84 / 87
番外編③ 休日はデート ~グレンさんと
しおりを挟む「グレン神官長!お待ち下さい」
再び商店街に戻りピザの材料を購入しようと歩き始めた私たちを呼び止める声がした。
二人で振り返ると式典前に神官兵として勤め始めたルジイさんが緊張した面持ちで立っていた。
「どうしたルジイ緊急事態か?」
「レイン神官長からお届け物です」
ルジイさんが引いていた荷車を下ろし、荷物を指し示した。
「レインから荷物か?」
「そ、そうです。聖女様にき、着替えと……その、あの…布団と…と、」
不審そうな眉根を寄せるグレンさんの様子にルジイさんが焦り、しどろもどろで答える。
「もう!ルジイさんしっかりして下さい!
はあっ、私が伝えます。レイン様からの伝言です。グレン様とマナツ様は、今日は七番に泊まって住み心地を確認して下さいとのことです!
お泊まりのための着替えとお布団をお持ちしましたので、お二人が他に必要な品物をお買い物している間に準備させて頂きます!」
荷車の後ろからひょこりと顔を出したノコアちゃんがルジイさんを補足しハキハキと答えた。
「え?ノコアちゃん、お泊まりって」
「と、泊まるのか?」
戸惑う私たちにノコアちゃんがにっこり微笑む。
「神殿から離れてお二人きりでのんびり過ごして欲しいとの、レイン様からのサプライズです!
竜神様もいらっしゃらないので、思う存分イチャイチャ出来ますよ」
3日に一度は、魔力譲渡を兼ねてグレンさんかレインさんに抱き潰されてるけど、神殿を離れて二人っきりなんて初めてのことだわ。
それにイチャイチャするって……魔力譲渡関係なく触れあうってこと?
大義名分なく触れあうのは、少し気恥ずかしい気がする。
「……今夜はマナツを一人占め出来るということか」
グレンさんの顔をちらっと覗き見れば、噛みしめるように呟き、口角をゆるやかに上げた。口許をさっと手で隠したけど見えてしまった。グレンさんかなり嬉しいのね。
「グレン様、良かったですね。準備は任せて下さい!ほら、ルジイさん行きますよ!」
ルジイさんを顎で使うノコアちゃんに促され、私とグレンさんは商店街に移動した。
「辛いピザが楽しみだな」
商店街でピザの材料とワイン、明日の朝食。お泊まり用の歯ブラシ、洗面用品を購入した。いつもは甘党な竜神様とレインさんに合わせた味付けだから、ピザはグレンさん好みの辛口にする。
小麦粉、チーズ、ワインなどの重い材料はグレンさんが持ってくれた。
右手はしっかりグレンさんと繋がれて。
左手に揺れる小さな紙袋に、私が持つのは軽い二人分の歯ブラシとコップ。
日用品を二人で買う些細なことが、嬉しくて恥ずかしくて、くすぐったい。
これって、新婚さんみたいだわーー。
自分で考えて、顔がどんどん赤くなる。
離婚した元旦那は買い物は女の仕事と一緒に行ったことはなかったから余計に感慨深い。
同じ歩幅で帰路を歩く。グレンさんと繋いだ手から伝わる熱。注がれる眼差し。痛いほど伝わる思い。甘い雰囲気とは違うもっと苛烈な感情。
渇望されているんだわ……そして、私自身彼を求めていて。
じわりと体が熱を持つ、お腹の下がじくじくする。
「お帰りなさいませ!マナツ様、グレン様終わっておりますよ。どうぞごゆっくり」
玄関前で待っていたノコアちゃんとルジイさんにお礼を言う。二人を見送りたかったけど、それは叶わなかった。
グレンさんが私を抱き寄せ、強引に家の中に押し込んだから。
「んっ!」
「マナツ……我慢出来ない」
ずるりと二人の荷物が落ちる音がする。ワイン割れてないよね?
玄関の鍵を締めるのも、もどかしいのか荒々しくその場で口づけされる。食べられるんじゃないかと思うような獰猛さで、唇を吸われ食まれる。角度を変えては食べられて。
「うっ、はっっ。あっっ!ま、待って鍵閉めてないっ!ーーーあっ、んん」
訴えた声を唇で塞ぎ、長い舌が口腔内に侵入した。前歯の後ろから上あごの天井部位を丹念になめられてる。ぞくりと快感が走る。
肉厚な舌が誘うように私の舌に絡まる。
熱くぬめる舌が気持ちよくて、グレンさんと競うように積極的に舌を絡めた。
呼吸が苦しい、鼻から上手く吸えなくて。グレンさんにすがるように体を預けてしまう。
「あ、あっ」
「はあっ、ふっ……マナツ」
グレンさんの手が首筋を撫で、服の上から胸を揉まれる。胸を下から掬い上げ、立ち上がって硬くなった頂きをぎゅっと摘ままれる。
痛いのに気持ちいい。
びくびくと体が跳ねる。内腿を擦り合わせて、中の熱を逃がそうとしても治まらない。蜜がじわりと滴るのがわかってしまう。
グレンさんの不埒な手は胸から下へ……。お腹を労るようにま丸く撫でた。
「ここに……俺のを」
さわ、さわと、お腹を優しく撫でいた手がぐっと力を入れてわし掴んだ。
「お、お腹っ、あっ!」
上がつかまれて、子宮がキュンと疼く。
グレンさんはスカートを捲りあげると、濡れたショーツを一気に引きずり下ろした。
1
お気に入りに追加
213
あなたにおすすめの小説

