282 / 385
第二百八十一話
しおりを挟む
陛下が席に付き、エキシビジョンの開始アナウンスが入る。
無論満席だ。
クリスエル公爵曰くここまでの祭りは陛下の生誕祭くらいだろうとの事。
もしかして、俺やばい事をしてしまったのか?
「テイル君の予想は誰が勝つと思う?」
「あの盾の方が圧倒的かと。 貴族の方や陛下はきっと普段から大食いなんてなさらないはずです。 ですが、冒険者となると…」
「同意見だ。 しかし、貴族の席に居るアレはなんだね?」
「マキナです…」
「ちゃんと食えるのか…」
あ、公爵が頭を抱えてしまった。
うちでの食いっぷりをご存じないのだろうか。
「あの、マキナはうちの屋敷では多分一番大ぐ…」
ここまで言ったら俺の足元がじわじわ凍り始めている事に気が付く。
地獄耳かよ! 食べながら魔法の無詠唱行使なんて高度な事をするな!
俺が足元を指指す。
すると閣下は気が付いた様でなんとも複雑そうな顔をしていた。
「マーガレット領がそれだけ良い食材に恵まれている証拠だな。 これは実に素晴らしい事だな。 後、酒なんかも盛んだとか? 是非飲んでみたいが」
「えぇ、ですがそれは心配ありませんよ?」
「ん? それは一体…」
ここで何やら大騒ぎになっているので皆視線をステージに戻す。
盾のお姉さんとマキナのデッドヒートで大盛り上がりだ。
おぉ、いつの間にか凄い事になっている。
陛下はいつ仕掛けるのか。
「おぉっとここで料理の変更がありました!!! おや、これは!!! マーガレット領で流行っている串カツ!!!」
お、丁度仕掛けやすいタイミングが来たな。
今日は余分に料理人を募ったから大丈夫だろう。
…だよね?
「美味いっ! これは酒と相性が良いのだろう! 良い事を思いついたぞ! 酒を持ってきてはくれぬか?」
陛下の急な発言に試作中の最高級銘柄を持ってくる。
これは味はめちゃくちゃ良いんだが、まだ伸ばせると思い試作中としている。
「おぉ、これは良い!!! 米で作った酒となんと相性が良い事か!!! これは皆にも味合わせたいぞ!!! 余は此処までで良い。 余の分を皆に配ってはくれぬか? それと酒も!!!」
うわああああああああ!!! と会場が盛り上がる。
おい、この会場の半分はいかなくても、三分の一はうちの領民だから食った事あるだろう!
陛下には良い棄権方法を教えただけではあるが、盛り上がったのなら良いだろう。
料理人達よ、頑張れ。
「ほう、テイル君…これは考えたな」
「えぇ、他領の方や、商人が多いですからね。 宣伝しないと」
「それであの馬鹿を利用したんだな?」
「そんな人聞きの悪い…」
「流石はうちの娘の夫だ」
「あはは…。 さぁ、どうぞ」
「これが米から出来てる酒…そして、これが串カツか…。 では失礼して」
あれ、目を見開いて固まってるぞ? 口に合わなかったのか!?
「これは神の食べ物だっ! 神に捧げるべき食べ物だ!!! 酒も凄いぞっ!!!」
なんでやねーん!!!
無論満席だ。
クリスエル公爵曰くここまでの祭りは陛下の生誕祭くらいだろうとの事。
もしかして、俺やばい事をしてしまったのか?
「テイル君の予想は誰が勝つと思う?」
「あの盾の方が圧倒的かと。 貴族の方や陛下はきっと普段から大食いなんてなさらないはずです。 ですが、冒険者となると…」
「同意見だ。 しかし、貴族の席に居るアレはなんだね?」
「マキナです…」
「ちゃんと食えるのか…」
あ、公爵が頭を抱えてしまった。
うちでの食いっぷりをご存じないのだろうか。
「あの、マキナはうちの屋敷では多分一番大ぐ…」
ここまで言ったら俺の足元がじわじわ凍り始めている事に気が付く。
地獄耳かよ! 食べながら魔法の無詠唱行使なんて高度な事をするな!
