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2章 商人の悪意
6 捕縛
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ベラドンナの根。摂取すると死に至ることもある毒草だ。所持することは難しいし、人に使ったりしたら罪にも問われる代物……。
(ヒューゴへの敵意と毒の所持。これって、関係があるんじゃ?)
安易に決めつけるのはよくない。たまたま持っていただけかもしれないし、別の人に使うかもだし……。いや、別の人に使うってそれもそれでどうなのよ。
夕食も終わり際。そろそろ部屋に戻ろうかという頃合いだった。
「ねえ、ヒューゴ。ちょっと話があるんだけど……」
いくら騒がしい食堂といえ、堂々と毒がどうのなんて物騒な話をするのは憚られた。ので、私はヒューゴと宿の裏まで来ていた。
「で、なんです? 話って」
「ルドルフのことよ。さっき、鑑定したの。あの人、毒を持ってる」
「毒、ですか?」
「ええ。ベラドンナの根よ。人も殺せる。いくら商人っていっても、おかしくない? それに、ヒューゴにすごい敵意を持ってるみたい」
狙われてるんじゃないか。そう続ける。
アナライズは年齢、名前、職業とかのステータス類と所持品、能力はわかるけど、思考が読めないのが難点だった。
無駄に感情だけ流れ込んでくるけれど、嫌な気持ちになるだけで正確な狙いとかはわからない。
まぁ、目的とかが読めるような魔法なら追放されることもなかっただろうし。案外使いづらい魔法よね。
私にわかったのはルドルフが毒を持っていることと、あの時ヒューゴへの凄まじい敵意を持っていたことだけ。
単純に考えたら敵意を持っているヒューゴを害すために毒を持っているってことになるんだけど。
「……その可能性はありますね。彼は自慢ばかりしていましたが、最近商売がうまくいっていないそうなんです。前から私のことを嫌っていましたし、苛立ちをぶつけようとしている可能性は考えられますね」
「でも、ヒューゴはルドルフになにも悪いことはしてないんでしょ? さっきも普通に話してたし……」
「まぁ、そういうものですよ。自分より恵まれているように見える人は羨ましい、妬ましい。何してもいいと思っている人間なんてざらにいます」
ヒューゴは諦めたような目をして言った。
「それにあなたも、何も悪いことはしてなかったでしょう」
ヒューゴの言葉に、私は何も言えなかった。
「すみません、言う必要のないことでしたね」
「ううん、いいの」
そして、私たちはそれぞれの部屋に戻ることになった。ルドルフの動向は気になるけれど、そこそこ名の知れた商人同士、あまり問題ごとを起こすわけにもいかないらしい。
(ヒューゴ、こういうこと、慣れてるのかなあ)
嫌われるのに慣れて、信用できない人と笑顔で接して。
それって、すごく辛いんじゃないか。そう思った。
次の日。今回の旅は、まずガルシア王国に入国することを目標とし、エーデルランド国内ではあまり時間を浪費しない予定だった。
だから、起きて準備を整えたらすぐ出立する予定だったんだけど……。
荷物をまとめ終え、宿の廊下で合流した私たちの元へ、ルドルフがやってきた。
「おはよう、ヒューゴくん。ちょっとよろしいですかな?」
私に見向きもせず、ヒューゴに話しかける。作ったような笑顔は昨日と同じ、だけど少し嫌な感じがした。
「おはようございます、ルドルフさん。何かございますか?」
ヒューゴが礼儀正しく尋ねる。
「実は、最近開発した疲れがとれるサプリメントがありましてね、ぜひ試していただきたく。旅の途中で疲れがたまりやすいですからな」
彼は小さな瓶を差し出した。中には、緑色をした小さな錠剤が入っている。
迷いなく、小瓶に対して鑑定を実行する。丸薬……大半はただのつなぎだけど、一部にベラドンナの根から絞ったエキスが含まれている。つまり、毒だった。
ヒューゴに目配せをする。
「ありがとうございます。ルドルフさん。後で試してみますね」
ヒューゴは笑顔で瓶を受け取ろうとした。ここで断るより、あとで廃棄した方がいいという考えなのだろう。
「こちら、水なしでも飲めるんですよ」
そう言い、瓶のふたを開ける。
(ここで飲めってこと? あまりにも強硬すぎない……?)
