錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。

いいたか

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第四十六話 入学式の朝

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何故か朝方、アリサに見送られて学院へと向かうことになった。
これから入学式である。 気分は晴れやかなことにかわりはない。

メイカにいつもより早い位置で降ろしてもらい、ドーラ様の事を任せる。

「メイカ、ドーラ様のこと、頼んだよ」

「お任せください!」

ここで別れ、いつもの果物屋さんの前を通る。

「いつものお兄ちゃん今日入学かい? お祝い買ってくかい?」

なんでこの果物屋さんは新入生にお祝い買わせようとしてるんだ? 普通保護者だろ!

「いつもありがとう、大正解! 入学式だよ だから悪いけど急いでるんだ! 帰りにやってたらまた来るよ!」

なんて会話をし、その場を立ち去る。 マリア、エメリーに買って行けばよかったかな?

そうして、少し早歩きで歩いて登校し校門に到着すると、マリアとエメリーが誰かを待っている様なので一応挨拶だけでもしておく。

「マリア、エメリーおはよう」

「「おはようございます!」」

「テイル君! さ、行きましょ!」

マリアに手を引かれる、俺は急な事に対処が出来ず困惑するがこの二人はわざわざ早く来ていつ来るか分からない俺を待っていてくれたんだと悟る。

では、甘んじてこの好意を受けようじゃないか!

「あぁ! 行こう!」

全校生徒の集まる体育館へと三人は足を踏み入れる。 上級生と思われる者たちのオーラに圧倒されそうになる二人だが上級のオーガやマーリンの力を見た俺は怖気づくことはない、寧ろこの状況を楽しんですらいる。

ここで突発的に俺は悪だくみを思いついてしまう。

「ねぇ、二人とも。 錬金術師が成り上がったら、かっこいいと思わない?」

不意に小さい声で二人に聞こえる程度に囁く。

「錬金術師…」

「…」

二人は押し黙る。 俺が何を言いたいのか察した様だ。

「俺、錬金術師なんだよね」

一瞬間が空く。 静寂だ。 一瞬なのは分かっているが時間が無限に感じる。 体感と言うやつだろう。

「そ…そんな!」

「でも、あんなに強かったじゃ!」

間髪入れずに俺は答える。

「ほんとだよ。 でも、これは秘密」

悪戯に微笑む。 そうだ、無理やりにでも仲間を作ってしまえばいいんだ。 あくどいと言われても汚いと言われても良い、それでもこの世界でいつか誰よりも成り上がる為なら…

「信じてます」

その言葉に俺は戸惑う。

「え?」

「私は、いえ、私たちはテイル君を信じます。 テイル君の力は本物です。 偽物つくりものなんかじゃありません。 私はそう感じました。 何か事情はあるのかも知れません。 今は話さなくても良いです。 ですが貴方の力は暖かいのです。 だから、私は、私達は貴方を信じます。 テイル君のその力は私を守る時に、私達を守る時に使ってくれました。 貴方は私達にとって正義の味方です。 それは変わる事はありません。 だから、私達は仲間です」

このマリアの言葉にメアリーも大きく頷いた。

それを見た俺の漆黒オニキスの瞳から一滴の涙が零れ落ちる。 これ以上ない透き通った涙だった。 その涙はどんな宝石よりも綺麗だったかもしれない。

「ありがとう」

俺は一言しか発せなかった。

ただ一言しか。 この言葉に今まで転生してから発したどんな言葉よりも深く、重い想いが込められていたことだけはきっと今後も変わらないのだろう。
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