179 / 385
第百七十八話 王は苦労人
しおりを挟む
早速転移したら門の丁度目の前だった。
皆を驚かせてしまったらしい。
「ま、マーガレット伯爵…? これは?」
「信じてくれるか分からないけど、転移の魔法だよ。 それと新しく仲間になったミノタウロスだね」
あんぐりとした表情になった門番を勤める衛兵。
「スタンピードの事ですぐに知らせなきゃいけない事が幾つかあるから陛下にお目通りを願いたいんだけど良いかな?」
「承知しました。 すぐに確認を取ってまいります」
門番の一人が全速力で走って行った。
身体強化も使わずにあの速さで走れるのは凄いな。
俺もトレーニングしないと駄目だろうか…。
待つこと数分。
「陛下と宰相閣下がお会いになるそうです。 どうぞお通りください。 場内は侍女がご案内する事になっています」
「分かったよ。 助かる」
俺達は陛下の元へと向かう。
「ここは公式の場ではないから普通に喋るが、色々聞きたい事はやまやまだが…テイルはもうスタンピードを鎮めて来たのか?」
「いえ、それについてなのですが、一つの街は襲撃を収めました。 しかし、もう片方は騎士団が向かっているはずです。 これから応援に向かうつもりですが、ご報告があり参りました」
頭を抱えた陛下。 大変なんだね。
「よい、言ってくれ」
「スタンピードの主はどちらも異世界の者なので確実に手引きした者が居ます…が、ジンが単体で行えるとは思いません。 そして、帝国の皇帝がアンデッドキングになりジンと契約している様です。 呪いの武具によって正常な思考を失っていた様です」
「呪いの武具…。 もう、退位していいかの?」
「陛下、あと十年は頑張らないといけませんね」
宰相に凄い速さで突っ込まれる。 若干食い気味に。
「あと…言い難いのですが、このミノタウロスが異世界から強制的に連れてこられたスタンピードの原因で、その隣の女性は妖精で多分間違って送り込まれたのかと…」
「もう、これ以上聞きたくない…。 宰相が変わりにやってくれ」
「駄目ですよ陛下? 王妃様に言いつけますよ」
ウッっと唸る陛下。 尻に敷かれる王ってどうなの。
「騎士団が向かっている先は、私達の向かった事の無い街なので転移は使えないので直接向かいます。 帰りは全員転移で帰ってくるのであまり時間はかけません」
「いや、そういう問題でもなくてな? なにをさらっと転移とか言っとるんじゃ」
「陛下? もうマーガレット伯爵の事なんですからいちいちリアクションしてたら早死にしますよ」
宰相は俺をなんだと思ってるんだ。 ただの子供だぞ。
…多分。
「…では、すぐに向かいます」
「分かった。 吉報を待つ」
そうして俺達はすぐに応援へと向かう事になった。
門を出たところでジャービル様が思い出した様に俺の肩を叩く。
「テイルちゃん…ヴァンパイアの事言わんで良かったんか…?」
「反対されても嫌なので今回の件の褒賞にマーガレット領におけるヴァンパイアの市民権をと思って黙ってました。 褒賞なら文句言えないだろうし」
笑いながら走り出す一同。
「ブッブッブー(頭の良い馬鹿ですね!)」
やかましいわ!
皆を驚かせてしまったらしい。
「ま、マーガレット伯爵…? これは?」
「信じてくれるか分からないけど、転移の魔法だよ。 それと新しく仲間になったミノタウロスだね」
あんぐりとした表情になった門番を勤める衛兵。
「スタンピードの事ですぐに知らせなきゃいけない事が幾つかあるから陛下にお目通りを願いたいんだけど良いかな?」
「承知しました。 すぐに確認を取ってまいります」
門番の一人が全速力で走って行った。
身体強化も使わずにあの速さで走れるのは凄いな。
俺もトレーニングしないと駄目だろうか…。
待つこと数分。
「陛下と宰相閣下がお会いになるそうです。 どうぞお通りください。 場内は侍女がご案内する事になっています」
「分かったよ。 助かる」
俺達は陛下の元へと向かう。
「ここは公式の場ではないから普通に喋るが、色々聞きたい事はやまやまだが…テイルはもうスタンピードを鎮めて来たのか?」
「いえ、それについてなのですが、一つの街は襲撃を収めました。 しかし、もう片方は騎士団が向かっているはずです。 これから応援に向かうつもりですが、ご報告があり参りました」
頭を抱えた陛下。 大変なんだね。
「よい、言ってくれ」
「スタンピードの主はどちらも異世界の者なので確実に手引きした者が居ます…が、ジンが単体で行えるとは思いません。 そして、帝国の皇帝がアンデッドキングになりジンと契約している様です。 呪いの武具によって正常な思考を失っていた様です」
「呪いの武具…。 もう、退位していいかの?」
「陛下、あと十年は頑張らないといけませんね」
宰相に凄い速さで突っ込まれる。 若干食い気味に。
「あと…言い難いのですが、このミノタウロスが異世界から強制的に連れてこられたスタンピードの原因で、その隣の女性は妖精で多分間違って送り込まれたのかと…」
「もう、これ以上聞きたくない…。 宰相が変わりにやってくれ」
「駄目ですよ陛下? 王妃様に言いつけますよ」
ウッっと唸る陛下。 尻に敷かれる王ってどうなの。
「騎士団が向かっている先は、私達の向かった事の無い街なので転移は使えないので直接向かいます。 帰りは全員転移で帰ってくるのであまり時間はかけません」
「いや、そういう問題でもなくてな? なにをさらっと転移とか言っとるんじゃ」
「陛下? もうマーガレット伯爵の事なんですからいちいちリアクションしてたら早死にしますよ」
宰相は俺をなんだと思ってるんだ。 ただの子供だぞ。
…多分。
「…では、すぐに向かいます」
「分かった。 吉報を待つ」
そうして俺達はすぐに応援へと向かう事になった。
門を出たところでジャービル様が思い出した様に俺の肩を叩く。
「テイルちゃん…ヴァンパイアの事言わんで良かったんか…?」
「反対されても嫌なので今回の件の褒賞にマーガレット領におけるヴァンパイアの市民権をと思って黙ってました。 褒賞なら文句言えないだろうし」
笑いながら走り出す一同。
「ブッブッブー(頭の良い馬鹿ですね!)」
やかましいわ!
0
お気に入りに追加
2,009
あなたにおすすめの小説
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました
おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。
※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。
※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・)
更新はめっちゃ不定期です。
※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

4/4ー俺の親が自重しなかった結果チートな身体を得た。
ギン
ファンタジー
病気がちで子供時代の殆どを病院で過ごした黒鉄 倭人《クロガネ ワヒト》は人生の最後をそのまま病院にて終わらせる。
何故か先に異世界転生していた、自重しない親のおかげ?でチートな身体を得た主人公。
今度は多分、丈夫な身体でこの世界を楽しむ予定だ、異世界を異世界らしく生きて行きたい所だが、何せ親が先に来ているから。大体のことはもうお膳立てされている。そんな異世界を、自分のやりたい様に行動して行く。親父もハーレム作ったから。自分も作ろうかなとか思ってるとか、思ってないとか。
学園編、冒険者編、各種族編までは構想があるのでサクサク進める事を目標にしています。
そんなお話です。
2章のエピローグまでは1日1話程度の更新で進もうと思っています。
1日分で3000文字↑の量になります。
小説家になろうでも同じ小説で執筆中です。見やすい方でどうぞ。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる