青い春

kikusuke

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第2話 ざわつく

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月曜日、いつものように学校へ登校しているが足取りは重い。

何故なら、未だ両親の盲学校への進学の返事は出来ないままでいた。

来週までには返事をしなくちゃいけないのに何一つ考えることが出来ていない。

カタカタと白杖の音を聴きながらどうしたものかと悩んでいると

後ろから勢いよく抱きつかれた。

(夕)「わっ!!!!」

(夏弥)「おはよう!夕!」

(夕)「びっくりした~~!もうっ!なっちゃんもう少しで転ぶところだったよ!」

(夏弥)「ごめんごめん!夕のことだからいつものように足音だけで分かっちゃうと思っていたからつい」

(夕)「私だって気づかない時はあるんだよ?」

(夏弥)「だよね! だけど今日は気づかなかったってことは…何か悩みごととか?」

不安そうに聞いてくれるなっちゃんの声を聞いてやっぱり盲学校には進学したくないと強く思った。

こんなに親身になって心配してくれる友達もいない一からの関係作り…

考えただけで不安で胸が押しつぶされそうになる

なっちゃんに相談してみようかな……いやそれはだめだ

これは私の問題。私がどうしたいかは私が決めなくては。

うんうん…そう自分に自問自答していると周りから見ると誰に頷いているのか分からなく不思議そうな顔をしていたらしい。

(夏弥)「今日の夕はやっぱりちょっと変な気がする…」

(夕)「え!?そ、そんなことないよ!ほらいつも通りでしょ?」

焦って声が裏返ってしまった

私ってばこんな時本当にだめだな

(夏弥)「ふーーーん?何か隠していることは明白だな」

ふっふっふっと笑う声を聞いて冷や汗を書いた。絶対暴こうとしている…!!!!

(夕)「ね~、本当に何も無いから、ね?信じて」

(夏弥)「じーーーーー」

(夕)「…」

(夏弥)「…分かった、信じるよ」

危なかった!!!!本当になっちゃんは勘が鋭い

冷や汗が止まらなくなったし隠しごとを追求されたときは心臓が飛び出るかと思った。

◆❖◇◇❖◆


学校に着き教室に入るとみんなが1時間目の準備をしていた

(大崎)「おはよ~夕ちゃん」

(夕)「おはよ!大崎さん!」

(大崎)「なっちゃんは今日も元気だね」

(夕)「そうだね」

(大崎)「夕ちゃん…何か悩み事?」

(夕)「えっ!?う、ううん!ど…どうきて?」

(大崎)「うーん…なんとなく?」

(夕)「なんとなく…か、悩んでないよ!ちょっとぼーっとしてただけ!特に理由はないから!」

(大崎)「そっか!なら良かった」

なっちゃんも大崎さんも前世はエスパーか何かだったのだろうか?

いやそれとも私の顔ってそんなに分かりやすい?

