59 / 69
59・卑劣の極み
しおりを挟む
キングの前で右手首を斬り落とされたジュウベイが苦悶の表情で両膝を付いていた。
第二戦の勝敗はついただろう。
一方、コボルトの精鋭九名に屋根の上から落とされたリザードマンたちの兵士が家の前で延びていた。
屋根の上から広場を見下ろしているのはコボルトだけである。
こちらも圧勝。
リザードマンたちの兵士は全員気絶して軒下で延びている。
誰から見てもリザードマン族の完敗だ。
そして、周りを軽く見回した後にキングが言った。
「随分と周りも静かになったようだし、早速三戦目を始めようではないか。それとも三戦目を待たずに敗けを認めるか、ムサシ殿?」
白い着物のガラシャと並んで立っている長老ムサシが長い顎髭を撫でながら返す。
「カッカッカッ、静かになったとな? 我らリザードマン族が打ち破られたとでも言うか?」
瞬時、笑っていたムサシの表情が鬼のように豹変した。
ムサシが着いていた杖の先で地面を突き叩いて苛立ちを露にする。
まさに駄々っ子老人そのものだ。
キングは老蜥蜴人をただ睨み付けていた。
俺から見ても、誰から見ても、周りに倒れているのはリザードマンだけなのだ。
普通ならば、リザードマン族の敗北を認めるしかないだろう。
しかし、長老ムサシは敗北を認めようとしていない。
いまだ、老いた眼差しの中に闘志の炎を宿らせている。
まあ、頑固な老人の戯言だ。
どうすることも出来ないだろう。
すると両膝を付いて斬られた手首を押さえているジュウベイが声を震わせながら怒鳴った。
「我々ハ負ケテナンゾイナイゾォォオオオ!!」
そして、ジュウベイは着物の袖に手を忍ばせると、手裏剣を取り出して投擲してきた。
「食ラエッ!!」
三つの十字手裏剣だった。
鋭い刃がキングを狙うがキングは避けない。
避ける代わりに横一振りに腕を振るうと、その一振りで三つの手裏剣を同時にキャッチした。
「ほほう、なかなかの動体視力だな」
俺が顎を撫でながら関心していると、キングは掴んだ三つの手裏剣を眺めながら言った。
「変わった形の刃物だな。全面が刃先となっている投擲武器か。これは素晴らしいアイデア武器だ。これなら当たれば誰が投げても刺さるってわけか」
「オ、オノレ……」
キングは手裏剣を足元に捨てるとジュウベイに降伏を迫った。
「ジュウベイ殿。負けを認めぬのなら、今度は斬るぞ」
「上等ッ!!」
刹那、しゃがんでいたジュウベイが跳ね飛んできた。
やはりまだやるつもりだ。
いつの間にか左手には四本爪の鉤爪が装着されている。
その鉤爪でキングの顔面を狙ってきた。
「キィェエエエ!!」
ジュウベイの反撃は、死を覚悟した一撃だった。
斬られても構わないと言う覚悟が見て取れる。
だが、犬面を狙った一振りは空を切った。
容易く回避されたのだ。
鉤爪をしゃがんで躱したキングが回避と同時に、逆さに持ったシミターの柄尻でジュウベイの鳩尾を突いていた。
「ウ、グゥ……」
鳩尾を突かれたジュウベイが、くノ字に体を曲げて、そのまま前のめりにダウンする。
そして、それっきりグッタリと動かなくなった。
どうやら気絶したようである。
うつ伏せに倒れるジュウベイにキングが最後の言葉を掻け捨てる。
「こちらには殺す気が無い。故に敗者は静かに待っておれ」
そして、キングの視線は長老ムサシに向けられた。
刹那───。
ガンっとキングの視界が激しく揺れる。
キングは唐突な衝撃の後に目眩で意識が飛び掛かった。
「がはっ!?!?」
何が起きたのかは分からない。
分からないが、体が後方に飛ばされて、背中からダウンしたのは理解出来た。
「な……なんだ……」
突如の痛みから目を覚ましたキングが上半身を起こす。
「何が起きた! 痛っ!?」
顔面の他に腹部にも傷みを感じたキングが自分の腹を見てみると、真っ赤に流血していた。
刺し傷だ。
腹の中心から血がドクドクと湧いて出ている。
「ななっ!?」
キングは即座に手で傷口を強く押さえて止血を試みた。
しかし、指の隙間から鮮血が流れ出てくる。
「ぬぐぅ、何かで刺された……のか?」
慌てて前を見ると、先程まで自分が立っていた場所に長老ムサシが立っていた。
キングは3メートルほど飛ばされたようだ。
「カッカッカッカッ」
猫背の老人は嫌らしく笑っている。
その手には杖の他に小太刀を握っていた。
その小太刀で腹を指されたのだろう。
だが、初弾の衝撃は、なんだったのか分からない。
打撃だ。
強打だ。
それは感じで分かった。
固く重い鈍器のような物で顔面を強打されたような衝撃に飛ばされた感じである。
それは理解出来ていたが、どのような攻撃をされたのかが見えていなかった。
しかし、一つ理解は出来た。
三戦目の戦士に志願してきたのは、この老人だと──。
背の曲がった老体が戦いを仕掛けてきたのだ。
「嘗めるな、老人!」
腹の傷を手で押さえながらキングが立ち上がる。
するとキングの背後に立っていたエリクが言った。
「キング、このジジイは俺に譲れ」
力強くキングの肩を引いたエリクが前に出て来る。
魔王自らが立ち合う積もりらしい。
だが、キングは引き下がらなかった。
「エリク様、約束が違いますぞ!!」
「ああ~~ーんッ!」
エリクはヤンキーのように表情を威嚇的に歪めながらキングに詰め寄って来た。
味方が味方を威嚇しているのだ。
「なんだ、キング。俺に意見する積もりかぁ~、えぇ~!?」
なんとも悪ぶった態度であった。
だが、それでもキングは引かない。
ガンをくれるエリクの顔にキングもガンをくれ返しながら額を合わせる。
「エリク様、ここは私に任せると申したではありませんか!?」
事実である。
キングは更に詰め寄った。
「将来の大魔王様が、たかが一匹のコボルトとの約束すら守れないでどういたしましょうぞ! 恥じることを学んでくださいませ!!」
「う、うう……」
正論である。
その正論とキングの気迫に押されたエリクの腰が引けていた。
「す、すまん……。許してチョンマゲ……」
『チョンマゲ?』
キルルが聞いたことのない言葉に首を傾げている。
「まあ、分かって貰えれば結構で─────っひぃ!!!!」
突然だった。
言葉を言い終わる前にキングの体が真上に跳ね上がる。
そして、キングは股間を両手で押さえながら倒れ込んだ。
倒れるキングの表情は両目を最大限まで見開いて口をパクパクとさせていた。
更には激痛のためか涎や鼻水を垂れ流している。
「が……がっ……がが………」
声にならない声を漏らすキング。
「何!?」
生きたまま絶命的なダメージに苦しむキングを見下ろしながら長老ムサシが延べた。
「若いの。余所見が多すぎるぞ。カッカッカッカッ」
エリクがムサシを睨み付けながら言った。
「テメー、キャンタマを蹴りやがったな!!」
「隙だらけだったからのぉ。ついつい蹴りたくなってもうたわい。カッカッカッカッ」
「そりゃあまあ、笑いたくもなるよね……」
「ぐ……ぐぐぐぅ……」
脂汗を流しながらキングが立ち上がる。
「まだ、やれるのか、キング?」
「は、はい、エリク、さ、ま……」
股間を両手で押さえたキングは軽くジャンプしながら答えた。
どうやら蹴られたキャンタマを元の高さに戻しているようだ。
たぶん、かなり痛かっただろう……。
エリクにも男だから分かる痛みだ。
それにしても──。
「キング、気を抜くな。このジジイは、今まで以上に卑怯者だぞ」
「は、はい………」
「今時の若者たちには、儂が卑怯者に見えるのかぇ?」
「「『見える!」」』
「カッカッカッカッ。冗談が通じない若者たちよのぉ~」
流石は卑怯者たちの長だ。
こいつが一番の卑怯者のようである。
第二戦の勝敗はついただろう。
一方、コボルトの精鋭九名に屋根の上から落とされたリザードマンたちの兵士が家の前で延びていた。
屋根の上から広場を見下ろしているのはコボルトだけである。
こちらも圧勝。
リザードマンたちの兵士は全員気絶して軒下で延びている。
誰から見てもリザードマン族の完敗だ。
そして、周りを軽く見回した後にキングが言った。
「随分と周りも静かになったようだし、早速三戦目を始めようではないか。それとも三戦目を待たずに敗けを認めるか、ムサシ殿?」
白い着物のガラシャと並んで立っている長老ムサシが長い顎髭を撫でながら返す。
「カッカッカッ、静かになったとな? 我らリザードマン族が打ち破られたとでも言うか?」
瞬時、笑っていたムサシの表情が鬼のように豹変した。
ムサシが着いていた杖の先で地面を突き叩いて苛立ちを露にする。
まさに駄々っ子老人そのものだ。
キングは老蜥蜴人をただ睨み付けていた。
俺から見ても、誰から見ても、周りに倒れているのはリザードマンだけなのだ。
普通ならば、リザードマン族の敗北を認めるしかないだろう。
しかし、長老ムサシは敗北を認めようとしていない。
いまだ、老いた眼差しの中に闘志の炎を宿らせている。
まあ、頑固な老人の戯言だ。
どうすることも出来ないだろう。
すると両膝を付いて斬られた手首を押さえているジュウベイが声を震わせながら怒鳴った。
「我々ハ負ケテナンゾイナイゾォォオオオ!!」
そして、ジュウベイは着物の袖に手を忍ばせると、手裏剣を取り出して投擲してきた。
「食ラエッ!!」
三つの十字手裏剣だった。
鋭い刃がキングを狙うがキングは避けない。
避ける代わりに横一振りに腕を振るうと、その一振りで三つの手裏剣を同時にキャッチした。
「ほほう、なかなかの動体視力だな」
俺が顎を撫でながら関心していると、キングは掴んだ三つの手裏剣を眺めながら言った。
「変わった形の刃物だな。全面が刃先となっている投擲武器か。これは素晴らしいアイデア武器だ。これなら当たれば誰が投げても刺さるってわけか」
「オ、オノレ……」
キングは手裏剣を足元に捨てるとジュウベイに降伏を迫った。
「ジュウベイ殿。負けを認めぬのなら、今度は斬るぞ」
「上等ッ!!」
刹那、しゃがんでいたジュウベイが跳ね飛んできた。
やはりまだやるつもりだ。
いつの間にか左手には四本爪の鉤爪が装着されている。
その鉤爪でキングの顔面を狙ってきた。
「キィェエエエ!!」
ジュウベイの反撃は、死を覚悟した一撃だった。
斬られても構わないと言う覚悟が見て取れる。
だが、犬面を狙った一振りは空を切った。
容易く回避されたのだ。
鉤爪をしゃがんで躱したキングが回避と同時に、逆さに持ったシミターの柄尻でジュウベイの鳩尾を突いていた。
「ウ、グゥ……」
鳩尾を突かれたジュウベイが、くノ字に体を曲げて、そのまま前のめりにダウンする。
そして、それっきりグッタリと動かなくなった。
どうやら気絶したようである。
うつ伏せに倒れるジュウベイにキングが最後の言葉を掻け捨てる。
「こちらには殺す気が無い。故に敗者は静かに待っておれ」
そして、キングの視線は長老ムサシに向けられた。
刹那───。
ガンっとキングの視界が激しく揺れる。
キングは唐突な衝撃の後に目眩で意識が飛び掛かった。
「がはっ!?!?」
何が起きたのかは分からない。
分からないが、体が後方に飛ばされて、背中からダウンしたのは理解出来た。
「な……なんだ……」
突如の痛みから目を覚ましたキングが上半身を起こす。
「何が起きた! 痛っ!?」
顔面の他に腹部にも傷みを感じたキングが自分の腹を見てみると、真っ赤に流血していた。
刺し傷だ。
腹の中心から血がドクドクと湧いて出ている。
「ななっ!?」
キングは即座に手で傷口を強く押さえて止血を試みた。
しかし、指の隙間から鮮血が流れ出てくる。
「ぬぐぅ、何かで刺された……のか?」
慌てて前を見ると、先程まで自分が立っていた場所に長老ムサシが立っていた。
キングは3メートルほど飛ばされたようだ。
「カッカッカッカッ」
猫背の老人は嫌らしく笑っている。
その手には杖の他に小太刀を握っていた。
その小太刀で腹を指されたのだろう。
だが、初弾の衝撃は、なんだったのか分からない。
打撃だ。
強打だ。
それは感じで分かった。
固く重い鈍器のような物で顔面を強打されたような衝撃に飛ばされた感じである。
それは理解出来ていたが、どのような攻撃をされたのかが見えていなかった。
しかし、一つ理解は出来た。
三戦目の戦士に志願してきたのは、この老人だと──。
背の曲がった老体が戦いを仕掛けてきたのだ。
「嘗めるな、老人!」
腹の傷を手で押さえながらキングが立ち上がる。
するとキングの背後に立っていたエリクが言った。
「キング、このジジイは俺に譲れ」
力強くキングの肩を引いたエリクが前に出て来る。
魔王自らが立ち合う積もりらしい。
だが、キングは引き下がらなかった。
「エリク様、約束が違いますぞ!!」
「ああ~~ーんッ!」
エリクはヤンキーのように表情を威嚇的に歪めながらキングに詰め寄って来た。
味方が味方を威嚇しているのだ。
「なんだ、キング。俺に意見する積もりかぁ~、えぇ~!?」
なんとも悪ぶった態度であった。
