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6 明るい明日へ
ひと夏の冒険。
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3人結局無言のまま服を脱ぎ、洗い場で頭を洗い始める。
「寮長先生、わたし。退学になっちゃいますか?」
「ええっ?ならないならない」
「じゃ、笹生さん退学にはならないんですね」
「里見先生、あなた校則把握しなさいってあれほど」
すみません。校則?寮則じゃなくて?ん?あれ?
「今回、あなたは寮の規則を破りました。でも、学校の規則を破ったわけではないので、退学のような、学校の規則に基づく処分を受けることはありません」
「そうなんだ、よかった」
つい、言葉がもれる。
「里見先生、あなたあとで校則3回書き写して提出ね」
わ。こっちに罰とんできた。
「寮長先生、わたし。あの。すみませんでした」
寮長先生は、シャワーで頭をすすいでいて、聞こえてないかも?
そのまま三人ともシャンプーをすすいで、コンディショナーをつける。
「里見先生、あなた、寮生時代、何か寮則破るようなことした?」
なにかしたかな?反省文は結構書いたけど。寮則は、うーん。
「ない、かもです」
「そう。里見先生は、反省文はうんとたくさん残ってたけれど、寮則違反で罰を受けた記録はなかった」
シャワーをかけてまた、頭をすすぐ。
すすぎ終えた笹生さんが、からだを洗い始める。
「そういえば、廣瀬先生から引き継ぎ受けたときに、寮則破るような子いないから、っておっしゃっていたような」
たっぷり石鹸を泡立てながら、寮長先生がこたえる。
「ないのよ。門限破りなんて、わたし初めて見たのよ」
寮長先生が初めて。どんだけここの子たち、良い子なの。
「ごめんなさい」
笹生さんがからだを縮めて謝る。
「ひと夏の冒険だったのよね」
寮長先生がやわらかな声で話し出す。
「わたしはね。校則破りもなんにも出来なかった。大人に叱られないように、いつもいい子でいたから、一回くらいなにかやって、叱られておけば良かったかななんて思っているのよ」
意外。とても意外。
「里見先生も、そうじゃない?」
「あ。わたしは、成績が悪くて、居残り勉強とかしてた方なので、そこまでは思わないです」
「あら、そうなの?」
ふふふ。寮長先生が楽しそうに笑う。
「それに、今、ほぼほぼ毎日、指導教官にガミガミ叱られてますし」
「たしかにそうね」
「門限破りなんて、自宅生なら一度や二度やってるでしょ。だから、別に良いかな、と思うのよ」
「え、寮長先生そんなこと言って大丈夫ですか?」
「笹生さんは、規則を破ったから、規則通りに罰を受けている。それで十分じゃない?」
「寮長先生、わたし。退学になっちゃいますか?」
「ええっ?ならないならない」
「じゃ、笹生さん退学にはならないんですね」
「里見先生、あなた校則把握しなさいってあれほど」
すみません。校則?寮則じゃなくて?ん?あれ?
「今回、あなたは寮の規則を破りました。でも、学校の規則を破ったわけではないので、退学のような、学校の規則に基づく処分を受けることはありません」
「そうなんだ、よかった」
つい、言葉がもれる。
「里見先生、あなたあとで校則3回書き写して提出ね」
わ。こっちに罰とんできた。
「寮長先生、わたし。あの。すみませんでした」
寮長先生は、シャワーで頭をすすいでいて、聞こえてないかも?
そのまま三人ともシャンプーをすすいで、コンディショナーをつける。
「里見先生、あなた、寮生時代、何か寮則破るようなことした?」
なにかしたかな?反省文は結構書いたけど。寮則は、うーん。
「ない、かもです」
「そう。里見先生は、反省文はうんとたくさん残ってたけれど、寮則違反で罰を受けた記録はなかった」
シャワーをかけてまた、頭をすすぐ。
すすぎ終えた笹生さんが、からだを洗い始める。
「そういえば、廣瀬先生から引き継ぎ受けたときに、寮則破るような子いないから、っておっしゃっていたような」
たっぷり石鹸を泡立てながら、寮長先生がこたえる。
「ないのよ。門限破りなんて、わたし初めて見たのよ」
寮長先生が初めて。どんだけここの子たち、良い子なの。
「ごめんなさい」
笹生さんがからだを縮めて謝る。
「ひと夏の冒険だったのよね」
寮長先生がやわらかな声で話し出す。
「わたしはね。校則破りもなんにも出来なかった。大人に叱られないように、いつもいい子でいたから、一回くらいなにかやって、叱られておけば良かったかななんて思っているのよ」
意外。とても意外。
「里見先生も、そうじゃない?」
「あ。わたしは、成績が悪くて、居残り勉強とかしてた方なので、そこまでは思わないです」
「あら、そうなの?」
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「それに、今、ほぼほぼ毎日、指導教官にガミガミ叱られてますし」
「たしかにそうね」
「門限破りなんて、自宅生なら一度や二度やってるでしょ。だから、別に良いかな、と思うのよ」
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