錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

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第三百七十話

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『虹蛇よ! そこの酒を取ってくれ!』

「何故私が…? 八つも首があるのだから自分で取れば良いだろうに…」

『何を言う! 酒を飲むのに忙しいのだ!』

その光景には傍に居たウワバミすらも呆れ果てていた。
だが、ウワバミも負けず劣らずの飲酒量である。
もはや蛇の国は待機…と言う名の宴会である。
虹蛇陣営もオロチ陣営も全て隔たりは無くなっている様で、こちらの方は落ち着きを取り戻してはいる。

ただし、酒癖と言う落ち着きに関しては取り戻す事は出来ない様だ。

そうこうしていると、ガサガサと枯れ葉を踏み鳴らす音が響き渡る。

『何者だ。 場合によっては容赦しないぞ』

オロチの発したその言葉と威圧に対して怯まず、更に歩みを続ける侵入者。
蛇達はいつでも攻撃出来る姿勢に入る。

「これはこれは。 貴方方が坊ちゃまのご友人の蛇の国の方々ですね。 お話は聞いております。 私はテイル・フォン・マーガレット様の直属の執事長をしておりますヴァンパイアキングでございます。 以後爺とでもお呼び下さってよいですぞ」

『むむ…。 お前ら、このヴァンパイア強いぞ。 純粋な戦闘力だけなら大罪と並ぶか…下手すると…』

「私共では戦闘になると厳しい、寧ろ敵対勢力で無いのなら警戒を解こう。 それに、ここで手を出して彼の不興を買ったら酒が貰えなくなるぞ?」

オロチと虹蛇のその言葉だけで全員の戦闘態勢が解かれる。

「おや、坊ちゃまはまた酒で釣りましたか…。 これは少々お話をしないといけないですな…」

『待ってくれ、酒が無かったら協力しなかったくらいだ。 それに虹蛇達ともこうしてまた話す事も無かっただろう。 あまり責めないでやってくれ』

「ふむ…。 前科があるので完全に無罪放免と言う訳にはいきませんが、少しは大目に見ましょう。 まずは、奥方様達と賢者様達には報告はしないであげましょう。 爺は優しいので」

にんまりと笑うキングにオロチは全身の血が引いていき、酔いが醒めていくのがはっきりと認識出来てしまう。

「爺がここに来た理由なのですがな…。 蛇の国の代表の方にアストレア王国と教国からこれをお渡しする為にここまで飛んできたのですじゃ…」

取り出したのは三振りの短剣。
片方はアストレア王家の家紋、もう片方は教国のシンボルマークの入った物、そして、竜人の国の宝玉の入った物。
これは友好の証として渡される物だから滅多に出回る事がない。
ちなみにテイルに関しては本人が受け取っていないが貰ってはいる。

『虹蛇、お前が受け取れ』

「私でよいのか?」

『皆異論は無いだろう?』

その場はシュルルルと息のあった声が上がるのみだった。
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