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67・キングの反省会
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リザードマンの村を攻略し終わった晩である。
その晩はリザードマンの村に宿泊して、明日になったら魔王城ヴァルハラに帰還することになっていた。
俺たちはリザードマン村の中にある集会所に泊まることとなる。
そこは藁葺き屋根こそあるが、壁の無い広々とした建物だった。
その名の通り、普段は集会所として遣われている建物らしい。
リザードマンたちは、ここに集まって祭りや飲み会も開くとか──。
どうやらリザードマンの村長ムサシは種族間のコミュニケーションを大切にしているらしいのだ。
何せ、何をしても勝を基本に戦うリザードマンなのだ、種族の仲間意識や絆が浅いと同族を裏切りかねないと懸念しての対策らしい。
いくら卑怯者でも同族だけは裏切らないと、まっとうな教育を徹底されているようだ。
とにかく、その晩は集会所で俺たち魔王軍は食事や酒でもてなされた。
だが、俺たちはほとんど食事には手を付けなかった。
俺とコボルトたちは、酒ばかり飲んで表情をゲンナリと暗く落とすばかりである。
その俺たちの眼前に、リザードマンたちがもてなしてくれた料理が大きな葉っぱの皿に盛られて並んでいた。
「ぬぬ……」
『うぅ……』
俺もキルルも唸るばかりだ。
コボルトたちも同様である。
なんと言いますか、とにかく酒しか進まない。
別に酒がベラボウに旨いからではない。
問題は食事のほうである。
「「「うぅ………」」」
俺もコボルトたちも、杯を片手に、出された食事を嫌々な表情で眺めながら唸っていた。
「どうなされました、エリク様?」
新しい食事を運んできたガラシャが、食事の盛り付けられた葉っぱの皿を俺の前に置く。
鮮血の儀式を済ませたリザードマン族は言葉が悠長にしゃべれるように進化していた。
ガラシャもしゃべりが綺麗になって乙女らしい声色が麗しく聞こえている。
これで外見が蜥蜴じゃあなければ美しい娘だったのだろう。
そんなイメージである。
残念だ。
人気アイドル声優が恐竜の声を演じているぐらい残念である。
俺はガラシャが運んで来た皿の上を見ながら問いかけた。
「こ、今度はなんの料理だ……?」
ガラシャは満面の笑みで料理名を答える。
「コウロギの唐揚げでございますわ」
「コ、コウロギ……」
皿の上に盛り付けられた茶色い塊の山は、確かにコウロギだ。
カラッカラに油で揚げられて黒光りするコウロギである。
「あ、ああ~……、コ、コウロギですかぁ……」
「今朝取り立ての新鮮なコウロギを揚げてますから、たぁ~~んとお召し上がりくださいませ♡」
「う、うん………」
ガラシャの語尾にハートマークが咲いてやがるぞ……。
正直、食が進まない……。
昆虫なんて食ったことがない……。
しかも、コウロギの唐揚げなんて見るのが初めてだ。
先に出された別の食事も昆虫入り料理である。
オケラの炒め物、芋虫の刺身、カマキリの串焼き、蛆虫のお吸い物、ミミズの冷麺、他にも見たことのない昆虫料理ばかりが並んでいた。
どうやらリザードマン族の主食は昆虫と野菜らしい。
俺は芋虫を払いのけて、その脇にあるキャベツだけを摘まんで食べていた。
そのキャベツからも芋虫の味がしてきそうで、キャベツを口に放り込むと酒で強引に流し込む。
何せ、そのせいで酒が不味く感じるのだ。
犬と同様の雑食育ちのコボルトたちですら昆虫には手が伸びないでいた。
特に生に近い刺身などは料理と呼ぶより凶器に見えていた。
もうキモイ……。
とにかく、この料理はグロテスクである。
元の世界だと、中国やタイなとでは昆虫を食べるのは珍しくないと聞くが、日本育ちの俺には無理である。
俺は持っていたお猪口を置くと、わざとらしく台詞を並べたてる。
「ああ~、なんか酔ってきたわ~、そろそろ寝るかなー」
嘘である。
俺はぜんぜん酔っていない。
眠たくもない。
何せ俺の体は無勝無敗の能力のために毒が効かない。
要するにアルコールでも酔わない体質なのだ。
とにかく俺は寝たふりを決め込もうと企んだのである。
だが、しかし、俺が横になると意外な人物がプリプリと怒り出す。
『ちょっと魔王様、こんなとこで横にならないでください!』
キルルである。
こいつ、わざとやってるな!
