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第五話

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「ギルドマスター権限を行使する! コイツに適正検査を受けさせろ」

「え!? 適正検査ですニャ!? 前に適正検査が行われたのは王都のギルド…しかも何年も前の話だニャ!」

「忘れたか? こいつの出した名前全てを。 それで下っ端からやらせてもしも他のギルドの奴らにちょっかいを出されたら色んな意味でどうする? お前らもそう思わないか?」

周りの目が闘志と、何かどす黒いモノに包まれている。
深く突っ込んではいけないだろうね、これは。
うちの従魔達にもどす黒い人達につっこんだら後悔すると言われたからきっとそうに違いない。

「良いか、マルク。 適正検査ってのはな、その人物が一体どのランクの冒険者なのかを見極めるのもなんだ。 一般的にどんな能力でも一番下のランクからスタートだが、特例がある。 お前みたいな奴だ。 その場合は魔力、体力、戦闘力、あとは備考として…お前の場合持っている従魔…はもう聞いたし、他に出来る事を聞いておくくらいか。 それでスタートする冒険者ランクを決めるんだ」

「なるほど!」

分かりやすくて良いね!
でも僕の場合大体なんでも一人で出来てしまうから参考になるか分からないと思うけれど。

「じゃあ、この板に血を一滴垂らして欲しいニャ」

言われるがままに血を一滴垂らし落とす。
血が出ているのですぐに手当てをしてくれようとしたが自分でヒールを掛けてしまった。
無詠唱だけでなく、指先のみピンポイントのヒールというのは母さんに叩き込まれたものでもある。

『初歩の初歩であるヒールだからと言って舐めて掛かってはいけない。 魔力を無駄にしてはいけない。 患部に対して最高率でヒールをしなさい』

耳がおかしくなるほど言われ続けたから手癖の様にヒールが患部に対して最高率で行われる様になってしまった。

「ま、魔力の桁がおかしいニャ!!!」

「おいおい、いつの間に俺を追い抜いたんだこのマセガキ!」

再びザワツキ始めるギルド内。
それは当然だよね、あのガリウスさんより魔力量が多いんだもの。

「つ、次は体力量だが、さっきの血でそのまま検査出来る。 安心しろ」

「良かった。 山を何個も走らされたり、海を息継ぎ無しで泳がされたりしないんですね!」

「お前、本当に人間か?」

「いやだなぁ! 人間ですよ!」

人間だよね!?

『主様に関してはちょっと人間かは怪しいですな』

ちょっと!?

「ニャニャニャ!!! 一般的な近衛騎士よりも高い数値が出てるニャ!!!」

「やっぱり人間じゃねぇだろお前!!! 古代種族とかだろ!!! いや、あいつの子供って事は先祖返り的なやつか!?」

「酷い!」

「酷くねぇよ! それより、この結果じゃもうこの先が目に見えてるし恐ろしいから、悪いけど適正検査はここまでだ。 他ギルドへの牽制の為に敢えて公の場でやったが、ここまでとはな…。 お前はBランクに決定で暫定Aランクだ。 本来ならSランクにしたいが、Sランクはギルドマスターの権限じゃ無理だ。 Aランクの決定権も無い。 特定の依頼を遂行したらAランクに認めるくらいの事は出来る…よな?」

「出来ますニャ。 ちゃんと規約を読んで下さいニャ」

「す、すまん…」

「ありがとうございます!!!」

「お前のせいで、俺がハゲちまうだろうが…。 とりあえず高ランク冒険者証は当日発行は無理だ。 なんか素材は買い取ってやるから、明日冒険者証を取りに来い」

良心的だ!

「じゃあ素材の買い取りお願いします!」

地竜とか色んな素材を出したら三分の一だけ買い取ってもらえた。
あとは後日買い取るって。
とりあえず一旦宿探しをしよう。 拠点探しは何より大切だと思う、きっと。

ところで、ガリウスさんはもともとハゲているから気にする必要は無いんじゃないのかな?
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