だが、それでもキングは引かない。
ガンをくれるエリクの顔にキングもガンをくれ返しながら額を合わせる。
「エリク様、ここは私に任せると申したではありませんか!?」
事実である。
キングは更に詰め寄った。
「将来の大魔王様が、たかが一匹のコボルトとの約束すら守れないでどういたしましょうぞ! 恥じることを学んでくださいませ!!」
「う、うう……」
正論である。
その正論とキングの気迫に押されたエリクの腰が引けていた。
「す、すまん……。許してチョンマゲ……」
『チョンマゲ?』
キルルが聞いたことのない言葉に首を傾げている。
「まあ、分かって貰えれば結構で─────っひぃ!!!!」
突然だった。
言葉を言い終わる前にキングの体が真上に跳ね上がる。
そして、キングは股間を両手で押さえながら倒れ込んだ。
倒れるキングの表情は両目を最大限まで見開いて口をパクパクとさせていた。
更には激痛のためか涎や鼻水を垂れ流している。
「が……がっ……がが………」
声にならない声を漏らすキング。
「何!?」
生きたまま絶命的なダメージに苦しむキングを見下ろしながら長老ムサシが延べた。
「若いの。余所見が多すぎるぞ。カッカッカッカッ」
エリクがムサシを睨み付けながら言った。
「テメー、キャンタマを蹴りやがったな!!」
「隙だらけだったからのぉ。ついつい蹴りたくなってもうたわい。カッカッカッカッ」
「そりゃあまあ、笑いたくもなるよね……」
「ぐ……ぐぐぐぅ……」
脂汗を流しながらキングが立ち上がる。
「まだ、やれるのか、キング?」
「は、はい、エリク、さ、ま……」
股間を両手で押さえたキングは軽くジャンプしながら答えた。
どうやら蹴られたキャンタマを元の高さに戻しているようだ。
たぶん、かなり痛かっただろう……。
エリクにも男だから分かる痛みだ。
それにしても──。
「キング、気を抜くな。このジジイは、今まで以上に卑怯者だぞ」
「は、はい………」
「今時の若者たちには、儂が卑怯者に見えるのかぇ?」
「「『見える!」」』
「カッカッカッカッ。冗談が通じない若者たちよのぉ~」
流石は卑怯者たちの長だ。
こいつが一番の卑怯者のようである。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
御機嫌ようそしてさようなら ~王太子妃の選んだ最悪の結末
Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。
生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。
全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。
ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。
時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。
ゆるふわ設定の短編です。
完結済みなので予約投稿しています。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
悪役令嬢の私は死にました
つくも茄子
ファンタジー
公爵家の娘である私は死にました。
何故か休学中で婚約者が浮気をし、「真実の愛」と宣い、浮気相手の男爵令嬢を私が虐めたと馬鹿げた事の言い放ち、学園祭の真っ最中に婚約破棄を発表したそうです。残念ながら私はその時、ちょうど息を引き取ったのですけれど……。その後の展開?さぁ、亡くなった私は知りません。
世間では悲劇の令嬢として死んだ公爵令嬢は「大聖女フラン」として数百年を生きる。
長生きの先輩、ゴールド枢機卿との出会い。
公爵令嬢だった頃の友人との再会。
いつの間にか家族は国を立ち上げ、公爵一家から国王一家へ。
可愛い姪っ子が私の二の舞になった挙句に同じように聖女の道を歩み始めるし、姪っ子は王女なのに聖女でいいの?と思っていたら次々と厄介事が……。
海千山千の枢機卿団に勇者召喚。
第二の人生も波瀾万丈に包まれていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる