【番外編完結】聖女のお仕事は竜神様のお手当てです。

豆丸

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新しい方法

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 グレンさん、レインさんとの添い寝した次の日の朝は物凄く殺気だってる。 
 何か言いたそうに、穴が空くほど私の首筋を凝視しているのは何故だろう? 
 

 ある夜、レインさんと添い寝中。レインさんの聖なる力、温かい繭に包まれる。何でも許されるような温かさのなか、気になることを質問しようと口を開く。
 
「……グレンさんって」 
 
「童貞ですよ」 
 あっさりさっぱり告げられた。
 
「な、え?そ、そんなの聞いてない」 
 
「違いましたか?マナツ様に対するグレンの態度があからさまに意識しすぎておかしいので、気になっていると思いまして」 
 ニコニコ笑顔を崩さないレインさん。  
 
「……気にはなるわよ!グレンさん、あの日から挙動不審なんだもの」 

「まあ、童貞ですので経験も余裕もありませんよ。あの日……マナツ様が泣いたのが、自分が触れたことが、嫌で泣いたと思い込んでいるようです」 
 レインさんは、後ろから私の黒髪に手を入れ、指で鋤いていく。

「……違うわ。嫌とかじゃなくて、初めてはやっぱり好きな人とした方がいいわ。童貞の興味本意や魔力委譲の延長じゃなくて」 
  
「はい?」 
 レインさんの手が止まり、隙間から黒髪が流れ落ちた。 

「くくくっ」 
「レインさん?」 
「くっ!あはははははっ!」 
 レインさんは私の後ろでお腹を押さえて爆笑した。何がそんなにおもしろいのか?目の端に涙を溜めて、ひーひー言っている。 
 
「これは傑作です。何も伝わっていないなんて!」 
 なおも笑い続けるレインさん、その振動が私にそして、寝ていた竜神様に伝わる。 
 
「レインさん、笑い過ぎよ!竜神様が起きちゃうわ」 
 
「ギュロロロー!ギュロロロー!!」 
 案の定起きてしまった竜神様。不機嫌にしっぽを布団に叩きつけた。謝りつつ竜神様を抱き上げて揺らし、ご機嫌をとる。しばらくすると再び穏やかな寝息をたてた。 
 
「すいません。あまりにおもしろいので、私からグレンに少し話しておきますね」 
 小声で、楽しそうに笑うレインさんに嫌な予感しかしない。 
 
「大丈夫よ!レインさんが話したら余計拗れそうだから……それより魔力委譲の方法、口づけやその…ま、交わること以外に方法はないの?」 
 1日三回も口づけするのは、恥ずかしいし気持ちいいし、そのいろいろしんどい。女の子だってムラムラするのだ。
 
「私たちとしては、効率を考えてそろそろ口づけを終わりにして交わりたいのですが」 
 私の顎を持ち上げ、真面目な顔で言うレインさん。だけど、目が笑っていた。 
 
 また、私の反応を見てからかうつもりなんだわ。
 
「冗談はいいですから……お互い負担にならない方法を探しましょう?」 
 レインさんを真似てにっこり微笑んで言ってやった。 
 私が恥ずかしがると思ったのだろう、レインさんは一瞬呆気に取られた。

「……それでしたら、試したい方法があります」 
 耳元で低く艶っぽく囁かれる。 
 
「な、なに?」 
 耳にかかる息がくすぐったい。 

「咥えて下さい……のを」 

「え??を!?」 

 

◇◇◇ 


  
 朝の魔力委譲の時間、竜神様をノコアちゃんにお願いして私とレインさんは新しい方法を試す。  

「マナツ様、恥ずかしがらず。もっと深く……根元までしっかり咥えて」 

「んっ、はっ。硬いし、舐めにくいわ」 
 太くて硬いソレに舌を這わせる。 

「もっと、先の方をしつこく舐めて下さい」 
 液体滴る先をペロペロ舐めると口の中に苦い味が広がった。美味しくなくて眉間に皺が寄る。

「……そうです上手ですね」 
 レインさんが私の頭をいい子とばかりに撫でた。変な気持ちになるのでやめて欲しい。
 
「たくさん欲しいなら、頑張って舐めて下さいね」
 レインさんがソレを口の中で動かす。私の口内をかき混ぜて、ゴリリと舌に押し付けた。卑猥な水音を奏で、硬いソレを舐めていく。 
 顔が赤くなる。ぞくんと快感が口の中からお腹に降りて身を震わせた。 
 
「んっ、あっ」 
「ふふ…僕の咥えて林檎みたいに熟れてる……可愛い」 
 穏やかなレインさんの瞳が細められ縦の瞳孔に変わり、自虐的な笑みを浮かべる。本来の彼の気質が垣間見えた。 
 
「ほら、強く吸って」 
 恍惚の表情を浮かべるレインさん。更に深く突っ込まれ、えずいてしまった。 
 
「うえっ!はっ、レインさん!もう血はとっくに止まっているわよ!この方法は失敗だわ!聖なる力全然流れて来ないわよ」 
  
 苦しくて私はレインさんのを口から出した。血が滴っていた指先の血は完全に止まっている。 


 そう……レインさんが私と試した方法。それは、レインさんの体液(血)を私が粘膜(舌)で摂取することだった。   

 以前レインさんに魔力委譲は粘膜同士の接触、体液の交換が出来れば行えると聞いて、実行してみたものの。 
 血液の量が少ないのか、方法そのものがダメなのか、僅かな聖なる力しか流れて来なかった。
 
「そうですか、ダメでしたか残念ですねー」レインさんがしれっと言った。
  
 ……レインさん、あんなにノリノリで人の口に指を突っ込んでおいて、始めからこの方法は失敗するって知ってたよね? 
  
「レインさん、騙したのね?」 
 私は羞恥した分だけ怒りが湧いてレインさんを睨むが、レインさんはどこ吹く風である。 
 
「騙してませんよ。この方法が失敗なのはわかりましたから……次は別の方法を試しますか?」  
 びっくりするぐらいの笑顔で言われた。 
 
「別の方法いいです………いつもの方法でお願いします」 
 これ以上レインさんの玩具にされるのはごめんだわ。やはり口づけが一番無難なようである。
   
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