その使用人、最強

ラム猫

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インタビュー ( 6 )

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「あらあら、貴方がインタビューをしたいと仰っているミル様ですか?」

――おおっ。また使用人の方から話しかけてくださいました。嬉しいですね。黒と白のグラデーションの髪の毛の女性です。
 はい。僕はミルと申します。皆さんにインタビューをしたくて。答えてくださると嬉しいです。

「勿論です。わたくしでよければ」

――ありがとうございます! それでは早速、あなたのお名前と種族とお仕事を教えてください。

「ミナミ・シューマです。種族は獣人の虎族。仕事は、フェール侯爵家の掃除婦を務めさせていただいております。主にミシアお嬢様のお部屋の清掃や、御屋敷の清掃をしています」

――なるほど。ミナミさん……。お話を伺ってきた使用人の方々の中でも凄くまともそうな人だ……!

「聞こえてますよ」

――ふぇ! す、すみません!

「ふふっ。大丈夫ですよ。わたくしもそう思いますもの。ですが、マーヌちゃんとクリーちゃんもまともですよ」

――確かにそうですね。クアさんもまともそうでしたが? 

「クアちゃんは……そうですね、ミシアお嬢様が絡まなかったらまともですね」

――クアさんをちゃん呼び……。ミナミさん、凄いですね。

「そうでしょうか? ふふっ」

――そうですよ。それじゃあ、次の質問に移させていただきます。ミナミさんのお気に入りの武器などはありますか?

「ありますよ。槍です」

――槍。操れたらとてもかっこよさそうですね。お名前などを伺っても?

「ええ。名前は『黒』です。といっても、黒自体の色は黒ではなくて、白なのですけどね」

――名前は黒、槍の色は白。ミナミさんの髪通りですね。

「そうですね。それも考慮して名前を考えたので。クアちゃんだけミナミお嬢様に武器の名前を付けていただいて……ずっと思っているのですがずるすぎます」

――フェール侯爵令嬢様につけていただこうとは?

「真っ先に思いました。ですが、わたくしは掃除婦なので……。ミシアお嬢様に槍を扱うと思われたくなかったのです。戦える掃除婦って珍しいじゃないですか」

――確かにそうですけど、僕はかっこいいと思います。

「まあ! お上手なこと。ありがとうございます」

――最後の質問です。ミナミさんにとって、フェール侯爵令嬢様はどのような存在ですか?

「心から、お仕えしたいと思っております。これからも、これまでも、フェール侯爵家の掃除婦であり続けたいです。ミシアお嬢様を、守り続けたいです」

――素晴らしいお心遣い……! 僕、感動しました! ミナミさん、インタビューに答えて下さりありがとうございました。

「いえ、わたくしこそありがとうございました」

――ミナミさん、いい人でしたね! 次の方にもインタビューしましょう!

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