ドドメ色の君~子作りのために召喚された私~

豆丸

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孤児院と作戦A, B

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「ミサキー!見つけた!今度はミサキが鬼だよー。早く追いかけてよ!」紅葉のようなちっちゃなお手てが私に触れた。 

「鬼さん、こっちだよ!」 

なんて、可愛らしい、綿毛のような白、茶色、黄色。様々な毛皮が走りまわる。 

 生まれて、そんなに経っていないまだ赤ちゃんが抜け切れていない、幼いふわ毛達。 

「捕まえたー!」 

一匹を捕まえ、思わず抱き締め、頬擦りすると、うきゃーと嬉しい悲鳴をあげるふわふわのシマリスの幼児。可愛いすぎて、ぎゅうぎゅうと柔毛を堪能していると、右足に誰かがしがみついた。 
   
「ジオばっかりずるいー、僕も抱っこ!」 
白猫のバロン君が不満を訴える。 
   
「僕はおんぶがいいー!」ブチ模様の犬のショア君が背中に引っ付いた。   

「あはは、順番ね」 

 体力なくて疲れるが子供は可愛い。しかも、もふもふ天国。一匹一匹を要望通り抱っこしたり、おんぶする。 
娘も可愛かったな、思い出し、ぐっと込み上げたものを押さえ明るく声をかける。

「みんな、そろそろおやつだから、中に入って手を洗いましょう?」 

「はーい!」 

「今日のおやつなんだろう?」 

 楽しみではしゃぐ子供達の手洗いをお手伝いし私も孤児院の中に入った。 




 今、私がお手伝いしているのは、ラッセルの父親が開き、領主が運営するスミレ孤児院。園長は、ハリーさんで、お医者さんと兼業。 
 孤児院自体もピンクの風見鶏が付いてる可愛らし建物で領主の敷地の一画にちょこんと建っていた。 
  
 手持ちぶさただと、もとの世界を思い出して泣いてしまい、また迷惑を掛ける。それにやることもないのに、部屋に1日中籠っていると太るし、気が滅入る。 
 私だって何かの役に立ちたい、ただ養われるのは性分に合わない。 
 だから、仕事をしたいとラッセルに相談したの。 
 客人に仕事などと、渋るラッセルに無理にお願いすると、「俺の書類処理の助手なら、危険も護衛の必要もないから、いいぞ」と言ってもらえた。 
      
 人間で孕み人なので、誘拐や害される可能性がある以上、部屋から出るなら護衛兼監視が付くそうです……少し窮屈だけど、寧ろ人員を割いてもらって申し訳ない。 
  
 でも、直ぐに問題が……試しに書類を見たら、まったく文字が読めなかった、もちろん書けないし…。言葉が通じたことに感謝しかないわ。
  
 私より何故か落胆するラッセル、書類処理苦手なのかしら? ミサキは、領主室に座ってるだけでも良いなんて言い出して、ジャミに突っ込まれてたっけ……領主の仕事と薬の回収問題で、疲れてるのね可哀想に。 
  
 カンタが僕と一緒に町の見廻りと提案して即、却下されてた。読み書きはジャミが家庭教師を買って出てくれて、きっと嫌みを言われるんだろうけど、教えて貰えて有り難いわ。
  
 読み書き出来るまで、仕事は無理かなって諦めかけてたら、ハリーさんがそれなら孤児院を手伝って下さいと提案してくれた。
  
  
  
  
 スミレ孤児院は、赤ちゃんから仕事見習い前の子供達15匹ほどが助け合い生活している。 最初は初めて見る人間に警戒していた子供達も1週間も経たず慣れてくれた、子供の適応力は素晴らしい。 

 子供の数が少ないのに孤児院必要あるの?って思ってしまったけど、両親ともに黒ダニや魔物に殺されてしまったり、父親が先に亡くなり、体の弱い母親だけじゃ育てられなく手放したり、理由は様々。 
 ほとんどの子供は男の子。女の子は余程の病気がない限り、子を産ませたいため、すぐに引き取り手が見つかるそうだ。本当に現金なものね…。 

「ミサキ!ミクちゃんが苦しいって」 

 おやつを食べていた一匹の女の子が胸を押さえ踞る。黒兎獣人のミクちゃんは心臓に疾患があり、たびたび発作を起こしてしまう。 

「園長先生呼んできて、私はミクちゃんに付いてるから!」他の職員たちも駆けつけミクちゃんに薬を飲ませ、部屋に運んだ。

 発作が治まり、ベッドで眠るミクちゃんの目尻に滲む涙を拭う。頭と長い耳を優しく撫でた………ミクちゃんのママは半年前、市井に出回っていた、子が孕みやすくなる薬を飲み、卵巣が破裂して亡くなっている。 
 ママさんは、体の弱いミクちゃんに弟妹が居れば励みになるからと、子を望み、薬を飲んだそうだ。 
 自分を責める彼女の気持ちを思うと居たたまれない。どうか夢の中でママに会えますように。  
  


  
 ミクちゃんに、付いていたかったけど、領主の館に帰宅の時間になってしまう。 
 ミクちゃんを副院長に任せ、ハリーさんが護衛を兼ねて送ってくれる。孤児院から領主の館までを一緒に歩く。 
 
「ミクちゃん、大丈夫かしら?まだ側に居たかったわ」 
 
「ミサキ、ミクに絆されてくれるのは嬉しいのですが、今夜はラッセル様との閨でしょう?遅れるなんてしたら、孤児院の手伝い禁止にされてしまいます。貴重な孕み人の観察時間が無くならないように気をつけて下さいね!」 
  
 ハリーさんは孤児院に併設された診療所の暇を見つけては、私の世界の話を聞きに来る。 
 それに、子供の世話をしているとハリーさんの視線を感じ……やっぱり観察されてたんだ。ラッセルに相談したから、無理やり測定されることはないけど、ちょっと怖い。   
  
 孤児院は、私の癒しだから時間に遅れないよう、気を付けるとして、閨か~、はあ……ミクちゃんのことも気になるし、ラッセルとセックスする気分になれないんだけどなー。 
  
 それに、一回目のように怒りに任せて躊躇なく縛りつけ、目隠ししたら申し訳ないほど、ラッセルに気にかけてもらい、快適に生活出来ている。幽閉の方が護衛兼監視がしやすいのに、孤児院の手伝いを許してくれ、敷地内なら外にも出れる。 
 ラッセルに命令されているのか、館の獣人たちも、客人として丁寧に接してくれる。 
 
 
 うん、今のところ良い獣すぎて、罪悪感が出てきてしまった、どうしよう? 
  
 外面優等生で閨で俺様に豹変する獣だと困るので、警戒は忘れないけど………。 
  
 隣に目を向けるとご機嫌そうな兎耳が揺れた、そうだハリーさんに聞いてみよう。  
 
「……あの、ハリーさんは閨で毎回、縛られ目隠しされても大丈夫ですか?やっぱり嫌ですよね?」  
 
「ぼ、僕ですか!僕はミサキに縛られ目隠しされたら、嬉しいですよ!ただ、そうですね、たまにはミサキの痴態を観察したいです!その後、膣口を測定出来たら最高ですよ!」  
想像だけで興奮したハリーさんは、兎耳をピーンと立てて、兎鼻を世話しなく動かす。 
 
「……はあ、ハリーさんに聞いた私が間違ってたわ」

 


  
 ◇◇◇ 


 孤児院から帰ってくると、一緒にお風呂に入るとカンタが騒ぎ、ジャミに引き摺られて行く、日課になりつつある光景にうんざりする。
  
 いつもなら、ジャミに読み書きを教わり、その後ラッセルと夕食を食べてから自室に戻る。  今日は閨があるので読み書きはお休みで、一人早めの夕食を食べてから、ラッセルの寝室に向かう予定。閨の次の日は孤児院はお休み、ゆっくり体を休めた午後、ジャミに勉強会をみっちりされるそうです。
  
