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第二百八十一話

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陛下が席に付き、エキシビジョンの開始アナウンスが入る。
無論満席だ。
クリスエル公爵曰くここまでの祭りは陛下の生誕祭くらいだろうとの事。
もしかして、俺やばい事をしてしまったのか?

「テイル君の予想は誰が勝つと思う?」

「あの盾の方が圧倒的かと。 貴族の方や陛下はきっと普段から大食いなんてなさらないはずです。 ですが、冒険者となると…」

「同意見だ。 しかし、貴族の席に居るアレはなんだね?」

「マキナです…」

「ちゃんと食えるのか…」

あ、公爵が頭を抱えてしまった。
うちでの食いっぷりをご存じないのだろうか。

「あの、マキナはうちの屋敷では多分一番大ぐ…」

ここまで言ったら俺の足元がじわじわ凍り始めている事に気が付く。
地獄耳かよ! 食べながら魔法の無詠唱行使なんて高度な事をするな!

俺が足元を指指す。
すると閣下は気が付いた様でなんとも複雑そうな顔をしていた。

「マーガレット領がそれだけ良い食材に恵まれている証拠だな。 これは実に素晴らしい事だな。 後、酒なんかも盛んだとか? 是非飲んでみたいが」

「えぇ、ですがそれは心配ありませんよ?」

「ん? それは一体…」

ここで何やら大騒ぎになっているので皆視線をステージに戻す。
盾のお姉さんとマキナのデッドヒートで大盛り上がりだ。
おぉ、いつの間にか凄い事になっている。
陛下はいつ仕掛けるのか。

「おぉっとここで料理の変更がありました!!! おや、これは!!! マーガレット領で流行っている串カツ!!!」

お、丁度仕掛けやすいタイミングが来たな。
今日は余分に料理人を募ったから大丈夫だろう。
…だよね?

「美味いっ! これは酒と相性が良いのだろう! 良い事を思いついたぞ! 酒を持ってきてはくれぬか?」

陛下の急な発言に試作中の最高級銘柄を持ってくる。
これは味はめちゃくちゃ良いんだが、まだ伸ばせると思い試作中としている。

「おぉ、これは良い!!! 米で作った酒となんと相性が良い事か!!! これは皆にも味合わせたいぞ!!! 余は此処までで良い。 余の分を皆に配ってはくれぬか? それと酒も!!!」

うわああああああああ!!! と会場が盛り上がる。
おい、この会場の半分はいかなくても、三分の一はうちの領民だから食った事あるだろう!

陛下には良い棄権方法を教えただけではあるが、盛り上がったのなら良いだろう。
料理人達よ、頑張れ。

「ほう、テイル君…これは考えたな」

「えぇ、他領の方や、商人が多いですからね。 宣伝しないと」

「それであの馬鹿を利用したんだな?」

「そんな人聞きの悪い…」

「流石はうちの娘の夫だ」

「あはは…。 さぁ、どうぞ」

「これが米から出来てる酒…そして、これが串カツか…。 では失礼して」

あれ、目を見開いて固まってるぞ? 口に合わなかったのか!?

「これは神の食べ物だっ! 神に捧げるべき食べ物だ!!! 酒も凄いぞっ!!!」

なんでやねーん!!!
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