「お嬢さんもぜひ。肌にもよろしいそうですぞ」
だから護衛って言ってるじゃない! ほんとに舐めてるわね。
「ルドルフさんでしたっけ。これ、毒入ってますよね?」
そう言うと、ルドルフは明らかに挙動不審になり、早口で喋りだした。
「そ、そんなはずはないですぞ。お嬢さんはこうしたサプリメントなどを試したことがないのですかな。無礼ですぞ!」
「毒が入っていないというなら、自分で飲んでみて」
私はルドルフに迫った。ルドルフの顔は青ざめ、言葉を失っている。
(やっちゃった……ヒューゴが穏便に事を進めようとしてたのに)
どうしようかと戸惑っていると、ヒューゴがすらすらと喋りだした。
「ルドルフさん。この薬、研究所とかに持ち込めばすぐに真偽がはっきりしますよね。前から、素行に問題があるという話はお聞きしていたんです。今から警備隊を呼びましょうか」
ルドルフは慌てて逃げようとしたが、ヒューゴがすばやく魔法を使って彼を捕まえた。バインドの魔法が使えたとは知らなかった……それもこんなに鮮やかなんて。
犯行を認めた後、ルドルフは恨み言を叫んだ。
「年下なのに、自分よりも商売がうまくいっているお前が妬ましかったんだ! それに、なんの役にも立たなさそうな女を連れて。若き天才商人だと? 余裕ぶるなよ!」
「年齢とか関係ありませんよ。人を殺そうというのにこんなお粗末な計画を立てるような頭だから、取引もうまくいかないんじゃないんですか?」
ヒューゴはバインドで地面に伏すルドルフをろくに見ずに低い声でつぶやいた。普段との差が大きく少しびっくりする。
「それと、彼女は私が認めた優秀な護衛です。侮辱するのはやめていただけますか」
ルドルフは、さらに恨み言を重ねようとしていた。
「<スリープ>」
私はルドルフを眠らせる。
「あぁ、ありがとうございます、クレア」
ヒューゴは先ほどまでの冷え冷えとした表情を消し、ゆっくりとほほ笑んだ。
「護衛だからね。それより、ヒューゴがせっかく穏便にしてたのに、言い返しちゃってごめん」
「いいんです。面倒なのである程度穏便にやり過ごそうとしていましたが……彼ほど愚かなら、こうしてはっきりしていた方がよかったかもしれません」
「ねえ、ヒューゴはこうして嫌われて、辛くない?」
出過ぎた発言だったかもしれない。けれど、気になってしまった。表面上とは言え、和やかに話していたはずなのに、こうして毒を盛られるほど嫌われるなんて。
「……別に、慣れてしまいましたから。それより、クレアが侮辱されたことの方が問題ですよ。本当に、申し訳ない」
「なんで謝るのよ。私、ヒューゴの護衛なんでしょ?」
ヒューゴは優しいからこうして気遣ってくれるけど、本来依頼主がヒューゴで私が護衛。むしろ私がもっとヒューゴを気遣って、こういう嫌なことから遠ざけないといけないのに。
「私、もっと護衛として頑張る。慣れたっていっても、こうしてあからさまに殺そうとされるとこ、見てほしくない」
ヒューゴは目を細め、少しだけ笑った。
「もう十分助けられてますけどね。ありがとう、クレア」
(ヒューゴへの敵意と毒の所持。これって、関係があるんじゃ?)
安易に決めつけるのはよくない。たまたま持っていただけかもしれないし、別の人に使うかもだし……。いや、別の人に使うってそれもそれでどうなのよ。
夕食も終わり際。そろそろ部屋に戻ろうかという頃合いだった。
「ねえ、ヒューゴ。ちょっと話があるんだけど……」
いくら騒がしい食堂といえ、堂々と毒がどうのなんて物騒な話をするのは憚られた。ので、私はヒューゴと宿の裏まで来ていた。
「で、なんです? 話って」
「ルドルフのことよ。さっき、鑑定したの。あの人、毒を持ってる」
「毒、ですか?」
「ええ。ベラドンナの根よ。人も殺せる。いくら商人っていっても、おかしくない? それに、ヒューゴにすごい敵意を持ってるみたい」
狙われてるんじゃないか。そう続ける。
アナライズは年齢、名前、職業とかのステータス類と所持品、能力はわかるけど、思考が読めないのが難点だった。
無駄に感情だけ流れ込んでくるけれど、嫌な気持ちになるだけで正確な狙いとかはわからない。
まぁ、目的とかが読めるような魔法なら追放されることもなかっただろうし。案外使いづらい魔法よね。
私にわかったのはルドルフが毒を持っていることと、あの時ヒューゴへの凄まじい敵意を持っていたことだけ。
単純に考えたら敵意を持っているヒューゴを害すために毒を持っているってことになるんだけど。
「……その可能性はありますね。彼は自慢ばかりしていましたが、最近商売がうまくいっていないそうなんです。前から私のことを嫌っていましたし、苛立ちをぶつけようとしている可能性は考えられますね」
「でも、ヒューゴはルドルフになにも悪いことはしてないんでしょ? さっきも普通に話してたし……」
「まぁ、そういうものですよ。自分より恵まれているように見える人は羨ましい、妬ましい。何してもいいと思っている人間なんてざらにいます」
ヒューゴは諦めたような目をして言った。
「それにあなたも、何も悪いことはしてなかったでしょう」
ヒューゴの言葉に、私は何も言えなかった。
「すみません、言う必要のないことでしたね」
「ううん、いいの」
そして、私たちはそれぞれの部屋に戻ることになった。ルドルフの動向は気になるけれど、そこそこ名の知れた商人同士、あまり問題ごとを起こすわけにもいかないらしい。
(ヒューゴ、こういうこと、慣れてるのかなあ)
嫌われるのに慣れて、信用できない人と笑顔で接して。
それって、すごく辛いんじゃないか。そう思った。
次の日。今回の旅は、まずガルシア王国に入国することを目標とし、エーデルランド国内ではあまり時間を浪費しない予定だった。
だから、起きて準備を整えたらすぐ出立する予定だったんだけど……。
荷物をまとめ終え、宿の廊下で合流した私たちの元へ、ルドルフがやってきた。
「おはよう、ヒューゴくん。ちょっとよろしいですかな?」
私に見向きもせず、ヒューゴに話しかける。作ったような笑顔は昨日と同じ、だけど少し嫌な感じがした。
「おはようございます、ルドルフさん。何かございますか?」
ヒューゴが礼儀正しく尋ねる。
「実は、最近開発した疲れがとれるサプリメントがありましてね、ぜひ試していただきたく。旅の途中で疲れがたまりやすいですからな」
彼は小さな瓶を差し出した。中には、緑色をした小さな錠剤が入っている。
迷いなく、小瓶に対して鑑定を実行する。丸薬……大半はただのつなぎだけど、一部にベラドンナの根から絞ったエキスが含まれている。つまり、毒だった。
ヒューゴに目配せをする。
「ありがとうございます。ルドルフさん。後で試してみますね」
ヒューゴは笑顔で瓶を受け取ろうとした。ここで断るより、あとで廃棄した方がいいという考えなのだろう。
「こちら、水なしでも飲めるんですよ」
そう言い、瓶のふたを開ける。
(ここで飲めってこと? あまりにも強硬すぎない……?)
「お嬢さんもぜひ。肌にもよろしいそうですぞ」
だから護衛って言ってるじゃない! ほんとに舐めてるわね。
「ルドルフさんでしたっけ。これ、毒入ってますよね?」
そう言うと、ルドルフは明らかに挙動不審になり、早口で喋りだした。
「そ、そんなはずはないですぞ。お嬢さんはこうしたサプリメントなどを試したことがないのですかな。無礼ですぞ!」
「毒が入っていないというなら、自分で飲んでみて」
私はルドルフに迫った。ルドルフの顔は青ざめ、言葉を失っている。
(やっちゃった……ヒューゴが穏便に事を進めようとしてたのに)
どうしようかと戸惑っていると、ヒューゴがすらすらと喋りだした。
「ルドルフさん。この薬、研究所とかに持ち込めばすぐに真偽がはっきりしますよね。前から、素行に問題があるという話はお聞きしていたんです。今から警備隊を呼びましょうか」
ルドルフは慌てて逃げようとしたが、ヒューゴがすばやく魔法を使って彼を捕まえた。バインドの魔法が使えたとは知らなかった……それもこんなに鮮やかなんて。
犯行を認めた後、ルドルフは恨み言を叫んだ。
「年下なのに、自分よりも商売がうまくいっているお前が妬ましかったんだ! それに、なんの役にも立たなさそうな女を連れて。若き天才商人だと? 余裕ぶるなよ!」
「年齢とか関係ありませんよ。人を殺そうというのにこんなお粗末な計画を立てるような頭だから、取引もうまくいかないんじゃないんですか?」
ヒューゴはバインドで地面に伏すルドルフをろくに見ずに低い声でつぶやいた。普段との差が大きく少しびっくりする。
「それと、彼女は私が認めた優秀な護衛です。侮辱するのはやめていただけますか」
ルドルフは、さらに恨み言を重ねようとしていた。
「<スリープ>」
私はルドルフを眠らせる。
「あぁ、ありがとうございます、クレア」
ヒューゴは先ほどまでの冷え冷えとした表情を消し、ゆっくりとほほ笑んだ。
「護衛だからね。それより、ヒューゴがせっかく穏便にしてたのに、言い返しちゃってごめん」
「いいんです。面倒なのである程度穏便にやり過ごそうとしていましたが……彼ほど愚かなら、こうしてはっきりしていた方がよかったかもしれません」
「ねえ、ヒューゴはこうして嫌われて、辛くない?」
出過ぎた発言だったかもしれない。けれど、気になってしまった。表面上とは言え、和やかに話していたはずなのに、こうして毒を盛られるほど嫌われるなんて。
「……別に、慣れてしまいましたから。それより、クレアが侮辱されたことの方が問題ですよ。本当に、申し訳ない」
「なんで謝るのよ。私、ヒューゴの護衛なんでしょ?」
ヒューゴは優しいからこうして気遣ってくれるけど、本来依頼主がヒューゴで私が護衛。むしろ私がもっとヒューゴを気遣って、こういう嫌なことから遠ざけないといけないのに。
「私、もっと護衛として頑張る。慣れたっていっても、こうしてあからさまに殺そうとされるとこ、見てほしくない」
ヒューゴは目を細め、少しだけ笑った。
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