上 下
4 / 12

夢なら

しおりを挟む
 
 奴隷のフィンはソナナの献身に感謝した。フィンはソナナに恩を返したいと強く思っていた。 
  
 しかし、共に過ごし生活をするうちに、主人の意向を機敏に察し、必要な家事をする意外はソナナに鈴で呼ばれない限り接しないことにした。静かで穏やかに1人で快適に過ごすのがソナナの願いだと理解したからだった。 

 ソナナはフィンに小遣いを与えて、行動制限もしなかった。フィンも家事の合間に釣りに行ったり町で買い物をしたりと奴隷とは思えないほど快適に過ごす。一階に自室を与えられ好きな家具を買えと大金を渡され、呆気にとられたものだ。 
  
  主人との距離をわきまえつつ自身も、快適に過ごしてきたフィンに1年前爆弾が投下されたのである。 
  
 媚薬作りに嵌まっていたソナナからの精子提供の命令。 
  
 フィンはソナナより5歳年上の22歳男盛り。容姿は悪くない。固そうな茶髪に透き通った菫色の瞳。引き締まった体。 
  
 前の主人は男性で労働力と護衛目的の奴隷だったため女性経験はなかった。     
  
 呆然とするフィンにソナナはビンを手渡し、「このビンをフィンの精子で一杯にして、濃ければ濃いほど欲しいから、沢山出して」と、のたまったのだ。
  
 ビンに仄かに残るソナナの体温と部屋に入ってきた彼女の残り香をエサにフィンは猛る自身を扱き擦った。 
 ビンは、あっという間に濃い白いモノで一杯になる。 
 それを渡しに行けば、頬を赤らめ嬉しそうな魔女がいた。 
  
 もしかして、このまま夜のお誘いが有るのでは?と期待していたフィンは直ぐに打ち砕かれた。魔女は嬉々として薬作りを始めたからだ。
  
 魔女の作る媚薬は好評のようで、度々精子提供を求められた。 
    
 魔女の服の洗濯はフィンの仕事だ。フィンは洗濯前のソナナの服の匂いを嗅ぎながら、時折自身に押し付け擦り、魔女の体を想像しながら精子提供をし続けた。 
  
 魔女に触りたい……入れたいと1人、悶々としながら。 
  
 フィンだって若い男性だ。自慰をしたことがないわけなどない。ただ対象は町ですれ違った美人さんだったり、店の看板娘などだった。 
  
 主人で命の恩人でもあるソナナを女神のように崇拝していた彼は、無意識にソナナを性の対象から外していたのだ……今日までは。 
  
 閉じていた蓋をその想い人に、無理やりこじ開けられたフィンはソナナへの思いが溢れだす。
  
 一度その対象となれば、それ以外には見られない。蓋は開きっぱなしだ。 
  
 でも、自分は奴隷。主人に無体を働く訳にはいかない。恋慕を押し殺し、仕事をこなす日々。
 
 それでも昼間、気付かれないようにこっそり魔女を盗み見にするのがフィンの新たな日課となる。
  
 フィンは気紛れでも良いからソナナがフィンに手を出してくれたらと常々思っていた。彼女専用の性奴隷になりたいぐらいだ。

 だから、精子摂取を手伝うと服を脱ぐソナナを見て、死ぬ前に死神が魅せる夢だと思った。
 何らかの理由で、自分はいつの間にか死んだに違いない。 

 夢は、控えめに言っても素晴らしかった。 
 
 ソナナの体は彫刻のように白く美しく、そしてどこもかしこもきめ細かく柔らかかった。 
  
 自らピンクの花弁を開き、秘めやかに閉じた蜜口に潤滑油を塗りたくる。 
 白い肌にピンク色の粘膜のコントラスト、官能を刺激する光景に、フィンの男はビンビンに立ち上がった。 
  
 人生の中で一番の屹立っぷりに、やはりこれは夢なんだと思った。
  
 苦しそうに眉根を寄せ、こぼれるように息を吐きながら、未開の地にフィンの一部を受け入れた。 ギチギチと固い中で、薄い膜が切れた感触がして、屹立にツーと赤い線が流れるのを呆然と眺めた。 
 
(なんと、気持ちいい夢だ……嬉しい、ソナナ様が奴隷の俺に処女を捧げてくれるなんて) 
  
 感動にうち震え動けないフィンに、好きに動けとソナナから慈愛に満ちたお言葉を頂戴した。 
  
 さすが夢だ、都合が良すぎる……早急に、覚める前に中に出したい。 
  
 固く緩みのない中をゆっくりした動きで解す余裕など童貞のフィンにあるはずもなく。 
  
 ソナナの官能を引き出すどころか、がつがつと独りよがりに動いてしまう。技巧もへったくれもない。まあっ夢だから良いだろう。 
  
 痛いくらい喰い絞める膣壁、怒濤のように迫り来る射精感に導かれ、中出しを決め込もうとしたその時………夢はフィンを無情にも裏切ったのだ。  

「中はダメ。ビンに出して」 
 
 ソナナの冷ややかな命令。 
 爆発する寸前のソレをギリギリでビンに差し入れることに成功。
   
 ビュビュと穂先から大量噴出する精子をフィンの前、ぺたんと座り興味津々で眺める裸のソナナ。空のビンに濃厚な白濁が並々と注がれた。  
  
 爆発したのとソナナの温かい粘膜から外気に晒された、一物が小さくなる。残り汁が滴り、根本まで白く汚れた。 
 
「……不思議ね。どうゆう原理なのかしら?……確かに、私の中に太くて固くて熱い棒があったのに……今はこんな小さいわ」 
 ソナナは純粋に不思議そうに自分の薄い腹を擦る。

 獣のような息遣い、余熱を残したままの体のフィン。その獰猛な雄の視線はソナナが撫でる薄い腹をとられた。
 
(――中に出したい!ソナナ様の子宮を俺の白濁で満たして孕ませたい!)  
 
