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私の聖女様 sideノコア
しおりを挟む私は、竜族のノコア。
アーガストの大神殿に勤める聖女候補様付き侍女です。
ここアーガストに三人の聖女候補が召喚され、お手当て開始されいろいろ有りましたが、とうとう竜神様が繭になり、いよいよ復活に期待が高まります。
今回は、聖女候補にも色んなお方がいらっしゃるんだと良い学びになりました。
侍女を虐げていたアヤノ様は、今は降格して監査付きでポーション作りをしています。
食事は神殿で提供しますが、もう侍女が至れり尽くせりすることは有りません!命令も聞きません。
コハル様は、早々に侍女を締め出し神官見習いをこれ見よがしに侍らしています。
身の回りのお世話は彼らにさせているようです。
私たち女性は眼中にないようで、挨拶しても無視されます。鼻に付く甘ったるい声でところ構わず盛っています。羨ましいよりみっともないです。
最近はあてがわれた神官見習いに飽き、庭師、調理人、はては行商人まで誘惑しています。節操無さすぎです。
私のような、古き竜の血の薄い下々の者にまで解るほど、彼女の聖なる力は色んな男性との交わりで灰色に澱んでいます。本当に気持ち悪い。
部屋に挨拶に訪れたコハル様を早々に追い出したベンダル様には、とても穢らわしく見えたことでしょう。
私達竜族は肉体的繋がりより精神的繋がりを大事にしています。コハル様は、ただ快楽の追求しか無いようですが……虚しくならないのでしょうか?
まあ、聖なる力の受け渡しは大層快感を伴うそうなので、彼女は嵌まったようです。
私はマナツ様の侍女で良かったと日々思います。
マナツ様はお仕事だからやってるだけよと、言いながらも心を込めて竜神様にお手当てをしています。
芋虫形態の時は、呪いまみれの竜神様に戸惑いなく触れて、膝に乗せ図書館で幼児向けのお話を読んだり、中庭にシーツを敷きピクニックをしたりまるで我が子のように慈しんでいました。
竜神様の食事は思いと手間をかけた手作り。私達侍女にも、労いを込めたおやつを作ってくれました。
マナツ様の優しさを込めた美味なおやつは侍女に好評で、日々の疲れが吹き飛びます。アヤノ様に疲弊した侍女は泣いて喜んでいました。
竜神様がお腹を壊すと知れば腹巻きを、頭をぶつけたと聞けば帽子を作り、呪いを撒き散らかさないようにマントまで……案の定、聖なる力を使い過ぎて、グレン様の心配した通り、またお倒れになってしまいました。
あのときのグレン様の取り乱しようは凄かったです。私達が居るのに目の前で応急措置して。
グレン様は、真面目で一生懸命なマナツ様に好意を持ったのでしょう。
マナツ様は気づいて居ないようですが、グレン様とても優しい瞳で彼女を見つめていますから。
それに気づいたレイン様は、格好のネタとばかりにからかって遊んでいます。
でも、一部の侍女は気づいていますよ。レイン様もマナツ様をすごーく気にいってるって!
あの、偏食で料理長を困らすレイン様がマナツ様の作った物なら完食するんですから。
「マナツ様は、レイン様とグレン様どちらをより好いてますか?」
アヤノ様が別棟に移り、式典の準備にはまだ早く余裕の出てきた私達侍女の関心事はマナツ様がどちらを選ぶかです!
「え?え?す、好いてって……えーとっ。その、添い寝のせいよね?はあっ。だから言ったのに……。違うのよノコアちゃん!竜神様の羽化促進の為に、お手当てで添い寝してるだけで、決してやましいことはしてないのよ!!」
「えー?してないんですか?」
「してません!そーゆーことは好きな人としかしません!!」
顔を真っ赤にして照れ隠しに怒るマナツ様のなんと可愛いらしいこと。
まるで、食べ頃の美味しそうな林檎。
マナツ様の貞操観念には好感がもてますが、グレン様もレイン様も本当は食べたくて仕方ないんだと思います。
添い寝に関して箝口令も出ていませんし、ベンダル様公認の行為です。
寧ろ周囲に広めて、マナツ様が他に行き場のないよう囲い込むつもりですね。
マナツ様本人がお幸せで、ずっと神殿に居てくれるなら私は大歓迎です。
竜族では伴侶に自分の色をマーキング的に着ける習慣が有るのですが、二人とも、応急措置にかこつけて自分の魔力の色で、マナツ様を染めようと必死なようです。
今、マナツ様はグレン様のルビーの赤色とレイン様のサファイアの青色が綺麗に丁度半分ずつ。
どちらかの色に全て染まるのか、このままなのか。今後が楽しみです。
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