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謎の男

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いつものように斗真が仕事のため家から出て行った。
ゆうこは辛そうな表情をした母親の事が心配で
自宅へ行くも やはり不在であったため
その足で優子が入院する病院へ行ってみる事にした。

病院の入り口でちょうど母親と出会った。
「いつもありがとう、お母さん。毎日来なくても大丈夫だよ
たまには家でゆっくり休んで!」
今まで何かつけては母親と口論になり
お互いが口をきかない日もあったが、話したいのに
話せない不自由さに ゆうこは歯がゆさを感じていた。
そして 母親の愛情に触れ 自然に涙が零れた。

母親は帰宅してしまったが、せっかく病院まで来たので
とりあえず自分の身体が眠るICUに向かう事にしたゆうこ。
だが、今まで眠っていたICUに優子の姿はない。
「え、私 死んじゃった?」
慌てたゆうこは 自分の身体を必に探した。

それから30分余り・・・。
1階から病院内を順番に探し回ったゆうこは
最上階の6階でようやく自分の名札が貼られた病室を
発見し中に入った。

ゆうこは扉をすり抜け4人部屋の右奥のベッドに進むと
穏やかに寝ている優子を発見した。
どうやら絶対安静状態から回復し ICUから
一般病棟に移されていたみたいだ。
「あれ、誰か座ってる。」
優子が寝るベッドの横で一人の男性が座り
手を握り 顔を見つめている。
「私好みのイケメン、誰?誰?」

男は優子に話しかけていた。
「優子、今日は休みなんだ。良かったね、外傷はひどくないって
早く目が覚めるといいね。」
優子は頭に包帯を巻いていたが、顔などには特に目立った傷もなく
本当にただ寝ているだけのようだ。
「じゃあ また来るね。」

男は優子にそう告げると病室を後にした。
「しまった、ついて行けば良かったな。」
しばらくして病院を出たゆうこはふと思ったが、
今日のところは諦め 家に帰宅したのだった。
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