207 / 291
死者の国 冥界
LV202 獄門
しおりを挟む
フミヤがエレボスに言葉責めによる攻撃している間、少し離れた所では激しい衝突音が鳴り響いていた。
ブリズエラとタイタロスの衝突音である。
遥か上空にはハデス城の結界があるため、あまりにも高所にはいけないが、結界に届かない範囲内で二人は飛びながら戦いを繰り広げていた。
「さすが、神と名乗るだけある」
「お前は、この強さの魔人……魔王だな」
その戦いは実に均衡していた。ブリズエラの拳が打てばタイタロスが蹴りを返し、タイタロスが肘打ちをするとブリズエラも肘打ちで対応する。ブリズエラの攻撃が当たると負けじとタイタロスも必ず攻撃を当ててくる。
ブリズエラとタイタロスの戦いはまだ準備運動程度の攻防だったが、すぐに両者は互いの実力が近い事を悟った。
「ちまちまやっていてはらちエレボスに言葉責めによる攻撃している間、少し離れた所では激しい衝突音が鳴り響いていた。
ブリズエラとタイタロスの衝突音である。
遥か上空にはハデス城の結界があるため、あまりにも高所にはいけないが、結界に届かない範囲内で二人は飛びながら戦いを繰り広げていた。
「さすが、神と名乗るだけある」
「お前は、この強さの魔人……魔王だな」
その戦いは実に均衡していた。ブリズエラの拳が打てばタイタロスが蹴りを返し、タイタロスが肘打ちをするとブリズエラも肘打ちで対応する。ブリズエラの攻撃が当たると負けじとタイタロスも必ず攻撃を当ててくる。
ブリズエラとタイタロスの戦いはまだ準備運動程度の攻防だったが、すぐに両者は互いの実力が近い事を悟った。
「ちまちまやっていては埒が明かないみたいだ」
ブリズエラは魔気を高める。
「そのようだ」
タイタロスもまた冥力を高めた。
ブリズエラの周りに無数の氷の刃が現れる。
「くらえ、氷結の刃」
ブリズエラは無数の氷の刃をタイタロスに放った。
「獄門」
タイタロスが手を前にかざすと目の前に巨大な扉が現れる。その門が壁となり氷結の刃は全て弾かれていく。
「これだけではないぞ」
さらにタイタロスが出現させた獄門はゆっくり開きだす。獄門の奥から見える無数の光る目はブリズエラに視線を送る。
「行け、深淵の冥獣ケルべロス」
門が開ききるタイミングで10匹の冥獣ケルべロスが、ブリズエラへ一斉に襲い掛かる。
ケロべロスとは、狼程の大きさに三つの頭と蛇の尾を持つ冥界の番犬である。
「こいつら空を飛べるのかよ!」
慌てるブリズエラ。
「空を飛べるのではない。空を駆けれるのだ」と、タイタロスは言う。
「くっ……」
前後の鋭い爪で一斉に襲い掛かるケロべロスの群れにブリズエラは苦戦。鋭い爪は魔気で生成されているブリズエラの魔王の装束を切り裂く。タイタロスには劣るが、それに近い速度で攻撃を繰り出す10匹のケロべロスにブリズエラは防戦一方となった。
「氷結の刃」
たまらずブリズエラは自身の周りに再度氷の刃を出現させる。
氷の刃を警戒するように、ケロべロスはブリズエラと若干の距離を取った。
「グルルゥ」と、威嚇する声を放つケロべロスにブリズエラは氷の刃を放つ。
命中したのは三匹のみ、体を氷の刃で貫かれた三匹のケロべロスは地面へ落下していく。残った7匹のケロべロスは仲間がやられた事にいきり立ち、いっそう激しくブリズエラへ襲い掛かる。
「それならば……」と、ブリズエラが右手を空に掲げ魔法を発動させようとする。――が、その直後一匹のケロべロスがブリズエラの右手に喰らついた。
「くぅっ」
苦痛の声を上げ、ブリズエラは腕に喰らいついたケロべロスを必死に引きはがそうとするが、ケロべロスも離すまいと必死に喰らいつく。それを好機と見たケロべロスの群れは一斉にブリズエラへ覆い被さる。
ケロべロスの群れに揉みくちゃにされたブリズエラはそのまま地面に落下する。
その様子を見ていた。メロ・神薙・タケルは慌ててブリズエラの元へ走り寄った。
駆け付けたメロ達の前で、ケロべロスが吹き飛ぶ。
「氷結の鎧」
ブリズエラの体の包む硬い氷の鎧が、ケロべロスの一斉攻撃を防いでいたのだ。
「加勢します!」
タケルは剣を抜き身構えた。
「モキュ!」
メロはそんなタケルを「パクッ」と、一口で飲み込んだ。最弱のタケルがいるとかえって面倒くさい事になると考えたためだった。
メロと神薙はブリズエラの元でかたまり戦闘態勢に入る。
「空では私達が補助できません。ここは地上戦で行きましょう」
神薙はブリズエラに助言する。
「……」
ブリズエラは納得していない様子で黙って構えた。強がってはいたが、さすがに一人でケロべロスを相手するのは厳しいとわかっていたのだろう。
「ふはは、よかろう。では追加してやろう」
タイタロスはケロべロス出現後に閉まった獄門の扉を再度に開く。
獄門から再び10匹のケロべロスが姿を現す。
……つづく
ブリズエラとタイタロスの衝突音である。
