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新生活
復活
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「鉄さん! おかえりなさい!」
家に着くと、庭でシルアが待っていた。
「すみません、家を空けていて」
「ううん、私が勝手に待っていただけで」
「何か御用でしたか?」
シルアに問いかけると、鉄次郎の両腕を掴んで答えた。
「大変なんです。今すぐお城に来てくれませんか」
「なんだって!」
あまりの慌てように、鉄次郎も家に報酬を置いてすぐさまミングに乗り込んだ。歩いても着ける距離をミングに頼るとはよほどだ。
城に着くと、門の前で数人待っていた。驚くことに皇帝もいた。
「鉄次郎さん、お忙しいところ申し訳ありません」
「いえ、構いません。何か起きたとか」
「実は……魔王の封印が解かれたようなのです」
「魔王の!?」
以前聞いた限りでは、随分前に封印されたはずだ。それが今になって解かれるとは。
「それは本当なのですか?」
「城付き魔法士が魔王の魔力を検知いたしました」
「なるほど」
そうなると、魔王の復活は確定したと捉えるしかない。
「そこで、大変心苦しいのですが、鉄次郎さんのお力添えを頂きたく」
「異人の力が必要ということですね。承知しました」
「有難う御座います……!」
深々頭を下げる皇帝に鉄次郎が首を振る。
「国の上に立つ方が私に頭を下げる必要はありません。私こそ、貴方方がいらっしゃらなかったら、こうして平和に暮らしていられなかったでしょう。困った時はお互い様です」
「ありがとう、鉄さん!」
横からシルアが鉄次郎に抱き着く。
「シルア様、皇女がはしたないです」
「こんな時くらいいいでしょう」
「シルア様」
キリに窘められて渋々離れていった。鉄次郎はしばし孫からの抱擁という懐かしい気持ちを思い出していた。
その後、場所を会議の間に移し、これからのことを話し合った。
「他の国もこの事態を知っているのでしょうか」
鉄次郎の問いに皇帝が頷く。
「おそらくは。各国の魔法士が検知していると思います」
「それによって国同士争う可能性はありますか?」
「そうですね……あります」
皇帝曰く、自国の軍事力を上げるため、他国を取り込もうとするだろうということだった。つまり、争いが起きるということだ。
以前、皇帝がソードフルは兵力が弱まっていると言っていた。このままでは厳しい状況といえよう。
「何か対策はありますか?」
「はい。隣国は友好的な関係を保っていますので、今のうちに協力し合える条約を結ぼうかと」
「なるほど」
家に着くと、庭でシルアが待っていた。
「すみません、家を空けていて」
「ううん、私が勝手に待っていただけで」
「何か御用でしたか?」
シルアに問いかけると、鉄次郎の両腕を掴んで答えた。
「大変なんです。今すぐお城に来てくれませんか」
「なんだって!」
あまりの慌てように、鉄次郎も家に報酬を置いてすぐさまミングに乗り込んだ。歩いても着ける距離をミングに頼るとはよほどだ。
城に着くと、門の前で数人待っていた。驚くことに皇帝もいた。
「鉄次郎さん、お忙しいところ申し訳ありません」
「いえ、構いません。何か起きたとか」
「実は……魔王の封印が解かれたようなのです」
「魔王の!?」
以前聞いた限りでは、随分前に封印されたはずだ。それが今になって解かれるとは。
「それは本当なのですか?」
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「なるほど」
そうなると、魔王の復活は確定したと捉えるしかない。
「そこで、大変心苦しいのですが、鉄次郎さんのお力添えを頂きたく」
「異人の力が必要ということですね。承知しました」
「有難う御座います……!」
深々頭を下げる皇帝に鉄次郎が首を振る。
「国の上に立つ方が私に頭を下げる必要はありません。私こそ、貴方方がいらっしゃらなかったら、こうして平和に暮らしていられなかったでしょう。困った時はお互い様です」
「ありがとう、鉄さん!」
横からシルアが鉄次郎に抱き着く。
「シルア様、皇女がはしたないです」
「こんな時くらいいいでしょう」
「シルア様」
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その後、場所を会議の間に移し、これからのことを話し合った。
「他の国もこの事態を知っているのでしょうか」
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「おそらくは。各国の魔法士が検知していると思います」
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「そうですね……あります」
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以前、皇帝がソードフルは兵力が弱まっていると言っていた。このままでは厳しい状況といえよう。
「何か対策はありますか?」
「はい。隣国は友好的な関係を保っていますので、今のうちに協力し合える条約を結ぼうかと」
「なるほど」
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