時間であっただろう。
「僕の仲間になって欲しいんだけど…」
唐突に投げかけられたその言葉。
我は失ったはずのその頭部に湿った感触を覚えた。
かつて、王に…我が主に言われたあの言葉そのものではないか。
『我が主の居城に踏み入る不貞な輩よ、ならばその拳で示してくれると良い!』
そこからは殴り合い。
力と力の完全なやり取りである。
「強いね、剣術だけ、格闘だけなら今まで出会った人の中でもかなり上位だね」
『我より強い者がまだ居るか! 滾る! 騎士としてでなく、一人の戦士として!』
「あれ? 余計に焚きつけちゃった…」
そんな言葉を聞いたら外を見たいではないか。
お互いに組み付く形になってしまった。
どんどん押されていく。
この若造は見た目に反して力が恐ろしい程にある。
まるで、鬼神と呼ばれた敵国の軍人と戦っていた時を思い出す。
そして、その時には我の負けは決まっていた。
力でも負け。 拳も我の鎧にめり込んでいる、完敗だ。
『約束通り共に行こう。 して貴殿は魔王かなにかか?』
「いや? 人間だけど…? そんなに変かな? じゃあテイムするね!」
この馬鹿力で、この戦闘力でテイマーだと? 今の時代の人間は狂っているのか?
そうして我は新たなる主様を得たのだ。
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