 お風呂で体を洗い、用意されていた服に袖を通す。新品を準備してくれたようで、パリっとしてる。前回奥さんの服だったのを気にしてくれたみたい、わざわざ有り難い。  



 領主室に奥にある寝室に行くとラッセルがベッドに腰を掛けて待っていた。お風呂上がりでミント系の爽やかな香りがラッセルから立ち上る。 
 
「ラッセル、お待たせ」 
   
 私はラッセルの隣に腰を掛ける。私が隣に座ると思ってなかったのか、ラッセルが一瞬ギョッとした。失礼な…そんなに驚かなくても。 
 
「いや、待ってなどいない……その、なんだ、閨だな」 
 
「はい?改まってどうしたの?もしかして仕事忙しくて疲れてるの?……今夜は、閨止める?」 
 
「止めるなど!とんでもない!!」 
いきなり大きな声に今度は私がギョッした。 
 
「ラッセル、声でかいわよ!」   
耳を押さえラッセルを睨むと謝りながら、私の前に両手を差し出した。 
 
「な、なに?」  
 
「今夜もベッドに縛り、目隠しをするんだろう?」 
 
「……良いの?」 
 
「……ミサキは人間だ、獣人と交わるのは恐怖だろう?縛りつけ、目隠しすることで、ミサキが安心するなら俺は構わない……」 
  
 心なしか猫耳がへたり、目線は床を向いたまま。本当は嫌なんだよね?……良い獣人過ぎるわ、ラッセル。野生はどこに行ってしまったの?と問い詰めたくなるくらいだわ。  

「ありがとうラッセル。今日は早く終わらせて、縛って目隠しする時間を短くするからね!」  
 
「いや!大丈夫だミサキ、苦痛ではない。それに、明日午前中分の仕事は終了してる………だから、ゆっくり……その……できる」 
 最後の方はモゴモゴして聞こえなかったけど、ラッセルも明日休みみたい。それなら余計、苦痛な閨なんて早く終わらせてのんびりしたいだろうなー。 
 一週間見てたけど、私と夕食後もラッセルは仕事をしてる。少し働き過ぎだわ、閨より休んでほしい。
 
 作戦A、潤滑油を使いサクッとヤってラッセルの苦痛を最小限にしように決めた私は、潤滑油を探す。前回はサイドテーブルに何本も置いてあった潤滑油は一本も見当たらない。 
 
「あれ?ラッセル潤滑油はないの?」  
   
「必要だったのか?前回濡れぬほど歳じゃないとミサキが怒ったから、今回は用意してないぞ」 
  
そう、確かに怒ったわ……ラッセルが準備しないのも当たり前かも。 
  
うーん、困ったわ。今回の作戦の必須アイテムがないとは………潤滑油でラッセルの一部を勃ち上がらせて、同じく潤滑油でわたしの下半身も濡らして挿入して、終了~にしたかったのに……はあっ、楽は出来ないと言うことね。 
 
「ミサキ、潤滑油が必要なら用意させるが?」 
 
「大丈夫、作戦Bに変更するから」 
   
「さ、作戦B?」 
 
「ラッセル、今日はベッドに縛るけど、目隠しはしないわ」   
 
「目隠しをしない……見ても良いのか!?」ラッセルの男らしい喉仏がごくりと動く。  
 
「あは、見ても良いけど、恥ずかしいから服は脱がないからね」  
   
「服を……脱がないのか」ラッセルは呆然と呟いた。
 

 作戦B、服を着たままなら、ドドメ色の性器も見られないし、目隠ししないからラッセルの苦痛も軽減され、わたしの罪悪感も減るに変更。  


 
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