自分で自分の顔なんて見たことないからわかんないや

こんな時目が見えたらどれほどいいかと思ってしまう。

(羽月)「おはよ、磨波城」

(夕)「おはよ!羽月くん!」

(羽月)「?」

(夕)「ん?なに?」

まさか

(羽月)「なんか元気ない?」

羽月まで…自分ってやっぱり分かりやすいのかな

心の中で呟いていると

(羽月)「おーい、磨波城?大丈夫?」

(夕)「だっ大丈夫!ごめんごめん!」

(羽月)「今日のお前なんか変だぞ」

(夕)「ちょっと考え事してて…」

(羽月)「悩み事?俺で良かったらこの前のお礼兼ねて聴くけど?」

(夕)「ううん!大丈夫!何悩んでたか忘れちゃった」

自分でも呆れる苦し紛れの理由、、、

(羽月)「そっか…ま、言いたくなったら言ってくれよ」

(夕)「うん…ありがと…」

羽月くんにはお見通しのようだった。

(夕)「あっ!羽月くん」

(羽月)「ん?」

(夕)「いよいよだね!大会!」

(羽月)「覚えててくれたんだな」

(夕)「当たり前だよ!忘れるわけないよ」

(羽月)「今日も学校終わったら練習に行くんだ」

(夕)「そっか~本当に凄いなぁ、私もそんな大舞台に立ってみたい」

(羽月)「磨波城はドジだからすぐに会場の雰囲気に飲み込まれそう」

(夕)「そ、そんなことないよ!私も目が見えていたら凄い選手になってたと思うな~」

自慢げに言うと羽月くんの声が急に真面目になった。

(羽月)「俺…大きな大会には出てきたつもりだけどこんなに緊張するし嬉しいのは初めてだ」

(夕)「そうだよね~大舞台となるとね、緊張しちゃうよね、嬉しさもあるけど」

(羽月)「もちろん決勝に行けたって言う嬉しさもあるんだけど…」

(夕)「ん?」

なんだろ?急に羽月くん口篭りだして全然聞き取れない

(夕)「え?なに?なんて言ったの?」

(羽月)「その……てくれるから…」

(夕)「????」

(羽月)「お…!お前が…見に来てくれるから…だから嬉しいのもある…」

(夕)「あっ…」

(羽月)「…」

またこれだ。なぜか羽月くんと話していると心臓が高鳴る。

これって恋なのかな…

考えていると急に羽月くんに手を取られ

羽月くんの頬に私の手が触れた。

見えなくても頬が真っ赤になっているのだとわかる。

手が火傷しそうなくらい熱いのだ。

(夕)「羽月くん…?」

恐る恐る呼ぶと

(羽月)「お前に触れると凄くドキドキする…」

(夕)「う、うん」

二人の間沈黙がしばらく流れる

(羽月)「磨波城…俺…お前のことが…」

(夕)「羽月くん…」

(夏弥)「だーーーーーーっ!」

クラスのみんなに挨拶を終えたなっちゃんが抱きついてきた。

(夕)「な、なっちゃん!びっくりした~」

(夏弥)「へへへへ!でしょ?」

(夕)「もぉ!危ないって前も言ったよね?怪我しちゃうよ?」

(夏弥)「ごめんごめん!で?お二人さんなんの話ししてたの?」

(夕・羽月)「あっ…」

ニシシと言う時の笑い方のなっちゃんは
意地悪だ

(羽月)「な、なんでもねーよ!」

(夏弥)「ほんとかなぁ?」

(羽月)「ほ、本当だ!」

(夕)「うん!羽月くんの言う通りだよ」

(夏弥)「ふーーーん?でもあたし知ってるだ~」

(羽月)「な、何をだよ」

(夏弥)「羽月くんが授業中にいつも夕のこと見てるの」

(羽月)「なっ…!」

(夏弥)「しかもしかも!夕がにこにこ笑っていると凄く顔が赤くなってるよね」

(羽月)「そ、そんなこと!」

それから羽月くんは黙ってしまった。

(夕)「な、なっちゃん、そんなに羽月くんに意地悪しちゃ可哀想だよ」

(夏弥)「はぁ~夕?これは意地悪じゃなくて夕のことどう思ってるか聴きたいだけなの」

(夕)「そ、そうなの?」

(夏弥)「うんうん、そうそう」

(羽月)「古河…てめぇ…」

今にも噴火しそうなぐらい羽月くんの顔は真っ赤…らしい

クラスのみんながだんだんと話を聴いて集まりだした。

(加藤)「なになに?磨波城と羽月って付き合うの?好きどうしたの?」

(水田)「えぇ~!!いつの間に!」

ザワザワとなりだした時

ガラガラと扉が開き

(先生)「席につけ~」

(夏弥)「ちぇっいい所だったのに~」

と心底残念そうであった。

私と羽月くんはふぅと小さくため息を着き着席したのであった。

授業が終わる度に私は羽月くんとのことを聞かれ羽月くんは私のことを聞かれたに違いない

付き合っていないと説明するのがこんなに大変だなんて

次、羽月くんと話する時はもう少し静かになれる所で話さなくっちゃ

◆❖◇◇❖◆

(夕)「ただいま~」

(母)「おかえり」

(夕)「お母さん今日早かったんだ」

(母)「そうなの、たまには定時で帰るのもいいかなって」

(夕)「だね、私もママがいる方が寂しくないもんっ」

うちの両親は共働きでママもパパとバリバリ仕事をしている。だから夕方にママがいるのはとても新鮮である。

ぎゅーっと抱きついていると

(母)「進路…どう?考えてみた?」

(夕)「うん…考えてはみたんだけど全然答えが出なくて…」

(母)「そう…焦らなくていいわ」

(夕)「ありがとう…そうだ!今週の土曜日友達が空手の試合をするだけど応援に行ってもいい?」

(母)「いいけど…1人で?」

(夕)「ううん、なっちゃんと」

(母)「夏弥ちゃんとね!それなら安心だわ。市民体育館なんて行ったことないから送っていこうかと思ったわ」

(夕)「その心配はなかったね」

えへへとママに笑いかけた。

するとぎゅーっと抱き寄せられた

(夕)「ママ?どうしたの?」

(母)「なんでもないわ…少し貴方を抱きしめさせて」

(夕)「わかった」

(母)「夕は…本当に良い友達を持ったのね」

そう言った声はなぜか悲しそうだった。

(夕)「大切な友達ばかりだよ」笑いかけると私の髪を撫でてくれた。、




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