俺が足元を指指す。
すると閣下は気が付いた様でなんとも複雑そうな顔をしていた。
「マーガレット領がそれだけ良い食材に恵まれている証拠だな。 これは実に素晴らしい事だな。 後、酒なんかも盛んだとか? 是非飲んでみたいが」
「えぇ、ですがそれは心配ありませんよ?」
「ん? それは一体…」
ここで何やら大騒ぎになっているので皆視線をステージに戻す。
盾のお姉さんとマキナのデッドヒートで大盛り上がりだ。
おぉ、いつの間にか凄い事になっている。
陛下はいつ仕掛けるのか。
「おぉっとここで料理の変更がありました!!! おや、これは!!! マーガレット領で流行っている串カツ!!!」
お、丁度仕掛けやすいタイミングが来たな。
今日は余分に料理人を募ったから大丈夫だろう。
…だよね?
「美味いっ! これは酒と相性が良いのだろう! 良い事を思いついたぞ! 酒を持ってきてはくれぬか?」
陛下の急な発言に試作中の最高級銘柄を持ってくる。
これは味はめちゃくちゃ良いんだが、まだ伸ばせると思い試作中としている。
「おぉ、これは良い!!! 米で作った酒となんと相性が良い事か!!! これは皆にも味合わせたいぞ!!! 余は此処までで良い。 余の分を皆に配ってはくれぬか? それと酒も!!!」
うわああああああああ!!! と会場が盛り上がる。
おい、この会場の半分はいかなくても、三分の一はうちの領民だから食った事あるだろう!
陛下には良い棄権方法を教えただけではあるが、盛り上がったのなら良いだろう。
料理人達よ、頑張れ。
「ほう、テイル君…これは考えたな」
「えぇ、他領の方や、商人が多いですからね。 宣伝しないと」
「それであの馬鹿を利用したんだな?」
「そんな人聞きの悪い…」
「流石はうちの娘の夫だ」
「あはは…。 さぁ、どうぞ」
「これが米から出来てる酒…そして、これが串カツか…。 では失礼して」
あれ、目を見開いて固まってるぞ? 口に合わなかったのか!?
「これは神の食べ物だっ! 神に捧げるべき食べ物だ!!! 酒も凄いぞっ!!!」
なんでやねーん!!!
0
お気に入りに追加
1,935
あなたにおすすめの小説
スマートシステムで異世界革命
小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 ///
★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★
新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。
それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。
異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。
スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします!
序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです
第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練
第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い
第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚
第4章(全17話)ダンジョン探索
第5章(執筆中)公的ギルド?
※第3章以降は少し内容が過激になってきます。
上記はあくまで予定です。
カクヨムでも投稿しています。
「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした
御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。
異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。
女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。
――しかし、彼は知らなかった。
転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
呪われ少年魔法師、呪いを解除して無双する〜パーティを追放されたら、貴族の令嬢や王女と仲良くなりました〜
桜 偉村
ファンタジー
瀬川空也(せがわ くうや)は魔力量が極端に少ない魔法師だった。
それでも一級品である【索敵(さくてき)】スキルで敵の攻撃を予測したり、ルート決めや作戦立案をするなど、冒険者パーティ【流星(メテオロ)】の裏方を担っていたが、あるとき「雑用しかできない雑魚はいらない」と追放されてしまう、
これが、空也の人生の分岐点となった。
ソロ冒険者となった空也は魔物に襲われていた少女を助けるが、その少女は有数の名家である九条家(くじょうけ)の一人娘だった。
娘を助けた見返りとして九条家に保護された空也は、衝撃の事実を知る。空也は魔力量が少ないわけではなく、禁術とされていた呪いをかけられ、魔力を常に吸い取られていたのだ。
呪いを解除すると大量の魔力が戻ってきて、冒険者の頂点であるSランク冒険者も驚愕するほどの力を手に入れた空也は最強魔法師へと変貌を遂げるが、そんな彼の周囲では「禁術の横行」「元パーティメンバーの異変」「生態系の変化」「魔物の凶暴化」など、次々に不可解な現象が起きる。それらはやがて一つの波を作っていって——
これは、最強少年魔法師とその仲間が世界を巻き込む巨大な陰謀に立ち向かう話。
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える
ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─
これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる