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2 新年度スタート
わたしは嬉しい
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「廣瀬先生、里見先生。うちのクラスの笹生愛子さん、すごいんです。中間テスト、2位に15点差で1位ですよ」
「えー!すごーい」
あまりに嬉しくて、廣瀬先生とハイタッチしてしまう。
「笹生さんってすごいんですねー」
ニマニマしながら、机の上の書類を片付ける。今週の閉門当番は廣瀬先生だけど、変わってもらおうかな。一番におめでとう!って言いたい。
「ね、閉門当番かわろうか?」
「廣瀬先生、読心術?」
なぜか水谷先生が噴き出す。
「あ、すみません。里見先生は、わかりやすいからたぶん、みんな読心術使えますよ」
えっ。なにそれ。
「ま、いいから。当番変わるから、もう帰りなよ」
「ありがとうございます」
すごくワクワクした気持ちで寮に帰る。笹生さんは、今日も平常運転、まだ寮に戻っていない。
「ただいまー」
「おかえりー」
部活を終えた寮生が帰ってくる時間になる。門限までまだ30分。笹生さんは、まだか。
「先生、なんか良いことあったんですか?」
「うん。とびきり嬉しいことがあったの」
「いいなあ。わたし、中間の数学めっちゃ悪くて、今度こんな点数だったら、レギュラー外すって言われた」
「わ。それはたいへん!勉強して」
ニマニマしたままだけど、肩に手を置いて、がんばれ、の念を送る。数学が苦手な気持ちはよくわかるよ。
次々帰ってくる寮生をおかえり、と迎えて、ようやく笹生さんが帰ってきた。
「笹生さん、おかえりー」
「ただいま」
「ね、笹生さん!中間テスト、一位だったよ。わたし、すごーく嬉しい」
笹生さんが、不思議な顔をする。照れてるのかな。
「笹生さん、文系なのに数学90点なんだってねー。すごい。なんか、もう、嬉しい!」
笹生さんは、照れてるというより、面食らっているのか、不思議そうな顔でわたしを見ている。
しまった。自分が嬉しすぎてつい、笹生さんに嬉しさを押し付けてしまったか。
「あ、あの。ごめんなさい。わたし、笹生さんが一位だって聞いて、嬉しくなっちゃって」
「なんで、先生が嬉しいんですか?」
「あ。笹生さんは、嬉しくない、の?」
「やったな、くらいには思いますけど。先生がなんでそんなに嬉しがってるのかが、わかんない」
「だって。笹生さんは、寮生だから。寮生が誉められたり、良いことがあったりしたら、わたしは嬉しいの」
ふーん。笹生さんは、なんかそんな感じ。
「あの。部屋入っていいですか?」
「はい。どうぞ」
自分が教えているクラスの子も、寮生も、誉められていたらとても嬉しい。自分が誉められるより、もしかしたら嬉しいかもしれない。この感じ、なんなんだろうな。
「えー!すごーい」
あまりに嬉しくて、廣瀬先生とハイタッチしてしまう。
「笹生さんってすごいんですねー」
ニマニマしながら、机の上の書類を片付ける。今週の閉門当番は廣瀬先生だけど、変わってもらおうかな。一番におめでとう!って言いたい。
「ね、閉門当番かわろうか?」
「廣瀬先生、読心術?」
なぜか水谷先生が噴き出す。
「あ、すみません。里見先生は、わかりやすいからたぶん、みんな読心術使えますよ」
えっ。なにそれ。
「ま、いいから。当番変わるから、もう帰りなよ」
「ありがとうございます」
すごくワクワクした気持ちで寮に帰る。笹生さんは、今日も平常運転、まだ寮に戻っていない。
「ただいまー」
「おかえりー」
部活を終えた寮生が帰ってくる時間になる。門限までまだ30分。笹生さんは、まだか。
「先生、なんか良いことあったんですか?」
「うん。とびきり嬉しいことがあったの」
「いいなあ。わたし、中間の数学めっちゃ悪くて、今度こんな点数だったら、レギュラー外すって言われた」
「わ。それはたいへん!勉強して」
ニマニマしたままだけど、肩に手を置いて、がんばれ、の念を送る。数学が苦手な気持ちはよくわかるよ。
次々帰ってくる寮生をおかえり、と迎えて、ようやく笹生さんが帰ってきた。
「笹生さん、おかえりー」
「ただいま」
「ね、笹生さん!中間テスト、一位だったよ。わたし、すごーく嬉しい」
笹生さんが、不思議な顔をする。照れてるのかな。
「笹生さん、文系なのに数学90点なんだってねー。すごい。なんか、もう、嬉しい!」
笹生さんは、照れてるというより、面食らっているのか、不思議そうな顔でわたしを見ている。
しまった。自分が嬉しすぎてつい、笹生さんに嬉しさを押し付けてしまったか。
「あ、あの。ごめんなさい。わたし、笹生さんが一位だって聞いて、嬉しくなっちゃって」
「なんで、先生が嬉しいんですか?」
「あ。笹生さんは、嬉しくない、の?」
「やったな、くらいには思いますけど。先生がなんでそんなに嬉しがってるのかが、わかんない」
「だって。笹生さんは、寮生だから。寮生が誉められたり、良いことがあったりしたら、わたしは嬉しいの」
ふーん。笹生さんは、なんかそんな感じ。
「あの。部屋入っていいですか?」
「はい。どうぞ」
自分が教えているクラスの子も、寮生も、誉められていたらとても嬉しい。自分が誉められるより、もしかしたら嬉しいかもしれない。この感じ、なんなんだろうな。
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