 ぐぐっとフィンの一部が再びもたげた。華奢な肩を押し倒し再び中に入りたいと、フィンは手伸ばした。 
     
「フィンありがとう。これで……材料と恋、2つを手に入れた。私は完璧な魔女だ」 
  
 フィンの手が届く前にソナナは脱いだ洋服をかき集め出した。 
 フィンは、焦った。夢が覚めてしまうと、静止の声を出そうと焦れば焦るほど、掠れた呼吸音しか出ない。
  
 服を集め終わったソナナは振り返りもせず、フィンの部屋から出て行った。 
 
(クソっ!夢ならしゃべれてもいいだろうに!) 
 夢でも喋れない、悔しさに歯を噛みしめ拳を強く握る。 
 
――そして彼はやっと気づいたのだ、これが夢でないことに……。  
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

慰み者の姫は新皇帝に溺愛される

苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。 皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。 ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。 早速、二人の初夜が始まった。

美貌の騎士団長は逃げ出した妻を甘い執愛で絡め取る

束原ミヤコ
恋愛
旧題:夫の邪魔になりたくないと家から逃げたら連れ戻されてひたすら愛されるようになりました ラティス・オルゲンシュタットは、王国の七番目の姫である。 幻獣種の血が流れている幻獣人である、王国騎士団団長シアン・ウェルゼリアに、王を守った褒章として十五で嫁ぎ、三年。 シアンは隣国との戦争に出かけてしまい、嫁いでから話すこともなければ初夜もまだだった。 そんなある日、シアンの恋人という女性があらわれる。 ラティスが邪魔で、シアンは家に戻らない。シアンはずっとその女性の家にいるらしい。 そう告げられて、ラティスは家を出ることにした。 邪魔なのなら、いなくなろうと思った。 そんなラティスを追いかけ捕まえて、シアンは家に連れ戻す。 そして、二度と逃げないようにと、監禁して調教をはじめた。 無知な姫を全力で可愛がる差別種半人外の騎士団長の話。

身代わりお見合い婚~溺愛社長と子作りミッション~

及川 桜
恋愛
親友に頼まれて身代わりでお見合いしたら…… なんと相手は自社の社長!? 末端平社員だったので社長にバレなかったけれど、 なぜか一夜を共に過ごすことに! いけないとは分かっているのに、どんどん社長に惹かれていって……

大嫌いなアイツが媚薬を盛られたらしいので、不本意ながらカラダを張って救けてあげます

スケキヨ
恋愛
媚薬を盛られたミアを救けてくれたのは学生時代からのライバルで公爵家の次男坊・リアムだった。ほっとしたのも束の間、なんと今度はリアムのほうが異国の王女に媚薬を盛られて絶体絶命!? 「弟を救けてやってくれないか?」――リアムの兄の策略で、発情したリアムと同じ部屋に閉じ込められてしまったミア。気が付くと、頬を上気させ目元を潤ませたリアムの顔がすぐそばにあって……!! 『媚薬を盛られた私をいろんな意味で救けてくれたのは、大嫌いなアイツでした』という作品の続編になります。前作は読んでいなくてもそんなに支障ありませんので、気楽にご覧ください。 ・R18描写のある話には※を付けています。 ・別サイトにも掲載しています。

大好きな幼馴染と結婚した夜

clayclay
恋愛
架空の国、アーケディア国でのお話。幼馴染との初めての夜。 前作の両親から生まれたエイミーと、その幼馴染のお話です。

大きな騎士は小さな私を小鳥として可愛がる

月下 雪華
恋愛
大きな魔獣戦を終えたベアトリスの夫が所属している戦闘部隊は王都へと無事帰還した。そうして忙しない日々が終わった彼女は思い出す。夫であるウォルターは自分を小動物のように可愛がること、弱いものとして扱うことを。 小動物扱いをやめて欲しい商家出身で小柄な娘ベアトリス・マードックと恋愛が上手くない騎士で大柄な男のウォルター・マードックの愛の話。

【R18】幼馴染な陛下は、わたくしのおっぱいお好きですか?💕

月極まろん
恋愛
 幼なじみの陛下に告白したら、両思いだと分かったので、甘々な毎日になりました。  でも陛下、本当にわたくしに御不満はございませんか?

【R18】愛するつもりはないと言われましても

レイラ
恋愛
「悪いが君を愛するつもりはない」結婚式の直後、馬車の中でそう告げられてしまった妻のミラベル。そんなことを言われましても、わたくしはしゅきぴのために頑張りますわ!年上の旦那様を籠絡すべく策を巡らせるが、夫のグレンには誰にも言えない秘密があって─? ※この作品は、個人企画『女の子だって溺愛企画』参加作品です。 ※ムーンライトノベルズにも投稿しています。

処理中です...