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長い夜①
しおりを挟む「番だからって理由で、嫌いなタイプな女にも勃起するんですね?」
ベッドの上に全裸の男が横たわる。銀色の髪にアイスブルーの瞳。銀狼獣人の鍛えぬかれた筋肉質な体躯は、匠が趣向を凝らした彫刻のよう。
その下半身に私の匂いを嗅いだだけで、浅ましく立ち上がった陰茎。そこだけ別の生き物のように生々しい。こんなものが付いてるなんて、男とは惨めな生き物だ。
赤黒くいきり立つそれを気の毒そうに見下ろしてやれば……かっと男の顔が羞恥に染まる。
「はあっ。はあっ……アザレナ、お前!おれの番だからっていい気になるなよ!!」
眉間に深く皺を刻み苦しそうに射精感に耐える男は悔しげに吐き捨てた。
「いい気になんて、なっていませんよ……ただ哀れなだけです。騎士団百人切りの色男と言われるルーク・アレイル。その人が、竜の幼生体の私の貧弱な体に反応しているのがね………」
寝室に入る前に飲んだ匂い増幅薬が効いているようで、私はにんまり笑う。
鼻を引くつかせるルークは蒸せかえるような番の匂い(私の体臭)に晒されているはず。効き目は下半身が物語っていて、私が欲しくて辛そうね。
ルークの無駄に長い両足の間に陣取ると着ていた白の清楚なナイトドレスをすると脱ぎ捨てた。
窓からぼんやり月明かり。うっすらと産まれたままの私の肢体が浮き上がる。陶器のような白い肌。ささやかな胸の膨らみ、ポッチに似た小さな乳首。くびれのない腰と肉付きの悪いお尻。つるりとした無毛の陰部。典型的な幼児体型を見せつけて。
「く、くそ!……こんな、はっ。幼い、こ、子供みたいな体に……ああっ!ぐっ!何を!」
私は、足の裏でそそりたつ陰茎を押さえ、ゆっくり力を入れて踏みつける。浅ましい一部は、びくんびくんと足の裏で跳ね、先からぬめる青臭い先走りを滲ませた。足先にまとわりつく粘液にぞくりと体が震える。
「子供みたいな体に欲情してるのは誰ですか?」私の問いにルークは快楽と苦痛の混ぜこぜな表情を浮かべる。
「ふふっ……その表情は良いですね」
「はっ……や、止め……」
逃げようとするルークの陰茎を更に深く踏み込めば震える腰がベッドに沈んだ。
「ぐっ……はあ、はっ。も、もうや、止めろ!」 腕を伸ばし私に触れ止めようとしたルークの頭の上の三角形の狼耳に囁く。
「良いのですかルーク?私に触れて?女神マーヤの名に誓いましたよね?自分からは幼生体の私に触らないと……」ルークは、歯ぎしりすると鋭く私を睨む。
「…ああ!誓った……クソっ!」
世界を創り護る女神マーヤに誓う。それは絶対的な誓い。契約を破れば嘘を嫌うマーヤに石にされてしまう。ルークは腕を下ろすとシーツをぐっと握り締めた。簡単に石になってもらってはつまらない。
「……ルークは止めろって言いますが、先ほどからこの穴から溢れる液体が止まらないのですが?」
つま先で丸くしずくを次々生み出す入り口をつつく。トロリと面白いように涌き出た粘液。 その粘液を潤滑油にして足指で穂先に丸を描くように刺激する。
「…あ!…っ、く、ああ!」
足先で陰茎の裏筋を下から上に撫でればルークは食い縛る歯の隙間から、耐えきれず吐息を漏らした。
シーツを硬く握り身を捩る。腹立つほど色っぽい声に私の加虐心が満たされる。
番なんかに振り回されて本当に馬鹿な男。
「気持ちいいのですか?」
「はーはー。ふー。そ、そんなわけあるか!お前なにかしたな?お、俺が、はっ、処女に好き勝手にされるわけない!!あぁっ!!」
両足の土踏まずで挟み込み、ぬるついた陰茎をズリズリ上下にしごいていく。ルークは快楽を逃そうと真っ赤な顔でシーツを硬く握り、身をよじる。
「女神に誓ったので、番抑制薬は飲んでませんよ!……別の薬は飲みましたが……私の、番の匂い凄いですか?」
「お前っ!!ふ、あぁぁ!!」
ふっと息を吹き掛ければ、爆発寸前の凶器のような陰茎はどくどくと拍動した。耐えるルークの意思を無視し、私の足の刺激で太く硬く大きくなる。
――ずりずりにゅぷにゅぷ………淫水を奏で足を上下に力強く動かす。
室内に響く音色。私の増幅された番の匂いに混ざるルークの番の精の匂い。忌々しい番の甘い匂いが、私の幼い体にも浸透する……体が熱い。下半身がずくんと疼く。
自分の匂いで打ち消しても、番抑制薬の影響で番の匂いを感知しにくくとも、長くルークと肌を重ねるのは危険行為。
私に番なんて必要ないのだから。
「くっ、ぐっ。はっ!あぁぁっ!もうっ、くっ!で、出る!!」室内にルークの耐える声が満ちた。徐々に惚けて甘くなる。
びくんびくんと限界を向かえルークの腰が大きく跳ねた。無意識に陰茎を差し出すかのように私の足に擦り付ける。なんて浅ましい行為なんだろう?
