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雪村と里見
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安宅さんが雪村、と口にしたときから、本当は確信していたことを本人の口から聞いて、とてもすっきりとしている。
「里見さん。雪村潤としてあなたに話したいことがあります」
雪村先生がまっすぐにわたしの目を見る。
きれいだ。澄んでいて、静かな湖面のような目だ。
「僕と結婚してください」
なぜかはわからない。でも、こうなるような気がしていた。
「突然こんなことを、しかも職場で言うのは間違っていると思います」
そう言ってしばらく沈黙が続く。わたしを映していた目を下に向けて、うつむいた先生は、ポツポツと話を続ける。
「里見さん。初めてあなたを見たとき、僕はあなたから目が離せなかった。なぜかはわからない。でも、ずっと探していた人にやっと会えた、そんな気がしたんです。でも、その気持ちはずっと封印して来ました。生徒と教師の関係として、不適切だと思ったからです」
下を向いたまま、すーっと息を吐いて、先生はまた話し始める。
「あなたが就職先としてこの学園を選んだと知ったときも、やっぱりか、としか思いませんでした。こうなることは、初めからわかっていたような気がしました」
先生から目が離せなくなる。
「明日、職員会議でみなさんにこれからは雪村姓を名乗ること、そして、学園を継ぐ資格のある人間になるために、これから今まで以上に精進することを誓うつもりです」
もう一度、先生はわたしの目をしっかり見る。
「そして、里見さん。あなたとこの白雪学園をしっかり育てていきたい。そう思っています」
先生の話はここで途切れた。
「今すぐに返事が欲しいわけじゃないんです。ただ、僕はそう考えていることをあなたに話したいと思いました」
「里見さん。雪村潤としてあなたに話したいことがあります」
雪村先生がまっすぐにわたしの目を見る。
きれいだ。澄んでいて、静かな湖面のような目だ。
「僕と結婚してください」
なぜかはわからない。でも、こうなるような気がしていた。
「突然こんなことを、しかも職場で言うのは間違っていると思います」
そう言ってしばらく沈黙が続く。わたしを映していた目を下に向けて、うつむいた先生は、ポツポツと話を続ける。
「里見さん。初めてあなたを見たとき、僕はあなたから目が離せなかった。なぜかはわからない。でも、ずっと探していた人にやっと会えた、そんな気がしたんです。でも、その気持ちはずっと封印して来ました。生徒と教師の関係として、不適切だと思ったからです」
下を向いたまま、すーっと息を吐いて、先生はまた話し始める。
「あなたが就職先としてこの学園を選んだと知ったときも、やっぱりか、としか思いませんでした。こうなることは、初めからわかっていたような気がしました」
先生から目が離せなくなる。
「明日、職員会議でみなさんにこれからは雪村姓を名乗ること、そして、学園を継ぐ資格のある人間になるために、これから今まで以上に精進することを誓うつもりです」
もう一度、先生はわたしの目をしっかり見る。
「そして、里見さん。あなたとこの白雪学園をしっかり育てていきたい。そう思っています」
先生の話はここで途切れた。
「今すぐに返事が欲しいわけじゃないんです。ただ、僕はそう考えていることをあなたに話したいと思いました」
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