錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

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第二百八十五話

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今回は転移を使わずに馬車での移動と言われてしまったので泣く泣く馬車に乗り込んだ。
護衛は団長率いる精鋭数人と、執事のキングのみ同行となっている。
道中に一切盗賊などは出ず、比較的安全に進行できている感覚がある。
魔物もゴブリン程度なので問題は一切ない。

馬車には特製のクッションを敷いているのでお尻の安全は守られている。

道中の街では門番に羨ましいと言われてしまったが。

どこの街でも俺の馬車にある家紋を見て皆にこやかに手を振ってくれている。
嬉しいことだが…。
気恥ずかしさは抜ける事がないのは何故だろうか。

やっと王都がなんとなく見えて来た。

「マーガレット英雄爵様! そのままお通りください!」

え、それで良いの? 門番仕事して?

一応そのまま王都の邸宅へと向かう。
邸宅に着くと家の前に数人の貴族が居る事に気付く。

「マーガレット英雄爵! 我々をマーガレット派に入れて頂きたく参ったのです! どうかお願いします!」

「えぇ、俺は陛下の臣下である事に誇りを持っています。 自分で派閥を持つ事などおこがましいのでいうなれば王族派かもしれません。 なので、ご期待には沿えず申し訳ないです」

「そ、そうですか。 それであれば我々も王族派に鞍替えを…すべきなのか」

「そうは思いませんよ。 正しいと思う事をなさってください。 ただ、間違っても謀反はやめてくださいね? うちの家臣は名実ともに規格外ですので」

「は、はい! 存じております! 本日は失礼致しました!」

何だったんだこれは。
流石に疲れるぞ…。

「旦那様、明日の早朝から陛下と面会だそうですよ」

「じゃあ今日は速く寝なきゃな…」

そう言って明日の準備をしつつ、風呂や食事を済ませる。

そして布団に入り、寝付いたであろう…と言う頃に不意に殺気を感じ取る。

「暗殺をするのなら殺気は消さないとね? 団長やキングはなんで通しちゃったんだろう」

「っ!?」

暗殺者は小柄だ。
驚いて引き下がったが…ずっと感じるこの魔力の不思議な流れの原因は一つだろう。

「君、眷属の首輪を付けられているね?」

「っ!?」

暗殺者らしき人物は慌てて多くくバックステップをし、扉を開けようとする。
だが、それは叶わない。

「空気に含む水分をコントロールして凍らせれば扉は完全に動かなくなるんだよ。 覚えておくと良いね。 これは魔法でも錬金術でも可能だ。 そうか、君は喋る事すら制限されているんだね」

光鎖で動きを止め、暗殺者らしき人物に近付く。

首輪にそっと触れて解呪をし、破壊する。
これで、完全に支配から離れただろう。

「あっ…。 そんな…」

「これで君は自由だ。 どこにでも行きな?」

「何も…聞かないのですか?」

「聞いても知らないんじゃないかな? 君が此処に来た理由は一つ。 本隊がどこかに居るはずだ。 きっとそれは団長達が相手をしていると思う」

「!」

「あ、お茶でも飲むかい?」

「…はい、頂きます」

俺はいつもの茶葉でお茶を淹れて振舞う。

「…美味しい。 ごめんなさい、信じて貰えなくても良いので聞いて欲しいお話があります」

「言ってごらん?」

大きく深呼吸し、その子は話始める。

「私は銀狐族のティナと言います。 弟が違法な奴隷商に捕まり、奪還しようとして…私も捕まりました」

フードを取るとしっかりと狐耳が生えている事が分かった。

「私の弟の命が惜しければ英雄様を殺せと命じられています」

「なるほどね。 なんとなく分かったよ。 その奴隷商は多分新興商人で、異種族を狙った極悪人だろうね。 …キング? 分かってるね」

「御意。 まずは王宮へと報せて参ります」

「って事で、全て任せて貰おうか」

その暗殺者は泣きながら感謝を述べ続けていた。
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