【変態ゴレてん】少年が異世界転生したらゴーレムだったので魔改造を施したけれど変態は治りませんでした。追伸、ゴーレムでも女の子にモテたいです

ヒィッツカラルド

文字の大きさ
上 下
2 / 47

第2話【転生の初日】

しおりを挟む
物語を少し巻き戻して語りだそう。

数日前、転生初日である。

俺が目を覚ますと、そこは薄暗い部屋だった。

音は無く静かな部屋は石作で少し埃っぽい。

空気が乾燥している長細い部屋だった。

部屋には窓が無い。

扉がひとつ有るだけだ。

そして、室内は散らかっていた。

何やら不恰好な人形が壁際に数体ほど並んで立っている。

身長1メートルから2メートルと様々だ。

マネキンか?

違うな。

フレームがかなり雑である。

てか、あれは少林寺の木人じゃあねえか?

小さな頃に映画で観たことがあるぞ。

丸太のような頭に、丸太のような身体。

手足も丸太な棒だ。

手は指も無く木球状態だ。

木偶人形だな。

そんな木人が壁際両サイドに並んで立っている。

中には手足が崩れて倒れている木人もある。

俺は、その列に並んで立っていた。

『なんだ、この木人は……?』

俺は隣の木人を触ろうと手を伸ばした。

すると俺の手が木人に当たり「カツンっ」と音を鳴らした。

その音は木と木がぶつかり合うような硬くて鈍い音である。

『なんだ……?』

俺は首を傾げる。

俺の視界に入った俺の手に大きな違和感が見て取れた。

一瞬、自分の目を疑う。

『俺の手、丸くない……?』

俺の手に指が無い。

木の玉だ。

ウッドボールだ。

俺は自分の手と、隣に立つ木人の手を見比べた。

『同じだ……』

同じである。

壁際に並ぶ木人たちと、俺の手は同じ形をしている。

未来からやってきた猫型ロボットもビックリするほどに丸いのだ。

『マジやべぇ~、これって……』

念のために脚も比べてみた。

同じ丸太のような不恰好な脚である。

俺も、木人も、不恰好である。

──っと、言うことは……。

俺は、もしかして、木人なのか……?

『いやいやいや、ちょっとまて!』

俺は木人なのか!?

木人だよね!?

いや、木人なんかじゃないぞ!

俺は人間のはずだ!

俺は目覚める前の記憶を辿る。

しかし、いまいちはっきり思い出せない。

だが、俺の朧気な記憶には田舎の高校を卒業して隣町の会社に就職したけど、そこがブラック企業で三ヶ月ともたずに退社して、ぶらぶらしていたけれどお金が尽きたから実家に帰る事になったんだけど、最後にこの街で想い出を作ろうと風俗で童貞を筆下ろししちゃおうかな~って思って夜の町に飛び出した直後にお爺ちゃんが運転するトラックに牽かれたところまでは覚えているのだが、その後が霧に包まれたかのようにはっきりとは思い出せないでいた。

いや、結構覚えているほうだな……。

まあ、要するに、一言で述べれば、たぶん死んだのだ。

しかも、童貞のまま……。

その死んだ俺が、何故にここに居るのだ?

しかも、状況を見るからにお粗末な作りの木人になっている。

何故だ?

わからん……。

やっぱり、わからん……。

そして閃いた。

『もしかして、これは転生なのか……?』

俺は木人に転生したのかな?

しかもこれでは転生失敗だよな?

ハズレか?

ハズレなのか?

そりゃあね~だろ~…。

酷い、あんまりだ~……。

前世で俺は極悪非道な偽善者野郎だったから転生して罰でも受けているのかな?

いや、俺は善人だ。

悪い事のひとつも出来ない善人だったはず。

だからこれはきっと何かの間違いだ。

何かの誤解だ。

どうせ異世界に転生するならイケメン確約のハーレム最強チートな極楽モテモテ大冒険を希望したい。

それが真面目で謙虚な若者の願望だよね。

それだけの盛り沢山な設定なら魔王だって勇者だって倒してやるぞ。

だが、違う。

木人だ……。

よし、責任者を探しだしてクレームを付けてやる。

チェンジだ、チェンジ!

そして俺が薄暗い部屋を見回せば、木人たちが並ぶ先に扉がひとつある。

俺は扉の前までカツカツと足音を鳴らしながら歩いた。

それから扉のノブに手を伸ばす。

『あっ……』

ドアノブが握れない。

だって、指が無いんだもの。

両手がウッドボールなんだもの。

これではドアノブが回せない。

扉を開けられないぞ……。

ちょっと頑張ってみて両手でトアノブを回してみる。

でも、ウッドボールな両手ではドアノブは回せなかった。

猫型ロボットはドアだって襖だって難無く開けられるのに……。

に、しても──。

これ、不便だな。

マジで扉が開けられないぞ。

困ったな……。

室内を見回したが他に出入り口も窓も無い。

俺は閉じ込められてるのかな?

俺がどうしたものかと考えながら何気無く扉を押すと、ドアが押されてスススっと開いた。

押戸だ……。

畜生……。

まあ、ラッキーって事で……。

扉を開けて俺が部屋を出ると、そこは廊下だっだ。

石作の廊下を少し進むと上りの階段が見えてくる。

俺は階段を上って行った。

階段の天井に両開きの鉄扉があったので、丸太の頭を使ってなんとか押して開いた。

すると地上に出る。

どうやら俺は地下室に居たようだ。

時間は夜なのか周囲は暗い、

空を見上げれば星と月が輝いて見えていた。

目の前には木々に囲まれた館があった。

三階建ての大きな館だ。

しかし、周囲は暗く夜のようだが館には明かりが見えない。

住人は寝ているのかな?

それとも無人なのかな?

俺はとりあえず館に足を進めた。

真っ直ぐ進むと裏口っぽい扉が開いていた。

その横に洗濯物が干してある。

しかも、女性の下着がヒラヒラと干されていた。

ブラックのスケスケセクシーランジェリーなパンツだ。

『こ、これは!!』

お宝発見!!

三角な財宝だぜぇ~!!

ラッキー!!


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。 次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。 時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く―― ――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。 ※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。 ※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...