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相談ごと

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ルカ様が連れてきたのは、いつぞやのサロンだった。ここは使用している札を入り口にかけておけば、勝手に入ってこられることはない。

ルカ様の部屋に連れ込まれたりしたらどうしようって、ちょっぴり考えてしまった自分が恥ずかしい。

「それで、リアの相談というのは?」

ルカ様は向かいの席に座って、ラーヤ様に淹れていただいた紅茶を飲んでいる。絵画にできそうなほど優雅な仕草だ。

「学園での振る舞いについてです。」

「何、男と話したいは却下だよ?」

そう言って途端に顔をしかめてしまったが、そうじゃないのよ。

「私はルカ様との仲を周りに広めたいのです。」

「どういうこと?」

よし、少し興味を持ってもらえたみたいだわ。

「ルカ様と一緒に行動するのは賛成です。でも私はさっきみたいなことがあった時、きちんとお話をした方がいいと思うのです。」

「なんで?」

「だって、2人でいるのはお互いに悪影響を与えているなんて思われたら、ルカ様と離れる原因になるかもしれないでしょう?」

「うーん、確かにサイラスあたりは文句つけてきそうだな。」

一瞬、負のオーラがヤバかったけどどうにか納得してもらえそうな雰囲気ね!

「そうなんです!だからある程度、周りによく思われていた方がいいのではないのかなぁと。」

「一理あるね。」

「もちろん、私だってルカ様とご令嬢が2人きりでお話しされてたら嫌ですよ?しばらく寝込むと思います。」

ガタンッ!!

「そんなことっ!!するわけないじゃないか!!」

思っていたより反応が大きくてびっくりした。まさか立ち上がるほど興奮されるとは。

私は疑ったわけでもその現場を見たわけでもないんだけど、ルカ様はこの世の終わりでも知らされたのか?ってくらいお顔を青くされています。

「わかっています。例え話ですわ。」

落ち着いてください、とルカ様を座らせる。

「例え話だとしても、あり得ない話だよ?僕が誰を好きだか知ってる?」

ギュッと握られた手が離れていかないでと言われているようで、少しきゅんときた。

「私です。」

「そう、他の人の性別とか特徴とか嗜好とかどうでもいいんだ。リアだけが好きで、リアのことだけ知りたい。」

真っ直ぐな目で話してくれる。こういう誠実なところ、ハッキリ言って安心させてくれるところ最高です。

「私だって、こういう理由がなければ・・・いやあっても、他の男性と話したいと思ってるわけじゃないんです。ルカ様との将来を真剣に考えてのご相談ですわ。」

計画的に話したのは良くないかもだけど、嘘は言ってない。2人が精神的にも健康で過ごすためには、周りの好感度は必須だ。

「わかった。2人の未来のために、頑張る。」

「はい、私も頑張ります。」

"2人の未来のため"。

そういったルカ様は、その言葉を噛み締めるように微笑んだ。婚約者で将来は結婚すると決まっているし、お互い好き合っていると確認もしていたのに、何かを実感している様子だった。

こういう言葉で照れているのは、年相応な感じがして少し安心できる。

「リア、ほら、たくさん食べて。あーん」

????なんだか急ですね。

口元にフォークを差し出され、ケーキを口にした。

もぐもぐ、これはなんなんでしょう?

「ほら、もう一口。」

パクッ、もぐもぐ・・・

「美味しい?もっと食べて。ほら。」

食べるけど、食べるけど・・・私は何をしてるんですかね?

「あーん」

「んんっ、ルカ様。ちょっと待ってください。」

「ダメです。今食べてください。ほら、あー」

圧に負けてまた口にしてしまった・・・。

「もうっ!なんなんですか?」

「えぇ、・・・リアが太っちゃえばいいと思って。」

「え、なんで?」

本当になんで?びっくりし過ぎてタメ口になっちゃったわ。

「私は嫌です。ルカ様に綺麗な私で会いたいですもの。」

「僕はどんなリアでも好きだよ。でも女性は細い方がいいって男が多いだろ?リアが他の男の目に触れるなら、太らせて興味を失ってもらおうと思って・・・・・・。」

んもう!どんな独占の仕方ですか!

「どんな男性に寄ってこられても、私はルカ様が好きですよ!」

「リアがどんなに僕を思ってたって、他の男がリアで変な妄想をしてたりするかもしれないだろ?一瞬の隙をついて力尽くで連れ去るかもしれないし・・・僕は考えただけでも気が狂いそうだよ。」

頭を抱えてしまったルカ様。

実際に彼はヤンデレ属性ですからね。気が狂いそうというのは嘘ではないでしょう。

「そんなことにならないように、ルカ様が守ってくださるのでしょう?」

「それはそうだけど・・・。」

そのうち、いや今もうされてるかもだけど、闇魔法でストーキングされるんじゃないかと思っている。そうなると、私の身に危険が起こる前に助けてもらえるんじゃないかしら。信頼し過ぎかもしれないけど。

「私はルカ様を信じてます!」

「もぉぉぉぉ!そんなこと言われたら、頑張るしかないじゃないか。あの手この手で助けてあげる。後で何を知っても文句言わないでよ?」

あの手この手の多少は想像がついてるんですけど・・・ルカ様が使える魔法の名前や特徴は知らないからね。少し怖いけど、ストーキング行為で済むなら別に構わない。私の安全は守られ、ルカ様から好意を向けられていると安心できるもの。

頬杖をついて、ブツブツと何か呟いているルカ様。少し不貞腐れ気味です。

まぁ、頬杖をついてる反対側の頬がぷっくりとして可愛いですね。つついておきましょう。

「もう!何するの!」

怒られちゃいました。
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