581 / 604
第580話【スバルちゃんKISS】
しおりを挟む
俺とスバルちゃんは魔王城街が、アルカナ二十二札衆に襲われている中で、大通りにあるスバルちゃんの薬店にやって来ていた。
「あったは、臭い止めの薬が」
俺が薬店の窓から外を監視しているとスバルちゃんが戸棚から透明な液体状の薬が入った小瓶を取り出す。
スバルちゃんが俺に外の様子を問う。
「アスラン君、外の戦況はどう?」
「なんか、ドデカイ扉が通りの真ん中に出現してるわ~」
「大きな扉? 魔法ゲートかしら?」
「それよりスバルちゃん、早く薬を飲んでくれないか」
「ええ、分かってるわ」
スバルちゃんは返事をしながら小瓶の蓋を開けた。
兎に角、早く薬を飲んでもらいたい。
臭くて堪らないのだ。
俺はだいぶ慣れて来ているが、周りの連中はスバルちゃんの体臭に抵抗力が低い。
ほとんどの者たちが息が出来ずに失神してしまう。
あのスーパーリッチなマミーレイス婦人ですら気絶する悪臭なのだ。
まさに最終兵器レベルの体臭である。
だが、今回の事件が終わってレベルアップしたのならば、おそらく俺には悪臭耐久スキルが習得されることだろう。
それは間違いない。
「ふぅ~、げっぷ~」
俺が見守る中で、スバルちゃんが小瓶の薬を一気に飲み干した。
げっぷ~っとか言うな、オヤジかよ。
「スバルちゃん、その薬って即効性なのか?」
「効果が出るのに少し時間が掛かるわ」
「どのぐらい?」
「15分程度かしら」
15分か~……。
じゃあ、効果が現れたのを確認したら、またスバルちゃんを魔王城に送り届けよう。
たぶん、魔王城内が一番安全だろうからな。
未来の嫁さんを危険には晒せないしね。
臭いくっても俺の大事な嫁さんだもの。
これでなかなか可愛いんだわ~。
そう考えながら俺が窓の外を見張っていると、スバルちゃんが俺の背後に近付いて来る。
そして、囁くように言った。
「ごめんね、アスラン君……」
「えっ……?」
俺が振り返るとスバルちゃんは俯きながら俺の袖を摘まんでいた。
「どうしたの、スバルちゃん。なんで謝るの?」
「だって、私がこんな体なばかりにアスラン君は、普段から我慢しているんでしょう……」
確かに悪臭を我慢している。
だが、何時ものことではない。
こうして、たまに薬を飲み忘れた時だけである。
だが、スバルちゃんはしおらしく言った。
「アスラン君は、私の体臭があるから何時も我慢してるんだよね……」
「何時もじゃあないよ」
「だって、私が臭いから、私の体に触れてもこないんでしょう……」
「えっ……?」
何を言い出してるの、この子は……?
「私の体臭が臭いから、キスだってしてくれないんでしょう……」
「ええっ!!??」
スバルちゃんが俺を上目使いで見詰めて来る。
その眼は弱々しくも潤んで見えた。
せがんでいるのか!?
誘っているのか!?
「いや、あの、その……。キスしないのは体臭とか関係無いからさ!!」
「じゃあ、なんでキスしてくれないの……」
「そ、それは!!!」
それは、その気になっちゃうからだよ!!
その気になって次のステージに全力で駆け上りたくなるからだよ!!
そうなると、糞女神の呪いで心臓が痛みだすからダメなのだ!!
下手すりゃあ死んじゃうからダメなのよ!!
てか、スバルちゃんには呪いのことを話していないんだっけな。
それで誤解しているのかな?
スバルちゃんが潤んだ視線だけを逸らしながらボソリと言った。
「私はキスがしたいな……」
マジか!!
マジだよね!!
そりゃあマジだろうさね!!
だって俺は彼女にプロポースしているし、彼女は俺のプロポーズをOKしているんだもの、本来ならとっくの昔にキスの一つや二つや、それどころかベロチューすらしていても可笑しくないよね!!
なんなら一晩二人で同じベッドの中で大人の階段を上がっては下り、上がっては下りを朝まで繰り返していて、ヘトヘトになっていても可笑しくないはずだ!!
でも、それをしちゃうと俺は呪いの効果で死んじゃうんだよね!!
糞っ! 糞っ! こんちくしょう!!
あたったったっ!!
心臓が……。
俺があたふたしていると、黙り込んだスバルちゃんが目蓋を閉じて顎を上げた。
「こ、これは!!!」
これはキスをせがまれているのか!?
俺はスバルちゃんにキスをせがまれているのですね!!
うわ~、キスして~!!
俺もスゲ~接吻がして~よ~!!
したいが……、いたたた……。
やっぱり胸が痛みだした。
何故だ!!
糞っ!!
この呪いは何故に俺の邪魔をする!!
無念、無念、無念だ!!
化けて出るほどに無念だ!!
「はやく~」
スバルちゃんが急かしているよ!!
思ったよりも積極的だな!!
眼鏡ツインテール、侮れん!!
こうなったらキスしちゃうぞ!!
