獣人専門弁護士の憂鬱

豆丸

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前編

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 あ、いや、ああ!! 
 ぐちゅぐちゅぐちゅ。   
 狭い膣内を穿たれる水音と私のあえぎ声が部屋に満ちる。 
「まだだ、まだ足りない!」獣に戻った男は、私の臀部を掴み凶悪な肉棒をガツガツと更に奥へと捻りこむ。 
 男の汗が背中に落ち、それだけでもイッテしまいそうになる。膣が動いて男の肉棒を締めあげる。 
「はあ、はあ。あんま絞めんな。でちまう、」余裕のない男が耳元で囁く、熱い息がかかる。低音ボイスは止めてほしい。耳から犯されるみたい。思わず身を捩ると男がふふと笑い、「あんた耳弱いのか?」私の耳穴に舌をいれてなめまわした。ざらざらした猫科の舌が気持ちいい。 
「ああ!み、み耳やあ」 
「そうか…弱いのか?」ニヤリ笑うとかぷっと噛まれた。 
「あああ!!」頭が白くなる、びくびくと噛まれた瞬間達してしまった。更に肉棒を締め上げる。 
「く、くそ、俺もいく」ぐちゅぐちゅと男が動くとわたしの中の肉棒が限界まで大きくなり爆ぜた。熱い精子が膣奥に注がれるのを感じる。 

  
 ああ、最悪だ。獣人に犯されるなんて、
 そう私は犯されている、目の前の雪豹の獣人に…




 獣人って奴はやっかいだ。人と違い身体能力も高く、見た目も麗しい者が多い。中には熊獣人や虎獣人など筋肉隆々見目恐ろしい物もいるがそれらも、一部にはモテモテだ。つまり人間にとって魅力的なのだ。魅力的だが番第一主義があるためトラブルがつきない。 
 番が見つからず人間と結婚し上手くいくケースもあるが、結婚後に番が見つかり、泥沼の離婚問題になることも少なくない。 
 はい!番見つかりました!さよなら!を理解出来るのは同じ獣人同士ぐらいである。更に最悪なのは、番相手が獣人ではなく他の人間と結婚している場合、相手を拐い監禁陵辱、最悪無理心中したケースもある。そんな獣人相手のトラブルを解決したり、裁判時弁護するのが、私がお世話になっている、弁護士事務所カレンアである。 

 私は弁護士のクーデリア・シフォン、まだまだ半人前なので、尊敬するカレンア先生の下で勉強中。いつか先生みたいな弁護士になりたいな。   

 私は決意も新たに先日受けた依頼人に会いに帝国ホテルに来ていた。 
 帝国ホテルのシックなソファーに依頼の女性のドレスの赤色が嫌に目に付いた。真っ赤なルージュに真っ赤なドレスどちらも不釣り合いに浮いていた。 

「あなたが弁護士の人?」 
「はい!カレンア事務所から来ました。クーデリア・シフォンです。本日はよろしくお願いします。早速ですが、お話を聞かせて下さい」私は名刺を渡してから、女に話を促した。 

「私、エリザと言います。私、私騙されたんです。獣人に…結婚してくれると思ったから何度も中出しを許したのに!」最後は大声になっていてロビーの紳士がギョッした顔をしている。  
 な、中出し?そりゃー反応するね。 
「エリザさん落ち着いてくださいね。人に聞かれます」落ち着くように言うが興奮し出したエリザは収まらない。 
「珍しい雪豹の獣人で帝国騎士。みんなに自慢出来るから結婚したかったのに!ヤるだけヤって飽きたから別れるなんて、ひ、酷いわー!」エリザは机に突っ伏し泣きだした。 
「エリザさん、まさかその雪豹の獣人って、帝国第3部隊副団長の…」 
「そうよ!スノウ・ガレリアよ!」ロビーにエリザの声が響き渡り、ロビーの紳士はガン見していた。 





 帝国軍第三部隊は獣人のみで構成された少数精鋭。隊長は熊獣人のリヒト・クライン。10年前魔王軍との戦闘でツエル橋を死守した英雄だ。その彼を支えたのが雪豹の獣人スノウ・ガレリア。シルバーブロンドの髪に紫と金の珍しいオッドアイを持つ美貌の男性で冷静な性格をしている。28歳、未婚、番は見つからず複数の女性と肉体関係持っているようだが、長続きしない。 

 私は報告書を見てため息をついた。 
 結婚詐欺としての立証は難しいか、エリザは中出しされたから結婚と騒いでたけど、本人が中出しをせがんだようだし、獣人は番以外との繁殖率は極めて低いから、責められないなー。 
 彼も28歳、そろそろ番探しを諦めて妥協する年齢だけど、彼は死ぬまで番探しをする気なのかしら? 
 エリザさんの一方的な話だけではなく、ガレリア本人から事実関係を聞いてみないと。私は手紙で面会の許可を求める事にした。



 待てど許可も手紙の返事もこない、私は第三部隊詰所に押し掛けた。第三部隊詰所は郊外のはずれにある。はずれにあるのは、獣人が匂いに敏感だからと言われているが、本音では獣人を帝国城の近くに置きたくないからだと思う、王族は獣人の力と能力を恐れているから。


「え!弁護士の先生?ガレリア副団長に会わせろって、面会の許可ないなら駄目だよ。」門番の獣人の兵士はしかめっ面をしながら言う。彼の頭には兎耳。 
「そこを何とかなりませんか?何度か手紙を出しているんですが、返事がなくて困っているんです。ある女性がガレリアさんを訴えると言っています!」 
「訴えるって?え?また女性?副団長女遊び激しいからなー」兎獣人は疲れた顔で項垂れた。 
「あなたも大変ですね。またって前もあるんですか?」優しく聞くと兎獣人は赤目をうるっとさせ息巻いた。 
  
  「副団長モテるけど、番みつからなくてイライラして手当たり次第抱きまくって呆気なく捨てるから、怒り狂った女性の群れが押し寄せて来て怖かったんだよー」余程怖かったのか、兎耳をプルプルさせている。    
 かわいい…じゃなくて遊び人前科ありの言質をとれそうね。 
 うふふ。さあ!もっと詳しく聞かないと私が更に話を聞き出そうと話し出す瞬間、遮るように鋭い声がかけられた。

「おい。門前で何を騒いでいる?」 
 え?余りの鋭さにびっくりして振り向くと、灰白色に黒斑の猫耳、シルバーブロンドのスノウ・ガレリア本人が不機嫌そうに立っていた。  

 寝起きなのだろうが、けだるそうに前髪を掻き分けて、壮絶な色気がただもれになっている。
「説明しろメロウ。」 
 紫と金の瞳できつく睨まれた兎獣人ことメロウはぶるりと震えている。

「ふ、副団長に面会したいとこちらの弁護士が…ぼ、ぼくは面会の許可がないから拒否したのですが」  
「あ?弁護士だ?」暗黒オーラを出してスノウ・ガレリアは初めて私に目を向けた。きつく睨んでいた両目が大きく見開かれ更に猫科特有の瞳孔が広がってゆく。
「あんた名前は?」 
 名前?弁護士の名刺を希望なのね、私はスーツの内ポケットに入れてあるお気に入りの名刺入れから一枚出して彼に渡した。 
 ガレリアは食い入るように名刺を見てから同じように私を見た。 

「クーデリア・シフォンか良い名だ」ほうっとため息をつきながら穴があきそうなほど、私を見つめた。端正な美貌にくらくらしそうになる。 まさか私までたらしこもうって魂胆かしら?気を引きしめないとね! 

「名前を誉めて頂きありがとうございます。弁護士のクーデリア・シフォンと申します。今回はあなたが以前付き合っていた女性から依頼を受けまして、事実関係を確認させていただきたいのですが?お時間少し…」 
「わかった直ぐに行く」ガレリアが最後まで言わせず被せてきた。 
 びっくりしている私の肩をがっちり掴むと、「行くぞ。今すぐ、早く二人きりで話そう。」ぐいぐい押してくる。  
「ふ、副隊長!もしや?」メロウもびっくりしている。
  彼も訴えられたら困ると言うことかしら、かなり焦っているみたいね。これなら事実関係を簡単に確認出来るかも! 
「わかりました。人目につかない喫茶店に行きましょう」  
「駄目だ。喫茶店は遠い。詰所の離れに俺の私室がある、近いし行くぞ」耳元で囁かれ更にぐいぐい押されている。流石に二人きりはヤバい気がする。   
「あ、あの?お仕事だったのでは?」  
「大丈夫だ。隊長に丸投げする」 
「メロウ、隊長に有給申請しとけ」 
 え?なんで有給?  
「はい!わかりました!まかせて下さい!」なぜかメロウは嬉し泣きしている。 

  
 半ば引きずられるように離れに連れて来られた私は息も絶え絶えだった。 
 獣人と人間の女性の体力は違いすぎる。  
「大丈夫か?」ゼーハーしてる私の背中をスノウ・ガレリアが優しく撫でてくれる。 
 あんたが引きずるからだと抗議したいが、苦しくて咳き込んでしまった。 
「待ってろ、直ぐに水を持ってくる」ガレリアが簡易キッチンから水をコップに入れて持ってきてくれた。お礼を言ってから、コップを受け取り一口つける。 
 ふと視線を上げると私を凝視している紫と金の瞳とぶつかった。 
「あんたは、うまそうに水を飲むな」 
「え?そ、そうですか?」
「ああ、俺にも分けてくれ」        
 急にガレリアの顔が近づいてきて唇を温かい物で塞がれてた。ガレリアにキスされたのだ。
「え?あ?」 
 びっくりして固まった私を解すように唇をついばみ優しくキスを繰り返す。更に猫科のざらざらした舌で口内をゆっくりかき混ぜた。 
「い、いや!」顔を背け逃げようとするが、頭を固定され、噛みつくようにキスをされる。 
 「止めて下さい!私までたらしこもうとしないでください。私は依頼を受けて来たんです!」力を込めてガレリアの体を離そうとするが、びくともしない。 
「たらしこもうとしていない」     
「では、離れて!」 
「孕まそうとしてる」   
「え?今なんて?孕ます?冗談ですよね?」 
 ガレリアの目がすっと細くなった獲物を狙い定めた獣みたいに…  


  
 上質なスーツが引き裂かれる音がする。ああ、高かったのに冷静な頭の一部がなげいている。シャツのボタンが飛び床に散らばる。 
 ガレリアの手が私の胸を下からやわやわともみしだき、先を摘まんでねちっこくこねる。 
「ああ、や、やめて」 
ってきた。気持ちいいか?」  
「き、気持ちよくないです。は、離して!」私がもがくとガレリアは、私の両手を1つに纏め布で縛りあげた。 
「ガレリアさん!止めてあなたがしようとしてることは、強姦レイプです。犯罪です!」   
 私はガレリアに冷静になってほしくて必死に叫んだ。ガレリアは潤んだ瞳で私を見つめ、頬を撫でながら「俺は、ただ番と1つになりたいだけだ……あんたは俺の番だ」熱っぽく囁ききつく抱き締められた。
 
つ、番?  
私が?
獣人の唯一無二の存在にして伴侶  
 
「10年以上前から探してたんだ、やっと見つけた俺の番。ずっとあんたに会いたかった。諦めなくて良かった」 
 ガレリアが私を求めているのが痛いほど伝わってきて、私は顔が赤くなり動悸が早くなる。 
 
 私、嬉しく思ってる、こんな綺麗な獣人ガレリアに求められて。  
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