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物語は続くよ 最終話
しおりを挟む新緑の映える庭園でワタルさんの植えた植物が競うように花開く。からりと爽やかな風が吹き抜ける。
なんて綺麗で、穏やかな1日なんだろう?
「ママ!シーザーも見てみてー!」
しっかり喋れるようになったシリウスが私と生後2ヶ月の息子シーザーを呼ぶ。シーザーも旦那さまの血を受け継ぎ獣人だった。耳としっぽの産毛が可愛いです。
シリウスの小さな手には旦那さまが誕生日に送った専用の剣がしっかり握られていた。
「ちゃんと見てるからねー!」
シーザーを抱き直し、シリウスに手を降る。 シリウスはにっこり笑うと、剣を構え真剣な顔でワタルさんに斬り込んでいく。
簡単にワタルさんにいなされも、何度も何度も斬り込んでいく。
ああ、怪我しないといいけど。
心配だけど我慢です。ママとしてはもっと甘えてくれて良いのに。ママを弟を守るんだと今日もシリウスは剣の稽古に励んでいます。将来が楽しみ過ぎます!
「ヴィー、探しましたよ。ここに居たのですか?」
息を切らし旦那さまが庭園にやって来ました。
「あっ!旦那さま、お帰りなさい。呼んでくれたら玄関までお迎えに行ったのに」
「いえ、ヴィーはシーザーの子守りで忙しいので、私から駆けつけた方が早いです」
いつもなら帰宅後シーザーごと熱い抱擁をされるのですが、今日は微妙に私から距離を取っています。
ん?なんでだろう?
旦那さまの服装は銀糸に青みかかった衣の真新しい騎士服。はふう、いつにも増してカッコいいです。
ああ、そうでした。
近々里帰り出産していたアリアナさまが誕生した王女とともに帰国する。その後直ぐに開催される御披露目会に護衛として出席するために、新しい騎士団服を取りに行くと今朝言ってましたね~。
期待に大きく膨らむ耳としっぽ。褒められ待ちですか?素直に聞かないところが旦那さまらしいです。
シーザーが産まれる前、当分シリウスと二人きりで遊べない。旦那さまそっちのけでシリウスにかまけていたら嫉妬した旦那さまから酷い目にあいましたとさ。医者から了解の得られた安定期だったから良かったものの……二度とごめんですよ。
ここでちゃんと誉めないと、また嫉妬の鬼と化した旦那さまに啼いても責められちゃうので、大袈裟に褒めておかないと!
「新しい騎士服ですか?とってもお似合いで素敵です!かっこよくてドキドキしちゃいますよ」
にっこり笑い、旦那さまの頬にキスを落とします。
「そうですか」
旦那さまは満更でもなさそうに言うと、シーザーを抱っこしてくれました。
良かった~。取り敢えず危機脱出ですね!
旦那さまを含む獣人は嫉妬深く、子供が産まれても自分を一番に見てほしい思いが強いそうです。でも、私だってそうですからね~。
「私の一番は旦那さまですから!旦那さまも私を一番にしてくださいね。
おっぱいあげすぎて垂れても、年取ってしわくちゃなおばあさんになっても浮気しちゃあ絶対に駄目ですよ~」
シーザーを抱っこする大きな背中にぴったり引っ付くと囁いた。
「それは私の台詞です。ヴィーは私より子供たちが大切なようです」
「そ、そんなことないです!
旦那さまとの子供だから可愛いんですからね。旦那さまが一番好きです!」
背中に頬を寄せ高速スリスリする私。今日の背筋も素敵ですよ。
「……解りました。その話の続きは夜に、子供たちが寝静まってからしましょうか?」
有無を言わさない旦那さまの言葉、ぎらつく瞳。
寝た子を起こしてしまったようです。確かに出産前から今日までお預けしてましたし……今夜は寝らないかもしれません。
久しぶりにスージーさんとアリアナさまに会えると楽しみにしていましたが、予定より大幅に遅れて帰国してきました。
原因はなんと兄妹喧嘩。
アリアナさまのお兄さまで次期アルバトール教会猊下と目されるサリエンさまが歯に衣着せないスージーさんを気に入り、自分の側に置きたいとだだを捏ねたからだそうです。
スージーさんとお兄さまと間に何があったのか聞くのが楽しみですねー。
アリアナさまにも赤ちゃんの王女さまにも早く会いたいです!
