41 / 62
第3章
ガラスペン〜ノアsaid〜
しおりを挟む
「・・・少し、1人にさせてくれないか?」
ジェイドはそう問いながらも、俺の答えを聞くまでに部屋を出て行った。
手紙で、アカリちゃんがジェイドに対して申し訳なく思っていることを知っていた。そのためにうちで働き出したことも。その申し訳ないと思う気持ちは、ジェイドに対する好意が増長させた。一方的に養ってもらうのは耐えられないそうだ。そんな彼女が最近、この世界を知るために本を読みたいと言うのは不思議ではなかった。しかし今になってリクエストされた本の共通点として、他国の情勢がわかるものだった。
他国のスパイかもしれない。
そう思っても言い出せるものじゃない。特に盲目的に彼女を信頼しようとしてるジェイドには。それに、俺自身も信じたかった。ジェイドの唯一になった人を。
まだ彼女がスパイとは限らないし、ジェイドへの気持ちから他国を裏切っていてもおかしくないと思っている。裏切った他国からジェイドを守るために身を隠した、とかね。なんせ俺は彼女がここに来た事情を知らない。ジェイドは知っていたようだったから、この未来もちゃんと予想していたはずだ。
今夜はジェイドを1人にしてはおけない。帰らないことを従者に店へ連絡させよう。
そう思って部屋を出た時だ。
バダンッ!!
ジェイドの部屋から大きな音がした。
「ジェイドッ?!どうした、大丈夫か?」
慌てて部屋に入ると、彼は倒れていた。
「おい、大丈夫か?」
軽く頬を叩いても返事がない。
呼吸は・・・しているようだな。疲れて寝ちゃっただけか?ったく、心配させるなよ。
ベッドまで運んで、横たわらせる。すると、彼が紙を掴んでいることに気がついた。それを手からそっと引き抜いて読んでみる。
『ガラスペン借りるね。心配かけてごめんね。それから、ありがとう。』
見慣れた字で書かれていた。
アカリちゃんだ。
ジェイドはこれを読んだ後に倒れたのか。"借りる"と書いてあるし、本人的には戻る意思はあるのだろう。では何故離れたかって言うより、何故戻れないか、いつ戻るのかっていう方がジェイドには必要かな。
馬車付近で待機させていた従者にアカリちゃんからの手紙、俺が用意した本の内容の詳細を持ってくるよう指示する。
これでも頭はいい方だ。謎解きも得意。学生時代、地味に成績3位内をキープしていた。単なる謎解きではないけど、自分ならよく考えればアカリちゃんの居場所を突き止められるだろう。いや、絶対突き止めてみせる。
その前に、腹が減っては戦はできぬ。ということで、手がかりが届く前に夜食を作ろう。今夜はきっと長い。ジェイドだって、起きたらお腹が減ってるかもしれないしな。冷蔵庫の中にあるもの、勝手にに使ってもいいよな?こいつが育てた野菜、好きなんだよなぁ。
夏野菜を鍋にたっぷり入れて、スープを作り始めた。
ジェイドはそう問いながらも、俺の答えを聞くまでに部屋を出て行った。
手紙で、アカリちゃんがジェイドに対して申し訳なく思っていることを知っていた。そのためにうちで働き出したことも。その申し訳ないと思う気持ちは、ジェイドに対する好意が増長させた。一方的に養ってもらうのは耐えられないそうだ。そんな彼女が最近、この世界を知るために本を読みたいと言うのは不思議ではなかった。しかし今になってリクエストされた本の共通点として、他国の情勢がわかるものだった。
他国のスパイかもしれない。
そう思っても言い出せるものじゃない。特に盲目的に彼女を信頼しようとしてるジェイドには。それに、俺自身も信じたかった。ジェイドの唯一になった人を。
まだ彼女がスパイとは限らないし、ジェイドへの気持ちから他国を裏切っていてもおかしくないと思っている。裏切った他国からジェイドを守るために身を隠した、とかね。なんせ俺は彼女がここに来た事情を知らない。ジェイドは知っていたようだったから、この未来もちゃんと予想していたはずだ。
今夜はジェイドを1人にしてはおけない。帰らないことを従者に店へ連絡させよう。
そう思って部屋を出た時だ。
バダンッ!!
ジェイドの部屋から大きな音がした。
「ジェイドッ?!どうした、大丈夫か?」
慌てて部屋に入ると、彼は倒れていた。
「おい、大丈夫か?」
軽く頬を叩いても返事がない。
呼吸は・・・しているようだな。疲れて寝ちゃっただけか?ったく、心配させるなよ。
ベッドまで運んで、横たわらせる。すると、彼が紙を掴んでいることに気がついた。それを手からそっと引き抜いて読んでみる。
『ガラスペン借りるね。心配かけてごめんね。それから、ありがとう。』
見慣れた字で書かれていた。
アカリちゃんだ。
ジェイドはこれを読んだ後に倒れたのか。"借りる"と書いてあるし、本人的には戻る意思はあるのだろう。では何故離れたかって言うより、何故戻れないか、いつ戻るのかっていう方がジェイドには必要かな。
馬車付近で待機させていた従者にアカリちゃんからの手紙、俺が用意した本の内容の詳細を持ってくるよう指示する。
これでも頭はいい方だ。謎解きも得意。学生時代、地味に成績3位内をキープしていた。単なる謎解きではないけど、自分ならよく考えればアカリちゃんの居場所を突き止められるだろう。いや、絶対突き止めてみせる。
その前に、腹が減っては戦はできぬ。ということで、手がかりが届く前に夜食を作ろう。今夜はきっと長い。ジェイドだって、起きたらお腹が減ってるかもしれないしな。冷蔵庫の中にあるもの、勝手にに使ってもいいよな?こいつが育てた野菜、好きなんだよなぁ。
夏野菜を鍋にたっぷり入れて、スープを作り始めた。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
慟哭の時
レクフル
ファンタジー
物心ついた時から、母と二人で旅をしていた。
各地を周り、何処に行くでもなく旅をする。
気づいたらそうだったし、何の疑問も持たなくて、ただ私は母と旅を続けていた。
しかし、母には旅をする理由があった。
そんな日々が続いたある日、母がいなくなった。
私は一人になったのだ。
誰にも触れられず、人と関わる事を避けて生きていた私が急に一人になって、どう生きていけばいいのか……
それから母を探す旅を始める。
誰にも求められず、触れられず、忘れ去られていき、それでも生きていく理由等あるのだろうか……?
私にあるのは異常な力だけ。
普通でいられるのなら、こんな力等無くていいのだ。
だから旅をする。
私を必要としてくれる存在であった母を探すために。
私を愛してくれる人を探すために……
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ぽっちゃり女子の異世界人生
猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。
最強主人公はイケメンでハーレム。
脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。
落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。
=主人公は男でも女でも顔が良い。
そして、ハンパなく強い。
そんな常識いりませんっ。
私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。
【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる