錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

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第二百二十二話 ミザリア母様参上

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「テイル君…一体何だいこれは」

「メーティル先生って言う俺に魔法を教えてくれた人の家に伝わる魔法なんだけど…」

【怠惰】になら軽い説明だけでも伝わるだろう。

「正直言ってワシも呆れとるからな」

仕方ないでしょうが…。 状況が状況なんだから。

「確かに錬金術師って魔素の扱いが上手いから同時に魔力の扱いも上手くて魔法も扱いやすい天職だとは僕も最近知ったけどさ…相当高レベルな魔法をポンと窮地で使うのはちょっと…」

「そんなにドン引きしないで貰ってもよろしいか…」

「随分余裕そうじゃないか。 まだまだ数の利はこちらにある。 それに…この器を貴様らは攻撃出来るのか?」

「…別に腕の一本や二本くらいならすぐには死なないだろう?」

珍しく強気な発言をする【怠惰】。
相当頭に来てるのかもしれないな。

「仲間を取られたのがそんなに悔しいか? 良いだろう、教えてやる。 そいつらは少し言葉を掛けてやったらすぐにこちら側の言いなりになったさ。 すなわちその器共は我々の共犯だ」

「だからどうした…ゴミムシ」

「聞こえなかったのか?」

【怠惰】が縮地…いや、それ以上の速さでジンに詰め寄り二振りの短刀で乱舞する。
あの短刀は外側には魔素を、内側には魔力を込められており切れ味も強度も通常時のソレとは段違いになっている。

「チッ!」

「お前の相手は俺だ!」

「不敬であるぞ!」

「いや、もうお前皇帝じゃないだろ。 不敬も何も無いから」

コイツは器用に様々な武器を用いて来る。 俺が刀を使う事を知っているからだろうか。
苦手な武器を探している…そんな動きをしている。

「武器を出して行くとすぐにウェポンブレイクするとは。 その技を連発出来るなんぞ腕の立つ騎士でも…」

「そう? うちのメイカでも多分出来るし、王国の騎士なら何人か出来る人を知ってるよ。 俺の兄上も出来るね」

「王国なんぞに負けると言うのかっ!!!」

いや、王国にも勝てないよ、お前は。

「さて、役者が狂っとるのぉ。 本来じゃったらお主らの相手は【怠惰】がすべきなんじゃが…。 年寄に二人も押し付けるなんて虐待か何かかの…」

『カワイソウニ』

『スグニコロシテヤル』

「そうも行かんのじゃよ…。 ワシの目的は貴様ら悪龍を取り除く事…。 別に馬鹿正直に戦わんでも良いって事じゃ」

驚く二体。
それもそのはず。 敢えてテイル達の戦いを眺めていたのも、わざと会話で引っ張ったのもこの為。

「切り離せ、切り離せ。 この者達に潜む邪悪な存在を切り離せ」

『マホウジャナイ!』

「残念ね。 精霊の力よ? 力を貸しに来たついでですからね、テイルの活躍もしっかり目に焼き付けていきましょうかね。 あの精霊の子も見てみたかったのだけれど…上手く隠れてるわね」

『セイレイ! ジンノナカマジャナイノカ!』

『ニオイチガウ』

「匂いで判断するとか貴方達は獣なのかしら? それと、あんなのと一緒にしないでくれるかしら。 あぁ、もう準備は良いわよ。 行使して」

魔法とは違う。
神の技とも違う。
精霊の術を人間が模倣して使う物だ。 これにも、精霊の力が無いと発動しないのでマーリン一人では発動は出来ない。

「発動せよ…!」

特段術に名があるわけでもないので全てイメージで詠唱を行う。
いわば無理矢理。

【嫉妬】と【色欲】はその場で倒れ込んだ。

そしてその傍らには黒い玉と紫の玉が落ちていた。
これがきっと邪龍と呪刻龍の…。

「テイル、【怠惰】! 【嫉妬】、【色欲】はどうにかしたわい!」


この合図を俺と【怠惰】は待っていた。
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