遥か上空にはハデス城の結界があるため、あまりにも高所にはいけないが、結界に届かない範囲内で二人は飛びながら戦いを繰り広げていた。
「さすが、神と名乗るだけある」
「お前は、この強さの魔人……魔王だな」
その戦いは実に均衡していた。ブリズエラの拳が打てばタイタロスが蹴りを返し、タイタロスが肘打ちをするとブリズエラも肘打ちで対応する。ブリズエラの攻撃が当たると負けじとタイタロスも必ず攻撃を当ててくる。
ブリズエラとタイタロスの戦いはまだ準備運動程度の攻防だったが、すぐに両者は互いの実力が近い事を悟った。
「ちまちまやっていてはらちエレボスに言葉責めによる攻撃している間、少し離れた所では激しい衝突音が鳴り響いていた。
ブリズエラとタイタロスの衝突音である。
遥か上空にはハデス城の結界があるため、あまりにも高所にはいけないが、結界に届かない範囲内で二人は飛びながら戦いを繰り広げていた。
「さすが、神と名乗るだけある」
「お前は、この強さの魔人……魔王だな」
その戦いは実に均衡していた。ブリズエラの拳が打てばタイタロスが蹴りを返し、タイタロスが肘打ちをするとブリズエラも肘打ちで対応する。ブリズエラの攻撃が当たると負けじとタイタロスも必ず攻撃を当ててくる。
ブリズエラとタイタロスの戦いはまだ準備運動程度の攻防だったが、すぐに両者は互いの実力が近い事を悟った。
「ちまちまやっていては埒が明かないみたいだ」
ブリズエラは魔気を高める。
「そのようだ」
タイタロスもまた冥力を高めた。
ブリズエラの周りに無数の氷の刃が現れる。
「くらえ、氷結の刃」
ブリズエラは無数の氷の刃をタイタロスに放った。
「獄門」
タイタロスが手を前にかざすと目の前に巨大な扉が現れる。その門が壁となり氷結の刃は全て弾かれていく。
「これだけではないぞ」
さらにタイタロスが出現させた獄門はゆっくり開きだす。獄門の奥から見える無数の光る目はブリズエラに視線を送る。
「行け、深淵の冥獣ケルべロス」
門が開ききるタイミングで10匹の冥獣ケルべロスが、ブリズエラへ一斉に襲い掛かる。
ケロべロスとは、狼程の大きさに三つの頭と蛇の尾を持つ冥界の番犬である。
「こいつら空を飛べるのかよ!」
慌てるブリズエラ。
「空を飛べるのではない。空を駆けれるのだ」と、タイタロスは言う。
「くっ……」
前後の鋭い爪で一斉に襲い掛かるケロべロスの群れにブリズエラは苦戦。鋭い爪は魔気で生成されているブリズエラの魔王の装束を切り裂く。タイタロスには劣るが、それに近い速度で攻撃を繰り出す10匹のケロべロスにブリズエラは防戦一方となった。
「氷結の刃」
たまらずブリズエラは自身の周りに再度氷の刃を出現させる。
氷の刃を警戒するように、ケロべロスはブリズエラと若干の距離を取った。
「グルルゥ」と、威嚇する声を放つケロべロスにブリズエラは氷の刃を放つ。
命中したのは三匹のみ、体を氷の刃で貫かれた三匹のケロべロスは地面へ落下していく。残った7匹のケロべロスは仲間がやられた事にいきり立ち、いっそう激しくブリズエラへ襲い掛かる。
「それならば……」と、ブリズエラが右手を空に掲げ魔法を発動させようとする。――が、その直後一匹のケロべロスがブリズエラの右手に喰らついた。
「くぅっ」
苦痛の声を上げ、ブリズエラは腕に喰らいついたケロべロスを必死に引きはがそうとするが、ケロべロスも離すまいと必死に喰らいつく。それを好機と見たケロべロスの群れは一斉にブリズエラへ覆い被さる。
ケロべロスの群れに揉みくちゃにされたブリズエラはそのまま地面に落下する。
その様子を見ていた。メロ・神薙・タケルは慌ててブリズエラの元へ走り寄った。
駆け付けたメロ達の前で、ケロべロスが吹き飛ぶ。
「氷結の鎧」
ブリズエラの体の包む硬い氷の鎧が、ケロべロスの一斉攻撃を防いでいたのだ。
「加勢します!」
タケルは剣を抜き身構えた。
「モキュ!」
メロはそんなタケルを「パクッ」と、一口で飲み込んだ。最弱のタケルがいるとかえって面倒くさい事になると考えたためだった。
メロと神薙はブリズエラの元でかたまり戦闘態勢に入る。
「空では私達が補助できません。ここは地上戦で行きましょう」
神薙はブリズエラに助言する。
「……」
ブリズエラは納得していない様子で黙って構えた。強がってはいたが、さすがに一人でケロべロスを相手するのは厳しいとわかっていたのだろう。
「ふはは、よかろう。では追加してやろう」
タイタロスはケロべロス出現後に閉まった獄門の扉を再度に開く。
獄門から再び10匹のケロべロスが姿を現す。
……つづく
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
24
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる