女神様はビキニアーマーの夢をみるのか

豆丸

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はじめて②

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 二人は、騎士団単身寮に向かい長い渡り廊下を歩く。 
 見習い期間は大部屋だったが正式に騎士団に配属され個室が宛がわれた。 
 騎士団は夜勤も早朝勤務もある。いつでも料理、汚れが落とせるように狭いが簡易キッチンにシャワー付きだった。
 
 
「エリカ……戦乙女の衣装本当に無理なの?」
 ポツリとディーンが呟く。 

 エリカは何度も何度も頭を下げるピサロを無理です、の一点張りで押し通した。 
 ピサロに試しに着てくれとあの卑猥な塊、ビキニアーマーを押し付けられたが、汗を掻いて体が冷えたのでシャワーを浴びますと逃げるように辞してきたのだ。
 
「無理よ!」 
 
 胸に抱えているのは押し付けられちた卑猥な塊。戦乙女の貴重な遺品を捨て置くことは出来ず、イライラしディーンを冷たくあしらうと彼もエリカをなじる。
 
「ピサロ様、困ってたよ。それに総隊長として強制的に命令出来たのに、ただの見習い上がりのエリカに頭を下げたんだよ?……この意味わかってる?」

「わ、わかってるわ!……うるさいのよ!ディーンは……そんなに言うなら貴方が私の代わりに着ればいいじゃない?………あの卑猥な衣装を着られるものならねっ!」 
  
「男の僕に着られるわけないよ」 

「あらっ!女の子みたいなディーンなら私よりさぞかし似合うんじゃない?顔もかわいいし、お肌もツルツルで……無駄毛もないしね」 
 髪をかきあげ吐き捨てるように言う。 
 イライラに支配されたエリカは普段は決して言わないディーンの容姿いじりをしてしまう。 
 彼がその美少女全した容姿で弄られ、からかわれるのを憂いていることを知っていたのに。   
 
「――あっ、ごめ」
「……エリカ」 
 酷く悲しそうな顔でエリカを見つめたディーンは、静かに口を開く。 
「君だけは、僕の容姿にも魔剣にも怯まず、対等に接してくれていたのに……今日はおかしいよ?いつもの負けず嫌いで前向きなエリカらしくない」
  
 見習い期間から今日まで2年にも満たないが、血を吐くような訓練を演習を共に乗り越えてきた。エリカは自分が辛くても周りを鼓舞し、奮い立たせた。 
 エリカを女のクセにと馬鹿にしたり、ディーンの容姿を揶揄する同期を「私や、ディーンより早く起きて鍛練して一度でも勝ってから言いなさいよ!」と、いなし模擬戦で完封までに負かしてやった。正義感が強く、負けず嫌いで無鉄砲。ディーンはエリカの人となりを理解しているつもりだ。 
 
「………衣装を着られない、何か深い理由があるんでしょ?」

「……ディーン」 
 エリカは言いにくいのか唇を噛み下を向いたままだ。 
 顔が少し赤く、目が潤んでいる。初めて見るエリカの表情にディーンの薄い胸がさざ波たった。 
 
(なん……だろう?これ……)
 
 廊下では話せないとエリカの寮室に招かれた。ディーンはエリカの部屋に入るのは初めてではないのに、今日は妙に緊張する。 
 
 絶対に誰にも話さないと女神の誓いをさせられた。もし、誓いを破ったら嘘の嫌いな女神に石にされてしまう。 
 ディーンが躊躇いなく誓いを立てたことに安心したのか、エリカは重い口を開いた。
 
「………こ、濃いの」 

「えっ?」 

「だから!私、体毛がもの凄ーく濃いのよ!
あんな――露出しかしてない衣装着られるわけないのよ!」 

「濃いの?」 

「そうよ……濃いの!」 

「何処が?僕には……そんなふうに見えないけど?」 
 ディーンは騎士服から覗くエリカの手足をまじまじと観察した。褐色できめ細かく艶があり綺麗な触りたくなる肌だ。  
 
 
「~っ、~っ!もう、あんまり見ないでよ!いつも剃刀で剃ってるのよ!お手入れするの大変なんだから」 
 怒鳴るエリカの顔は真っ赤だから全く怖くない。 

「なんだ………簡単なことだ。ビキニアーマーが着れるまで綺麗に剃れば良いだけの話だよね?」
 
「か、簡単なことじゃないわよ!!し、下が濃いのよ!自分で剃りにくい所や届かない場所もあるのよ!」エリカは羞恥に堪えれず、拳を握りしめ震えた。 
  
 エリカは剛毛だった。 
 とてつもなく。 
 父親に似てしまったのだ。 
 特に陰部は濃く、恥丘から小陰唇のヒダの部分の奥まで毛が生えていた。それは肛門周囲まで満遍なく黒々と広がる、まさしく大密林。 
  
 大密林のエリカにビキニアーマーは荷が重過ぎる。それを着用した暁には、エリカは全ての陰部のお毛毛を余すことなく、人々に晒すことになる。そして……騎士団に語り継がれる伝説になるだろう。  

(いや、いやよ!剛毛伝説なんて……万死ものよ!お婿さん貰えないわ) 
 
 エリカは頭を抱えベッドを転がる。いくら尊敬するピサロ様の頼みでも無理なものは無理である。 
   
「はぁ……本当に嫌になっちゃう。ディーンも引くわよね?誰にも言わないでねって、言えないのよね……女神様に誓わせたし……あーっ!もう、今日のことは忘れてディーン…」 
 
 ディーンはベッドの上で枕を抱えて、恥ずかしがり手足をバタつかせるエリカの下半身ばかり気になった。 
 ディーンは自分には関係ないはずの下半身に違和感を感じた。 
 尿意とは違う、初めて僅かにもたげた。熱を孕んだ何か。 
 イライラするような、むずむずするような。 
 精通すらまだのディーンにはその意味がわからないが………見てみたいエリカの濃いというその場所を。

「………エリカ、僕が剃るよ」  

「―――――はっ??剃るって………。 
 ななななななに言ってるのディーン!血迷ったの?き、気は確かなの?」 
 たっぷり間を置き、エリカは多いに動揺した。 
  
「気は確かだよエリカ。良く考えてご覧よ、僕が君の自分で剃りにくい所や届かない場所を綺麗に剃りさえすれば、問題は全て解決するじゃないか!」 

「解決……するかしら?」 

「するさ!エリカは体毛が無くなってビキニアーマーを着られる。そうしたら、女神様に収穫祭で舞を捧げられるし、ピサロ様の顔を潰さずにすんで、とても感謝されるよ。騎士団内のエリカの評価も上がる、民も喜ぶ!」 
  
 ディーンの提案を聞く限り、良いことつぐめだ。ただ一点、ディーンに大事なオマタを晒すことを除けばだが。 

(いくら弟みたいなディーンでも、剃ってもらうのは抵抗があるわ)  
  
「やっぱり、無」「エリカ逃げるの?」 
 エリカがディーンの提案を断ろうと口を開いたまさにその時、ディーンが被せて言い放った。真っ直ぐにエリカを射ぬく茶色の瞳が悲しげに潤む。 
 
「どんな厳しい訓練も特訓にも泣き言ひとつ言わず逃げないエリカを尊敬していたのに……」
 なじるより馬鹿にするよりエリカが泣き落としに弱いことディーンは知っていた。     
「ディーン……」  
「エリカが恥ずかしいのはわかるよ……でも僕はエリカの力になりたいんだ」 
 エリカは一つため息をついて、覚悟を決めた。逃げるのは嫌だわ。死ぬほど恥ずかしいけど、ディーンに剃って貰おうと。

「――――お願いするわ」 

「お願いされたよ!善は急げだ今から剃ろうか?」極上の美少年は微笑み、エリカの顔を覗き込む。 
 
「いいいいい今から!ちょっと待って、鍛練後で汗臭いし……ま、まだ心の準備が」 

「心の準備なんて言ってたら、いつになるかわからないよ」  
 ディーンは間合いを詰めた。 
 時を置かれ冷静になられたら、別の騎士団の女の子に頼むと言われかねないからだ。 
 
(詰めは甘くしないよエリカ)
 
 ディーンは驚き目を白黒させるエリカの下衣に手を伸ばした。 
 
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