異世界転生したスケベな俺はメイドゴーレムとツープラトン技を決めてやるぜ!

ヒィッツカラルド

文字の大きさ
上 下
29 / 57

29【運命の価値】

しおりを挟む
ドラマチックショップ・ミラージュ。店名は店主からもじっているようだ。

店主の名前はミラージュ。俺の眼前で長ソファーで嫌らしく横たわるセクシーな女性である。その胸は美乳であった。素晴らしい。

年齢は40を越えてそうだが女性としての賞味期限は切れていないだろう。お色気が枯れていないのだ。これならまだまだ行けるはずだ。──ってか、良かったら手解きを願いたいぐらいである。

そんなことよりもだ。

何故にこの女は俺をこの店に誘い込んだのだろうか?

そもそもこの店はなんだ?

店内を見回してみると骨董品屋のように伺えるが、並んでいる品物はすべてマジックアイテムのように鑑みれた。

その商品のひとつをオレは横目でチラリと確認した。それは木彫りの人形である。頭が大きく身体が小さい。まるでゴブリンのような人形であった。だが、その人形に添えられた値札を観て俺は仰天した。

「大金貨1000枚だと!?」

高額すぎる。こんな訳の分からない木彫りの人形が1大金貨1000枚とはボッタクリにも程があるだろう。

だが、別の品物を観た俺は更に仰天してしまう。

「な、なんだ、この店の価格は……」

壊れている。値段設定が崩壊している。どれもこれも値段が法外だ。すべての品物が大金貨1000枚を越えている。大金貨1000枚となると貴族の称号が土地付きで買える価格だ。故にあり得ない金額である。

「あのぉ~、ここはボッタクリショップですか?」

恩名は厚化粧を微笑ますと煙管の先をクルクルと回しながら言った。

「お主に当店の品物がいくらに見えているか知らぬが、お主に見えている値段がお主に取って、それはその値段だぞよ」

「人によって値段が違って見えるのか?」

「この店はドラマチックショップ。故にこの店の商品は、お客にとってドラマチックな代物。それを買い上げれば、それだけのドラマチックな運命が待っている価格だぞぃ」

俺は側に並んでいた奇っ怪な人形を手に取ると粗末に扱いながら言う。

「こんなゴミクズっぽい人形が、俺にとって大金貨1000枚をかけるほどドラマチックな品物だって言うのかよ」

「それは変わり身の人形だ。血判を刻んだ人間が死んだ場合、身代わりになってくれる人形だぞ」

俺はそっと人形を棚に戻した。

「そ、それは高価なマジックアイテムだな。確かに大金貨1000枚で買う人だって居るかも知れないね……」

本人の残機が増える。それは凄いマジックアイテムだ。しかし、大金貨1000枚は高すぎるだろう。

「ならば……」

俺は興味深く店内を見回した。ここにあるすべての品物がマジックアイテムで、買うことで俺の人生をドラマチックに輝かせてくれる可能性があるのならばひとつぐらいは購入してみたいものである。

だが、どれもこれも法外な価格だ。俺がいくらブルジョアでも簡単に買える価格ではないだろう。大金貨1000枚を貯めるのに何年何十年掛かるかも分からない。

そんな俺の視線にひとつのゴーグルが目に入った。それはプロペラ機のパイロットが風避けのために装備しているゴーグルのようなデザインだった。しかも、そのゴーグルの価格が少しだけ安い。大金貨100枚だ。

「なんで、このゴーグルだけ値段が十分の一なんだ?」

「それは、お主の魂にアイテムが引かれているからじゃ。運命ってものぞよ」

「運命?」

俺はゴーグルを手に取るとミラージュに問い掛けた。

「このマジックアイテムの能力を聞かせてくれないか?」

「それは透視のゴーグルじゃな」

「透視!?」

「そう、透視じゃ」

「透視って、あれですよね。壁の向こうが透けて見えるとかの透視ですよね!」

「ああ、その透視だぞい」

こ、これは運命だ!

このゴーグルがあれば、俺はいつでもどこでもどんなところでも女の子の裸を見放題ではないか!

ジェシカの豊満なおっぱいも、ララーさんの巨乳も、ラブリリスちゃんの健康的なおっぱいも、すべてのおっぱいを見放題ではないか!

それは、間違いなく大金貨100枚の価値はあるだろう秘宝である。

俺は力強い眼差しで透視のゴーグルを見詰めながら声を轟かせた。

「これ、我が家の家宝にしたい!」

まさにドラマチック成立案件であろう。本気でこのゴーグルを家宝にしたいぞ。

すると、俺の視線に長ソファーで横たわるセクシーな女性が目に入った。そこには麗しいボディーを無防備に寝そべらせているミラージュの美体があったのだ。しかも隙だらけ。

「女子、発見──」

俺は問答無用でゴーグルを装着するとミラージュの姿を観た。しかし、一目観た次の瞬間に膝から崩れる。

「肉まで透視して、骨しか見えていないぞ……」

透視のゴーグルを装着して俺が観たものは、骨だけ映るスケルトンな姿。それを観て俺のテンションがだだ下がりする。

「持て遊ばれた。青少年の純粋な心をババァに持て遊ばれた……」

「勝手に他人の裸体を覗き見ようとして被害者ぶるな」

「ち、畜生。グレたいわ……」

「そもそも私はアンデッドだ。肉など無いぞよ」

「えっ?」

俺はゴーグルを外してからミラージュを凝視した。だが、俺の肉眼に映るミラージュの姿はムッチムチである。このエロイ肉付きがスケルトンにはとても見えない。

俺が唖然としているとミラージュが人差し指に装着した黄金の指輪を見せながら言う。

「この姿はマジックアイテムで幻影を作り出して見せている紛い物。本当の妾はホネホネじゃぞ」

「じゃあ、骨が深紅のドレスを着ているのか?」

「その通りじゃわい」

「詐欺だ。金返せ!」

「お主、金なんて払ってないだろ……」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...