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。
このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
マーベル子爵とサブル侯爵の手から逃げていたイリヤは、なぜか悪女とか毒婦とか呼ばれるようになっていた。そのため、なかなか仕事も決まらない。運よく見つけた求人は家庭教師であるが、仕事先は王城である。
嬉々として王城を訪れると、本当の仕事は聖女の母親役とのこと。一か月前に聖女召喚の儀で召喚された聖女は、生後半年の赤ん坊であり、宰相クライブの養女となっていた。
イリヤは聖女マリアンヌの母親になるためクライブと(契約)結婚をしたが、結婚したその日の夜、彼はイリヤの身体を求めてきて――。
娘の聖女マリアンヌを立派な淑女に育てあげる使命に燃えている契約母イリヤと、そんな彼女が気になっている毒舌宰相クライブのちょっとずれている(契約)結婚、そして聖女マリアンヌの成長の物語。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません

私はあなたの魔剣デス ~いや、剣じゃないよね、どう見ても違うよね?~
志位斗 茂家波
ファンタジー
この世界で誰も彼もが手に持ち、そして振るう事が出来る魔剣。
火を放ち、水を吹き出し、雷撃を放つ様々な力を持ち、生涯ずっと共にあり続ける。
「なので私も魔剣であり、すべての敵を排除するためにご主人様その力を奉げるのデス!!」
「ちょっと待って、剣じゃないよね?見た目どう見てもメイドなんだけど?」
「‥‥‥そう、忠剣というやつなのデス!!」
「それは忠犬って普通言うよね!?そもそも犬でもないだろ!!」
‥‥‥あり続けるはずなんだけど、なんで彼女が俺の魔剣なのだろうか。
これは、ある意味不幸でありつつも最強の魔剣(?)を手に入れた者の物語である‥‥‥
―――――
「小説家になろう」でも掲載。
この野菜は悪役令嬢がつくりました!
真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。
花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。
だけどレティシアの力には秘密があって……?
せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……!
レティシアの力を巡って動き出す陰謀……?
色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい!
毎日2〜3回更新予定
だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!

二度目の召喚なんて、聞いてません!
みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。
その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。
それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」
❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。
❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。
❋他視点の話があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる