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第1話【一物の価値】
しおりを挟む俺は異世界転生する前は無職でニートな若造だった。
死んで気が付いたらこの異世界に転生していたのであるが、今はゴーレムとして暮らしている。
ゴーレムが何かって?
ゴーレムって奴は泥人形を魔法で操っている戦闘兵器なのだが、俺は何故かそのゴーレムのコアとして異世界に転生していたのであった。
ダンジョンなどで宝を守っているガーディアン的なモンスターだ。
今は仕方なくゴーレムライフをダラダラと歩んでいる。
外見はほぼほぼ体格の良いマネキンであった。
死んじまった傀儡の魔女マリアンヌの遺品なのだ。
その体で俺は旅をしているのだが、将来的には肉の体を手に入れて人間に戻るのが目標なんだよね。
何故に人間の肉体が欲しいかって言ったら、そりゃあ当然の理由である。
それはエロいことがしたいからだ!!
男なら当然だよね!!
女の子とエロい行為に励むのも、エロい奥さんを娶るにしても、ウハウハなハーレムを築くにしても、最悪一人で寂しい夜を宥めるにしても、兎に角生身の肉体は必要だ。
肉棒肉竿すらなければ、それらは叶わない。
今、俺の体はマネキンゴーレムだ。
このゴーレムの体には口も無い、鼻も無い、耳も無いのだ。
当然ながら何より漢にとって一番必要な一物が付いていないのである。
股間が途轍もなく寂しく、夜も一人で過ごせない。
自分で慰めることも、可愛い彼女に宥めてもらうことも叶わないのである。
いくら厨二真っ盛りの俺が憧れの異世界に転生してきても──。
いくら俺が努力に努力を重ねてハーレムを完成させても──。
最終目的を果たすための一物がなければ宝の持ち腐れも良いところである。
夢は叶わない。
要するに童貞を捨てられない……。
それが無念なのだ。
だから現在俺は、このゴーレムの体を少しでも人間の体に近付けるために専念していた。
だが、俺のゴーレムボディーには戦闘能力がスキルとして備わっているが、肝心の改造スキルは有していない。
自分で自分の体を改造できない。
だから自力でチ◯コも装着出来ない。
故に誰か人形職人に体を改造してもらうしかないのだ。
そうでもしないと俺はチ◯コすら手に入れられないのである。
そこで俺は一緒に暮らしているダークエルフの娘に大きな期待を抱いていた。
彼女は大人びた美人で独身彼氏無しのボインボインのセクシーボディーを有した銀縁眼鏡のクールな女性で、俺の体を作った傀儡の魔女マリアンヌの弟子だった人物なのである。
だが、少し問題がある。
性格はクールで真面目、顔は美しく、スタイル抜群、ゴーレム職人としても一流なのだが……。
だが、男を知らないのである。
幼少時代は親知らずの孤児で、老婆の魔女に育てられ、男性を見たことはあるが、男のティンティンを見たことがない。
だから、彼女に俺はティンティンを作ってもらい俺の股間に装着してもらいたいのだが、なんとも依頼が難しい。
兎に角、説明が難しいのだ。
何せ俺にはチ◯コが付いていないから実物を見せてチ◯コを作ってくれとは言えないのである。
要するにモデルを示せない。
周りにチ◯コを見せてくれる男性も居ない。
今俺たちが居るのは人里離れた森の中だからだ。
俺は地面に枯れ木をペンにしてチ◯コを画いて説明したのだが、俺には描画スキルは無いのだ。
なんとも絵が下手だと言えば良いだろうか……。
俺が描いたチ◯コの絵を見てクレアはこう言ったのだ。
「これが、チ◯コと言うものなのか。まるで老いぼれた犬っコロだな」
老いた犬っコロ……?。
俺の絵が、そう見えるのか?
竿先が鼻に見えて、キャン玉が耳に見えているのかな……?
これは伝わっていないな。
たぶん絶対に俺の言いたいことは伝わっていないぞ。
「まあ、いいわ。とりあえず作って見るわね」
おっ、作れるのか。
『ああ、たのんだぞ、クレア』
そして彼女が木材を削りだしてチ◯コを彫りだし始めた。
だが、完成した置物は、まさに老いぼれたリアルなワンコの頭部だった。
『これを俺の股間に付けろと言うのか……?』
「どうだ、なかなかの犬の像だろう。力作だ」
マジでリアルな犬の頭の置物だぞ。
しかし、こいつ、彫り物の腕は凄く上手いな……。
俺は心の中で血の涙を流しながら行った。
『でもな……。違うんだよ』
「お前が注文した通りに作ったつもりだが、何か不満でもあるのか?」
『いや、俺はチ◯コを作ってくれと言ったのだ。何故にリアルな老犬の頭を作ってんだよ。お前は俺が股間に犬の頭部を飾って喜ぶと思ったのかよ……』
「なんだ、喜ばないのか?」
この世間知らずなダークエルフめが!!
イライラする!!
『お前だって人里に降りたことぐらいあるだろ。人間の男を見たことあるだろ!?』
「あるが?」
『じゃあその時に、股間に犬の頭を付けている男を見たことがあるのかよ!?』
クレアはクールな眼差しで冷めたように言った。
「ない。だが、お前はゴーレムに転生するほどの物好きだから、このような趣味があるのかと思ったぞ。だから丁寧に時間をかけて老犬の頭を掘り出したのではないか。感謝されても否定される覚えはないのだ」
『だから、違うって!』
そもそも俺は好き好んでゴーレムに転生したのではないのだ。
俺だってチ◯コが這えている人間に転生したかったよ。
「何が違うのだ?」
『俺はチ◯コが欲しいの。体がゴーレムでも、男としてチ◯コが欲しいのだ!!』
「そもそもチ◯コとやらを手に入れてお前はどうしたいのだ。私には付いていない物だから気持ちが良く分からんのだよ。それはどう使う道具なのだ。本当に必要な物なのか?」
クレアは困った顔で首を傾げている。
俺はテレパシーに力を込めて言った。
『どう使うって決まってるだろう。女の子にストライクして童貞を捨てるんだよ。そのためのお宝なんだよ。前世で果たせなかった夢を叶えるんだよ!!』
そう、俺は死ぬ前の世界で童貞だった。
それが心残りで異世界に転生したのだと思う。
クレアが軽蔑の眼差しで述べた。
「その老犬の頭を女の子の口にでも捩じ込むのか……。なんとも鬼畜だな……」
『ちっがぁ~~う、老犬の頭なんてストライクさせないよ。それに口じゃあないから、口にはストライクさせないから。いや、口でもありだけど!!』
「まことに何を言っているのだ。意味が分からん。困った奴だな」
『困った顔で言うな。だいたいお前は良い歳なんだから、男のチ◯コぐらい知っておけよ。初か、初なのか!!』
「そもそもお前だって男なんだから、見本をちゃんと見せてから依頼しろ」
『バカ野郎、俺にお前に見せるチ◯コがあったのなら、こんな恥ずかしい依頼を好みの美人になんて頼まねぇ~よ!!』
「そもそもお前はチ◯コとやらを手に入れてどうしたいのだ?」
『そりゃ~決まってんだろ!』
「決まっている?」
『それは……、ゴニョゴニョゴニョ……』
ここに来て俺は恥ずかしさの波に飲まれて口ごもる。
冷静な感情を少し思い出していた。
なんで俺はこんな美人さん相手にチ◯コチ◯コと連呼しているんだ。
恥ずかしくなってきたぞ。
だって俺は、なんやかんや言ってもチェリーボーイなんだもの……。
「えっ、なに、聞こえないぞ?」
『それは……』
「えっ、なにっ!?」
『ええい、こっぱずかしい、もう良いわい!!』
「何が良いのだ?」
この鈍感無垢なセクシー女め!!
俺はドンッと床を強く踏みしめた。
『こうなったらお前に男のチ◯コを意地でも見せてやるぞ。そして天下一品なチ◯コを作らせてやるからな!!』
「どうやって実物を見せてくれるのだ?」
『俺にチ◯コが無いなら、他人のチ◯コを見せてやるだけだ!!』
「他人の?」
『そうだ、別の人間のだ!』
「はぁ~……」
クレアが溜め息を吐いた。
「前にも言ったと思うが私はダークエルフでお前はゴーレムだ。人里に降りれば恐れられ、危うくは冒険者に討伐されかねないぞ?」
俺は変えられない木製の表情を怪しく淀ませながら言った。
『だから、襲うんだよ!』
「襲う?」
『旅商人でも襲って、男のチ◯コをお前に見せてやるんだよ!!』
「まことに山賊紛いの行為を働くのか?」
『心配すんな。殺しや略奪が目的で商人を襲うんじゃあないから、相手だって許してくれるさ。ただ、本物のチ◯コをお前に拝ませるだけだからよ。そこから俺らの冒険が始まるんだよ!!』
「嫌な冒険の始まりだな。そもそも私はお師匠様の後を継ぐためにゴーレムマスターの修行がしたいだけなのだが……」
「だから、その一歩としてマリアンヌが作ったこのゴーレムの体にチ◯コを装着するところから始めろよ!!」
「そうなのか……」
『そうなんだよ、俺を疑うな。俺は転生者のゴーレムだぞ。お前が一流のゴーレムマスターになるための道しるべだと思って俺のチ◯コを作ることに専念しやがれ!!』
「ああ、とりあえず分かったわ……。まずはチ◯コからなんだな……」
ダークエルフのクレア嬢は完全に納得してはいなかったが、俺のために努力を尽くしてくれることを誓ったのである。
こうして俺たちの旅は始まった。
まずはチ◯コを付ける。
それが魔改造の始まりだった。
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