本気でしちゃうんだからねっ!!
いたたたっ……。
糞!!
こうなったら我慢比べだ!!
俺の欲望……、否否否。
俺の愛が勝るか、呪いの呪縛が上回るかの勝負だ!!
もう意地である。
俺はスバルちゃんとキスをするぞ!!
そう決意を決めた俺は煩悩を押さえながら口を尖らせスバルちゃんの唇に唇を近付けた。
二人の距離が今までにない以上に急接近する。
あと10センチ……。
緊張する~。
あと5センチ……。
心臓がバクバクして止まらねえ。
いや、止めたら死んじゃう。
更に、あと1センチ……。
やるぞ、やるぞ、やるぞ!!
そして、二人の唇が触れ合う刹那だった。
地面が轟いて周囲の物が跳ね上がる。
下から突き上げられるような衝撃だった。
戸棚の薬瓶、テーブルの上の置物、椅子すら跳ねていた。
勿論ながらキスをしようとしていた俺たち二人も跳ねていた。
故にキス出来ない。
「なんだっ!?」
「えっ、なによ!?」
揺れは一撃で収まる。
しかし建物の天井から埃がパラパラと落ちてきていた。
「い、今のは何だよ……」
部屋の中は大地震の後のように荒れている。
俺は揺れのあまり、咄嗟にスバルちゃんを抱き締めていた。
スバルちゃんが弱々しく呟く。
「アスラン君、痛いよ……」
「ああっ、ごめんね!!」
俺はスバルちゃんの柔らかい身体を解放すると、窓の外を見る。
そこには見慣れない物が聳えていた。
「なんだ、ありゃあ……」
驚愕。
「どうしたの、アスラン君?」
スバルちゃんも窓から外を眺めた。
「なに、あれ……」
スバルちゃんも驚愕。
それは巨大で真っ黒い柱だった。
柱の下に二つの球体が車輪のように回っている。
柱の高さは30メートルはありそうだ。
太さは直径7~8メートル。
円柱だ。
二つの球体が回転して移動しているようだった。
その黒光りする柱の上に人が立っているのが見えた。
長いスタッフをついて、金の装飾が施された緑色のローブを、肩まである長髪と共に風に靡かせている。
「あれは、アマデウスじゃあねえか……」
アルカナ二十二札衆の一人でマジシャンのカードを暗示する男。
そう、鷹の目の男、魔法使いのアマデウスだ。
今回の襲撃事件の主犯だろう。
スバルちゃんが黒柱を見上げながら呟いた。
「なに、あのでっかなチ◯コ……」
「スバルちゃん……。それは言わないで、引くから……」
【つづく】
「あったは、臭い止めの薬が」
俺が薬店の窓から外を監視しているとスバルちゃんが戸棚から透明な液体状の薬が入った小瓶を取り出す。
スバルちゃんが俺に外の様子を問う。
「アスラン君、外の戦況はどう?」
「なんか、ドデカイ扉が通りの真ん中に出現してるわ~」
「大きな扉? 魔法ゲートかしら?」
「それよりスバルちゃん、早く薬を飲んでくれないか」
「ええ、分かってるわ」
スバルちゃんは返事をしながら小瓶の蓋を開けた。
兎に角、早く薬を飲んでもらいたい。
臭くて堪らないのだ。
俺はだいぶ慣れて来ているが、周りの連中はスバルちゃんの体臭に抵抗力が低い。
ほとんどの者たちが息が出来ずに失神してしまう。
あのスーパーリッチなマミーレイス婦人ですら気絶する悪臭なのだ。
まさに最終兵器レベルの体臭である。
だが、今回の事件が終わってレベルアップしたのならば、おそらく俺には悪臭耐久スキルが習得されることだろう。
それは間違いない。
「ふぅ~、げっぷ~」
俺が見守る中で、スバルちゃんが小瓶の薬を一気に飲み干した。
げっぷ~っとか言うな、オヤジかよ。
「スバルちゃん、その薬って即効性なのか?」
「効果が出るのに少し時間が掛かるわ」
「どのぐらい?」
「15分程度かしら」
15分か~……。
じゃあ、効果が現れたのを確認したら、またスバルちゃんを魔王城に送り届けよう。
たぶん、魔王城内が一番安全だろうからな。
未来の嫁さんを危険には晒せないしね。
臭いくっても俺の大事な嫁さんだもの。
これでなかなか可愛いんだわ~。
そう考えながら俺が窓の外を見張っていると、スバルちゃんが俺の背後に近付いて来る。
そして、囁くように言った。
「ごめんね、アスラン君……」
「えっ……?」
俺が振り返るとスバルちゃんは俯きながら俺の袖を摘まんでいた。
「どうしたの、スバルちゃん。なんで謝るの?」
「だって、私がこんな体なばかりにアスラン君は、普段から我慢しているんでしょう……」
確かに悪臭を我慢している。
だが、何時ものことではない。
こうして、たまに薬を飲み忘れた時だけである。
だが、スバルちゃんはしおらしく言った。
「アスラン君は、私の体臭があるから何時も我慢してるんだよね……」
「何時もじゃあないよ」
「だって、私が臭いから、私の体に触れてもこないんでしょう……」
「えっ……?」
何を言い出してるの、この子は……?
「私の体臭が臭いから、キスだってしてくれないんでしょう……」
「ええっ!!??」
スバルちゃんが俺を上目使いで見詰めて来る。
その眼は弱々しくも潤んで見えた。
せがんでいるのか!?
誘っているのか!?
「いや、あの、その……。キスしないのは体臭とか関係無いからさ!!」
「じゃあ、なんでキスしてくれないの……」
「そ、それは!!!」
それは、その気になっちゃうからだよ!!
その気になって次のステージに全力で駆け上りたくなるからだよ!!
そうなると、糞女神の呪いで心臓が痛みだすからダメなのだ!!
下手すりゃあ死んじゃうからダメなのよ!!
てか、スバルちゃんには呪いのことを話していないんだっけな。
それで誤解しているのかな?
スバルちゃんが潤んだ視線だけを逸らしながらボソリと言った。
「私はキスがしたいな……」
マジか!!
マジだよね!!
そりゃあマジだろうさね!!
だって俺は彼女にプロポースしているし、彼女は俺のプロポーズをOKしているんだもの、本来ならとっくの昔にキスの一つや二つや、それどころかベロチューすらしていても可笑しくないよね!!
なんなら一晩二人で同じベッドの中で大人の階段を上がっては下り、上がっては下りを朝まで繰り返していて、ヘトヘトになっていても可笑しくないはずだ!!
でも、それをしちゃうと俺は呪いの効果で死んじゃうんだよね!!
糞っ! 糞っ! こんちくしょう!!
あたったったっ!!
心臓が……。
俺があたふたしていると、黙り込んだスバルちゃんが目蓋を閉じて顎を上げた。
「こ、これは!!!」
これはキスをせがまれているのか!?
俺はスバルちゃんにキスをせがまれているのですね!!
うわ~、キスして~!!
俺もスゲ~接吻がして~よ~!!
したいが……、いたたた……。
やっぱり胸が痛みだした。
何故だ!!
糞っ!!
この呪いは何故に俺の邪魔をする!!
無念、無念、無念だ!!
化けて出るほどに無念だ!!
「はやく~」
スバルちゃんが急かしているよ!!
思ったよりも積極的だな!!
眼鏡ツインテール、侮れん!!
こうなったらキスしちゃうぞ!!
本気でしちゃうんだからねっ!!
いたたたっ……。
糞!!
こうなったら我慢比べだ!!
俺の欲望……、否否否。
俺の愛が勝るか、呪いの呪縛が上回るかの勝負だ!!
もう意地である。
俺はスバルちゃんとキスをするぞ!!
そう決意を決めた俺は煩悩を押さえながら口を尖らせスバルちゃんの唇に唇を近付けた。
二人の距離が今までにない以上に急接近する。
あと10センチ……。
緊張する~。
あと5センチ……。
心臓がバクバクして止まらねえ。
いや、止めたら死んじゃう。
更に、あと1センチ……。
やるぞ、やるぞ、やるぞ!!
そして、二人の唇が触れ合う刹那だった。
地面が轟いて周囲の物が跳ね上がる。
下から突き上げられるような衝撃だった。
戸棚の薬瓶、テーブルの上の置物、椅子すら跳ねていた。
勿論ながらキスをしようとしていた俺たち二人も跳ねていた。
故にキス出来ない。
「なんだっ!?」
「えっ、なによ!?」
揺れは一撃で収まる。
しかし建物の天井から埃がパラパラと落ちてきていた。
「い、今のは何だよ……」
部屋の中は大地震の後のように荒れている。
俺は揺れのあまり、咄嗟にスバルちゃんを抱き締めていた。
スバルちゃんが弱々しく呟く。
「アスラン君、痛いよ……」
「ああっ、ごめんね!!」
俺はスバルちゃんの柔らかい身体を解放すると、窓の外を見る。
そこには見慣れない物が聳えていた。
「なんだ、ありゃあ……」
驚愕。
「どうしたの、アスラン君?」
スバルちゃんも窓から外を眺めた。
「なに、あれ……」
スバルちゃんも驚愕。
それは巨大で真っ黒い柱だった。
柱の下に二つの球体が車輪のように回っている。
柱の高さは30メートルはありそうだ。
太さは直径7~8メートル。
円柱だ。
二つの球体が回転して移動しているようだった。
その黒光りする柱の上に人が立っているのが見えた。
長いスタッフをついて、金の装飾が施された緑色のローブを、肩まである長髪と共に風に靡かせている。
「あれは、アマデウスじゃあねえか……」
アルカナ二十二札衆の一人でマジシャンのカードを暗示する男。
そう、鷹の目の男、魔法使いのアマデウスだ。
今回の襲撃事件の主犯だろう。
スバルちゃんが黒柱を見上げながら呟いた。
「なに、あのでっかなチ◯コ……」
「スバルちゃん……。それは言わないで、引くから……」
【つづく】
0
お気に入りに追加
389
あなたにおすすめの小説


30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる