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お昼寝場所
しおりを挟む「領主殿。お早いお帰りですね……仕事が山ようにお待ちかねですよ」イヤミ鳥こと、ジャミの盛大な歓迎を受けたラッセル。
「ごめんなさいジャミ。私が無理言ってラッセルに頼んだのよ!」
「違う俺もミサキと共に行きたかったのだ。すまんなジャミ!すぐに取りかかるぞ!!」イヤミにも上機嫌に答え、私に手を振りしっぽフリフリ執務室に向かう。
「おや?お揃いとは仲睦まじいことです」
ジャミが私とラッセルを交互に見て、嘴の端を上げた。
ラッセルの左手首には私とお揃いの銀の鎖にレッドジルコンに似た小降りの宝石が3つ連なったシンプルなブレスレット。
聖女の護りと合わせても見劣りしなくて、お互いの存在を引き立てるような落ち着いた美しい黒みかかった赤い宝石。
竜の背の通貨は大小銀貨に聖女様、大小金貨に竜神の模様がある。小銀貨10枚が大銀貨1枚。大銀貨5枚が小金貨1枚。小金貨10枚が大金貨1枚になる。
ブレスレットの値段は大金貨が1枚2枚……。商人さんが喜んでいたので、高価だと思うわ。
はあっ。ラッセルに体以外で返していけると良いのだけど……。私はこっそりため息をつくと自室に戻ろうと踵を返した。
「ミサキ……君にさ、聞きたい事かあるんだ」ジャミに引き止められてしまった。
「な、なに?ブレスレットのこと?私はねだってないわ。ラッセルに散財させるつもりもないから」高価な宝石をねだる悪女と思われなくない。
「……そんなのはさ、大したことないよ。寧ろさ、領主殿は散財しなさすぎなんだ……。
それよりさ………ミサキは、本当に聖女の力を行使出来るのかな?」ジャミにしては優しく問い掛けられ、背筋がぞーっとする。
「………で、出来た…けど」
「そう。君、凄いね!」
鳥目を細め、嘴を上げるジャミに褒められた!
なに?なんなの?何か企んでるの!変な汗がじわりの滲む。伺うようにジャミを見上げた。
「ジャミが褒めるなんて……雪でも降るのかしら?」
「雪か?……君、面白いこと言うね?」
ジャミが私に近づくと親しげに肩に羽(手)を置く。え?この手は一体?
「ミサキ君さ!疲れてるよね?この後昼寝する予定かな?申し訳ないんだけどさ、領主殿の部屋で寝てくれるかな?」
寝不足で疲れているから、ジャミとの勉強時間まで、少しお昼寝予定だけど……。
「……なんで?ラッセルの部屋なの?」
「………君がさ、予定外に領主殿を町に連れ出したから皆の仕事が滞ってるんだよ。
君が客室で休んだら部屋の前に見張りも必要だしさ……無駄な人員も取られるから。領主殿に執務のついでにさ、見張ってもらってよ。
君が居たら領主殿も苦手な書類から、鍛練に逃げないだろうからさ。………ねえミサキ?僕の……バンローグの役にたってくれるよね?」
ジャミは無機質な鳥目の瞳孔を細めた。
………もしかして、ジャミものすごーく怒っている!!
お詫びにラッセルのおサボりの防波堤にさせられようとしているわ。
「――っ!ちょっとジャミ!?」
私の返事を待たず、両羽で肩を掴むとそのまま領主室に連行された。
ーーーー
『おまけ』
宝石店にて
ミサキ (お揃いは避けたいけど、ラッセルノリノリねえ…ちょっとからかってみようかしら?)
ミサキ「ラッセル、お揃いの首輪なんてどう?」 にまにま→ペットみたいで嫌よねー?怒るかしら?
ラッセル「っ!!ミサキ!!本当に良いのか!?」 肩をがっと掴み、ガクガク揺さぶる。→歓喜!
狐商人「お、奥様はそこまで、領主様のことを!!………私、感動しました!!」うるうると目頭を押さえる。
ミサキ「え?え?まずかった!」
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面白くて一気に読んでしまいました。更新楽しみにしています(≧∇≦)
ありがとうございます(涙)
スランプ気味だったので励みになります!頑張って更新しますね✨