『それにリザードマンさんたちが、折角豪華なお酒と食事でもてなしてくれているのに寝ちゃうなんて失礼ですよ!』
この野郎!
わざと振ってるな!
テメーは幽霊だから食事は取らないとか言って虫を食べないくせに好き勝手言いやがって!!
なんか、スゲー腹が立つ!
俺は皿の上の芋虫を一匹摘み上げるとキルルに向かって放り投げた。
「ほれっ!」
『きゃぁああああ、イーモームーシー!!!』
絶叫したキルルが両手を高く上げながら集会所の外に逃げて行く。
そして、俺との束縛に引かれて、後ろから襟首でも掴まれたかのようにスッテンと間抜けに転んで尻餅をついた。
「なんだよ、あいつだって虫が嫌いなんじゃあねえか」
すると俺が放り投げた芋虫を拾い上げたガラシャがパクリっと一口で芋虫を食べてしまう。
ガラシャは寂しそうな眼差しで俺を見詰めながら言った。
「エリク様は、昆虫料理がお嫌いですか?」
「す、すまん。昆虫は、ちょっとビジュアルがな……」
「残念ですわ。こんなに美味しいのに……」
まあ、こんな感じでリザードマンたちがもてなしてくれていたが、少し残念な結果となってしまう。
そして宴会が終わって就寝──。
俺たちは集会所で雑魚寝した。
早朝、俺はまだ日が昇りきっていない時間帯に目を覚ます。
俺が周囲を見まわせば、薄暗い集会所の中でコボルトたちはまだスヤスヤと寝ていた。
いや、キングだけが起きている。
集会所を出て、日が昇る山の方向を一人で見上げていた。
俺も布団から出てキングの側に歩み寄る。
「早いなキング。朝日でも眺めたいのか?」
「あっ、おはようございます、エリク様」
振り返ったキングが深々と頭を下げた。
そして、頭を下げたまま謝罪を口にする。
「エリク様、この度は誠に申し訳ありませんでした……」
「何がだ?」
「リザードマンとの対戦での話です!」
「だから、何が?」
「最後の最後でムサシ殿に負けてしまいました!」
「ああ~、そのことかぁ~」
俺はキングの横に立つと、朝日が昇ってくるだろう方角の山を見詰めた。
「確かにキングの敗北は残念だったぜ」
「うぬぬ………」
奥歯を食い縛るキングは俯いたまま僅かに筋肉を痙攣させていた。
怒りや屈辱に耐えているのだろう。
そのキングをチラリと一瞥してから俺は言ってやる。
「甘い話かも知れんが、許してやるぞ」
「まことですか!?」
あ~、俺って甘々だな~。
昔っから身内には甘いんだよね。
この性分は転生しても治らないようだ。
「ただし、二度目の敗北も失敗も許さないぞ」
「ははっ!!」
いや、たぶん次も許しちゃうんだろうな。
「まあ、それに良いデータとサンプルが取れた」
「データとサンプルですか?」
「ムサシだよ」
「ムサシ殿が?」
「あいつは俺以外に見る初めての異世界転生者だ。そのデータになる。これは何より貴重だぞ」
俺はポンっとキングの肩を叩いてから言葉を続けた。
「しかも、その異世界転生者を仲間に出来たのだ。その点に関しては、今回の作戦は大成功だな。リザードマンの戦力も酒も、しかも異世界転生者まで獲得できたのだから大手柄だぞ、キング」
「ですが、それは私の手柄では……」
「いいや、これもすべてお前の手柄だ」
「ですが……」
褒められてもまだキングは頭を上げない。
納得いかないのか俯いたままである。
「ならばキング。今回お前が犯した最大のミスを指南してやろうか」
反省会だ。
ここで俯いていたキングがクイッと頭を上げた。
その表情は疑問に目を見開いている。
「な、なんでありましょう!?」
「それは──」
俺は少し勿体ぶった。
「それは……」
キングが一度唾を飲み込む。
「それは、お前が一人で作戦を遂行しようとしたことだ」
「一人で……?」
