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第七十二話 新しい出会い
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皆への演説が終わり、陛下直々に呼び出される。
「此度の演説、パフォーマンス、非常に感動させてもらった。 ワシ自身でも生産職に対する待遇の改善、いじめの削減を目指していきたいと思う」
「はい!」
「それでな、良く思わない貴族も居るだろうと思うのだ。 だからワシから最初にテイルには護衛を付けさせてほしい」
護衛…メイカでは不足なのだろうか?
「陛下、護衛と言いますと私にはメイカ・フォン・ディッセルが付いて居てくれてます。 それでは足りないのでしょうか?」
「タンク役が居ないだろう。 火力面に関しては捨てた防御型の重剣術使いで、王都で聖騎士の天職を持った者がおってな。 その者なら信もある。 大丈夫じゃろう」
「わかりました。 そのお話、お受けいたします」
宰相がほっと胸を撫でおろしていた。
「そして、此度の錬金術師育成をワシは重く受け止めておる。 よって、この企画を成功させた暁には、爵位を与えよう。 無論適当な寄り親も見つけておこう。 多分、クリスエル公爵辺りがなってくれるかもしれんが」
「はっ! 御意に!」
「よいよい、一介の人として相談があるんだが良いかな?」
「内容によりますが大抵は…」
俺は敢えて言葉を濁し宰相を見る。
それで良いとばかりにアイコンタクトをしてくるのでこれでいいのだろう。
「ふむ、本人の希望もあって学院を飛び級で卒業してしまったからうちの四女には友達が居ない。 妾の中でも格の低い娘の子だからな…一寸とも王位継承権を持たせることも出来ん…。 なにより孤立をしているのだよ。 君のお付きの侍女かパーティメンバーとして、友達としてあの子を雇ってあげてくれんか?」
「そのくらいならいいですよ。 その子の名はなんと仰るので?」
「ふむ、入って来なさい」
号令と共に入ってきたのは
見目麗しく、新しく繕ったであろうお仕着せを着てゆっくりと入ってくる歳の近そうな女の子であった。
「失礼します。 はじめまして、テイル様。 私の名前はサリィ・エル・アストレアと申します。 得意な魔法は聖魔法で天職は聖女をさせて貰っております」
「はじめまして。 テイルです。 今はクリスエル公爵に保護してもらっております」
「ご丁寧なご挨拶痛み入ります」
その子は礼をし、後ろに一歩下がる。
国王陛下は終始したり顔でなんか、すこしむかついてしまった。
「では、頑張ってくれたまえ。 良い報告を待っている」
国王陛下は立ち上がり、宰相達を連れ去って行った。
俺も部屋を去ろうと、立ち上がる。
「テイル様! 良ければ私の入れるお茶でも飲んで少しお話をしていってはくれませんか?」
「ん? いいですよ?」
「あの…主従関係もありますので私の様な人間には敬語はお使いになられないでください」
あぁ、それもそうか。 王女殿下とは言え今は侍女をやっているわけだしな。
その辺はきっちりしておいた方が良さそうだ。
「あぁ、わかったよ。 ...この香りは…マルディン領で取れる茶葉じゃないか?」
「えぇ、懐かしんで頂けるかと存じまして」
あぁ、それはとても懐かしく、零れ落ちる涙を止められない程に幸せだった時間を思い出す。
記憶を遡ってみてわかった。 父上と兄上は確実に変わられた。 そして、母上が抜け殻の様になっていたのも気になる。
やはり魔王関連だと思う。 霧がかかったようになっている部分もあるし。
助け出して元の父上達に戻してやる。
「此度の演説、パフォーマンス、非常に感動させてもらった。 ワシ自身でも生産職に対する待遇の改善、いじめの削減を目指していきたいと思う」
「はい!」
「それでな、良く思わない貴族も居るだろうと思うのだ。 だからワシから最初にテイルには護衛を付けさせてほしい」
護衛…メイカでは不足なのだろうか?
「陛下、護衛と言いますと私にはメイカ・フォン・ディッセルが付いて居てくれてます。 それでは足りないのでしょうか?」
「タンク役が居ないだろう。 火力面に関しては捨てた防御型の重剣術使いで、王都で聖騎士の天職を持った者がおってな。 その者なら信もある。 大丈夫じゃろう」
「わかりました。 そのお話、お受けいたします」
宰相がほっと胸を撫でおろしていた。
「そして、此度の錬金術師育成をワシは重く受け止めておる。 よって、この企画を成功させた暁には、爵位を与えよう。 無論適当な寄り親も見つけておこう。 多分、クリスエル公爵辺りがなってくれるかもしれんが」
「はっ! 御意に!」
「よいよい、一介の人として相談があるんだが良いかな?」
「内容によりますが大抵は…」
俺は敢えて言葉を濁し宰相を見る。
それで良いとばかりにアイコンタクトをしてくるのでこれでいいのだろう。
「ふむ、本人の希望もあって学院を飛び級で卒業してしまったからうちの四女には友達が居ない。 妾の中でも格の低い娘の子だからな…一寸とも王位継承権を持たせることも出来ん…。 なにより孤立をしているのだよ。 君のお付きの侍女かパーティメンバーとして、友達としてあの子を雇ってあげてくれんか?」
「そのくらいならいいですよ。 その子の名はなんと仰るので?」
「ふむ、入って来なさい」
号令と共に入ってきたのは
見目麗しく、新しく繕ったであろうお仕着せを着てゆっくりと入ってくる歳の近そうな女の子であった。
「失礼します。 はじめまして、テイル様。 私の名前はサリィ・エル・アストレアと申します。 得意な魔法は聖魔法で天職は聖女をさせて貰っております」
「はじめまして。 テイルです。 今はクリスエル公爵に保護してもらっております」
「ご丁寧なご挨拶痛み入ります」
その子は礼をし、後ろに一歩下がる。
国王陛下は終始したり顔でなんか、すこしむかついてしまった。
「では、頑張ってくれたまえ。 良い報告を待っている」
国王陛下は立ち上がり、宰相達を連れ去って行った。
俺も部屋を去ろうと、立ち上がる。
「テイル様! 良ければ私の入れるお茶でも飲んで少しお話をしていってはくれませんか?」
「ん? いいですよ?」
「あの…主従関係もありますので私の様な人間には敬語はお使いになられないでください」
あぁ、それもそうか。 王女殿下とは言え今は侍女をやっているわけだしな。
その辺はきっちりしておいた方が良さそうだ。
「あぁ、わかったよ。 ...この香りは…マルディン領で取れる茶葉じゃないか?」
「えぇ、懐かしんで頂けるかと存じまして」
あぁ、それはとても懐かしく、零れ落ちる涙を止められない程に幸せだった時間を思い出す。
記憶を遡ってみてわかった。 父上と兄上は確実に変わられた。 そして、母上が抜け殻の様になっていたのも気になる。
やはり魔王関連だと思う。 霧がかかったようになっている部分もあるし。
助け出して元の父上達に戻してやる。
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