【番外編完結】聖女のお仕事は竜神様のお手当てです。

豆丸

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番外編③ 休日はデート ~グレンさんと

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「グレン神官長!お待ち下さい」 

 再び商店街に戻りピザの材料を購入しようと歩き始めた私たちを呼び止める声がした。 
  
 二人で振り返ると式典前に神官兵として勤め始めたルジイさんが緊張した面持ちで立っていた。 

「どうしたルジイ緊急事態か?」 
  
「レイン神官長からお届け物です」 
 ルジイさんが引いていた荷車を下ろし、荷物を指し示した。 

「レインから荷物か?」 
「そ、そうです。聖女様にき、着替えと……その、あの…布団と…と、」  
 不審そうな眉根を寄せるグレンさんの様子にルジイさんが焦り、しどろもどろで答える。 

「もう!ルジイさんしっかりして下さい! 
 はあっ、私が伝えます。レイン様からの伝言です。グレン様とマナツ様は、今日は七番に泊まって住み心地を確認して下さいとのことです! 
 お泊まりのための着替えとお布団をお持ちしましたので、お二人が他に必要な品物をお買い物している間に準備させて頂きます!」  
 荷車の後ろからひょこりと顔を出したノコアちゃんがルジイさんを補足しハキハキと答えた。  
 
 
「え?ノコアちゃん、お泊まりって」 
「と、泊まるのか?」 
 戸惑う私たちにノコアちゃんがにっこり微笑む。 

「神殿から離れてお二人きりでのんびり過ごして欲しいとの、レイン様からのサプライズです! 
 竜神様もいらっしゃらないので、思う存分イチャイチャ出来ますよ」  

 3日に一度は、魔力譲渡を兼ねてグレンさんかレインさんに抱き潰されてるけど、神殿を離れて二人っきりなんて初めてのことだわ。    
 それにイチャイチャするって……魔力譲渡関係なく触れあうってこと? 
 大義名分なく触れあうのは、少し気恥ずかしい気がする。  
 
「……今夜はマナツを一人占め出来るということか」 
 グレンさんの顔をちらっと覗き見れば、噛みしめるように呟き、口角をゆるやかに上げた。口許をさっと手で隠したけど見えてしまった。グレンさんかなり嬉しいのね。 

  
「グレン様、良かったですね。準備は任せて下さい!ほら、ルジイさん行きますよ!」  
 ルジイさんを顎で使うノコアちゃんに促され、私とグレンさんは商店街に移動した。
 

 
 
「辛いピザが楽しみだな」  
 商店街でピザの材料とワイン、明日の朝食。お泊まり用の歯ブラシ、洗面用品を購入した。いつもは甘党な竜神様とレインさんに合わせた味付けだから、ピザはグレンさん好みの辛口にする。 
 小麦粉、チーズ、ワインなどの重い材料はグレンさんが持ってくれた。 
 右手はしっかりグレンさんと繋がれて。 
 左手に揺れる小さな紙袋に、私が持つのは軽い二人分の歯ブラシとコップ。 
   
 日用品を二人で買う些細なことが、嬉しくて恥ずかしくて、くすぐったい。 

 これって、新婚さんみたいだわーー。 

 自分で考えて、顔がどんどん赤くなる。 

 離婚した元旦那は買い物は女の仕事と一緒に行ったことはなかったから余計に感慨深い。 
 
 同じ歩幅で帰路を歩く。グレンさんと繋いだ手から伝わる熱。注がれる眼差し。痛いほど伝わる思い。甘い雰囲気とは違うもっと苛烈な感情。 

 渇望されているんだわ……そして、私自身彼を求めていて。 

 じわりと体が熱を持つ、お腹の下がじくじくする。 

 
「お帰りなさいませ!マナツ様、グレン様終わっておりますよ。どうぞごゆっくり」  
 玄関前で待っていたノコアちゃんとルジイさんにお礼を言う。二人を見送りたかったけど、それは叶わなかった。 
 グレンさんが私を抱き寄せ、強引に家の中に押し込んだから。 

「んっ!」
「マナツ……我慢出来ない」 
 ずるりと二人の荷物が落ちる音がする。ワイン割れてないよね?
 玄関の鍵を締めるのも、もどかしいのか荒々しくその場で口づけされる。食べられるんじゃないかと思うような獰猛さで、唇を吸われ食まれる。角度を変えては食べられて。  

「うっ、はっっ。あっっ!ま、待って鍵閉めてないっ!ーーーあっ、んん」  
  訴えた声を唇で塞ぎ、長い舌が口腔内に侵入した。前歯の後ろから上あごの天井部位を丹念になめられてる。ぞくりと快感が走る。 
 肉厚な舌が誘うように私の舌に絡まる。 
 熱くぬめる舌が気持ちよくて、グレンさんと競うように積極的に舌を絡めた。 
 呼吸が苦しい、鼻から上手く吸えなくて。グレンさんにすがるように体を預けてしまう。 

「あ、あっ」 
「はあっ、ふっ……マナツ」 
 グレンさんの手が首筋を撫で、服の上から胸を揉まれる。胸を下から掬い上げ、立ち上がって硬くなった頂きをぎゅっと摘ままれる。 
 
 痛いのに気持ちいい。  
  
 びくびくと体が跳ねる。内腿を擦り合わせて、中の熱を逃がそうとしても治まらない。蜜がじわりと滴るのがわかってしまう。 

 グレンさんの不埒な手は胸から下へ……。お腹を労るようにま丸く撫でた。 
 
「ここに……俺のを」 
 さわ、さわと、お腹を優しく撫でいた手がぐっと力を入れてわし掴んだ。 
 
「お、お腹っ、あっ!」  
 上がつかまれて、子宮がキュンと疼く。

 グレンさんはスカートを捲りあげると、濡れたショーツを一気に引きずり下ろした。

 
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