「最初っから仲間の協力を求めていれば、もっとすんなり作戦は成功していたんだよ」
「ですが、それでは、エリク様を楽しませれません!?」
「阿呆ぅが!」
ドツリっと俺はキングの横っ腹を四本の指先で強く突いた。
貫手である。
「げふっ!?」
「キングは阿呆ぅだな~」
「わ、私は阿呆でしょうか……?」
「うん、阿呆ぅだ。だから、作戦をしくじったぐらいで、捨てたり見放したりするのが勿体ない」
「ええっ……?」
キングは意味が理解できないと首を傾げていた。
そもそも意味なんて曖昧なのにさ。
その辺も可愛いワンちゃんだぜ。
「まあ、とにかくだ。これからも一緒に楽しく世界を救おうや、キング」
「は、はい……」
まだキングは理解出来ないと言った表情で立ち尽くしていた。
すると山の天辺を超えて朝日が昇る。
その光が俺たちを眩しく照らす。
「よし、キング。町に帰るぞ。クイーンや産まれてくる子供がまってるんだろ。だから堂々と帰ろうや!」
するとキングの表情が朝日を浴びて引き締まる。
そして、凛々しくキングが新たな決意を述べた。
「分かりました、エリク様。とにかく、何が有ろうと何処までも、私は付いて参りますぞ!」
「おう、キング。頼んだぜ!」
微笑みながら俺が拳を突き出すと、キングも俺の拳に拳をコチンっと合わせた。
二人は青春真っ盛りなヤンキーのように微笑み合っている。
こんな照れ臭い姿を誰かに見られたら恥ずかしくて死んでまうだろう。
『青春ですね、魔王様♡』
見られた!!
キルルに見られたぞ!!
その晩はリザードマンの村に宿泊して、明日になったら魔王城ヴァルハラに帰還することになっていた。
俺たちはリザードマン村の中にある集会所に泊まることとなる。
そこは藁葺き屋根こそあるが、壁の無い広々とした建物だった。
その名の通り、普段は集会所として遣われている建物らしい。
リザードマンたちは、ここに集まって祭りや飲み会も開くとか──。
どうやらリザードマンの村長ムサシは種族間のコミュニケーションを大切にしているらしいのだ。
何せ、何をしても勝を基本に戦うリザードマンなのだ、種族の仲間意識や絆が浅いと同族を裏切りかねないと懸念しての対策らしい。
いくら卑怯者でも同族だけは裏切らないと、まっとうな教育を徹底されているようだ。
とにかく、その晩は集会所で俺たち魔王軍は食事や酒でもてなされた。
だが、俺たちはほとんど食事には手を付けなかった。
俺とコボルトたちは、酒ばかり飲んで表情をゲンナリと暗く落とすばかりである。
その俺たちの眼前に、リザードマンたちがもてなしてくれた料理が大きな葉っぱの皿に盛られて並んでいた。
「ぬぬ……」
『うぅ……』
俺もキルルも唸るばかりだ。
コボルトたちも同様である。
なんと言いますか、とにかく酒しか進まない。
別に酒がベラボウに旨いからではない。
問題は食事のほうである。
「「「うぅ………」」」
俺もコボルトたちも、杯を片手に、出された食事を嫌々な表情で眺めながら唸っていた。
「どうなされました、エリク様?」
新しい食事を運んできたガラシャが、食事の盛り付けられた葉っぱの皿を俺の前に置く。
鮮血の儀式を済ませたリザードマン族は言葉が悠長にしゃべれるように進化していた。
ガラシャもしゃべりが綺麗になって乙女らしい声色が麗しく聞こえている。
これで外見が蜥蜴じゃあなければ美しい娘だったのだろう。
そんなイメージである。
残念だ。
人気アイドル声優が恐竜の声を演じているぐらい残念である。
俺はガラシャが運んで来た皿の上を見ながら問いかけた。
「こ、今度はなんの料理だ……?」
ガラシャは満面の笑みで料理名を答える。
「コウロギの唐揚げでございますわ」
「コ、コウロギ……」
皿の上に盛り付けられた茶色い塊の山は、確かにコウロギだ。
カラッカラに油で揚げられて黒光りするコウロギである。
「あ、ああ~……、コ、コウロギですかぁ……」
「今朝取り立ての新鮮なコウロギを揚げてますから、たぁ~~んとお召し上がりくださいませ♡」
「う、うん………」
ガラシャの語尾にハートマークが咲いてやがるぞ……。
正直、食が進まない……。
昆虫なんて食ったことがない……。
しかも、コウロギの唐揚げなんて見るのが初めてだ。
先に出された別の食事も昆虫入り料理である。
オケラの炒め物、芋虫の刺身、カマキリの串焼き、蛆虫のお吸い物、ミミズの冷麺、他にも見たことのない昆虫料理ばかりが並んでいた。
どうやらリザードマン族の主食は昆虫と野菜らしい。
俺は芋虫を払いのけて、その脇にあるキャベツだけを摘まんで食べていた。
そのキャベツからも芋虫の味がしてきそうで、キャベツを口に放り込むと酒で強引に流し込む。
何せ、そのせいで酒が不味く感じるのだ。
犬と同様の雑食育ちのコボルトたちですら昆虫には手が伸びないでいた。
特に生に近い刺身などは料理と呼ぶより凶器に見えていた。
もうキモイ……。
とにかく、この料理はグロテスクである。
元の世界だと、中国やタイなとでは昆虫を食べるのは珍しくないと聞くが、日本育ちの俺には無理である。
俺は持っていたお猪口を置くと、わざとらしく台詞を並べたてる。
「ああ~、なんか酔ってきたわ~、そろそろ寝るかなー」
嘘である。
俺はぜんぜん酔っていない。
眠たくもない。
何せ俺の体は無勝無敗の能力のために毒が効かない。
要するにアルコールでも酔わない体質なのだ。
とにかく俺は寝たふりを決め込もうと企んだのである。
だが、しかし、俺が横になると意外な人物がプリプリと怒り出す。
『ちょっと魔王様、こんなとこで横にならないでください!』
キルルである。
こいつ、わざとやってるな!
『それにリザードマンさんたちが、折角豪華なお酒と食事でもてなしてくれているのに寝ちゃうなんて失礼ですよ!』
この野郎!
わざと振ってるな!
テメーは幽霊だから食事は取らないとか言って虫を食べないくせに好き勝手言いやがって!!
なんか、スゲー腹が立つ!
俺は皿の上の芋虫を一匹摘み上げるとキルルに向かって放り投げた。
「ほれっ!」
『きゃぁああああ、イーモームーシー!!!』
絶叫したキルルが両手を高く上げながら集会所の外に逃げて行く。
そして、俺との束縛に引かれて、後ろから襟首でも掴まれたかのようにスッテンと間抜けに転んで尻餅をついた。
「なんだよ、あいつだって虫が嫌いなんじゃあねえか」
すると俺が放り投げた芋虫を拾い上げたガラシャがパクリっと一口で芋虫を食べてしまう。
ガラシャは寂しそうな眼差しで俺を見詰めながら言った。
「エリク様は、昆虫料理がお嫌いですか?」
「す、すまん。昆虫は、ちょっとビジュアルがな……」
「残念ですわ。こんなに美味しいのに……」
まあ、こんな感じでリザードマンたちがもてなしてくれていたが、少し残念な結果となってしまう。
そして宴会が終わって就寝──。
俺たちは集会所で雑魚寝した。
早朝、俺はまだ日が昇りきっていない時間帯に目を覚ます。
俺が周囲を見まわせば、薄暗い集会所の中でコボルトたちはまだスヤスヤと寝ていた。
いや、キングだけが起きている。
集会所を出て、日が昇る山の方向を一人で見上げていた。
俺も布団から出てキングの側に歩み寄る。
「早いなキング。朝日でも眺めたいのか?」
「あっ、おはようございます、エリク様」
振り返ったキングが深々と頭を下げた。
そして、頭を下げたまま謝罪を口にする。
「エリク様、この度は誠に申し訳ありませんでした……」
