錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

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第二百十八話 【暴食】からの贈り物

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「テイル君…龍の魔石が埋め込まれているんだとしてさ。 もし自我を乗っ取る様な龍だとしたら…。 邪龍や呪刻龍なんかじゃないのかい? 後考えられるとすれば…いや、それは無いか」

多分【怠惰】が言いかけたのは堕ちた龍だ。 魅入られてしまった龍とも言う。

「可能性は無いとは言い切れないけどねぇ。 正直どちらも視野に入れておかないと痛い目は見そうだ」

「確かに。 邪龍とはやりあった事があるけれど単なるパワータイプ。 呪刻龍は…多分呪いを使ってくるのかな? だとしたら相当きついね」

「あぁ、解呪系統の魔法は無詠唱の難易度相当高いからな。 俺でも正直苦戦してる」

「へぇ、君でも…。 苦手なモノは無いと思ってたよ」

「苦手なモノが無かったらもうそれ生物として成り立ってないだろ」

「言えてるね。 あ、そうだ…これをたまたま街で会った【暴食】から渡されたんだよ。 なんでだろうね?」

おい、待てよ…。
一振りの美しい刀。 何故大罪である【暴食】が刀を持っているかもまず驚きだったのだがそれに同封されているメモ。

「まぁ、聞いてると思うが、俺の名前は【暴食】だ。 こいつの銘はベルゼビュート。 暴食を司る悪魔の名前なんだってよ。 こいつの能力は斬った相手の血肉を喰らう事だ。 全て喰らったら根源をも喰らう。 ちなみに代償はねぇぞ。 ま、いつも楽しませて貰ってる礼だ、素直に受け取ってくれや…きっと役に立つぜ」

最後が意味深だがまぁ代償が無いのなら貰っておこうか。
鑑定してもこの刀の素材だけが唯一不明となっている事だけが俺の中で一番の驚きである。
俺の知らない金属がまだあるなんてなぁ。

いや、もしかしたら金属ですらないのかも…。

「テイル君、ちょっと一回試しに何か斬ってみてよ」

「あぁ、そうだね。 じゃあ訓練場で、あの変な形の的でも斬ってみようか」

「それ、サリィちゃんが起きた時に言わないであげてね。 あれ、サリィちゃんが作ったやつだから」

「…そうなんだ。 わかったよ」

壊滅的な芸術センスなのかDIYが下手過ぎるのか分からんがあれは酷い。
田舎の案山子の方が断然マシな的に見える。

「よし、設置したよ」

「じゃあ、行くよー。 シッ!」

あれ。 重さのわりには思ったよりも軽く振れるな。
…的の様子が変だぞ。
どんどん崩れ落ちていく。

「あぁ、これは材料の木材の栄養が無くなっていってるんだね。 腐り落ちていくみたいな感じじゃなくて良かったよ。 まだグロさはないね」

「そういう問題なの?」

「え? 違うのかい?」

「さて、これはマジックバッグに入れておくか」

「君は空間魔法系は転移しか使えないの不思議だよね」

うるさいなぁ。 気にしてるんだってば。
そりゃあ、魔法で物を沢山持てたら楽ですけど…。

「…」

「ごめんよ? ちょっとからかいたかったのさ。 あぁ、それと。 今後の戦闘は今まで以上にシビアになると思う。 だからちょっと君専用に幾つか装備を作って来ようと思うんだ」

「俺専用に?」

「あぁ、本当の戦い方とかも教えてもらったでしょ? だから専用に…ね」

「あぁ、なるほど」

最近は錬金術師としてってよりはただの月影一心流の門下生として戦ってるみたいな感じだったしな。
今なら錬金術師として戦った方が確実に強い。

「さ、君は大罪を...世界を救った英雄として王と謁見する準備でもしておく事だね」

…また謁見する事になるんですかね?
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