◆
のちのお話。
成長したシリウスが王女アリエルさまの護衛騎士に任命され、アリエルさまから猛アプローチののちに結婚。王配として采配を奮うことになる。
五月蝿く結婚に口出ししてきた隣国ヘラルドを諌めてくれたのは、アルバトール教会猊下だった。彼も狼獣人を伴侶に迎えていた。彼女を娶るために足しげく船で何年も通ったという。
私はシーザーのあとに、女の子ビィオラを産んだ。心配した通り、デロ甘溺愛パパになった旦那さまに今度は私が嫉妬した。
シーザーは旦那さまの後を継いで獣人騎士団隊長になった。日々活発になった魔物の駆除に終われている。
ビィオラは女公爵としてローベルハイム公爵を継いだ。伴侶は旦那さまが選り好みし過ぎて、晩婚になってしまったけど、誠実な子爵家から迎えることが出来た。
私は旦那さまの引退後お義父さんとお義母さんの後を引き継ぎ辺境サラアテで生涯獣人の為に尽くした。
100年後ーー何処からともなく現れたピンク髪の魔王が世界を蹂躙し、人々を恐怖に陥れた。
その魔王を倒した偉大な勇者はシリウスとアリエルさまの子孫だったという。
◆◆
そうしてーー
ーーー現代。
今日もつまらない授業のベルか鳴る。私は大きくあくびをした。
ーーねえねえ!聞いた産休のタケダの代わりの先生、イケメンなんだってー?
ーータケダっ!ヒステリーババアだったけどナイスじゃん!
ふあぁー、イケメンより睡眠だよね!
同級生の噂より眠りたい。
大胆に机に突っ伏し眠ると誰かが頭を本で小突く。
「うーん…あと、五分寝かせてぇー」
「起きなさい!」
鋭い美声が聞こえた。
「は、はい!」
ヤバい、もう授業始まってるよ、慌てて頭を上げ前を向くとーーー。
メガネにスーツ姿の男性が目の前に立っていた。メガネの奥の綺麗な黒い瞳と目があう。
「ーー君は」
「ーーえ?」
途端に頭のなかに声が響いた。遠く魂に刻まれた懐かしい声。
『引き裂かれ亡き君思い瞳色に魂の邂逅を誓う』
『旦那さまも覚悟はしてくださいね』
『……覚悟ですか?』
『もちろん、来世でも私に毎日スキスキスキスキ言われて押し倒される覚悟ですよ』
『ーーーふっ。その覚悟ならありますよ』
不敵に笑う猫耳を付けた男性と綺麗な女性が頭に浮かんだ。幸せそうにぴったり寄り添う二人。
あの……女の人は、私?
それじゃあ、男の人は?
私は、目の前の先生を見つめ息を飲んだ。
(終わり)
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よし。落ち着きました!
良い子で、更新をお待ちしております☆
睡蓮様。
良い子で待てと感謝ありがとうございます。楽しいにして頂き、書く励みになります~!
豆丸家インフルエンザ全滅エンドにより全く書けない日々が続き更新遅くなってすいませんでした( ノ;_ _)ノ
ざまあに進む前にひと悶着ありますので、更新お待ち下さい~。頑張ります(^-^)
ありがとうございます。ありがとうございます。
ちゃんと良い子で『待て』しています。
ざまぁが、見たくて前のめりで更新チェックをしています笑
ホントに、癒やされる家族になれて良かったー!
これからも、『待て』出来ます。
ご褒美は、夫婦でドキドキ&親子できゅんきゅん&お仲間のガヤガヤで宜しくお願いしますm(_ _)m
睡蓮様さま。
待てをして頂きありがとーございます(*´∀`)♪
なにぶん筆が遅いのと、子育て中なので進まないのです。完結まで頑張りたいと思います!感想嬉しいです。
お邪魔します。(ꏿ﹏ꏿ;)ドキドキ
こんなに大好きなお話しなのに、先人の跡がなく、書いてもよいのやら悩みましたが、どうしても、一言お伝えしたくて。。
素敵な作品をありがとうございます!
もう、更新が楽しみで楽しみで楽しみで楽しみで!
出てくるキャラがみんな魅力的だし、会話やテンポも読みやすく、毎回ドキドキのおまけ付き(笑)
どうか、無理せず完結まで!いえ、外伝まで!
先生のファンとしては新参者ですが、応援&楽しみにしております!!
睡蓮様
うわわーっ!
感想とても嬉しいです!
楽しいなんて、作者冥利につきます。これから聖女や第一王子の横やりが入ってきますが、ハッピーエンドなので安心して下さい(^-^)