その使用人、最強

ラム猫

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インタビュー ( 2 )

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――洗濯物を干している人影が見えますね。黄色の髪の女性です。話しかけてみましょう。すみませーん!

「あ、はい。わたしですか?」

――そうです。あの、僕、フェール侯爵令嬢様の使用人の方々にインタビューをしたいと思っていて…………

「知ってますよ、ミル様ですよね。クアから使用人全員に連絡が届いていますので」

――わお。連絡早いのですね。

「ふふっ。報・連・相は我々使用人の基本ですからね」

――ちなみにどのような連絡だったのか教えてくださいますか?

「いいですよ。えーっと……『ミルと名乗る青年が我々使用人にインタビューをしたいと仰っています。少なくともミシア様に危害を加える気などはない様なので、答えても大丈夫だと判断しました。彼の言う事は信じてもいいと思います』と。クアの言葉はほとんど正しいので、わたしもインタビューにお答えしますね」

――ありがとうございます! それじゃあ早速、あなたのお名前と種族とお仕事を教えてください。

「はい。わたしはマーヌ・サリアンドと申します。エルフ族です。仕事は、フェール公爵家の侍女長を務めさせていただいています。ミシアお嬢様の身の回りのお世話やお着替えなどをお手伝いしています。ああ、でも不届き者などがいたらしっかりと駆除させていただいています」

――…………えーっ、凄いですね。侍女なのに悪い者を退治することができるのですか。

「ミシアお嬢様をお守りするのが我々の仕事ですから」

――なるほど。使用人の心得というわけですね。それでは、次の質問です。マーヌさんのお気に入りの武器などはありますか?

「銃です。よく愛用しているのは、拳銃ですね。小さくて軽いので持ち歩いています。名前は『こん』。キンと書いてコンと呼びます。お金ではありません。拳銃の他にも、スナイパーライフルやマシンガンを使う時もありますね」

――スナイパーライフルにマシンガン。使うタイミングはあるのでしょうか。

「ありますよ。遠くの敵を倒す時や、連射したい時などです」

――どんな敵なのか、聞きたい気もしますがそこは置いておきます。
 最後の質問です。マーヌさんは、フェール侯爵令嬢様のことをどう思っていますか?

「尊いです。世界一可愛いです。わたしにとって、敬愛する主様です。お嬢様がいなければ、わたしはわたしでいることはできませんでした。わたしにとって、お嬢様は、とっても大切です」

――尊いという部分はクアさんと同じですね。でも、マーヌさんもフェール侯爵令嬢様をとても大切に思ってくれているのですね。安心しました。
 マーヌさん、改めてインタビューに答えてくださり、ありがとうございました。

「こちらこそありがとうございました。わたし達は正常ですが、ちょっと話しずらい者もいるので気をつけてください」

――ご忠告ありがとうございます。
 マーヌさんもとてもいい人ですね。次の方にもインタビューをしていきましょう!

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