「ほら、ルーク。番の私の足で情けなくイキなさい」むにゅっと肥大した陰嚢を踵で踏みつけてやった。
「ん、んんっ!ああぁっーー!!」
ルークはびゅうびゅうと音が聞こえそうなほど盛大に精子を吐き出す。
私を番と認識して1ヶ月、番以外といたせなくなってしまったルークの精子の量は多い。無駄に勢いよく飛んだ白い精子は私の足、お腹、胸、顔にかかる。ぬるま湯を浴びたかのような……予想外の出来事に私は一瞬放心した。
「濡れちゃった……」
手のひらで頬のドロッとした精子を拭う。ひどく獣臭い濃厚な雄の精。
「顔にかけるなんて最低ですね」
「…はあっ。はあっ、お、お前が刺激するからだ!」イかされ悔しいのか顔を真っ赤に染め、汗臭く荒い息を吐くルーク。下半身は射精の余韻に震え、自ら吐き出した精液まみれ。吐き気がするほど汚ならしい光景。
鼻孔を突き抜けるむっとする濃厚な甘い甘い番の匂い……。嗅ぎたくなくて鼻を手で押さえた。
赤黒くテラテラ光る。吐き出しても、まだそそりたつ陰茎から悔しいほど目が逸らせない。
「……アザレナ?」
汚い、汚い―――穢らわしい。
番なんて呪い、私の家族を引き裂いた呪縛。否定したい……のに……嫌なの……に。
手で鼻を押さえても、まとわりつく番の甘い匂い。脳神経が焼き切れ、甘美な匂いに正常な思考が浸食される。熱い……発熱したかのよう。汗が滲む苦しく息が上がる。ひどく喉が乾き、お腹がじくじくする。
なんで?……。
なんて……。
酷く、美味しそうな――。
「…はっふ」
甘くて憎らしい、素晴らしい香りのするソレを戸惑うことなく口に含んだ。つるりとした先が喉奥を刺激する。
カリが大きい苦しい。それでも、えづく寸前なのに口から出す選択肢はなかった。
「んんっ、ふう。はっ、ふっ。なんて……無駄に、はっ、大きいんですか?」
逃げようとするルークの腰を引き寄せた。腕を回し、もふっとしたしっぽを両手でわしづかむと口が裂けそうなほど怒張した陰茎を根本まで頬張る。ルークのしっぽが興奮の為か大きく膨らんだ。
じゅぼじゅぼ口を頭を動かし、太い箇所に舌を這わす。穂先から流れる甘美な汁を……夢中で啜る。疼く下半身が熱くてたまらない。
ちゅるちゅるじゅぼじゅぼ――。
「はっ、はっ、アザレナっ!!こ、こんな!また……くっ!!で、出ちまう!!~~ああっ!!」ルークはシーツを掴み拳を握り締めた。
「ううう~~~っ!!」
ガクガクとルークは、私の口の中に射精した。多量の精液が咽頭に注がれ溺れそう。甘露のようなソレを飲み込んだ。
飲みきれないものが唇の端から溢れ、鼻の方まで逆流する。苦しくて盛大にむせ、涙目で咳き込みながらルークを睨んだ。
「げほ、げほっ。く、苦しいっ……ル、ルーク出しすぎです!二回目なんだから自重しなさい!」
「はあっ……はっ。じ、自重って!痴女バリに無理矢理俺を襲ったのはお前だろう?……番を否定してるくせに、はっ!俺の……匂いに我慢出来なかったのか?」
二回吐精し余裕が出てきたのか、呼吸を整えたルークは私をからかいだす。
「~~っ!違います!!私が成体になるために精液摂取が必要なだけです!我慢できなかったわけではありません!私に番は必要ありませんから!」
竜の成体になり番解除を教会に認めさせるため。教会の出した条件に従っているにすぎない。こんなの無意味な交わり。
教会の出した番解除の条件……それは、番と一晩をともにすることだった。
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