「何がだ?」
「リザードマンとの対戦での話です!」
「だから、何が?」
「最後の最後でムサシ殿に負けてしまいました!」
「ああ~、そのことかぁ~」
俺はキングの横に立つと、朝日が昇ってくるだろう方角の山を見詰めた。
「確かにキングの敗北は残念だったぜ」
「うぬぬ………」
奥歯を食い縛るキングは俯いたまま僅かに筋肉を痙攣させていた。
怒りや屈辱に耐えているのだろう。
そのキングをチラリと一瞥してから俺は言ってやる。
「甘い話かも知れんが、許してやるぞ」
「まことですか!?」
あ~、俺って甘々だな~。
昔っから身内には甘いんだよね。
この性分は転生しても治らないようだ。
「ただし、二度目の敗北も失敗も許さないぞ」
「ははっ!!」
いや、たぶん次も許しちゃうんだろうな。
「まあ、それに良いデータとサンプルが取れた」
「データとサンプルですか?」
「ムサシだよ」
「ムサシ殿が?」
「あいつは俺以外に見る初めての異世界転生者だ。そのデータになる。これは何より貴重だぞ」
俺はポンっとキングの肩を叩いてから言葉を続けた。
「しかも、その異世界転生者を仲間に出来たのだ。その点に関しては、今回の作戦は大成功だな。リザードマンの戦力も酒も、しかも異世界転生者まで獲得できたのだから大手柄だぞ、キング」
「ですが、それは私の手柄では……」
「いいや、これもすべてお前の手柄だ」
「ですが……」
褒められてもまだキングは頭を上げない。
納得いかないのか俯いたままである。
「ならばキング。今回お前が犯した最大のミスを指南してやろうか」
反省会だ。
ここで俯いていたキングがクイッと頭を上げた。
その表情は疑問に目を見開いている。
「な、なんでありましょう!?」
「それは──」
俺は少し勿体ぶった。
「それは……」
キングが一度唾を飲み込む。
「それは、お前が一人で作戦を遂行しようとしたことだ」
「一人で……?」
「最初っから仲間の協力を求めていれば、もっとすんなり作戦は成功していたんだよ」
「ですが、それでは、エリク様を楽しませれません!?」
「阿呆ぅが!」
ドツリっと俺はキングの横っ腹を四本の指先で強く突いた。
貫手である。
「げふっ!?」
「キングは阿呆ぅだな~」
「わ、私は阿呆でしょうか……?」
「うん、阿呆ぅだ。だから、作戦をしくじったぐらいで、捨てたり見放したりするのが勿体ない」
「ええっ……?」
キングは意味が理解できないと首を傾げていた。
そもそも意味なんて曖昧なのにさ。
その辺も可愛いワンちゃんだぜ。
「まあ、とにかくだ。これからも一緒に楽しく世界を救おうや、キング」
「は、はい……」
まだキングは理解出来ないと言った表情で立ち尽くしていた。
すると山の天辺を超えて朝日が昇る。
その光が俺たちを眩しく照らす。
「よし、キング。町に帰るぞ。クイーンや産まれてくる子供がまってるんだろ。だから堂々と帰ろうや!」
するとキングの表情が朝日を浴びて引き締まる。
そして、凛々しくキングが新たな決意を述べた。
「分かりました、エリク様。とにかく、何が有ろうと何処までも、私は付いて参りますぞ!」
「おう、キング。頼んだぜ!」
微笑みながら俺が拳を突き出すと、キングも俺の拳に拳をコチンっと合わせた。
二人は青春真っ盛りなヤンキーのように微笑み合っている。
こんな照れ臭い姿を誰かに見られたら恥ずかしくて死んでまうだろう。
『青春ですね、魔王様♡』
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キルルに見られたぞ!!
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