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関わりたくない人
しおりを挟むこの手のタイプは下手に反応すると物事が大きくなる。
言い返すと「ひどいわ」と、言っては泣き。無視しスルーしたら「無視してひどいわ」と泣く。
素直に非を認め謝っても「そんなつもりじゃないの、謝まられたら私が悪者みたい……私を悪者にしたいのね?ひどいわ」と、泣くのだ。
泣くことで周囲の同情をかい、優位に立とうとする。私と相容れない、なるべく関わりたくない生き 物。それが小春さん。
学生時代はまだ周囲も若く未熟。人を見る目がないからある程度は、ちやほやされ小春さんのやり方がまかり通るかもしれない。
でも自身も大人になり周りも精神的に成熟した時、小春さんはただの困った泣き虫おばさんと化す。めんどくさがられ、誰からも相手にされないかも。
案の定成熟した、侍女さん神官見習いさんたち渋い顔で芝居じみた小春さんから距離を取った。小春さんに寄り添うのはシャインさんだけ。
「小春さん……貴重な意見をありがとう!グレンさんレインさんは今の小春さんの発言どう思う?」
「な?」
「え?」
まさかふられると思ってなかったのだろう、驚き顔の神官さん。
私の選択肢は上司に丸投げである。
自分の身内ならいいざ知らず。自分の仕事を、人に押し付けようとした小春さんを矯正させる義理も根性も体力もない。
小春さんが神官見習いに夢中でなく、もう少しお手当てに真摯だったら、綾乃さんの抜けた穴を二人で協力して埋められたのに……と、辛口に思ってしまう。
そうしたら、貴女の望んだグレンさんとレインさんとの添い寝も出来たのに。
小春さんの望むのは男女的な意味合い。
応急措置も必要ないって、グレンさんもレインさんも頑なに、避けてるけど。
特別手当てをもらっているから手は抜かないけど夜のお手当てはごっそり聖なる力を持っていかれて、疲弊するのだ。
朝には隈も凄くて顔色悪くてふらふら。
小春さんのお手当て当番の翌朝、繭玉様引き取りに会うけど、夜間中お手当てしても隈もなくてお肌も艶々。手を抜いてないの?やっぱり若さの違い。それとも深い交わりの成せる業なのか?
はあっ。疲れで考え方がマイナスになっている。
小春さんと戦う気力はない。
「私は、真夏さんに言っているのに……グレン様とレイン様を引っ張り出してくるなんて…」うるうると私を見つめる。
「すまんなコハル様。マナツ様は、疲れているんだ」疲れ顔の私に気づいたグレンさんが助け船を出してくれた。
「私たちもマナツ様の発言を笑ってしまったの同罪です。コハル様を不快にさせてしまい、申し訳ありませんでしたね」
恭しくレインさんが小春さんに頭を下げた。
「レイン様!真夏さんが悪いのに神官の貴方が頭を下げるなんて……。私はただ真夏さんの日頃の言動を諌めたいだけです!」
小春さんは見送りに来ていた一般市民に聞こえるように一際大きな声を発した。
さも、日頃から私が問題発言をしているのかのように。私を神官長に頭を下げさせた嫌な奴に仕立てるつもりのようだ。
事情を知らない市民さんから非難の視線を感じ初めた。
はーー。めんどうくさい!本当に困った人だわ。
「は?マナツ様を諌める前に日頃の自分の行動を諌めた方がいいぞ」
「え?どうしてですか?私頑張ってますよ!」
「最近、行商人の間で話題になっている話があるんですよ」穏やか笑顔のレインさん。
「え?行商人……」
見に覚えがあるのか小春さんの顔色が悪くなった。
「慈悲深いコハル様は、誰彼構わず行商人さえ深く癒してくださると、感謝されていましたよ?」
え?神官見習いさん以外とも、致してたの?
コハルさんのストライクゾーンの広さに唖然とする。
「そ、そうです!私は傷ついた彼を癒しただけです!聖女として放っておけなかったんです!」
自分の不貞行為を美談にしようと必死なコハルさん。
「癒しか?勘違いした別の行商人から、自分にも娼婦を斡旋して欲しいと言われたぞ」
「娼婦ですって!?そんなつもりないです!癒しただけなのにひどいです!」
劣勢だと思ったのか泣きながらコハルさんは神殿内に逃げて行った。
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